【美女と野獣】鈴鐘アイカ
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惡妬偽バナシ【完結】 @otogibanasi480

これは、周りに愛される才能を持った弱気で泣き虫な少年のお話。 …その才能が、彼を絶望へと突き落としたのです。

2022-10-29 21:30:23
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…精神世界の舞台は姫によって変わる。 本日の精神世界の舞台は……。 「暗い森の洋館」

2022-10-29 21:31:10
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今回の試練の挑戦者は 「美女と野獣」鈴鐘アイカ。 pic.twitter.com/Y39LvzNZD0

2022-10-29 21:31:37
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アイカ「はっ…!?」 広い洋館のタイルの冷たさに驚き、眠りから目覚めた。

2022-10-29 21:32:58
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目覚めた事だし…と辺りを歩いてみる。広すぎる洋館には一切音がしない。 とても不気味である。

2022-10-29 21:33:20
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アイカ「…うぅ…。」 と一瞬戸惑ったもののすぐに表情を変えて アイカ「絶対出口はあるんだ。探さないと。」

2022-10-29 21:33:41
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そう強気に言い放ち、探索を始めようとしたが………。 多すぎるドア、広すぎる洋館、探す気もなくなってくる。

2022-10-29 21:34:09
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それにしても、洋館…を見ると過去の嫌な記憶が蘇る。 ーーー

2022-10-29 21:34:28
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僕はとても幸せな家庭に産まれた。清く正しい姫の血統のお母様、王子の血統の優しいお父様。 大きくなったら素敵な王子様と結婚するんだと憧れと共に信じていた。

2022-10-29 21:34:51
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とある日、好奇心で森の中の洋館へと足を踏み入れた。 大きなお城、中にいた1人の若い男が出迎えてくれた。 pic.twitter.com/ayTGXsPoYS

2022-10-29 21:35:21
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数日経っても家に返してはくれなかったが、居心地が良かったのもあり、この洋館に滞在していた。

2022-10-29 21:36:09
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この時から少し変だと、異変に気づいていれば、あんなことにはならなかったのに。

2022-10-29 21:36:26
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ーーー あぁ、嫌だ。ここから先のことなど思い出したくもない。アイカは考えるのをやめ、出口探しに思考を切り替えた。

2022-10-29 21:36:51
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アイカ「それにしても…音1つないなんて…妙だなあ…」 寒さが漂う不気味な洋館、不思議と同じところを何回も歩いているような気もした。

2022-10-29 21:37:10
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そんな時、地下へと続く道を見つけた。 アイカ「地下室……………」 pic.twitter.com/VHui44HVKp

2022-10-29 21:37:36
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少し戸惑ったものの、地下に出口があるかもしれないと、足を向けた。

2022-10-29 21:38:02
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地下室につくと、そこはより一層寒さが増し、冷えきっていた。 アイカ「出口…あるかなあ………」

2022-10-29 21:38:18
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キョロキョロと周りを見回した時、足元の物に躓き、転んでしまった。

2022-10-29 21:38:35
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アイカ「いっ…!?!?何なんだよ邪魔くさ…………」 アイカは呆然とした。 足元にあったものは物じゃない。

2022-10-29 21:39:01
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???「隕九▽縺代◆」 自分の足を掴んでいた黒い不気味な「ナニカ」だった。 pic.twitter.com/ULWBttIEzN

2022-10-29 21:39:29
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アイカ「うっっっっわああああ!?!?」 アイカは振りほどき地下室から飛び出した。 必死に走り、化け物から距離を取った。

2022-10-29 21:39:53
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それと同時に地下室への恐怖の記憶がフラッシュバックする。 ーーー

2022-10-29 21:40:17
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洋館にいるこの男が王子だと信じて疑わなかった純粋な心。

2022-10-29 21:40:38
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「お兄さんは僕を見た目じゃなく、性格で見てくれる?」 「あぁ、もちろん証拠を見せてあげるよ。おいで。」

