まさか照れているのだろうか、あの轟が。顔を覗き込もうとしたがすぐさま顔を背けられる。「止めろ」不機嫌そうに、けれど、照れ隠しのような声では迫力はない。寧ろ、普段とは逆の立場になった優越感とあまり見られない可愛らしさに八百万は笑ってしまった。「八百万……」「すみませ……きゃっ!!」
2023-06-01 22:48:29あなたは4RTされたら「俺の好きな人が、あなたで良かった」の台詞を使って縁の轟百を描(書)きましょう。 #shindanmaker shindanmaker.com/580294
2023-06-02 23:56:21「私の好きな人が、あなたで良かった」「それを言うなら俺の方だ」間髪入れずに返した轟に抱えた八百万が笑う。「私達、相思相愛だったのですね」「そうだな」「生まれ変わっても好きになってくれますか?」「ああ」「それなら、安心ですわね」そう呟いて一度息を吐いた身体を、轟はきつく抱き締めた。
2023-06-02 23:56:22今日の縁の轟百 疲れて帰ると相手が迎えてくれて甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。ハグするとストレスが三分の一になるらしいという話をしたら間髪をいれずに抱き締められた。あー、癒される。 #shindanmaker shindanmaker.com/@enishi_714/re…
2023-06-03 22:16:52その日はひどく疲れていた。「ハグにはストレスが三分の一にする効果がある、そうですわ」そうでなければ、いや、いつにもまして轟が甲斐甲斐しく世話を焼かなければこんなことを口にはしなかったのに。言いながら湧き上がってくる羞恥心に八百万が後悔するよりも早く、自分より大きな身体に包まれた。
2023-06-03 22:16:52「轟さん!」轟に気付いた八百万がパァッと顔を輝かせる。八百万の笑顔を見るのが初めてというわけでもないのに。その笑顔が自分だけに向けられたと思った瞬間に込み上げてきた幸福感は苦しさすら覚えるもので。その感覚を深く噛み締めるように深く息を吐くと、駆け寄ってきた八百万を強く抱き締めた。
2023-06-04 22:31:58あなたは『好きって言わせてもらえない』縁の轟百を幸せにしてあげてください。 #shindanmaker shindanmaker.com/@enishi_714/re…
2023-06-05 21:50:13――また話を逸らされた。視線すら合わせようとしない八百万に、轟は鞄の紐を持つ手に力を込める。気持ちを隠さず伝えるのは、居心地の良いこの関係を変えるのは怖い。このまま流されてしまっても、と思うこともある。しかし、「八百万」「っ……そ、そういえば、この間上鳴さんが」「頼む、聞いてくれ」
2023-06-05 21:50:14轟の言葉を聞いて八百万がキョトンとした表情になる。そんなにも意外な事を言ったつもりはないが、今がチャンスと上着を八百万の肩に掛けた。「ちゃんと着てろよ」言い聞かせる轟を我に返ったらしい八百万が赤くなった顔で睨む。しかし、その気の強さに反して小さな声で言った。「……轟さんのえっち」
2023-06-06 22:36:21縁の轟百が恋に気付くのは、その人の隣に座るだけでは物足りなさを感じてしまい、恋に気付きます。その手を握りたくなる衝動を堪えている自分に恋を自覚します。 #shindanmaker shindanmaker.com/@enishi_714/re…
2023-06-07 22:21:20「ここ、空いてるぞ」「あ、ありがとうございます!」促されて轟の隣に腰を下ろす。久し振りの、隣同士。肩が触れ合うことはないが、授業を受けていた頃よりもずっと近い距離に轟がいる。意識すると何だかソワソワして、でも、どこか物足りなさも覚えて視線を下げれば間に置かれた轟の手が目に入った。
2023-06-07 22:21:20【あの頃は考えずにいられたのに、どうして今気付いてしまったの】「っ……!!」「八百万、どうした急に立ち上がって」「え、えっと、私……飯田さんに確認すべきことを思い出しましたので失礼致しますわ!」「…………そうか」
