【浩要、オメガバ】現代だし人権教育もしっかりしているしΩの保護法もしっかりしている。でもそれでも三か月に一度のヒートのせいで不利益を被る場合も多い。特に医療にかかわる仕事の場合は暗黙にΩは…ってなる場合がある。スポーツでも格闘技とかは殆どいない。それでも常はホッケーが好きだ。
2024-02-18 16:17:52勿論体格のいいαやβに吹っ飛ばされることも多いけど、でもゴーリーとしてパッドからゴールを守るのはとても楽しかった。三か月に一度のヒートがあっても、あらかじめ計画的に課題をこなすことで何とかなっていた。ヒート中は出席停止扱いなので、欠席日数にはカウントされない。
2024-02-18 16:21:47コーチの二瓶も「ヒート中でも姿勢を意識して、股関節を柔らかくしておけ」と言う。そもそもヒート中にそんなのを考えるのは無理だけど。ヒートの終わりかけにかけてストレッチもしておくと、ホルモンの影響か、柔軟性は低下しなかった。むしろヒート後は可動域が広がる。やはり産む性だからだろうか。
2024-02-18 16:27:02それでもヒート明けすぐに練習に参加する。常は札幌出身だが、苫小牧にホッケー留学しているので、普段は寮暮らしだ。実家に帰るのは年末と盆位。ヒートの心配もしてくれるし、ホッケーにかかる資金も迷いなく出してくれる。自分は普通のΩよりも恵まれている。両親はαの夫婦でもあるので、収入は多い
2024-02-18 16:32:42本当に、自分は恵まれていると思う。部活のメンバーにはβがほとんど。αは数人いる程度だ。そのαには自分がΩという事も話している。特に同じゴーリーである源間にはヒートの周期も話している。そうなんですね、と源は常の第二性にはさほど興味が無いようだった。じっと見降ろしてくるのはムカつくが
2024-02-18 16:45:13そんなある日、ヒートがあと一週間、と言う日。寮にある常の部屋で二人でホッケー雑誌の貸し借りをしながら先日の試合の話をしていると、急に動悸が激しくなる。は、は、と息を荒くして、これがヒートだと気づく。部屋から慌てて源を追い出そうとするが、源の動向がぎゅっと細くなる。
2024-02-18 16:54:33そして常は源に押し倒される。「ま、まて…!抑制剤、こら…!飲んでないのか!くそ!」源に押し倒されながら鞄を漁る。抑制剤を口に含み、源にキスをして飲ませる。そして自分も抑制剤と避妊薬をまだ理性があるうちに飲む。これで万が一、という事は防げるはずだ。二度目のキスは源からだった。
2024-02-18 16:58:20分厚い舌が絡みつく。大きな体は、同じものを食べているはずだが絶対的な量がそう言えば違うと思い出す。ぐちゅぐちゅと唾液を啜られる。(凍結防止にセッ…部分省略)ヒートが収まってくると必死に自分に腰を振りたくる源を認識した。最大限、むしろ痛みすら覚えるほど股関節を開かされている。
2024-02-18 17:06:52ぐちゃぐちゃと音がして、くそ、中に出しやがって、と悪態を吐く。ふとつけっぱなしのテレビに気付く。まる一日経っていて。土曜日から日曜日に突入しようとしていた。まずい、このままだと源の両親も心配しているだろう。源は実家暮らしだ。まずい、と思ってとりあえず手近にあったヘルメットで殴った
2024-02-18 17:15:31いい加減にしろ!と声をかけると、源の目の焦点が合う。「お前、家に早く、うぅっ……あっ!れ、連絡、しろ……!」自分の下で身悶える常に目を丸くする。「お、おれは…」動揺しているとその身じろぎでまた常が甘い声を上げる。甘い匂いが充満していた。源はわずかな理性下で家に連絡する
2024-02-18 17:26:25普段から寮に入り浸ることもあったため、両親はさほど気にしていないようだった。部活漬けの息子を持つとそう言う風になるのだろう。常は渾身の力で源を蹴り飛ばした。ずるりとぬかるんだそこから源のが抜ける。は、は、と息を吐きながら「早く、隣の部屋に行け!」源は抑制剤を飲んでいる。
2024-02-18 17:35:14数時間もすればαだから理性も取り戻すだろう。Ωである常はもうしばらくかかるだろうが。ああ、もう最悪だ。まさかチームメイトの後輩をしてしまうなんて。避妊薬飲んでおいて本当に良かった。常は部屋に残された源の上着に鼻を埋める。ああ、良いにおいだ。たらりと唾液が垂れた。
2024-02-18 17:45:54それから三日後、ようやくヒートが明けた。念のためアフターPルも飲んでおく。ああ、気まずい。久しぶりの部室に行くと、源がいた。「あ、その…えっと…」「…忘れていい、事故だし」「…」納得がいかない、そんな顔を源がする。だけど、こんな一回の過ちで責任を取れなんて言わない。
2024-02-18 17:48:17処i女性が重視されるような時代でもない。だから悪い夢でも見たと思って良い、そう言うと源が常の手を掴む。「お、俺じゃ、番にはできませんか?」「…は?」「俺、好きです。常先輩のこと」「…は?」「俺、番になりたいです!」思わず殴った。「手順を踏め!!」違う、そうじゃない。
2024-02-18 17:51:55けど、顔が熱くてたまらなかった。何で、あの時源の胸板の厚さとか、腕のたくましさとか、フェロモンとかを思い出してしまうのだろうか。常は赤い顔をごまかすために、水飲み場で冷たい水を思い切り頭からかぶった。【終】
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