冬真っ只中のこんな寒空を眺めていると、暖かいものが恋しくなってくる 「おでんいいよね」 「わかる、強いよね」 「冬場なんて最強だよ」 「冬じゃなくても強くない?」 「え、夏とかもいける?」 「いけるでしょ」 「…まさかとは思うけどそのおでんって」 「オーディンだけど」 こんの北欧キチ…
2019-11-02 22:01:42プッシュ式ボトルのポンプの部分は、「ポンプディスペンサー」と言うらしい。「もっと短くならないかな」ハンカチで手を拭きながらぼやくと、話題のそれを押した彼女が端的に言う。「PDP」「うわかっこよ」「でしょ」鏡の中で自慢げな彼女の手が泡立つ。ごく小さな泡が一つ、ゆっくり浮かび上がった。
2019-11-02 22:01:56○郊外の道 スーツ姿で歩く佐東と麻枝。道端に黄色い雑草が茂る。 佐東、大きなくしゃみ。 佐東「セイタカアワダチソウのせいでくしゃみが止まらない」 麻枝「それ、ブタクサ花粉の間違いでは?」 佐東の驚いた顔。 麻枝「泡を食ったか?」 佐東「セイタカ“アワ”ダチソウだけに、って?」
2019-11-02 22:03:06いい匂いに誘われ付いていくとそこは、おでん屋だった。父が仕事帰りによく立ち寄り、私達に持ち帰りをしてくれたお店。朱色の金属製の容器が素敵で、おままごとにも使った。まさに食べようとすると、具は宙に浮き、泡の如く消え、私は目を覚ます。おでんは父の元へ飛んだのか。もうすぐ父の十三回忌。 pic.twitter.com/D6wbCyoZzg
2019-11-02 22:05:15負け戦から戻った俺を、幼い姫だけが責めなかった。 「よく生き残ったね。でも、私の褒め言葉は安くないの。私だけに命を懸けろ」 俺は跪いた。一生貴女に付いてゆくと。 月日が経ち、美しい女王は微笑む。 「私を追いかけるな。私の隣にいなさい」 「仰せのままに」 くちづけは、白い手ではなく唇に。
2019-11-02 22:05:37コンビニのおでんが食べたくなってきた、と、彼女は不意に呟いた。互いにそれなりのアルコールを飲み下した夜更けだのに随分呑気なものだ。まぁ酔っ払いは皆呑気なもんか、仕方ない。 僕は彼女の唇の端につきっぱなしだった真っ白な泡を己の舌で拭ってから、一人は危ないからついていくよと微笑んだ。
2019-11-02 22:13:43デートと呼ぶにはムードに欠けるけどとはいわれたものの、面白そうなのでついてゆく。赤羽。いわゆる❝千ベロ❞の町。昭和の場末じみた店の軒先で、馬刺しとビールが格安。そこからおでん屋にハシゴ、カップ酒を半分呑んだら名物❝つゆ割❞、おでんつゆでお酒が泡立った。またこんな日もあっていいね。
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