三才児フェルディナンドが家族とほのぼの過ごす現代パロディ ※アットホームな話にしたかったため、この話のフェルディナンドはヴェローニカから虐待を受けていない設定です。
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ゆきみだいふく @daihukutoyuki

『雨の日のおつかい』 ※現パロ ショタ化 空を覆う雲から小さな雫が落ちる。 「あめあめふれふれにいさんを カッパでおむかいうれしいな♪」 父から貰ったお気に入りのカッパ(カエルのなりきりフード付き)を着て、フェルディナンドは雨の中を一人で歩いていた。

2018-06-20 19:48:23
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

口ずさむのは、先日テレビから聞こえてきた名前も知らない童謡を少し変えたものだ。 「ピッチピッチチャップチャップランランラン♪」 道に、美しいボーイソプラノと雨音が響く。 フェルディナンドはいつも通りの無表情であったが、付き合いの長い者が見れば、彼の機嫌が良いと気づいただろう。

2018-06-20 19:48:24
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

「あめあめふれふれにいさんをーー」 歌声も弾み、同じフレーズを飽きずに何度も繰り返していく。 そんな彼の手には、青い傘が握られていた。 まだ3才のフェルディナンドが持つにはその傘は大きく、抱えて歩くことさえ出来ない。

2018-06-20 19:48:24
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

そのため、ここまでズルズルと引きずられてきた傘の先端は地面に削られ、傷が出来てしまっていた。 しかし、フェルディナンドはそのことに気づくことはなく。ズンズンと歩みを進める。 目指すのは、兄のジルヴェスターが居る場所だ。

2018-06-20 19:48:24
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

『ジルヴェスター坊ちゃま、本日は夕方から雨が降るそうですよ。お出掛けの際は傘を忘れずお持ちください』 そんな使用人の言葉も聞かず、学校が終わると家にも帰らないで遊びに行ってしまった兄。案の定、彼は雨に降られて立ち往生しているらしい。

2018-06-20 19:48:25
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

『反省させるために、少しの間放っておきなさい』 そう父から使用人へ指示が出てしまったため、兄はこの雨の中。帰れずに困っていることだろう。 (わたしがむかえにいこう)

2018-06-20 19:48:25
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

今日父から買って貰った図鑑。それを早く兄にも見せたかったフェルディナンドは、使用人や家族の目を盗み。こっそり家を抜け出したのである。 兄が居るのは、自宅から10分程度のところにある友人の家。 フェルディナンドも兄に連れられ、一度訪れたことがある。

2018-06-20 19:50:21
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

記憶力の良いフェルディナンドは兄と歩いた道のりを正確に覚えており、迷いなく進んで行く。 傘を届けに来た自分を見たら、兄は驚くだろうか。 『助かったぞフェルディナンド。一人で来れて偉いな』

2018-06-20 19:50:21
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

満面に笑みを浮かべた兄が乱暴に頭を撫でてくれるところを頭に浮かべ、フェルディナンドは小さく笑う。 褒めてくれなくても良い。けれど、少しでも褒めてくれたら嬉しい。 そんな気持ちを胸に秘め、小さなカエルは歌を歌いながら雨の中を歩いて行った。

2018-06-20 19:50:21
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

ネットで見たカッパが可愛かったので、ショタでぃなんど君に着せたくなりました。 因みに、後ろからこっそり護衛兼撮影係のユストクスが尾行している設定ですw

2018-06-20 19:50:22

小ネタ

ゆきみだいふく @daihukutoyuki

ショタでぃなんど君と兄上書いてたんだけど、それとはまた別に。 兄上は戦隊ものゴッコしてるの似合うなぁと、思った。 「ライデンシャフトブルー、見参!」(ドヤアアア!!!) って、その辺で拾った棒持って見事にポーズ決めて、ドヤ顔してるの、とても似合う。

2018-06-24 09:56:53
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

「げゆるりーひれっと!」 「違うぞフェルディナンド、ゲドゥルリーヒレッドだ」 「げゆ......?」 「ゲドゥ」 「げ、ゆ!!」 3才児でぃなんど君にはユルゲン神々の名前は難しいw

2018-06-24 09:59:28
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

きっとカルステッドは悪役をさせられてると思う。 「出たな怪人カルステッド!ゲドゥルリーヒレッドを離せ!」 「フハハハハハ、ライデンシャフトブルー。今日こそ貴様の最後だ(ノリノリ)」 そしてラスボスはボニ爺。勝てないwww

