「よそ者」考。 農業の研究やってると、よそ者が農村に入ってきてイザコザが起きる話をよく耳にする。多いパターンは、大企業勤めの経験のある人が「このど田舎に俺の貴重な経験を教えてやろう」というもの。そして村の慣習を因習と決めつけ、偉そうに説教始めて、疎まれるタイプ。
2022-07-17 09:10:40関係がこじれると、もと都会人は「田舎者めらが!」と見下し、田舎にもともといる人は「なんや、感じの悪い人」となる。都会人が田舎に新風を入れてやろう、と、自分が優位に立ってると考えるとき、よそ者は不適応を起こしがちな気がする。 他方、すんなり順応する「よそ者」も少なくない。
2022-07-17 09:13:16「えー!これどうやったらできるんですか?」「うわー、こんなの、頂いていいんですか?」田舎で目にするもの耳にするもの、全て新鮮で驚き、面白がるよそ者には、みな親切。そして寄り合いがあれば「あの若者に、よそから来た視点を教えてもらおうよ」と、「よそ者」の話を耳傾けようとする。
2022-07-17 09:16:27村の素晴らしさを知ってる若者が、遠慮がちに語る言葉には、「もうちょっと遠慮なしに、思ったことを言ってくれ」と、むしろ聞きたがり、感心し、「よそから来た人もこう言うことだし、この際変えようか」と、すんなり変化したりする。よそ者が新風を入れ、しかも友好的。何が違うのだろう?
2022-07-17 09:19:21前者のよそ者は、田舎者は自分より劣っている存在で、自分を崇め奉るべきなのだ、という刺青デザイン臨んでいる。これだとうまく溶け込めなくて当然。相手を自分の下位に置いているのだから。 他方、田舎にあるものの新鮮さに驚き、面白がる若者に対しては、つい心を開いてしまう。
2022-07-17 09:22:43@ShinShinohara 表現を素朴に変えたところで「まず遜らなきゃ差別して、話など聞かない」である事に変わりは無いじゃん 勿論、差別は「素朴な感情」から起こるモノだもんね ゴールは「親切にする」じゃなくて「意見を取り入れる」事なんだけど、そこまで至るのは何割?
2022-07-17 09:23:45あとにも先にも一度きりだけど、先斗町の小料理屋に「京都の勉強だ」と連れて行ってもらったことがある。 外から、「京都のことなら何でも聞いてくれ!」とガハハ笑いが近づいてきた。「お、この店にしよう」と扉を開けたのは、実に値の張りそうなスーツを着た男性二人。入ろうとすると、店の主人は。
2022-07-17 09:26:13「すみません、予約が入っておりまして」と、空いてる席は空いていない、と伝えた。仕方なく、ガハハなお客さんは立ち去った。まだ二十歳になったばかりの私は、いつ予約客が来るんだろう?と思った。一時間たっても、その予約客とやらが来ない。やがて、恐る恐る戸を開けたのは、女性客二人。
2022-07-17 09:28:46「あのう、京都のお料理を勉強したいんですけど、よろしいでしょうか?」店の主人は「どうぞ」と、予約席にそのお客さんを座らせてしまった。「え?」目をむく私に、ニンマリと笑う父とその友人。 その女性客は、京都の料理に驚きの声を上げ、店主も丁寧に材料や調理の説明をしておられた。
2022-07-17 09:32:20店を出たあと、父とその友人が、私に解説してくれた。「京都人になるには3代かかる、と言われている。初代、二代目はまだよそ者。三代目の、生まれた時から京都に住んで、ようやく京都生まれと認定される。偉そうなよそ者は、丁寧にあしらわれつつ、バカにされる。けど、謙虚な姿勢の人には優しい町」
2022-07-17 09:36:06@ShinShinohara 「「生産者は消費者のことがわかってない」「消費者は生産者のことがわかってない」と互いに思っている」と農村に移住した知人は苦労しているところを話していました。その話を聞いたのがほぼ20年前なのですが、今はどうしているかなと思っています。