2022-10-29 21:41:06
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そうして地下室に連れていかれた時そいつは。 僕の左目に熱を帯びた道具を突き刺した。

2022-10-29 21:41:44
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熱い熱い熱い熱いアツイ痛い、イタイ 覆いかぶさり、突き刺された左目。 喉につまる小さな喘ぎ声が地下室に響いた。 pic.twitter.com/KicD2bfvFT

2022-10-29 21:42:09
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「ほら、君が醜い姿になっても僕は君のことを愛しているよ。むしろ可愛らしいくらいだね。」 忘れない、あの男の歪んだ表情は。

2022-10-29 21:42:43
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くり抜かれた左目には熱湯を注がれ、綺麗な顔に大火傷を負った。 ーーー

2022-10-29 21:43:11
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アイカは角部屋に逃げ込み、ロッカーの中に息を潜めた。 そして左目を触る。

2022-10-29 21:43:35
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「朝廉は僕の目を綺麗だと言ってくれたけど、僕には左目がもうないんだ。こんな目…大嫌いだ。」 pic.twitter.com/XkDAbesumC

2022-10-29 21:43:59
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精神世界では治る目も現実世界ではないものだと改めて認識する。

2022-10-29 21:44:25
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ズル…ズル………… 化け物の足音。廊下を這いずっているのだろう。…怖い。素直な恐怖心。

2022-10-29 21:44:49
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そして、恐怖心に煽られたのだろうか。アイカはぽつりと呟き出す。

2022-10-29 21:45:10
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アイカ「ショウ……僕は君の事が何も分からなかったし、メロウと3人でいる時も暴力を振るい、目を抉られるんじゃないかって…」

2022-10-29 21:45:31
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アイカは狂ったような表情で、ショウと過去の男を重ねたような発言をしていた。

2022-10-29 21:45:53
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ーーー あのあと誘拐犯は、蓮花くんと燕さんのお陰で捕まったらしい。 2人は僕のことをそれ以降も心配してくれていた。

2022-10-29 21:46:39
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「いつも助けてくれて…ありがとう。」 とても頼りになる人達だと思っているし、すごく優しいと思っている。

2022-10-29 21:46:57
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…恐怖体験をしたはずなのに僕は何故か安心していた。 どうやら「ストックホルム症候群」というものを患っているそうだ。

2022-10-29 21:47:22
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こんな自分の姿を愛してくれる。その事実に喜びを感じているのだから。 自分が可笑しくなっていることを、気づき始めたのはここからだ。

2022-10-29 21:47:44
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他人を信じなくなった。1人で生きていけるように。王子と結ばれてなるものか。 だからこそ、王子が大嫌いなのだ。 ーーー

2022-10-29 21:48:03
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アイカ「ねえ、ショウ。でも、僕達、友達だからこれでよかったんだよね?3人でずっと一緒に…これがきっと【愛】なんだよね??僕は信じてるよ。」

2022-10-29 21:48:26
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幻覚でも見えているのだろうか?彼は何を言っているのだろうか?

2022-10-29 21:48:51
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ふと、化け物が自分の角部屋まで迫っていることに気がついた。場所を変えようとした時、肩が壁にぶつかり、物音を立ててしまった。 アイカ「あっ…ま、まずい!」

2022-10-29 21:49:13
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バキバキ… その音に反応して、化け物がドアを破壊し、アイカに迫る。

2022-10-29 21:49:29
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もう、逃げられない。その時アイカは背後を見た。後ろは、「窓」 pic.twitter.com/pYPpKcUkP4

2022-10-29 21:50:00
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そうか、ドアではなく「窓」も出口になるのではないか?と考える。 化け物に捕まるくらいなら、とアイカは窓を開けて

2022-10-29 21:50:23
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グチャッ。 あ、れ…どうして?ここは出口じゃ…………ナイノ? pic.twitter.com/0RkaosMhAs

2022-10-29 21:51:00
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