小説書かない間の習作のつもりでいたけど情緒が重くて習作とは呼びたくない病に罹った。 蒼シリーズの語彙ストックに配慮して、こちらは基本ロック主観。
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淑乃 @yoshino_novels

観念してやるよ。 やっと、そう言えた。 砂塵の彼方に煙る稜線、その岩肌に視留めた色。長く、永く時を掛けて漸く根付き今再び蘇らんとする緑。 夢見た未来(さき)はもうすぐだ。 皺くちゃな指がくすぐったくて、拭われるたび笑った。この感触を忘れない。 いつか共に、砂に還っても。 #140字エドロク

2024-04-02 12:53:43
淑乃 @yoshino_novels

ああ、知ってる。 古い部族の言祝(ことほ)ぎの文言なんだってな。問われたら、前者を選びゃいーんだろ? え、誰から聞いたって。あいつだけど。 Trick💙 or Treat🍭 #140字エドロク

2023-11-01 01:33:37
淑乃 @yoshino_novels

渡る風が砂原を撫ぜる。 遠く舞う砂粒は月光に煌めき、黄金(きん)の色を魅せていた。 倦怠を訴える身、もうどうやっても持ち上がらない瞼が隠した、頬を撫ぜる感触。 その軌跡があの風のようだと言ったら、優しい吐息が聴こえた。 #140字エドロク

2023-11-01 00:08:05
淑乃 @yoshino_novels

アンタにも出来ないことがあるのかい。 そう言うとじゃあお前はできるのか、ときた。 ――できたろ? 簡単さ。アンタの未来(さき)を想えば、このくらい。 御世に幸あれ、王統に祝福を。 見守ってはやれないけどね。 遠く離れたこの地で独り。拭うそばから溢れてもう何も、見えやしない。 #140字エドロク

2023-09-01 02:29:09
淑乃 @yoshino_novels

たまに、どこまでが謀りか測りかねる時がある。 堪えろと強要するくせに、その指先は酷く優しかったり。泣いて訴えても赦してはくれなかったのに、こちらが眠るまで頭を、肌を撫で続けてくれたり。 まあけど、お互い様か。 精一杯の虚勢に期待を隠す、この俺と。 #140字エドロク

2023-05-06 23:44:18
淑乃 @yoshino_novels

窮地に苦しむ姿など、幾度も見てきた。深手に臥す様、還らぬ臣下に項垂れる様。 だけど。 俺を抱く身の震え。縋るように微かな、あまりに悲痛な声。 まさかアンタが、俺を失うことなんかを恐れるなんて。 はじめて思うよ。 いっそ俺の手でラクにしてやるべきなんだろうか、なんて。 #140字エドロク

2023-05-01 01:47:19
淑乃 @yoshino_novels

布を裂く様な音。甲高く鋭いそれは、幾つもの砂粒を肌に、唇に叩きつける。 かと思えば瞬間、凪いで。 息をつくのも憚られるほどの静寂。 細月の夜。ヒトの手が為した堅牢な石造りに身を置いてなお。ヒトの手には負えぬ自然、彼の始祖の時代(とき)より続くこの雄大な砂原を、想った。 #140字エドロク

2022-11-29 23:06:04
淑乃 @yoshino_novels

乳白の月を頂く砂原が、貝の涙粒の様な色を見せる刻(とき)。 尖塔の扉をぴたりと閉ざせば、蒼と黄金(きん)に彩られた王は、たちまち只の男の貌(かお)に為る。 名を囁く低い音。柔く噛まれた耳朶から脳骸に響くその、声色は。 蜜瓶(みつがめ)の底を浚った指の味に似ている、気がした。 #140字エドロク

2021-11-06 02:03:02
淑乃 @yoshino_novels

点と点を繋ぎ、線を引く。 そんな風に出逢った俺らに果たして何か形為す未来(さき)があったのかなんて、正直今でもわからない。 けれどこんな夜には、懐かしく想う。 あのとき、アンタの頬に流星のような痕を引いた透明は。 この紫紺の宙(そら)に描かれた遠い煌めきのようだった、と。 #140字エドロク

2021-10-30 00:24:53
淑乃 @yoshino_novels

廻された腕、触れた肌の感触。馴染んだ身に混ざり仄かに芳った香水。 ――あと幾日で、あの尖塔を視留めるだろうか。逸る気は、近づくにつれ隔てる夜を指折り数えさせる。 背を預ける岩棚から仰ぐ濃紺の宙(そら)は、あの天蓋の檻を憶い出させる。 むせかえるような甘い記憶と、共に。 #140字エドロク

2021-10-03 01:58:27
淑乃 @yoshino_novels

瞬いて。ゆっくりと持ち上がる、瞼。 統べる砂原と同じ黄金(きん)の濃く長い睫。その隙間から蒼が透ける様は、まるで研磨された原石が漸く見せた煌めきみたいだ。 ……なんだよ。笑ってんなよ。 クソ、盗み(しごと)は失敗さ。 ――ばれねえように見てたつもりだっつーのに。 #140字エドロク

2021-09-16 02:38:14
淑乃 @yoshino_novels

ふと遠のく気配が惜しいのに、どうにか手繰り寄せた意識の尾では天蓋の襞みたいに重い瞼を押し上げることは叶わなくて。こんな時間に執務かよと文句の一つでも言ってやりたかったけど。まあ赦してやるさ。 声にならない息を吐(つ)いた唇(くち)に。とびきり柔らかな感触をくれたから。 #140字エドロク

2021-09-11 03:18:02
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まとめたひと
淑乃 @yoshino_novels

◆小説と音楽 ◆pixivに二次創作小説置いてます、成人向多め ◆好きなものが多いです 👬FF6エドロク、呪術五伏、他 👫FF6男女、FE風花雪月フェリアネ、FEif弟、鋼ロイアイ、君届、のだめ、他 ◆成人済 ◆F18歳↑で ◆2021&22.3エドロク祭 ◆各種まとめ onl.sc/mPm9jBV