雨とワ男子

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いこま|雨にかこつけて #wtプラス 「降られてもうた」濡れ鼠になったいこまが大学のラウンジにやってくる。「雨降ってるの？」「せやねん、急に降ってきよった」「タオル使う？」カバンから彼女が出したハンカチタオルを借りていいものか、出しかけた手を引っ込める「いや…さすがにそういうの

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借りたらあかんキャラやろ」「なにそれ、そんなことないよ」ふふ、と笑う彼女がハンカチをこちらにぐい、と寄越す。「そしたらお言葉に甘えて…」おそるおそる借りたハンカチで控えめに腕を拭いていく。じわじわと濡れていくハンカチと申し訳なさが比例する。「髪、」彼女の声とともに取り上げられた

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ハンカチが顔を包み込む。「ちゃんと拭かないと風邪ひくよ」「お、おん…」ふわふわのハンカチが自分の顔や髪の毛を優しく撫でていくのと、見上げる彼女の姿に艶かしさを感じ、生唾を飲み込む。「いこまくんって髪下ろすと全然雰囲気変わるね」「そうか？」「なんか…色っぽい」「な、何いうてん」

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上擦る声は何かを期待している。彼女はまたふふ、と笑って「かっこいいってこと」と大きな瞳を揺らしてそう言った。

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たちかわ|雨にかこつけて #wtプラス 出席数が足りないとかで仕方なく出た講義が終わる合図がする。ふと外を見れば雨、面倒だなと思いながら教室を出て屋根のある場所を器用に探しながら歩いているところに角から人が飛び出してくる。「ぶっ」勢いよくぶつかってきたのはよく知った人間だった。

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「何やってんだ、おまえ」「ぁ…」たちかわの胸に飛び込んだ彼女は泣きじゃくった跡の顔をあげる「泣いてんの？」「最悪…何もないから」パッと離れて顔を見られないようにそっぽを向く彼女は雨にも濡れてびしょ濡れだった。その顔をよく見ようとたちかわが上から覗き込もうとしている所に

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また角から人が現れる。その人物は彼女を見て気まずそうに小走りで立ち去る。「振られたのか」「…！最悪…」項垂れる彼女に答えはいらない。「いいこと教えてやろうか」たちかわに馬鹿にされる、と思っている彼女は諦めたように泣き腫らした顔をこちらに向けてくる「実は俺、今彼女いないぜ」

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「…は？」いつもの胡散臭い薄ら笑いに怪訝な顔をされる「俺にしとけ」「なんでっ…」「なんとなく、」いつの間にか壁に追いやられお互い雨に降られたまま見つめ合う形になる。たちかわの顔がゆっくりと降りてくる「試してみるか？」反射で頷いた彼女の唇に勢いよく噛み付くNo. 1攻撃手。

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ならさか|雨にかこつけて #wtプラス 放課後、人気のない靴箱に見慣れたひとつの影。「誰か待ってるのか」「あ、ならさかくん」声をかければ情けなく笑う彼女が外を指差し「傘忘れちゃって」外はバケツをひっくり返したような雨、あはは、と乾いた笑いで空を見上げる彼女の横顔に思わず見惚れる。

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「一緒に、帰るか？」「え、いいの？」自分の手にある傘をパッと開く。自分より幾分小さい彼女が気持ちこちらへ近寄ってくる。「ありがとう、助かる〜」彼女の肩が腕に触れるか触れないかの距離、雨の匂いに紛れてきっと彼女の香りだろう甘い香りが鼻を掠める。お互いに探り合いながら

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一歩目を踏み出す。思ったより雨足が強く隣の彼女のブレザーが一気に色を変えるのが見え「悪い、」無意識に肩を抱き寄せる。こちらを見上げる彼女の顔は赤く、ありがとう、というその声は恋を始めるのに十分だった。

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きくちはら|雨にかこつけて #wtプラス 「髪がうねる〜！」目の前で自分の髪を弄りながら大きな声を出す彼女に「うるさいなぁ」と耳を塞ぐ仕草をする。こんなことをしても、意味はない。「きくちはらは全然うねらないね、羨ましい」さらり、ときくちはらの髪を触る彼女に露骨に嫌な顔をして

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「勝手に触んないでよ」と言えば「減るもんじゃないんだからいいでしょ」と聞く耳持たず。雨が降ると彼女は必ずここへやってくる。「雨が降る度、大変だね」泣きそうな顔でブラッシングしている彼女に声をかければ大きく頷く。「髪、切ればいいのに」伸ばしている、と言っていたことを思い出しながら

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解決策を出してみれば「それはむり」と即答。「切ったら、対象外じゃん」何のことかわからず黙っていたら「きくちはら、髪長い子が好きって言ってたから」「は？」まっすぐこっちを見てそんな事言うもんだから素っ頓狂な声が出る。自信満々に言い放った割にじわじわと赤くなり、俯く彼女の頬を

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ぐいとこちらに向ける。「なに、言って満足みたいな顔してんの」口をきゅ、と結ぶ彼女に「責任とってよね」そんなことしなくても最初からターゲットなんですけど。