お題「尾鰭」「人参」「讃美歌」
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花滝ちかる @chikaru_toka

内気な幼稚園児の僕は、こっそり園舎の裏で賛美歌を歌っていた。 「あんたって、かしゅみたい」 振り向けば、同じクラスの女の子。 「なりたいけど…無理だよ」 「むりじゃないっ!あんたのうた、すてきだもん!」 あの日君がそう言ってくれたから。僕は歌手になって、今、僕の隣には君がいるんだ。

2019-09-21 22:01:24
RAY/※※※ @growler_ray

「はい人参買ってきたよ」 「え?人参?なんで…」 うん?昨日会社で死にそうになりながら電話に出たら電話口で「人参!」って連呼し続けてたから、帰れたら人参買って来いって意味だと思ったんだけど…。 「人参!人参!って昨日言ってたから……」 「違う!人参じゃなくて……その……にんし……」

2019-09-21 22:02:30
KTQ @wholiveo

尾鰭面倒くさい。懸想する女性に交際を申し入れて何が支障なのか。 巷でいうところのデェトなるものを取りつけたが、生憎と遊興先に心当たりがなく、行きつけの教会のミサに誘った。抜けるように高い天井に、響き渡るパイプオルガン。透き通る賛美歌に、彼女が泣いた。わたしは死んでもいいと思った。

2019-09-21 22:02:30
夢夜 @ruya_reve

#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 作中の讃美歌はカトリック聖歌332番『あめのきさき』です。 調べたわけではないのですが北極星(ポラリス)のことだろうな……と。 pic.twitter.com/9afbiRHjyi

2019-09-21 22:05:20
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夢夜 @ruya_reve

#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 様々な人魚伝説の都合のいいとこだけ継ぎ接ぎしました…… pic.twitter.com/xeBRSq2pkv

2019-09-21 22:07:00
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日引 @hibiki_ost

子供たちは大きな白い家で暮らした。野原を駆け回って遊んだ。にんじんを残した。お昼寝をした。賛美歌を歌った。隊列を組んで行進した。的当てや隠れんぼをした。彼の国の人々は邪教徒だと学んだ。旅立ちの日。彼らの背には、小銃と十字の金刺繍。聖なる子供たちよ、我らに光をもたらし給え。

2019-09-21 22:07:58
掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

鼻先の人参を海の中に沈めながら、馬が海面を覗き込む。すると、海底から大きな魚が登ってきた。「そっちはどうだ?」魚が問えば、馬は自嘲気味に鼻を鳴らす。それを見た魚は、大口を開けて人参を食べてしまった。そして、呆然とする馬に「餌と罠は見極めな」と声をかけ、尾鰭でぴちゃりと水をかけた。

2019-09-21 22:15:23
空川実栄 @sorakawa_mie

白い湯気が立ちのぼり、彼女は目を瞑った。丸眼鏡が白く曇る。「うわ」「あらイメチェン?」「そうだよ最先端ファッションだよ」眼鏡が透明を取り戻す。彼女はやけくそに言い放ち、おたまを手に取る。鍋に沈めて持ち上げる。汁に浸かるごつごつとしたじゃがいもに、まんまるの人参が二枚乗っていた。

2019-09-21 22:19:45
秋月蓮華 @akirenge

「こんな夢を見た」 「いきなり夢十夜だな」 絵を描いている美術部部長の少年が文芸部部長の少年に話しかける。 「 いつものように外に絵を描きに入った俺は沢山の尾ひれのついた人参が讃美歌を歌っているのは見た。人参の讃美歌だ」 文芸部部長は目を細めた。彼は言う。 「夢でよかったな」

2019-09-21 22:46:14