Suchmosが『SPUR』2021年03月号でリコメンドした楽曲に対応したSpotifyプレイリストが“公式で”公開されていたので聴いて思った(というか、煩悶したこと)を書きました。友達のR&B好きも、(どういう結論を置くかはさておき、この論点において)似たモヤモヤを感じてくれたので、語ってよかったと思います。
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tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

SuchmosがSPUR2021-03月号に出したプレイリストをSuchmos公式が出していた。一曲めから殿下 I wanna be with you. open.spotify.com/playlist/1RBM3…

2021-01-09 08:48:55
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

しかしSuchmosのプレイリスト、いいのかなってくらいSuchmosのネタ元を開陳していて、ひやひやするな……これとかさ…… open.spotify.com/track/0xbkxTqS…

2021-01-09 09:18:43
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

Suchmos、好きは好きなんだけど、20世紀R&Bのアンセムまんまに聴こえてしまう率が高すぎて、独創性の面でハテナと感じることが多い。

2021-01-09 09:19:32
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

楽曲が(世界全体からみて)新規性薄めでも、「それを極東で引き受けて、高い技量で再現して、しかもそれをメジャーな場所で売り、根付かせる」という点は、文化事業としてガチで独創的であり、その点でSuchmosは独創的なんだけど。しかしその称賛を踏まえつつ、時に思い出す「まんま」性はある。

2021-01-09 09:22:10
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

音楽のミクスチャ感(なんでもあり感)と、高齢化したロックとR&Bシーン(一日千秋で似たような音楽やってるおじいちゃんおばあちゃんたち)の間で生まれた「数十年前に流行ったけどいまあまり若者がやってないジャンルをど直球でやります」系、たぶん音楽家の間でも評価が割れてるんじゃないか。

2021-01-09 09:26:29
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

「人類の差し出すコンテンツは、なんらかの点で僅かなりとも新規性がないといけない」みたいな前提は根本的な意味でアカデミックであり、さてはたして現代音楽は「新規性」を不可欠の評価軸にしていいのか? 新規性ゼロでも「再度流行らせる」ことに価値づけしていいんじゃ? みたいな。

2021-01-09 09:28:20
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

論文コミュニティでは「新規性」ゼロは排斥されることが決着してるけど、ロックやジャズやR&Bがある時期において一日千秋になって何が行けないんだ(お前だって半世紀前のファンクやソウルを今更ありがたがって聴いてるだろう)みたいな自問自答は、ありますよ。

2021-01-09 09:29:37
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

だってブーツィコリンズおじいちゃん(初期ファンクの伝説的演奏家、現役)が、2020年になってもいい感じのファンクやってて、それ褒めておしまいじゃあまりに懐古趣味じゃないですか。それがよくないのはわかってる(文化事業としては最高だが)。でも若い世代がまんまやって褒めるべきか、わからん。

2021-01-09 09:37:01
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

たとえば先週、ラジオで休日課長と話していたスガシカオさんが、Vulfpeckについて「世界で今唯一のファンクバンドかもしれない」と言ったことに、ものすごいびっくりしたんですよね。それって「いまファンクバンドを名乗るからには、なんらかの【新規性】がなければならない」という表明でもあるから。

2021-01-09 09:45:55
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

Vulfpeckの持ってるミニマリズムとか、伝統ファンクに求められてきた圧倒的歌唱力と違うところで歌われるセンスとか、そういういい感じの新しい戦略性を褒めたんだと思うんですが、同時に「ファンクはどんどん新しいモードを出していこうぜ」とスガさんだけでなく自分も持ってることに少し怖さも覚えた

2021-01-09 09:48:03
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

深く考えなければ「Vulfpeckもファンクとしていいよね」「Suchmosもファンク寄りロックとしていいよね」みたいな褒め方ができるんだけど、ファンク・アカデミズム的態度を厳格にしてくと、たぶんSuchmosは巧いけど褒めがたい(参照元との区別を厳密に際立たせてないから)、的立場もありうる。

2021-01-09 09:51:31
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

なんなら自分がオーサカ=モノレールをあまり強く褒めず(あまりにJBファンクまんますぎるじゃん、巧いけど)、在日ファンクを褒める(JBファンク流儀をやりつつ日本語で歌う意義を変えてる、凄い)の、これアカデミックに阿りすぎて良くないよ、て葛藤がある。技量で言えばたぶんオーサカが凄いのに。

2021-01-09 09:53:51
ボルゲ @borge4

非常に興味深い連投。音楽的には納得する話だけど、感覚的には違和感がある。その違和感を言語化するが難しい。伝統芸能や工芸の継承だったりローカライズ、新曲としてのライブ体験などは新規性がなくとも良いモノと感じる twitter.com/tricken/status…

2021-01-09 10:24:19
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

@borge4 ありがとうございます。 (a) 伝統芸能化していく推移期である (b) また(ポストネオソウルやVulfpeckのように) まだ伝統芸能化しないで新規ジャンルが生まれている側面もある (c) しかしポップ音楽には伝統芸能のような「家元」があるわけでなく、同じ様式を続ける正統性が特にない あたり考えてました

2021-01-09 10:28:20
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

もうちょっとSuchmosの話し続けると、確かSuchmosは紅白で「汚ェライブハウスからきました」と、場末からこのジャンルの音楽を続けてきたことへの下から目線の誇りがありましたよね。つまり別にSuchmos的R&Bが「売れ線」と思ってやってきたわけではない、好きで仕方なくて再現してきたのだと思う。

2021-01-09 10:32:25
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

ただその結果出される音が、参照される英米圏の音に、かつての邦楽R&B系の演奏家の試みより案外近づいてしまってる、ということ、これがなんなのか、まだわからない。昔は「非黒人にはあのグルーヴは出せないよ」とかまことしやかに言われてたのがSuchmos聴いてるとなかったかのような気さえしてくる

2021-01-09 10:34:42
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

時代的にR&B好きな日本のミュージシャンみんなそうか? というと、特にそういうことは感じない。たとえばさかいゆうや星野源やNulbarichの今の曲を聞いていても「R&Bの彼等なりの消化だなー」とは思うけど「まんまやん」とはあまり思わない。でもSuchmosからは不思議と「まんまやん」を感じる。なぜだ

2021-01-09 10:37:31
tricken(手術後復帰チャレンジ中) @tricken

「あのグルーヴが出せないなりにやっていくこと」が、極東R&Bシーンでなんとなく共有されていたイシューだったとおもってたのに、Suchmosは「あのグルーヴが出せてる上で、極東R&Bがイシューとして積んできたことと無関係の所で仕事を積み始めてる」感じがするんですよ。これは価値中立的にそう感じる

2021-01-09 10:39:41