2022-07-17 09:37:01これは京都に限らないんじゃないかな、と思う。古い町や村にある慣習は、長い歴史の中で生き残ったもの。何らかの理由がある。それを単に因習だと決めつけるのは、無頓着に過ぎる。 しかし村の一つ一つに感動し、驚いてくれる人には、心を開く。改める姿勢も生まれる。なぜか。
2022-07-17 09:38:35自分たちの村に驚き、面白がってくれる人を受容したいから、よそ者であるその人の心地よいよう、改めるものは改めたくなる。驚き、面白がってくれる人には、逆に自分も驚き、面白がりたくなるものらしい。京都も田舎も、よそ者を受け入れる条件は、同じなのかも。
2022-07-17 09:41:11これは、京都だから、田舎だから、というより、初対面のときにはとても大切なことなのかもしれない。社会的地位の高い人って、丁重に扱われることに慣れて過ぎて、初めての場所でも偉そうにして、失敗してるケースをよく見る。 でも、たとえ社会的地位の高い人でも、初対面の人の話を面白がる人は。
2022-07-17 09:44:08すんなりその場に溶け込んでる。つまり、初対面で「高い社会的地位」は関係ない。むしろ勘違いを生みやすいという点で、害悪かも。社会的地位なんか忘れて、初対面の人の話に驚き、面白がれば、対話は大概うまくいくような気がする。
2022-07-17 09:45:55人間はどこか、「チヤホヤ願望」があるらしい。違う世界に飛び込んだら、「あなたはスゴイ!」と皆が驚き、チヤホヤしてくれるコミュニティを作れるのではないか、という幻想。アニメ「はなかっぱ」で出てくる、ちいかっぱがよくやってる妄想にそっくりな。
2022-07-17 09:48:08でも、人間関係をつくる上で大切なのは、自分のことで相手に驚いてもらおうとするのではなく、まずは自分が相手に驚き、面白がることのようだ。考えてみれば、これは営業では定石。相手の話を聞き、驚き、面白がる。それによって相手の心を開かせる、テクの一つ。
2022-07-17 09:50:23けれど営業マンも、仕事から離れると、自分が驚くのではなくて、相手を驚かせたくなるらしく、関係をこじらせる人もいる。人間関係はまず相手に驚くことから始めるものだ、と、仕事で学んでいるはずなのに。
2022-07-17 09:52:05私の家の庭に、ビクともしない巨岩があった。それを八十過ぎのおじいさんがいともたやすく動かした。テコの原理を使うのは私も承知していたけど、今の重心に力点からの力が伝わるようにテコを動かさねば岩は動かない、というのを実地で教えられると、なんと経験値の必要な、難しいテクなのか、驚いた。
2022-07-17 09:55:21丸太をくり抜いて蜂の巣を作ろうとしてる別のご老人。切り株をくり抜くには、下から削った方がよい、という理屈は、聞けばなるほどだけど、チェーンソーを巧みに操ってくり抜く手際に私は驚かされた。 私もYouMeさんも驚かされるばかり。驚いてばかりいたら、皆さんよくしてくださる。ありがたい。
2022-07-17 09:57:58そして、私みたいな新参者の若造の話に耳を傾けて下さる。時折、驚きの声を上げて下さる。そうか、人間関係って、まずは自分の方から、相手の話に驚き、面白がることが大切なんだな、と気がついた。すると、相手もこちらに興味を持ってくれて、互いに驚き合える関係が作れるんだな。
2022-07-17 10:01:01驚き、面白がる、というのは、人間関係を最初につむぎ出すのに大切な様式のように思う。文化人類学の研究者が、見知らぬ民族を調査する場合もこの姿勢。これは、人間心理に寄り添ったアプローチなのかもしれない。
2022-07-17 10:03:19@ShinShinohara 同調圧力の分析的な考察としては価値がある で、比率として1人の余所者は99人の現地人を気分良くするなんて不可能だよね 10人が余所者に心を開いても、その10人は残りの89人に配慮するよね 余所者の意見が通るのは何時?
