木霊は還ることなく

ぽんぽこタヌキ玉 @tanukidego

#金カ夢　#ogt 自分の持てる全ての手段を講じ、モブ主はogtの妻の座を手に入れた。結婚間近の恋人からの略奪。別れなければ双方の身内に何が起こるやも分からぬと吹聴した上の、全くもって悪役らしい卑怯な手段。自分の望みを叶えるためなら、悪魔に魂を売っても構わないほどに男に惚れ込んでいた。

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恋人である夢主の身を案じ、やむなくモブ主と結婚するogt。ただし、彼もただでは応じなかった。彼女と結婚する前に様々な誓約を弁護士を間にはさみ、用意周到に文書に残した。勝利に浮かれたモブ主は誓約書と、彼との婚姻届にサインした。「俺と結婚して、後悔しないな？」「もちろん」彼が微笑んだ。

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夫は優しかったが、どこか映画を見ているようにリアリティのない暮らし。モブ主の父親の後継者となるべく、彼は実によく働いた。周りは、素晴らしい夫を手に入れたと誉めそやす。でも、二人の間には子供ができなかった。検査しても彼女に異常はない。なら、考えたくないが、原因はogtの方では…？

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彼女の父親も怪しみだし、“種無しはいらない”などと古臭いことを言い出した。元々、娘の連れてきた男のことをよく思っていなかった。“後継なら、まだ候補もいる。別れろ。でなければお前もろとも勘当する”モブ主は慌てた。ogtを手放すことはできず、裕福な暮らしを捨てられない。彼女は一計を案じた。

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ogtに似た男が見つからなかったので、彼女は自分とよく似た顔立ちで、血液型がogtと同じ、親戚の男と関係した。これは上手くいった。モブ主はやがて、母親似の赤ん坊を産み落とした。「ははぁっ、あんた似の可愛い子だ」だが、ogtは生まれた子供を抱きもしなかった。

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忙しいogtは一年のほとんどを海外勤務で、モブ主の元にはほんの数日しか戻ってこない。子育てを家政婦とベビーシッターに任せ、やがてモブ主は寂しさを外に求めた。金で男の優しさと愛を買った。二人目をという親の言葉に、ogtが戻り、夫婦の務めを果たしたあと、巧妙に、再び別の男の種を宿した。

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海外に行く気にはなれなかった。向こうの人付き合いも面倒そうだったし、何より両親が娘と孫を離したがらなかった。だが、あれほど望み、手に入れた男は、なかなか自分の傍にいなかった。結婚前、母親が、「女は、愛されてこそ幸せなの。あの人は大丈夫なの？」と言っていた意味を、ようやく

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理解したその時には、結婚して25年が経とうとしていた。そして、ある日彼を嫌い続ける父親が、衝撃の事実を伝えてきた。海外に、ogtは別の家庭を持っていた。女はあの夢主！！怒りと衝撃に倒れそうだった。しかも、二人の間には既に、認知され、成人した子供が二人。父の雇った探偵が隠し撮りした

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写真には、彼によく似た面差しの青年と娘が、両親と仲良く並び談笑しながら街を歩く姿が写っていた。気が狂いそうな嫉妬。そして事実。「許さない……訴えてやる！！」

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だが、モブ主がかつて署名した、ogtとの誓約書がそれを阻んだ。法的に有効なそれ。“彼の自由を奪わず、選択を拒まず、彼の望むようにさせること”要約すれば、そんな誓いにモブ主はサインさせられていた。夢主にもogtとも処罰も慰謝料も叶わない。父親はその誓約書の存在と娘の軽挙妄動に怒り狂った。

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誓約を破れば、人生を賭けて手に入れた男がいなくなる。……逆に訴えられたのはモブ主の方だった。しかも、彼女の不貞行為自体は誓約書により禁じられていた。向こうが出してきたモブ主の子供、そのDNA鑑定書に青くなった。逆に多額の慰謝料を取られ、

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ついにogtに去られた。 財産分与も相当額が向こうに行き渡った。いつの間にか、ogtは海外で自分の新事業を立ち上げており、モブ主の父親の会社にいた、主だった社員を連れて行ってしまっていた。

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彼の残したダメージに、父親の会社はかろうじて倒産はまぬがれたが、経営を続けるためには、規模をずっと縮小せねばならなかった。モブ主は何とか勘当だけはまぬがれたが、不肖の娘と両親からレッテルを貼られ、元夫の血を一滴も引かぬ子供達と肩身の狭い環境で暮らす羽目になった。

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さらに数年が経ち、噂で夢主が死んだと聞かされた。「はは、天罰さ」年老いた彼女は嗤った。ほどなくして、彼も夢主の後を追うように死んだという。両親が死んだ時よりもモブ主は泣いた。もう、理由などわからなかった。

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その夜、彼女は古びた邸宅、喰わずかな時間しかogtと過ごさなかった寝室で、夢を見た。浅い川の中を歩いている。砂利の感触を足の裏で感じながら、はるか前を歩く、愛しい男の背中を追っていた。まだ若いogtの傍には、夢主が寄り添って歩いていた。二人の歩くと、その足元には白く光る花が咲いた。

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まるで、花の絨毯、白いバージンロードのように。 あなた、あなた…逝かないで。モブ主が声を上げても、二人はまるで聞こえないように、見つめ合い微笑み合う横顔をこちらに見せて、彼女から遠く、遠く、去っていく。

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間違ってた。私が悪かった。でも、私だって本当にあなたを愛していたの。本当に好きだったの。嫌われても、避けられても、あなたを手に入れたかった。どうか、それだけは。恋人たちの姿は、やがて光の中に溶けていく……。

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光が消え、暗闇の満ちた夢の中に残されたモブ主の嘆きは、いつまでもいつまでも、木霊となってあたりに響き渡った。

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……応えるものの、ひとつもなく。　　　　　　　（終）

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途中、入れるの忘れてたけど、ogtはモブ主との間に子ができないよう、うまく用心していたという……設定orz

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前に書いたものの、焼き直し💧