2018-06-24 10:02:03
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

続き。 強敵、ボニ爺を前に不安を覚えたジルヴェスターは、ボニ爺の弱点。初孫エックハルト(赤子)を招集した。 ジル「くっ、またもゲドゥルリーヒレッドが捕まってしまった」 フェル「にいさん(抱えられてちょっと怖い)」 ジル「フェルディナンド、そこは『助けて!ライデンシャフトブルー!』だぞ」

2018-06-24 11:25:05
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

フェル「たすけて、らいでんしゃふとぶるー」 ジル「行くぞ、フリュートレーネグリーン!!ゲドゥルリーヒレッドを助けるんだ」 エク「あうー!(パパに抱えられてご機嫌)」 カル「ははは、エックハルトもやる気充分だな」 ボニ「フフフフフ、ハハハハハ、フアーッハハハハ!!甥と孫と言えど容赦はせんぞ」

2018-06-24 11:25:05
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

~数分後~ エク「ビャーー!!(お腹空いて泣き出した)」 ボニ「ど、どうしたのだエックハルト」 カル「父上の顔が怖いのではありませんか?」 ボニ「なにっ!?ほ、ほらお爺ちゃんは怖くないぞ?」 エク「ビャーーー!!」 ジル「よしっ、よくやったフリュートレーネグリーン。ボニファティウスが怯んだぞ!」

2018-06-24 11:25:06
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

このあと、眠くなってきたフェルディナンド君もグズリ始め、駆けつけたリヒャルダとエルヴィーラお母様に怒られる男性陣。 真の強敵は別に居たようだ。 ライデンシャフトブルーたちの戦いはまだ始まったばかり ~完~ 彼処の男性陣。こんな感じのことしょっちゅうやってそうだなと思いましたw

2018-06-24 11:25:06

『帰り路』

ゆきみだいふく @daihukutoyuki

朝、かにさんの描いて下さったイラストに歓喜して「続き書く!」と言ってた話。長くなったのでベッターへ上げました。 『帰り路』 privatter.net/p/3545972 ↓のジルヴェスター視点後日談です。 twitter.com/daihukutoyuki/…

2018-06-24 19:20:18

『雪の日の朝』

ゆきみだいふく @daihukutoyuki

瞼に感じる光の強さでフェルディナンドは目を覚ました。 今日はなんだかいつもより外が明るい気がする。好奇心を擽られ、何の心構えもなくベッドから抜け出し、その場で足を止めた。 「っ......」 あまりの寒さに身体が縮こまり、勝手に震え始める。不用意な行動を悔やみ、フェルディナンドは今すぐ

2019-02-11 17:11:29
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

ベッドへ戻りたい気持ちになるが、外の様子はどうしても気になった。 (どうすれば) 答えを求めて視線を彷徨わせていると、先ほどまで自分を暖めてくれていた毛布が目についた。これを纏えばいくらか寒さはマシになるだろう。

2019-02-11 17:11:30
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

しかし、リヒャルダから怒られる可能性は高い。 前にジルヴェスターとシーツを被って遊んでいたら長い長い説教を受けたことがある。 きっと、今回もリヒャルダに見つかれば怒られてしまうことだろう。けれど、あまりの寒さに震えるこの足ではまともに歩くことができない気がする。

2019-02-11 17:11:30
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

リヒャルダに怒られる道を取るか、それともこの寒さの中を寝巻き一枚のまま歩くか。 フェルディナンドは頭を悩ませたが、結局寒さには勝てず。リヒャルダが来る前に戻せば大丈夫だろうと、毛布を身体に巻き付けることにした。 身長の倍近くある毛布は重く、3歳児ではベッドから下ろすだけでも一苦労だ

2019-02-11 17:11:30
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

「あったかい」 どうにか下ろした毛布に包まり、しばし身体を暖める。手足の先にも力が戻ったところで、フェルディナンドは意気揚々と足を踏み出した。 「んっ、おもい......」 しかし、暖かいのは良いが、ぶ厚い毛布は重く、それを纏っていては当然上手くは歩けなかった。

2019-02-11 17:11:31
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

窓まではほんの少しの距離だというのに、身体にのし掛かる重量のせいで、遥か遠くまで歩かなければならないように感じる。 それでもフェルディナンドは諦めず、フーフーと息を乱しながらも、どうにか窓のところまでたどり着いた。 うっすらとかいた汗を拭い、毛布の隙間から冷気が入らないよう慎重に手

