「さよなら」 「ありがとうございました」 実家へ帰郷するという。 お店に通っていたお客様。 僕は心を癒すカウンセラーの仕事をしている。 大学へ行けなくなった。数か月、良くなったり行けなくなったり。顔色に疲れも見えた。治してあげられない後悔が残って僕自身もどこへも行けなくなった。
2022-07-30 21:43:11絶対に帰郷しない、と勘当同然で上京したのは二年前のこと。そして今、実家で土下座している。生活苦で膨らんだ借金の肩代わりを乞う私。「いいから。ゆっくりしていきなさい」父が口を開いた。一番風呂に入ってドライヤーをかけていると夕餉の匂いがする。数ヶ月ぶりの飽食を目前にして胸が詰まった。
2022-07-30 22:00:03#深夜の真剣140字60分一本勝負 帰郷 私の故郷は飽食村というところだった。 都会に出て文明の利器である「ドライヤー」を引っ提げて帰って来たはいいものの…。 「んぐんぐ、なんね。ぼーっとしてねぇべはよ入りや。」 出迎えてくれた両親はドライヤーにも目もくれず食べ続けているのだった。
2022-07-30 22:00:06だから来ても良いことはないと言ったのに。洗面所の彼女の背をそっと見遣る。墓じまいで帰郷する俺に同行してきた婚約者は、宿の狭い内風呂と壊れかけたドライヤーに苦戦している。飽食暖衣に慣れた彼女に鄙びた田舎宿は辛いだろう。貴方の故郷をみたい、という優しい願いが変質していないことを祈る。
2022-07-30 22:00:45ドライヤーの温風を肌で感じ、髪を乾かしていると、時折過去の記憶が甦ってくる 今や風景すら朧気になってきている故郷、いつも私たちが遊び場にしていた場所には、火傷しそうなほど熱い風がよく吹くもんで、乾かすどころかいつも汗だくになってたっけ。 ……そうだね、今年くらいは、帰ってあげようか
2022-07-30 22:01:07参加させていただきます。いつも楽しいお題ありがとうございます! お題は 「帰郷、ドライヤー、飽食」でした! 四字熟語の暖衣飽食、今日調べて知りました!勉強になります😌 ドライヤーは壊れると髪が焦げるようになりますよね(体験談)🔥 #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite pic.twitter.com/rcKVlNpwrq
2022-07-30 22:04:18美しいオーロラは地球のどこででも見られるようになった。黒点が増えると磁気嵐が起こる。現代においては当たり前の気象現象だ。100年前から太陽活動は活発になり、太陽のくしゃみは僕らの生活を脅かす。#twnovel その日、大量の磁気を帯びた飽食の極光は、地球を飲み、僕らの生活を停止させた。
2022-07-30 22:07:42「ドライヤー?使わないからないわ」確かに濡れそぼったまま、首にタオルで歩き回る。「キャベツが安くて三玉買ったの。たくさんサラダ、食べてくれない」一抱え程のタッパーからオイルたっぷりの緑の山。飽食の象徴、冷蔵庫二つは満タンだ。断っても断りきれない。だから、千はあれ以来帰郷が嫌だ。
2022-07-30 22:12:11#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題 ①帰郷(ききょう) ②ドライヤー ③飽食(ほうしょく) #木槿国の物語 お供え物にもドライフルーツが使われるようになりましたね🥭 pic.twitter.com/fYKxtUSy2x
2022-07-30 22:31:00帰郷したばかりの俺は、母親と食事をしながら思い出話に花を咲かせている。 そんな時、母親が俺の小さい時のことを話し出した。 「いつもおねしょしてはドライヤーで乾かそうと……」 「母ちゃん、それだけは言っちゃダメ!」 そこには、母親が口にする恥ずかしい思い出を遮ろうとする俺の姿があった。
2022-07-30 22:37:31「ドライヤーしたる」 音信不通だった兄が8年ぶりに帰郷した。出ていった時と同じで、突然。 風呂上がりの洗面所で感動の再会。呆れ果てた俺は、なされるがまま髪を乾かしてもらった。 なのに。 翌朝、兄の訃報を伝える電話があった。 仕上げ、と言って俺の頭を撫でてくれた、あの冷たい兄の指は。
2022-07-30 22:38:51帰郷した娘は痩せこけていた。細い足首、くびれた胴に小さな顔。都会で羽振り良くやっているときいていた。飽食の果てにふっくらと太った姿を予想していたのに。可哀想に無理していたのね。 ありったけの田舎料理を並べる。そんなことよりドライヤーある? 高い靴が豪雨でぬれちゃったわ。
2022-07-30 22:40:01「ドライヤーを忘れてしまった」 何とかなるとして私は帰郷した。数年ぶりの故郷だ大丈夫ワクチン打った三回も。検査もし。帰郷が出来なかったのは某ウィルスのせいだ。 「帰ってきたんだね」 「ただいま」 故郷のパン屋はやっていてくれた。パンを買い込んで食べる。飽食。帰ってきたんだと感じた。
2022-07-30 22:45:16帰郷するたび、ドライヤーを持ってこればよかったと何度思っただろう。時間がゆったりと流れるこの村に身を置く母はドライヤーを使わない。タオルドライと自然乾燥だけだ。たまにはそんな生活もいいか、と割り切って冷凍庫のアイスを齧る。飽食するほど胃に収めた晩飯の後でもアイスは別腹らしい。 pic.twitter.com/bHbgTlIaoC
2022-07-30 22:47:12#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) テーマ「ドライヤー」 おやすみ。僕のお姫様。 pic.twitter.com/ZwaUBzdT1S
2022-07-30 22:52:53久しぶりに帰郷した山間の集落が随分と発達していた。 なんでも「ドライヤーのお陰」と口を揃える。 巨大な乾燥機で、破棄される食材を集めて乾かして、粉にしたのを肥料にして売ると。 素直に関心した。 自慢げに見せられた肥料の中に、衣服のボタンが混じっているのに気づくまでは。
2022-07-30 22:58:37