愛を知らない人魚は、それを知らなくともとてもうつくしくすんだ声を持っていたので、別に愛なんてなくてもヒトの心は動かせるし、惑わせることの出来るものだと思っていました。 「…歌えば心が落ち着く」 HAYATOと言う仮面被り、魔法を掛けられたトキヤ は歌う事は出来ました。
2020-05-26 12:30:36愛が左右する曲にヒトは感動したり、好感を覚えます。否、憶えます。 その曲よりも自分の価値観や感じ方に共感するからこそ共鳴し合い好感をもてるのです。それが逆に歌い手が愛を知らない人でも理想を語ればそれは理想なのですから、それも誰かに響いて好感を得て共感をされるのです。
2020-05-26 12:33:41こうなりたい、という。理想を描いてる人が既視感を覚えて。 そして二人は出逢うのです。それも魔法の解けてしまった後に。 「…すみません、ここに行きたいんですけど…」 容姿が夜を彷彿させると言われる自分とは違い、何もかもを照らす様なぱきりとした赤い色彩が、彼を一瞬捕らえました。
2020-05-26 12:37:54トキヤは人魚(仕事)の間、HAYATOだけではなく顔の上半分を覆うベネチアンマスクと言う仮面を被っています。彼の歌は人の心を惑わせました。金を積んで引き抜こうとする物もいれば、外の世界に持ち込もうとするプロデューサーの類、そしてその仮面の素(した)を暴こうとするもの。
2020-05-26 12:46:37トキヤはうんざりしていました。ですがそれも最初だけで今では上手く熟すようになっていました。薄らと貼り付けたとも見間違えるような綺麗な笑みで、この場所で歌う事に意味があり、聴いて欲しい人は此処を知ってくれた人だけで十分だと。 歌は彼にとって支えでした。
2020-05-26 12:49:59生き別れた兄の名前を捩り、歌を介して働いているのはその兄に会えるのでは無いかという淡い期待。それもいつかふつりと消えてしまう泡の様な願いなのだと、トキヤはいつの間にか諦観するようになっていました。 青と紫のライトに照らされ、煌びやかに夢と歌を奏でる高級ナイトラウンジ 【DAYDREAM】
2020-05-26 12:58:45Daydream 空想 白昼夢 そしてトキヤの務めるここは蘭丸がオーナー。 音也は学校でハヤトと友達である。 トキヤは夜の夢を見るために生活するために体を使う事もしていた、その時に囁かれる愛にうんざりして。愛なんて薄汚れた欲望でしか無いものを摂取したら自分まで穢れてしまう、
2020-05-26 21:30:11何時からか恋愛や愛と尊いと言われる物は彼にとっては肉欲や傲慢な感情でしかないと不特定多数の墨が吐かれてしまった。 美しい心のグラスいっぱいに溜まった水にそれは余りにも不釣り合いで重く、抱えきれないほど圧迫しては一度全ての水という感情を抜いて仕舞えば楽になるかと、
2020-05-26 21:34:12彼は例えるならば太陽のような、赤い目なのに優しさが含まれていて問い掛けてきた時も悪い人間では無い、と思わせられた。 「……ちなみにそこは会員制ですよ、招待されたんですか?」 「そうなんだよ!だから困っててさ、お兄さんここの会員じゃない?」 「成程。道が分からない、ではないのですね」
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