2019-02-11 17:11:31
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

を動かしてカーテンを捲る。 すると、いつもは透き通っていて、外の景色がよく見える窓ガラスが白く曇っていた。 (おふろのかがみみたいだ) 兄と一緒に風呂場で落書きをしたときのことを思い出し、窓へ指を当ててみる。ひんやりとした感触。スイスイと指を動かせばそこだけ曇りが除かれ、兎のよう

2019-02-11 17:11:32
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

な形になる。 が、あっという間に水が垂れてきて形が歪んでしまった。 普段ならばがっかりしていただろう。が、今のフェルディナンドはそれどころではなかった。

2019-02-11 17:11:32
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

(しろい。やねもにわも、ぜんぶ) 曇りの除かれた窓から見えた外の景色。それは昨日までとは異なり、一面の白だ。フェルディナンドは元々大きな目を更に大きく見開いて、言葉もなくただその光景に見入る。 雪は見たことがあるが、このように一晩で景色を一変させてしまうほどのものは体験したことが

2019-02-11 17:11:33
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

ない。まるで寝ている間に別の場所へと移動させられてしまったかのようだと、ドキドキする。 (なんで、こんなにもしろいのだろう? それに、なんでいつもよりあかるくかんじるのだろう?) フェルディナンドの中へは様々な疑問が湧き、その答えを知りたいという欲求が膨れ上がる。

2019-02-11 17:11:33
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

視界を過る白い雪が、ふわりふわりと地面へ向かって下りていく。それを目で追っていくと、眼下で人影が動いているのが見えた。 元気よく庭を駆け回る小さな人影と、それを傍らで見守る大きな人影に、近所の子犬と飼い主が連想されフェルディナンドは目を瞬かせる。 と、小さな人影がこちらを向いた。

2019-02-11 17:11:34
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

「おーい、フェルディナンド!早く起きろ!雪だ。雪が積もってるぞ!!日が出てるから早くしないと溶ける、急いで着替えて降りて来い!」 まだ薄暗いため顔が分からなかったが、どうやら庭に居たのはジルヴェスターだったらしい。ということは、隣に居る大きな影はカルステッドだろうか。

2019-02-11 17:11:34
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

ジルヴェスターはフェルディナンドの部屋辺りを見上げ、ブンブンと大きく腕を振ってくる。モコモコと服を着込み、暖かそうな毛糸の帽子も被った彼は遊ぶ気満々のようだ。 そんな兄の弾んだ声に、フェルディナンドの心も高揚する。 きっと兄かカルステッドなら、自分の疑問へ答えをくれるに違いない。

2019-02-11 17:11:34
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

手加減のできない兄の相手をするのはたいへんだが、この真っ白な世界のことを知るためならば彼と遊ぶことも吝かではない。 となれば一刻も早く自分も外へ出られる服装に着替えなければ。

2019-02-11 17:11:35
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

フェルディナンドはパッとカーテンから手を離すと、動き難い毛布も置き去りにして駆け出す。部屋の寒さも、リヒャルダの怒り顔も彼の頭には無い。 あるのはただ、未知の光景に対する好奇心だけだ。 「んっしょ、んっ!」

2019-02-11 17:11:35
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

普段はリヒャルダかユストクスが着せてくれる冬服を小さな身体を懸命に動かして着る。 最後に兄とお揃いの帽子を被れば、外出準備は完璧だ。 「んっ」 大人が見ればあちこち手直しをしてやりたくなるような有り様なのだが、フェルディナンド本人は一人で上手に着れたと満足げに頷く。

2019-02-11 17:11:36
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

衣装箪笥の前はフェルディナンドが引っ張り出した服やら、足場にした箱なんかでぐちゃぐちゃだが、それも彼の目には入っていない。 「遅いぞフェルディナンド!」 「にーさん」 待ちきれなくて迎えに来たらしい兄へ駆け寄るフェルディナンドの表情は、いつになく明るかった。

2019-02-11 17:11:36
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まとめたひと
ゆきみだいふく @daihukutoyuki

無言フォロー失礼します。 本好きの下剋上中心の雑多垢。 フェルディナンド受けを好む腐女子。 ※現在FGOでヘクマンにドはまり中のためそちらの話の方が多いかと思われます。 鍵垢→@daihukukagi アイコンはゆきかにさん @yukikani_8225からお借りしました。 ヘッダー画像は姪っ子からの借り物です。