第４回深夜の真剣140字60分一本勝負

りあ @0oriao0

#深夜の真剣140字60分一本勝負 「ねえ、知ってる？5円玉を入れてご縁を願うと叶うんだよ」 手を合わせて目を瞑る僕に、君が犬のようにじゃれつく。 「うるさい、真剣なんだ」 「ひどい。かまってよ」 目を開けると、君はいない。 当たり前だ。僕は、もういない君との御縁を願ったんだから。

ふかんぜん @relation_crush0

毎年恒例、幼なじみとの初詣。「はぐれるから手つなごうか？」「うん」適当な言い訳をして、今年も僕は君の手を握る。人に流され鳥居をくぐり、賽銭箱の前へ。「今年は何お願いしたんだ？」「秘密」君はそう言ったけど僕は知っている。君の五円玉は今年もきっと僕じゃない誰かのために放られることを。

色糸 @IRO_Iroito_

小学生の頃、通学路の一軒家に、よく吠え柵を飛び越えんとする大きな番犬が居た。幼い僕らはキャーキャーと怖がりながらも肝試し感覚で楽しんでいた。 やがて高校生になり、その道を通る事も番犬と会う事もめっきり無くなった。 正月、親戚宅に行く為にあの道を通る。ふと、静けさに寂しさを覚えた。

千川@金欠マン @senkawa31337

とあるカップルが初詣に来ていた。 彼らは鳥居に犬を繋いだまま初詣に来ていたのだ。 一緒にお参りをして御籤を引くアツアツのカップル。 彼らは鳥居の影で雪と風に晒される犬のことなど知ったこっちゃない。 新年早々寒さに打ちひしがれる犬に、良き縁が、良き出来事が訪れますよう。

秋月蓮華 @akirenge

鳥居をくぐって拝殿に。 誰も居ない神社で彼との縁結びを願う。 財布を取り出し賽銭箱に近づいて五円を入れようとした。 『ワン』 犬が吠えてうっかり小銭を全て賽銭箱に。 「おい」 呼ばれた。 彼が居た。 神様。 いきなり願いを叶えてくれて、ありがとう。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

日凪セツナ@BOOTH通販中 @ud0104418624

真っ赤な鳥居の前に立っていた。その前に、犬が座っていた。白い犬だ。鳥居の向こうは竹林だった。白い石が並んだ道があった。 それで、私は、 「こっちだよ」 私は目を覚ました。 ベッドの横で、母が泣いていた。神様にお祈りしてよかったと言っていた。 私の手の中に、何故か五円玉があった。

花滝ちかる @chikaru_toka

君はいつも、鳥居の向こうへ消えてしまう。 （付いて来てはダメよ。帰れなくなるわ） でも、君がそんなに寂しげに笑うのなら。 僕は、初めて君を追いかけた。初めてで、最後。 「どうして…！」 「僕は君を選ぶ。君と一緒に行くよ」 君を、抱きしめた。 僕達の行方を、僕達の幸福を、誰も知らない。

りあ @0oriao0

#深夜の真剣140字60分一本勝負 「初めまして、私の好きな色は赤です。よろしくお願いします」 陳腐な自己紹介をした君の夢は「オシャレな赤いお家に住むこと」だった。 鳥居の横に、赤い薔薇を立て掛ける。 オシャレじゃない？許してよ。 赤いスカーフにはしゃぐ君のえくぼの記憶は、薄れかけている。

∫ MatoP @_Mato_P_

遅いけど、初詣に行った。 近所の赤い鳥居が綺麗なところに、あなたと二人で。 お賽銭に五円玉を入れ、2礼2拍手1礼。 今年こそ、御縁がありますように。 思えば、あなたとの出会いはここだったっけ。 犬のあなたは、捨てられていた。 あなたを拾ったように、彼氏も拾えないかな？

ロク @Roku_Sei_

《戌年。故に、睦月十一日の夢の中で。》 五円玉の穴を通して鳥居を視るとね、その年の神様が見えるんだ。 そして、その神様がいらっしゃった場所に五円玉「九枚」を置く。決して、投げてはいけないよ。 ん？何故「九枚」かって？ そりゃあ、『始終御縁がありますように。』ってね。

akila @kumogakurenbo

#140字小説 #140字SS #深夜の真剣140字60分一本勝負 「鳥居」 pic.twitter.com/mPPHVJRFYT

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りあ @0oriao0

#深夜の真剣140字60分一本勝負 「ごめんなさい…」 「もういいよ」 「だって、ずっと１年間5円玉集めてたのに…」 「そうだね、願い事が叶わなかったら困る」 「ごめんなさい、本当に」 「君と今年も一緒にいれるように願いたかったのに」 「なら大丈夫だね！」 今年初の、犬が尻尾をふる様子をみた

レイト @zero_decade

そこををくぐれば神の領域。大きなそれはまるで"現世"と"隠り世"を隔てる門のよう。種は様々。しかし、担うものは皆同じ。ここからは神が在わす神聖な場所だと、私たちに知らしめす。 一度くぐればそこはもう違う世界。 人もナニカも関係ない。 祭囃子は喜びの合図。 閉ざされる前におかえりなさい。

藤黄書房 @to_o_syo_bo

#深夜の真剣140字60分一本勝負 「鳥居って何？」 「神様ん家の玄関だよ」 「狛犬は？」 「番犬」 「なんで5円玉なの？」 「ご縁が…ってことじゃないの」 「なんかそれだけ、趣が違くない？」 「知らねえよ。行くぞ」 笑う君を見る。 人混みに紛れて君の手を握る。 恥ずかしくて君の顔は見れない。

戸魚 @d00rfish

始終ご縁がありますようにと 植え付けられた縁起をたぐって 軽やかに投げこむ 波 きみが青い舌をのぞかせる 「怖いのかい」 鳥居をくぐってさよならできない そのむこうにも続いているのだから 波紋は過去からはね返されて （のをあある　とをあある　やわあ） 終わらない声 やまない夜