第22回深夜の真剣140字60分一本勝負

安津 るり @Ruri__anzu

目の前にいるのは、世界的に有名な歌姫 ⋯の、はずなんだが ｢やーだー！蟹食べたいー！！｣ 本番前の控え室で駄々をこねている ｢もう本番ですし、終わったらカニ料理のお店連れていきますから今は我慢して下さい｣ そう宥めながら無理矢理舞台袖に連れていく ｢お前なんか大嫌いだー！｣

RAY/※※※ @growler_ray

「大嫌い」 そう言われたあの子は、少しだけキョトンとした後平然とした顔で「そう、なんだ。ごめんね」と言ってきた その後私は校舎裏へ行った、そこには息を荒くして泣いているあの子がいた どうして感情を隠すの、そんなんだからあなたはいつもあんな目に会って…！ …大嫌いだよ、そういう所…

KTQ @wholiveo

今回は結構な飢餓航海で、船倉のネズミを食い尽くした後は仲間の亡骸を餌に魚を釣った。生きて港に着き、酒場で泣きながら蟹を食らい、酒をあおった。人心地つくと、壇上の歌姫の声に気がついた。港町の片隅、国境のないきれいな歌声が心に染みる。海なんて大嫌いだよ。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

水城弥生 @mizukiyayoi8484

歌姫と讃えられる私はその呼称が大嫌いだ。「君を僕だけの人にしたい」と最愛の彼に言われてからこの歌声を消そうとした。大声で叫んで喉を枯らしたり、滅茶苦茶な歌い方をしたり。でも「君の美しい歌声は皆に知られるべきだ。それだけは僕以外に聞かれてもいい」と愛故に彼は反対し、私は惚れ直した。

∫ MatoP @_Mato_P_

海に来た。 シーズンでもないから誰もいない。 強いて行ったら蟹が数匹いるだけ。 私は、一人になりたかった。 大嫌いな世界に離れていたかった。 こんな汚れた世界にいたくなかった。 歌姫は叫んだ。 力強く。 世界に叩きつける歌を。 海へと。 この歌が、誰かの耳に届いたなら。 私は孤独じゃない

秋月蓮華 @akirenge

地域のイベント、蟹祭りのスタッフに僕は駆り出された。 蟹は嫌いななのだけれども、バイト代も出る。 「こんにちはー」 蟹祭りのステージで歌い始めたのは地下アイドルもしくはローカルアイドル、 （あ……） その中の一人の少女が、歌って。 僕は歌姫に恋をした。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

夢夜 @ruya_reve

透き通るように綺麗な声を持つお前は歌も上手くて、学生時代には『歌姫』と表されたこともあった。 今は人前で歌うことはほとんどない、とお前は言う。 「私の歌には『色』がありませんから」 少し悲しそうに微笑むお前に胸が痛くなる。 『透明』はお前にしか出せない『色』だって、早く気づいて？

夢夜 @ruya_reve

「お前は自分のこと『大嫌い』って言うけど、俺は俺の好きな人のことを『大嫌い』って言ってほしくないな」 「どういう……意味ですか？」 「……お前、頭良いくせに時々バカだよね……」 「バカ、って貴方に言われたくありません」 「お前のことが好きだ、って言ってるんだよ！　わかれよバカ！」

他人が見た夢の話 @from_earl

Red Lobster上板橋店の一角で、堪忍袋の緒が切れたとばかりにマネージャーは吼えた。 「いい加減にしろ、何度目だ。あれほど“口パク”でいけと言ったろ。番組側の指示に従え！」 大嫌いなグリンピースを丁寧に避けつつ料理を口にしながら、その女は真っすぐな瞳でこう返した。 「だって私、歌手だし」

ポッキー（山野千鶴） @lilianne0523

大好きの裏返しは、大嫌い。大嫌いになど、なりたくはない。無理だ、と思うとシャッターを閉める。閉めたシャッターを再び開けることは、ほぼ無いのだが、意思が揺らぐ時がある。こんなに寂しく残念な結末ではなく、ずっと和気藹々としていたかったのにね。勉強より厄介な、人として最後の試験か。 pic.twitter.com/V6YpNpcOTs

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花滝ちかる @chikaru_toka

僕の恋人は人魚。美しい歌声で船乗りを惑わし、遭難沈没させるセイレーン。でも、君は同じ声で、僕への恋の歌を歌ってくれるんだ。 その君が、声を失った。僕を選び精霊の座を降りた君は、もう歌えない人間の乙女。 僕は、君を抱き締めた。これからは、僕が君の分まで歌うよ。愛してると、何度でも。

Altair @_altair_73

お前なんか大嫌いだ。売り言葉に買い言葉で放った台詞は子供じみたものだった。てっきり自分もだと言い返してくると思っていたのに、彼女の見開かれた瞳に宿るのは悲しみの色。「知ってるよ」少しだけ震えた声は俺の胸に突き刺さる。何であんなこと言ってしまったんだろう、お前に嫌われたくないのに。

間宮 @MmY_Tws

蟹は人魚に恋をしていた。特に『歌姫』と称される人魚が大好きだった。しかし、ある日突然、恋心は粉々に砕け散ってしまう。 「私、蟹って大嫌い」 聞いた瞬間、蟹を襲ったのは悲しみではなく怒りだった。あの死んだ珊瑚の如く白い頸に、爪を突き刺したい。そんな想いが沸々と湧いて止まらなくなった。

こいどり @kI_rakraku

#深夜の真剣140字60分一本勝負 お題「蟹」と「大嫌い」使わせていただきました。 まぁ、蟹ちらしってどちらかというと白っぽいですけどね。 pic.twitter.com/5uLJqmP58M

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