お題「魔術」「どこかの未来」「だれかの過去」
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王子@第一種怠惰無責任者 @ojitw

憧れの仕事だった人生均衡士になれたのは魔術師として本望だ。だれかの過去を覗き見て、恵まれすぎている部分を丁寧に切り取る。そして、気の毒なだれかの人生に、慈しむようにぺたりと貼る。人生の結末は変えられないけれど、私に手当てされたどこかの未来が、どこかのだれかを幸せにしますように。

2019-04-06 22:01:08
水城弥生 @mizukiyayoi8484

記憶の波が押し寄せる。「好き」駅前で告白する少女。「バカ!」喫茶店を泣きながら出る女性。偶に知らないだれかの過去が記憶に刻まれる。「別れよう」雨の中悲しげな表情をする青年。「やっぱり大好き」虹の下微笑む女性。知っている。これは僕に訪れるどこかの未来だ。僕自身が魅せる僕だけの魔法。

2019-04-06 22:02:44
紅月シオン @lunser5

洗練された科学が魔術と混同されるそんな日々でボロボロのブリキのおもちゃが目についた 質屋に並べられたそれは 恐らく誰かの過去に必要なもので、今となってはもう要らないものなんだろう なんとなく私はそれを買い取って家へと帰った また笑う君がいつかどこかの未来の誰かに必要なのだと考えて

2019-04-06 22:03:02
花滝ちかる @chikaru_toka

千年前、私は呪われてバラの精になった。姿は美しくても、鋭い棘のある私を選んでくれる人はいなかった。 「僕が君を選ぶよ」 私を、抱き締めてくれた貴方。やめて。私の棘が貴方の皮膚を裂き、血が流れるのに。 「君を愛しているよ」 貴方が微笑んで、私は千年の孤独の終わりを知った。 #140字小説

2019-04-06 22:05:12
秋風もふ @akikaze_mohu

もしかしたら星達がこの手のなかに住んだり月を食べたり太陽が肋骨になったりあのカシオペア座がYの字になったりするかもしれないね。私はロマンチストだけどリアリストだからあなたの隣で月が綺麗ですねって言えればそれでいいかな。できれば死んでもいいって言われたい。死んでほしくはないけどね。

2019-04-06 22:05:37
夢夜 @ruya_reve

「ありがとう…….愛してるわ」 そう言って笑った君は今まで俺が見た中で一番美しかった。 愛した人の血はまだ温かい。 君の体から剣を引き抜いて首元に突きつけた。 目を閉じる。 ──どこかの未来では、きっと 君と俺が共に笑い合えるだろう。 喉を貫く。 痛みは、不思議と感じなかった。

2019-04-06 22:09:40
夢夜 @ruya_reve

不意に流れ込んできたのは聴いたことのない歌、知らない匂い、覚えのない街…… 自分の記憶のようでもありだれかの過去かもしれないそれにしばし惑う。 私には過去が、記憶がない。 自分が誰かすらもよくわからないのだ。 胸に手を当ててひとつ息を吐いた。 そして私は自分を探す旅に出る。

2019-04-06 22:10:31
にゃん @nyan_kotonoha

『魔術を使えたら何したい?』 テレビから聞こえる、ドラマの台詞。 ─寝転んで家のことを手伝いもしない彼に、私は思う。 「だれかの過去を変えられるなら…」 ─毎日文句ばかりの彼女に、俺は思う。 「どこかの未来を変えられるなら…」 ─今の二人の隙間を埋めるいい魔術が、あればいいけれど。

2019-04-06 22:11:25
掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

魔術は血よ、と母は言った。でも、どこかの未来や誰かの過去を見られるから何ができると言うのか。ずっと、そう思っていた。 「見つけてくださって、有難うございます!」 涙を拭って笑顔を浮かべた彼女が、深々と頭を下げる。それを見て、魔術があって良かったと初めて思った。

2019-04-06 22:25:36
松岡 9JIRA @aoarup

○山奥   枕木を運搬する作業員たち。作業員の一人が桜の枝を持っている。 桜A「私はソメイヨシノの枝。剪定され、桜並木から、連れてこられた」   線路際の木の幹に桜を継ぐ作業員。 桜A「嫌だ。山奥でひとり咲いて、枯れろというのか。仲間と花開く瞬間は、どこかの未来にはあったのに」