2022-07-17 10:34:41まとめました。 「よそ者」考 郷に入っては郷に「驚け」|shinshinohara #note note.com/shinshinohara/…
2022-07-17 12:35:15@ShinShinohara 本当にその通りだと思います。 何でも頭越し注意されたら「何、偉そうに」になってしまいます。 素直に分からないのですが、教えて頂けますか?と聞かれたら不愉快にならないと思います。上下関係で見下す人とは関係を持ちたくないです。 父の口癖で「可愛い爺ちゃんでいる」人とのトラブル防止でした
2022-07-17 14:09:56@ShinShinohara @IsiharaFifty よそ者が来て その村の伝統 慣習を 因習と決めつけるが 立証出来ないでは 単なる自分らの因習の持ち込み
2022-07-17 15:06:44@ShinShinohara そりゃそうなんだけど、そこで一つ客観性の目を持つ事が、双方の自我が衝突する副産物、即ちメリットに成り得、また功罪がより鮮明に見えるのでは、とかなり離れたよそ者が言ってみる。 まぁこうは言っても、昨今他国から盗み目当てに来る輩も懸念されるので、一概に言えるものでも無いとは思うが。
2022-07-17 16:05:37@ShinShinohara 村社会出身者としては、Uターンとか無理。Iターンとか人的スキルや耐性がよほど強く無いと...
2022-07-17 17:45:22@ShinShinohara これは普段の人付き合いにも通じると思いました。 凄い分かりやすかったです!為になるお話ありがとうございます✨
2022-07-17 17:54:15@ShinShinohara ツイッターで難しい話書くのって大変だと、最近思います。 不特定多数相手だと面白がってくれる人がたくさん来ますが、言葉、内容について定義や印象がそれぞれで、同じ話してるはずなのに噛み合わないような。 「どこの誰それ」の話と、「どこかの集団・社会」の話とが混ざってしまうなぁと思います。
2022-07-17 18:10:25@ShinShinohara よそ者が田舎を見下すのと同様に、 田舎在住者は都会に出て行った人を「地元でやっていけず逃げ出した」と見下す人も少なくないです。 自分がやってきたことの正当化は誰でもする事なので 自分の正義を押し付けあってるうちは誰も幸せにならないですね
2022-07-17 19:19:14バズって来たので、宣伝。8月に新刊が出ます。とはいえ、今回の内容は出てきませんけど。 「そのとき、日本は何人養える?」 amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%8…
2022-07-17 19:21:47@ShinShinohara 関係ない話を横からすみません。なろう小説のいわゆる「異世界転生もの」も本来はこういったものがあって、都合の良いように話は進まないんですけどねぇ。
2022-07-17 20:33:54@ShinShinohara その方は元々いた場所でもその調子で田舎に行けば受け入れられると思ったという事でしょうね。魂の修行はつづく
2022-07-17 22:00:12@ShinShinohara その他所者に感化されてあんたらのやってる農業は時代遅れだと熱弁振るう奴が居るのも事実
2022-07-18 00:53:48部下を育てるにも、「驚き、面白がる」ことが大切だと思います。そうしたコンセプトでまとめた部下育成本。 amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%8…
2022-07-18 07:12:38子育てにおいても、子どもの発見や挑戦、工夫に驚き、面白がることが、子どもの意欲を高める、と考えています。そうしたコンセプトでまとめた子育て本。 amazon.co.jp/%E5%AD%90%E3%8…
2022-07-18 07:14:27@ShinShinohara 得てして 実体件の無い人が 俺の知識は絶対だと 思い込み。学の無いお前らは俺の指導通りすれば良い。失敗しても 反省する能力も無い❗️
2022-07-18 07:17:06私達は「どうせ」と言って、何も変わらないと諦めがち。しかし「どうせなら」と姿勢を変えると。挑戦、工夫の余地がどんどん見つかり、発見の宝庫だと気づき、驚かされます。それがイノベーションのタネ。そんなイノベーション本を書いています。 amazon.co.jp/%E3%81%B2%E3%8…
2022-07-18 07:17:09私達は、何でも知ってるふり、できるフリをしないと、コミュニティに「役立つ人間」だと受け入れてもらえない、という思い込みを持ちがち。でも、人間が求めているのは、自分に驚いてくれる存在なのかも。 思い込みを外す方法をまとめた本。 amazon.co.jp/%E6%80%9D%E8%8…
2022-07-18 07:19:38