2023-06-07 22:21:21左隣に座っていた彼女の顔を隠す黒髪を、疎ましく思ったことがある。轟からの視線を阻むこの髪を払って、隠されていた八百万の表情を暴きたいという衝動を何度抑えたことか。「お前は知らねェだろうけど」昔は眺めるだけだった感覚を確かめるように指先で撫でて、あどけない顔で眠る八百万を見つめた。
2023-06-08 23:26:07トン、と肩が軽くぶつかる。反射的に謝ろうとして花のような匂いにふわっと鼻孔を擽られ、その瞬間八百万との距離を理解して轟は思わず姿勢を正した。「では、話を戻して……轟さん?」「何だ?」「何故お顔を背けていらっしゃるのでしょう?先程より気も張っていらっしゃるようですし」「気のせいだ」
2023-06-09 23:19:32「八百万を傷付けちまいそうで、怖えんだ」珍しく弱気な声を出す轟に、八百万はポカンと口を開けてしまいそうになるのをぐっと堪える。どんな時も、咄嗟に手を伸ばした時ですら轟の手は優しかったというのに。「轟さん」「……っ、おい、何やって」「私はこの手が優しいことを誰よりも知っていますわ」
2023-06-10 19:45:07八百万は公明正大な人だ。救いを求める者をよく見ており、どんな相手であろうとも手を差し出すことを厭わない。近くで八百万を見ていた轟は、それを知っている。だから、「――ありがとな、八百万」轟に向けられる優しさも特別ではなく、期待を抱くのは不毛で、ましてや恨めしく思うなどお門違いなんだ。
2023-06-11 23:02:59「やっぱ怪我してんじゃねェか」八百万が背後に手を隠すよりも轟が気付く方が一足早かった。掠り傷を見て眉間に皺を寄せる轟に、少しだけばつの悪い思いになる。けれど、「私ではなくご自身の怪我を心配してください」「俺は良いんだ」「……でしたら、包帯をもっときつく巻いても宜しいでしょうか?」
2023-06-12 23:50:53轟はずるい、と思う。いや、正しくは違うのだけれど、自然と『ずるい』という表現が浮かんでしまうのだ。「轟さんには分かりませんわ」困ったような顔の轟からプイッと顔を逸らす。だって、本当に困っているのは八百万の方だ。何気ない轟の言動に心乱されて、こちらばかりが好きにさせられるのだから。
2023-06-13 23:10:44重なった白い手がゆるりと動き、細い指が轟の指の合間をそっと辿る。隙間を無くすよう何度か力が込められ、ピッタリと触れ合っているのを確認すると嬉しそうに八百万が目を細めた。「満足か?」「はい……いいえ、まだですわ」「そうなのか?」「だって、轟さんからギュッとしてもらっていませんもの」
2023-06-14 23:14:09「寝ても良いぞ」肩に凭れるように引き寄せられ、そのままポンポンと頭を撫でられる。申し訳ないと思うのに、強烈な眠気に誘われて口も瞼も開けていられなくなる。「んぅ……」口から出たのは謝罪かお礼か。自分でも分からない声を聞きながら、八百万は目に付いた轟の手をきゅっと握って眠りに落ちた。
2023-06-16 23:57:46【彼女が知らない、初デート帰りのとある一コマ】十数秒変な声が出そうになるのを何とか耐え、撫でていた手で周囲の目から可愛い寝顔をサッと隠した。
2023-06-16 23:57:46縁の轟百が恋に気付くのは、同じ言葉を返して欲しいのだと気付いたその時です。おいしい。たのしい。さみしい。いっしょにいたい。すき。いとしい。全部、共有したいのだと思い至り、恋に気付きます。 #shindanmaker shindanmaker.com/@enishi_714/re…
2023-06-18 22:45:48「美味しいですわね!」頬を少し膨らませて、キラキラとした目で八百万が言う。そんな彼女を見ていると、胸の奥で感じていた熱にストンと名前が付けられた。「――ああ、」楽しいとか、寂しいとか、できれば今気付いたばかりの『好き』も。「美味しい、な」全部二人で共有したいと思う、この正体の名は。
2023-06-18 22:45:49吐いた言葉は戻せない。八百万の表情を見てそれを実感し、それから轟を避ける様子に後悔し、そして今は――……。「八百万」声を掛けた瞬間、逃げようとする八百万の前を塞ぐ。恨めしげな目を向ける八百万の顔は赤く染まり、けれど、それが怒りからだけではないのを見て取ると轟は楽しげに口元を緩めた。
2023-06-19 22:39:11