遅く起きた朝と、ホットサンドと燭へし。

めしこ @mogmog_meshiko

カーテンの隙間から漏れる光と、自身にくっついて眠っている長谷部くんの身じろぎで、光忠くんは目を覚ました。 今日は土曜日、何の予定もない。いや、何も予定を入れなかったんだ。たまにはゆっくり、それこそ前日の夜からたっぷりと時間を費やしたかったから、そういう日にしたんだ。 ↓

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あぁ、幸せだな…二度寝しちゃおうかなって思うんだけど、空腹には抗えなくて仕方なくベッドから降りる光忠くん。 長谷部くんの体温から離れるのは寂しいけど、きっともうすぐお腹を空かせて起きるだろうから、温かいご飯を作ってあげたい。時間は朝ご飯とお昼ご飯のちょうど真ん中くらいの時間。 ↓

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詳細はざっくりと省くけど、昨日の夕ご飯なんてすっかり消費されているだろうから、ちょっと量が多いくらいのご飯でも良いだろう。 前髪が流れて、丸出しの無防備なおでこにキスをする。むず痒かったのか、長谷部くんは少し眉間にしわを寄せたけど、まだ夢の中のようだった。 ↓

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部屋着のカットソーとズボンに履き替えて、まずは洗濯機を回す。そして冷蔵庫を開けて、動きが止まる。 「あぁ…そうだった」 昨日は早く家に帰りたかったから、買い物に寄らなかったんだった。 冷蔵庫は空っぽではないけど、メニューの選択肢は限られそうなラインナップ。 ↓

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食パンは開けたばかりのがある、卵もいくつかある、あとは少し元気のないレタスとトマト。モッツァレラチーズとローストビーフはおつまみの残り。あとはこの前作ったポテトサラダの余り…。 「よし、今日はホットサンドにしよう」 棚にしまっていた、ホットサンドメーカーを取り出す。 ↓

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お湯を沸かして、具材の準備に取り掛かる。 フライパンで卵を緩めのスクランブルエッグに、レタスはぬるめのお湯にくぐらせてシャキっとさせて、トマトは輪切りにしておく。 さて、じゃあ作り始めるかなってタイミングで、ぺたぺたと寝室から歩いてくる露わになった、眩しすぎる脚。 ↓

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「ちょ、長谷部くん…なんで下履いてないの！？」 「履いてるぞ、ほら」 寝間着のTシャツをぺろんと捲り上げて、パンツがお目見えるする。 違う、僕が言いたいのはそういうことじゃない。それにしてもこんな爽やかなブランチタイムに、惜し気もなく晒されたお腹と脚のなんと背徳的なことか。 ↓

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「そうじゃなくて…ズボン、ちゃんと履いてきて。パンツでなんて食卓に座らせないからね」 「なかったんだよ、ズボンが」 「えっ？…あー、そうだ。洗濯機に入れちゃったんだ」 だって、とてもじゃないけど、そんな状態…即洗濯機行きのズボンだったから。 まぁ詳細は省くけど。 ↓

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ちょうどいいから着替えておいでよ、と言うと長谷部くんはまた寝室に戻って行った。 Tシャツから伸びた、すらりとした太ももに残る痕に、思わず喉が鳴る。…さぁ、ご飯ご飯！ 光忠くんは無心で食パンにバターを塗る、あとはマヨネーズと粒マスタードも。全部に塗り終わったタイミングで、 ↓

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ちゃんと着替えてきた長谷部くんが、光忠くんの後ろから覗き込む。 「パン？」 「うん、ホットサンド」 並べられた具材とパンに長谷部くんが目をやっている隙に、すっと通った鼻の頭にキスをする。 長谷部くんは「げぇ」と可愛くない声を上げたけど、耳は真っ赤だった。 ↓

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ホットサンドメーカーにパンを並べて、その上に具材を乗せる。レタス、スクランブルエッグ、ローストビーフを数枚、もう一枚のパンで蓋をすれば中身はいっぱいだ。 「これ…閉まるのか？」 「ちゃんと閉まるよ、ほら、ぐっと押さえれば」 蓋を閉めて、ストッパーを止めればあとは数分待つだけだ ↓

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パンの耳を切った方が見た目は綺麗だと思うけど、食感が楽しめて好きだから今日はそのままにした。 さて、第一便が焼き上がる前に、次の具材の準備をしなくては。 その前にスープの準備も。小鍋に沸かしたお湯に、冷凍でストックしているカット済みの野菜としめじを放り込む。 ↓

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固形コンソメを落として、あとは野菜が煮えるのを待つ。最後に味見して塩で整えれば、簡単にだけどスープの完成。 モッツァレラチーズは薄くスライスしてトマトと交互に並べる。バジルが無いからレタスで良いや。塩胡椒をしっかりめに、オリーブオイルを少し垂らせばカプレーゼ風のホットサンド。 ↓

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最後は、レタスの上にポテトサラダ。ちょっと粗挽きの胡椒を足しておく。 最後にインスタントのカフェオレを淹れて、今日のブランチの完成。 「「いただきます」」 きちんと手を合わせて、いただきますを言う長谷部くんのことが好きだなぁって、しみじみ思う光忠くん。 ↓

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あれだけ心配そうに見守っていたホットサンドはきちんとプレスされて、中身も溢れ出ていないことに長谷部くんは感動していた。 光忠くんはスープを一口、うん、簡単だけどちゃんと美味しい。ちょっと気怠い土曜日の朝に沁みる。 「ん、うまい」 「本当に？良かった」 ↓

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カプレーゼ風はやっぱりバジルが欲しかったけど、あるもので作ったにしては上々だと自分を褒めてあげようと思う光忠くん。 長谷部くんはポテトサラダのホットサンドが気に入ったらしい。それ一昨日のポテトサラダなんだけどね。温めるとまた違った風味になる。 あぁ、なんて穏やかな日だろうか。 ↓

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長谷部くんの緩んだTシャツから覗く、先ほど太ももにあったそれと同じ痕を、さっきから視界に入れないようにして必死なのは、光忠くんだけの秘密。 「食べ終わって、洗濯物干して掃除したら、買い物行こうよ」 「あぁ、食材？」 「メインはそうだね。あとは日用品をちょっとかな」 ↓

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「俺が運転してやる。美味いご飯を食わしてもらったからな」 「じゃあお言葉に甘えて。あとお酒も買おうか、昨日は飲まなかったし」 「飲む暇も、なかったからな」 「…お互い様でしょ」 長谷部くんがお皿を洗っている間に、光忠くんが洗濯物を干して、掃除機をかけるのは長谷部くん。 ↓

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当たり前のように家事を分担して、当たり前の二人の生活が成り立っているんだ。 そんなあるところは熟年夫婦みが出てきているのに、あるところでは、まだまだ若い…っていう そんな、ホットサンドの燭へし！