2019-04-06 22:27:25
RAY/※※※ @growler_ray

キラキラと輝いて、声を出して笑いあって、みんなで思いっきり楽しんで、そして別れてまた明日。当たり前だからこそ綺麗、そして最高の思い出 けど、この中に私が知ってる人はいない。あの人もこの人も、知らない人 うぅ…見知らぬだれかの過去を見るなんて、データ体の私が見たって虚しいだけだね…

2019-04-06 22:27:59
松岡 9JIRA @aoarup

○山奥・廃線敷   リュックを背負う青年が廃線を歩く。リュックに桜の苗木。 桜B「私はソメイヨシノの苗木。青年に育てられ、今日は外出だ。おや?」   老木の桜が咲いている。側に桜の苗木を植える青年。 桜B「彼女もだれかの過去の仕業でここへ? じゃあ私が老いた彼女に寄り添うことにしよう」

2019-04-06 22:28:30
KTQ @wholiveo

陳腐でも熱苦しくても時代遅れでもダサくてもウザくてもわけわかんなくても。どこかの誰かの未来のために、自分の今日を投げ出せるなら、それはひとつの魔術になる。誰かのいつかの過去の傷を癒やすために、今日の自分を砕けるのなら、自分はもう魔法使いさ。さぁ、行こう。今日という戦場が待ってる。

2019-04-06 22:29:35
繭美 @140mayumi

「今の私は平凡なメイドですが、どこかの未来で『悪い子でもほめられる薬』を発明します。さ、続きを聞きたいならお席に」 走り回っていたご子息が椅子に座った。 「だれかの過去では黒の魔術師」 「悪い子でもほめられる薬の続き!」 ご子息に呪いをかけたいと思いつつ、私は彼に紅茶と物語を与えた。

2019-04-06 22:34:00
秋月蓮華 @akirenge

発展しすぎた科学は魔術とは変わらないと言う、タイムマシンができた。 実験で時を戻ることになって成功、誰かの過去なんて興味はない、自分が生まれてきてない現在、そこは、 「恐竜」 戻り過ぎだ、 これから始まるのはサバイバル、この現在は誰かの未来なんだろう。 生き延びられるかは別として。

2019-04-06 22:40:22
春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

「未来に!!」 彼女の声に足を止める。俺の背中に投げられた言葉… 「あぁ」 聴こえて無いだろうが構わない。俺は右手をすっと上に挙げる。 コレは過去へと渡る魔法。 そして、彼女との別れ… 「すぐ、戻る」 「うん」 そして俺は旅立つ。 未来を救うための鍵は、俺の過去が持っているから。

2019-04-06 22:46:48
@aI_mOOn_fumi

カーテンのむこう溶けおちる午後。校舎に囁き交わすのは、だれかの過去の影絵たち。放課後の魔術が不意に終わりを告げるから、踊り場で踏んだステップは内緒のまま、ここに置き去りです。バタフライエフェクト、さやさや崩れるどこかの未来。えらび取ることはきっと、さよならに逢いに行くということ。

2019-04-06 22:49:25
カボチャ @6bEbpnl0rCPaUqV

魔法使いの私は、だれかの空を偽物に変えたことがある。そいつはもう一生、本当の空を知ることはない。だが私は、そいつがいつか見上げるであろう不幸などこかの未来の空を、幸福だった過去の空と繋げてやりたかった。今もだれかは偽物の空の下で、幸せに暮らしている。それがこの魔術の代償だとでも?

2019-04-06 22:50:10
春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

ベッドサイドに置かれたワイングラスに手を伸ばす。 これから、彼と一夜を共にする前の着付け薬… 「なぁ、いいか?」 無粋…でも、そういう所も好き。 「ねぇ、中学生の頃の話…聞きたいわ」 「また? なんで初恋の話ばかり聞きたがるんだ?」 気づいてないからよ… そのお相手さんに…ふふ…

2019-04-06 22:54:29