私が高坂麗奈を思う理由

Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

私は2016年の秋にユーフォを見て、DVD買い始めたんだけど、 最初のうちはこの大吉山で麗奈の言った言葉の意味が分からなかった。 なんでトランペットをやったら特別になるのか、皆目見当もつかなかった。 pic.twitter.com/uQjP2DXpZz

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2016年の12月に、ユーフォのDVDの３巻と４巻を買った。 で、冬季講習の合間を縫って、それを見てた。 大吉山のこの話が、４巻に収録されている第８話で、これを2017年1月6日に見た。

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翌日、授業で内田樹の「先生はエライ」という文章を扱った。 この文章は海陽中学の2015年度特別給費生入試で採用されていて、それまでも何度か授業で扱ったことがあったのだけど、さほど印象に残っていなかった。

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そこで、内田樹は、 技術には「これでいい」という究極がない、という。 究極の到達点がないからこそ、才能と労力をすべて傾けた人は必ず独創的になるのだと。 それを読んで、あ、って思った。 「独創的」を「特別」と言い換えたら、まんま麗奈じゃないか。

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トランペットを極めれば極めるほど、麗奈にしか表現できない音が増えていく。 麗奈は他の誰かでは換えのきかない存在になっていく。 特別になっていく。 それは特定個人にとっての特別ではなくて、この世界そのものにとっての特別で、 それを目指しているからこそ、麗奈はすごい。 pic.twitter.com/Z20kxnifWS

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じゃあ自分はどうなんだ。 そう考えたとき、ああ、私の仕事も同じだ、と気付いた。 うまくなればなるほど、私にしか出来ない授業になっていく。 生徒にとって特別な体験になっていく。 私の死とともに、その授業を出来る人はいなくなる。 そうか、私も頑張れば、特別になれるのか。

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そう気付いたときから、「響け！ユーフォニアム」は私にとって単なる好きな文芸作品ではなくて、特別な存在になった。 言い換えるとそれは、武田綾乃はその作品を通して特別な存在となったということ。

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麗奈というキャラクターの問題点は、その出自から特別だということで、 原作の久美子はそこを無意識に言い訳にしているところがあった。 麗奈はプロの音楽家の娘で、ずっとトランペット一筋にやってきた。 だからああなるのは当然なんだ、と。 そうではない自分と対比にしているところがあった。

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そこで出てくるのが佐々木梓。 何ら特別ではない家庭に生まれて、努力だけで麗奈の隣に立って見せた。 久美子が引いた境界線は梓によって破壊された。 あんなことされたら、もう、久美子は自力で麗奈に並ぶしかないじゃないか。 pic.twitter.com/HhFs1Ul6ON

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私が梓を魔王と呼ぶのは、彼女が、 「努力を重ねて特別な存在になる」 ことを体現しているからに他ならないのだけど （あと悪魔のリーダーになる人だからだけど） それはとりもなおさず武田綾乃の「特別」に求める要求の高さの象徴ということでもある。 武田綾乃、厳しい人だ。

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そんなわけで、私は辛いとき、忙しいとき、高坂麗奈を思い出す。