【ホタテのホムワト】ホームズ家①

ナナシ @darkmoon_souji

【メモ2】 「イケメン……？　大学生……？　まだ10代……？　私の息子と一つ屋根の下で生活……？」 とても品のある穏やかな微笑みのマダムから表情が一変した。 「これは事件よ！　見逃せない事案！　ロマンが詰まった夢よー！！！」 「ちょっ……母さん！？」

ナナシ @darkmoon_souji

「あーあ。またいつもの発作だ」 「愚弟め……何とかして黙らせろ」 「そういうときだけ末っ子に押し付ける！！　母さん、一回落ち着こう。水を飲もう。座ろう。ね？」 何のスイッチが入ったのか、突然興奮しだした母親に必死に呼びかけているが聞いちゃいなかった。

ナナシ @darkmoon_souji

「さすがは私の息子ね！いい人材を見つけてきた！」 「人材言うな。お願いだから落ち着いてくれる？ジョンが引いてるから」 別に引いてないですよ、ホームズさん。 「落ち着いてなんかいられるもんですか！」 「ヒィィ！また何かスイッチ入った！兄さんも姉さんも黙ってないで助けてくれよ！」

ナナシ @darkmoon_souji

弟の叫びも虚しく、知らんぷりの二人。 「長男は普通に結婚して普通に子どもできて普通に離婚したし、長女は美人すぎる鬼教官なんて言われて若干痛いし、それがまぁ普通に婚約したし。けど意地悪してた幼なじみと結婚するっていう設定は悪くないわね」

ナナシ @darkmoon_souji

「実の母親にディスられた…」 「設定て何だ、設定て」 ぶつぶつと小声で文句を言う二人。 「だからもう、あなたしかいないのよ。シャーロック」 「どういうこと！？」 「探偵なんて仕事をして、すっかり心が疲れ果ててしまったあなたの下に現れたのね…ジョン君は…」 「お母さん何言ってるの」

ナナシ @darkmoon_souji

突然始まる母の語りに戸惑う息子。 そして俺は、ホームズさんが本当はお母さん呼びなことを知って、ギャップ萌を感じた。 「ジョン君との出会いはあなたの荒んだ心を癒やした…次第に二人は互いの存在を意識し始める」 「ストップストップ！実話みたいになってきてるからやめて！」

ナナシ @darkmoon_souji

「わかりますよ、お母さん」 「なんか入ってきたし。嫌な予感」 「へたれ年上×ツンデレ年下ですね」 「何言ってんだこいつ」 「ジョン君…あなた…やるわね…！」 俺はホームズ母と固い握手を交わしたのだった。