第43回深夜の真剣140字60分一本勝負

宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

あの子が好きないちご大福を買って帰る。運動会で大活躍したあの子へのサプライズ。冷蔵庫の上段、見えないところへ置いておこう。 でも開けたら、既にお父さんの買ったいちご大福の箱が入ってた。私が買ったのより大きい箱が。 今日のデザートは、山盛りだねぇ。 #小説 #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/Ruj9ISSgtg

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花滝ちかる @chikaru_toka

合格守じゃなくて《うまくいく御守》という中途半端なものを買ってしまった。 でも、中途半端な私は、志望校に落ちて恋の告白も出来ずに、滑り止めの大学で春を迎えた。 「同じ大学だったんだな」 夢かと思った。目の前で、彼が笑ってる。 私は、ポケットの中の御守りを握りしめた。 「あのね、私…」

RAY/※※※ @growler_ray

「ご飯作ってあげるね」「今日はどうする？」「あ、寒かったりしないかな」 あの人の家に監禁されてから、今日で半年。相変わらず家からは出させてくれないし、こっそり出ようと思えば鎖で縛られて半日 「…大丈夫です」 ああ、あの山積みの愛を受け取りきるまで、私は生きていられるのかな？

青い糸 ❁ @aoi_ito_

昔、怒られてはおばあちゃん家に行って、山積みのいちご大福を頬張った 「あら、どうしたの？いちご大福でも食べて、元気だそう」 優しく話しかけてくれたおばあちゃんは 今日、会えない人になった 小さい頃うまくいくって渡してくれた御守りを握りながら また…昔みたいにいちご大福を頬張った

津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

「いちご大福を山積みにして供えれば、望むことすべてが叶う御守りをやろう」と神様が言う。大した力もないくせに大口を叩くものだ、と思うけれど、結局僕は言うとおりにする。子どもみたいなわがままを叶えてやるのが、うまくいく御守りの秘訣なのだ。僕は神様がいてくれれば、それだけでいいからさ。

にゃん @nyan_kotonoha

なぜか山積みのいちご大福を頬張る夢を見た。食べ過ぎて苦しくて、腹が破裂して驚いて目が覚める。眠気の中に見える現実。職場の健診で引っかかり、甘い物は控えろというお叱り。普段は見過ごすいちご大福の色が妙に綺麗に思えて、店にある分を全部買ったんだった。全くヤケを起こすと碌なことがない。 pic.twitter.com/JZbnC7QcQo

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水城弥生 @mizukiyayoi8484

「月が綺麗ですね」目の前に山積みに積まれたいちご大福を頬張りながら隣で彼女が呟く。「雰囲気、全然ないよな」「それはいいの。で、返事は？」「俺も同じ月を見ています」「嬉しい」広い縁側で彼女がぴったりくっついてくる。一年で一番大きく輝くこの満月も、彼女の笑顔には敵わなかった。

波子 @r2zecd

頑張ってね、そう言って受験勉強を頑張る孫に御守りを渡したのは去年の夏頃だった。今、その御守りを握り、孫はぼろぼろと涙を落としている。孫は志望校に落ちたと言う。そして謝る。御守りをくれたのにごめんねと。優しい孫。この御守りが、この子の長い人生に光を与え続けるよう強く願った。

∫ MatoP @_Mato_P_

「懐かしいな」 引越し前、自室の整理をしていたら、ふと出てきた「うまくいく御守」 小さい頃、君が作ってくれた。 長年住んできたこの街ともお別れ。 「俺、あっちでうまくやってけるかな？」 独白。 「中は、大人になるまで開けちゃダメだよ」 君に言われたのを思い出す。 君の顔が、脳裏に浮かぶ。

雨井 逧聿 @ArainOFcandy

ねぇ、ちょっと聞いてよ。明日は大事な日なんだ。どんなって、えっと……一生に一度のプロポ……プロ転向みたいな！そんな感じ！だからね、うまくいくように一緒に願ってくれないかな。もし嫌なら構わないから。 貴方があまりに真剣な顔でそう言うので、私は貴方の唇の横にキスをした。本番は明日ね。

繭美 @140mayumi

お題/いちご大福・山積み・うまくいく御守 #深夜の真剣140字60分一本勝負 #140字小説 #140字ss pic.twitter.com/6gHN9OYmp0

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ばち公 @naroubachiko

うまくいく御守り、お兄ちゃんがくれた。でも私、なんにもうまくいかないんだ。ママは殴るしパパはお金持って出ていった。学校ではセンセまで冷たいんだ。「ねえお兄ちゃん？」私は手の中の包丁の刃を見つめる。そこに映るお兄ちゃんがくれた、私のうまくいく御守りを。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

しろにった りん @rin_shironitta

午後三時、山積みの参考書を机の端っこに移動させる。 ポットのお茶を湯のみに注ぎ、白い小さな箱から、あんこが薄く透けたまん丸のそれを取り出した。 そっと歯をたてれば、瑞々しい苺の果汁の甘酸っぱさ、小豆の甘さと塩気に、頬が緩む。 糖分と気力の補給。おやつ休憩は、受験生に不可欠なのです。

峰庭梟 @sss_books

夕暮れの道を行商人の馬車が行く。荷車に山盛りの果物を乗せて。少年が走り寄り、馬車に声をかけた。 「おじさん、僕も連れてってよ」 「ダメだ。坊主、お前にゃまだ早い」 馬車は夕日の中へ消えていく。ベソをかいた少年の影は長く伸びていた。ああ、早く大人になりたいな。そしてお金を貯めるんだ。 pic.twitter.com/5QSg2jyIIq

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