お題「プロポーズ」「糸雨」「熱中症」
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大橋電光 @79DEnko

「雨だよね」 「うん」 微小なノイズの様な音を伴って、糸雨が2人を濡らし始める。 「もう感覚無くてわかんないや」 「ぐすっ……」 2人の足元に水溜まりが出来ていく。真っ赤な、真っ赤な水溜まり。 「いい人……見つけてね」 「ぅぐっ、うぅ……」 何もかも流すには、あまりに弱々しい雨だった。

2018-06-30 21:59:24
Sophia Terfelt @SophiaTerfelt

周囲を見渡す 碧い山を挟んで 底抜けの空 若い緑を添えて写す田圃 稲の根付きを確認する彼しか 今は周囲に人影がない 嫁入り用の神通力を前借りして 念のため周囲に白い帳をおろし 突然の雲模様に驚きもしない彼の耳元に 震える声で囁いて 返事を聞いた私は 耳から尻尾の先まで 熱中症になっていた

2018-06-30 22:00:01
水城弥生 @mizukiyayoi8484

「僕の糸雨を君の傘でずっと受け入れてくれませんか」そんな変なプロポーズをしてきた彼。「もちろん」何年も愛してきたんだからいいに決まっている。「ありがとう」彼が抱きついて唇を重ねてきた。離すと唾液が一筋になって、気持ちいい。「顔赤いよ」「夕日のせいだよ」ああ、暑すぎて熱中症になる。

2018-06-30 22:00:02
荻野千影 @ChikageOgino

駅前のロータリー 雨が霧のように繊細にまとわりつく 傘を差したら負けだと よくわからない思いこみで 濡れていくまま 髪が貼りつく嫌な感覚を 愉しんでいる 貴方から差し出された指輪を 受け取ってしまった私を 許すことができなくて 近くを歩いていた おそらく霊感のある人が 「熱中症で」倒れた

2018-06-30 22:00:03
七草すずめ @suzume_nanakusa

七のつく日は雨ばかり 大切な人に会いたいおひめさまのせい だけどけっして涙じゃないのよ 贈り物のハンカチを慌てて織って 材料をひっくり返しただけ ほそくてやさしい雨は おりひめさまの落としもの 糸のような雨の上では なんにも用意できなかったのと 舌を出してわらうおひめさま pic.twitter.com/UsUEgsZtoI

2018-06-30 22:00:05
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津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

プロポーズの言葉に、返ってきたのは引き攣り笑顔に成り損ねた拒絶の表情だった。私たち、結婚なんてできないのよ。 ああ、今が太陽の熱突き刺さる真夏だったら良かったのに。熱中症で倒れて、酷い現実を一瞬でも夢だと思えたら良かった。糸雨がバラバラに壊れた私の心臓をやさしく冷やしていく。

2018-06-30 22:02:26
RAY/※※※ @growler_ray

糸雨にさえ隠されてしまいそうな、細くて薄いあなたの影を、私は今日も追い続ける。後一歩のところで消え去って、次に見つけるのは遥か彼方。終わりなく、果てしなく、その影を抱きしめられるその日まで、私は影を追い続ける 滑稽だと笑われても、無駄と言われても、それでも私はあなたを追いかけたい

2018-06-30 22:03:23
花滝ちかる @chikaru_toka

笑顔が似合う彼女は、朗らかで誰にでも好かれる。 だが、欲深な私は、彼女の特別な笑顔が欲しくてプロポーズをした。 「はい…。不束者ですが、よろしくお願いします」 「お前の些細な欠点など、私をKOした美しい笑顔で帳消しだろう」 成程、私だけに向けられる恥じらう表情も、美しい。 #140字小説

2018-06-30 22:03:44
日引 @hibiki_ost

しとしとと降る雨。帰り道、二人で一つの傘の下。湿った空気が体温を運ぶ。袖が触れ合う。別れ際立ち止まった君が振り向いた。今しかない。突然の告白に驚いた、君の姿は陽炎に溶けていく。朦朧とする意識の中、最後の記憶があの日のことだなんて、僕は、本当に諦めが悪い。#140字小説

2018-06-30 22:04:10
夢夜 @ruya_reve

ふと喉の渇きを覚えてコップに口をつけた。 ぬるくなった麦茶が喉を滑り落ちるのを感じながら、こうも暑いと熱中症にもなるよなと思った。 目の前のパソコンに目を移す。 半分ほど埋まった原稿の中で、主人公は思い詰めた表情をしていた。 さて、彼はヒロインにどんな言葉でプロポーズするのだろう?

2018-06-30 22:06:25
夢夜 @ruya_reve

「これから先のお前を幸せにするのは俺でありたい。  愛してる。  俺と──幸せになってくれる?」 精一杯の想いを込めた言葉を告げると、お前は照れたような笑みを見せた。 「……わかりにくいプロポーズですね?」 「うん……ごめん。それで、返事は?」 お前は透き通るように綺麗な声で答えた。

2018-06-30 22:07:04
夢夜 @ruya_reve

「……わかりにくいプロポーズですね?」 「うん……ごめん。それで、返事は?」 貴方の真剣な瞳の中に私が映っている。 「……貴方を、一番近くで支えさせてください」 一瞬の沈黙のあと、強い力で抱き寄せられた。 「ありがとう……愛してる」 私もです、という返事は貴方の深く甘いキスで遮られた。

2018-06-30 22:07:35
アール @mine_r_

#深夜の真剣140字60分一本勝負 熱中症、糸雨で参加。何でもない猛暑日の話。 pic.twitter.com/NsyeKPuFuU

2018-06-30 22:08:31
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ポッキー(山野千鶴) @lilianne0523

糸のような雨が降る日。眠い。やっとの思いでアパートの鍵を開け、ベッドに倒れこんだ。どの位、時間がたっただろう。起きたんだね。あなたは、寝ぼけ眼の私を笑う。指輪は、もう少し後になるから、今日は、これで。それは桔梗の鉢植えだった。あなたは、すこし顔を赤らめて言った。花言葉は…。 pic.twitter.com/mbDXFzDzYI

2018-06-30 22:23:25
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remember us @Shangri_74

登校した時からドキドキしてた。 1日かけて考えたプロポーズ計画。 授業中も一切集中できない。 そのまま下校時間。 糸雨が降ってきた。 そういいや傘忘れた... 大丈夫? 君の声。 これ使えよ。 傘を渡してくれる。 相合傘したかったな。 でも、そしたら熱中症みたいにクラクラしそうだけど。

2018-06-30 22:26:09
夜詩アリア @Youta_Aria

「大切な話があるんだ」互いにそう連絡をして、いつも落ち合う図書館へ。糸雨すら気にせず、財布ひとつ入るのがやっとな鞄を持って走る間、何度も繰り返す「僕と結婚してください」。 辿り着いた図書館。鞄から小さな箱を取り出して僕が言葉を吐く前に。「終わりにしましょう、私達」と言刃が刺さった

2018-06-30 22:26:25
秋月蓮華 @akirenge

熱中症で世界が危機の中、糸雨が降る。細い雨じゃ無くて本当に糸の雨、 「君のことが好きなんだ」 世界が滅茶苦茶な中で、告白したのは私の幼なじみで、 「好きなの?」 「好きだよ。結婚したい」 解らないことダラケだけどこれはいえる。 「私も」 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-06-30 22:34:55
色糸 @IRO_Iroito_

梅雨の宵を歩く。 薄暗く、蛙の声の響く町。蒸し暑く、雨の匂いの薫る町。 ぽつりと一雫。 糸の様に細い雨が肌に触れた。 見上げれば半分は濃紺の空、半分は暗灰の雲。 低く、満月を過ぎた月が雲に霞んでいる。 一縷、また一縷と。片緒の雫達が頬を濡らす。 傘を広げて一歩。糸雨の宵を歩き続ける。

2018-06-30 22:40:14