サカモトさんは次の日から引っ越しが決まっていてその日が告白するチャンスで 卒業式が終わる頃にふらっと学校に現れるいぞうさん、来てくれたんだってサカモトさんは嬉しそうな顔するんだけどどうにもいつもと様子が違う いぞうさんは手にじわりと汗が滲む感覚を覚えながら ちくとえいかって
2018-12-12 08:20:24不安そうな顔でサカモトさん見上げるので サカモトさんも分かったって答えるんですよね 二人きりで話したいっていぞうさんの希望で選んだのは結局サカモトさんの部屋で、ここならゆっくり話せるからってサカモトさん学校の友人達や先生との話も余りせずにいぞうさんを優先して帰ってくれる
2018-12-12 08:24:17いぞうさんはそれどころじゃなくてどうやって切り出すか 勢いだけで来たは良いがもし引かれたりしたらって以前からずっと考えてた事がまたぶり返して喉はカラカラだし 動かそうとした口はぱくぱくするだけで、でも今日言わなければリョウマはってじわりと涙が滲みそうになった辺りで
2018-12-12 08:33:50サカモトさんにゆっくりでいいから、ね って優しく肩を撫でられて なんか色々と胸に詰まったいぞうさんはサカモトさんの胸元にポス、と顔を埋める様に倒れ込み 最後やき、抱いとおせ…って震える声で縋る様に言う サカモトさんが何か返す前に口を口で塞いで 離した後雪崩れ込む用に押し倒して
2018-12-12 08:33:50すまんって泣きながら言って立ち上がろうとするもんだから サカモトさんはいぞうさんの手を引いて まあそのままなし崩しにセをしてしまう訳なんだなあ サカモトさんはずっと優しくて、心地良くてああこれがずっと隣にいてくれればと思うわけです で何もかもが終わってなにか話す訳でもなく
2018-12-12 08:37:28いぞうさんは逃げる様に立ち去っておうちに帰る 自室の扉を閉めた辺りでずりずりと崩れ落ちる様に腰を下ろして嬉しいのか悲しいのかもわからずポロポロ泣いて好きじゃってさっき言えなかった言葉を零して膝に蹲るいぞうさん最初で最後の淡い春は苦くてでも幸せな記憶と一緒に終わっていく訳です
2018-12-12 08:45:02結局あの後何か話せるわけもなく サカモトさんの見送りにも顔を出さず 親にもリョウマくん行ってまうよと言われ自室で膝抱えるいぞうさん 情けで抱いてもらった自分がどうして会えるんだと思いながら結局外にも出れず サカモトさんは東京に行ってしまったんだなあ
2018-12-12 08:47:51サカモトさんは引っ越しの後、後ろ髪を引かれるような思いでいぞうさんの家を見てから東京に行く はじめは引っ越しだ入学だと色々と慌ただしかっただがそれも落ち着いた頃にあの時の事を思い出す サカモトさんは流されるままキスをされ驚いていたけれど不思議と嫌悪感もなく、どうして手を伸ばして
2018-12-12 13:15:42しまったのだろうと自分でも良く分らない感情に悩まされる あれからいぞうさんとも連絡は取れなくなってしまい話すこともできなくなってしまった 帰省の折には会いに行こうとしていたけど毎回会うことも出来ず 引きずる様な気持ちで四年間を過ごす 気が付けば就職も決まって後は卒業を待つ春の夜
2018-12-12 13:15:42サカモトさんはごくりと乾いた唾を飲み込んで、ハッテン場の扉の前に立っていた 学生最後の休みに入った春 結局あの最後の卒業式の日を忘れられず、悩みに悩んだあげく僕は男が好きなのか?と言う所までたどり着き じゃあ試してみようと それで答えが分るかもしれないと思う訳です
2018-12-12 13:18:48恐々しながら入ると中はまあそういう所なので至る所から水音や声が響き渡る 踏み入れたことに後悔を覚えたが一通りみなければと謎の使命感で奥へと進む 声を掛けられそうになると笑顔で躱し、どっと疲れが湧いた ひとまず落ち着こうと奥の方に座るスペースがあり、腰を下ろして一息つく
2018-12-12 13:22:27もう、帰っても良さそうだと思う頃にはやっぱり誰彼構わずと言う訳ではなかったと気づくんですよね その場から立ち上がろうとすると、そっと肩に手を置かれ今日はもう、と断ろうと振り向くと 見知った、いやずっと探していた顔がそこにあった いぞうさん…?と声を出すと相手は
2018-12-12 13:25:27ニタニタ笑いながら、兄ちゃん一発どうじゃと後ろの扉を差す なして、だの分からんのか?と声を出す事もできず 無言を了解と取られそっと片方の手に指を絡められる 連れられる様に入った部屋でへらへらと笑ういぞうさんに、わしじゃ、リョウマじゃ 分からんがか!?と詰め寄ると
2018-12-12 13:28:22首に腕を回され倒れ込むようにベッドにいぞうさんを下にして倒れ込む 離そうとした口を塞がれて驚いていると性急な様子で腰を押し付けられるので待って、話を聞いてよとサカモトさんが体を話す なんじゃあ連れん奴じゃと言ういぞうさんには話がまったく通じていない
2018-12-12 13:31:35よく見ると目の焦点は全然合わないし様子がおかしい 嫌な予感を感じながら、いぞうさんもしかして良くない薬でも入れられてるのかもと考えてると今度は押し倒されて 驚いていると覆いかぶさるようにキスをされる いぞうさんは巧みに手を動かしてにゃあ抱いとおせ 足りんがじゃとしきりに
2018-12-12 13:37:24誘って来る訳で やめてくれと言おうとした所でカッと体が熱くなる 薬を盛られたと気づいた時には遅く、こんな形で二度目なんて望んでなかったのに でもここで突き放してしまったら本当に次は会えなくなるかもしれない 体が熱い どうにも出来なくてそのまま抱いちゃう訳ですね
2018-12-12 13:37:24焼切れそうな理性でなるべく乱暴にならない様にだけ気を付けて 荒い息だけ混ざり合う いぞうさんはもう快楽しか追えずこちらに目も合わせない事に気付いて、お願い こっちみていぞうさん にゃあ お願いやきと縋るように声をかけると背中に腕を回されてりょうまあと泣く様な声で言われるのであった
2018-12-12 13:42:49一発終って落ち着いて冷静になってきたサカモトさん、体は熱いままだけどこのままではいけないといぞうさんごと持帰る いぞうさんは抵抗されるかと思ってたけどへらりと笑ながらついてきてくれる タクシーに乗ってヘロヘロで帰る頃には吐く息が熱くて仕方ない
2018-12-12 15:57:09ここで待っててとリビングに通すとおぼつかない足取りでトイレに向かうとする パシリと腕を掴まれてせんがか、と不安げで、でも射貫く様な視線で見つめられる ビクリ、とその感触だけで体を震わせるサカモトさんだけど、君の事が大切だから と俯きながら耐える様に震えた声で言う
2018-12-12 15:57:09いぞうさんはええよ、と言うと腕をつかんでいた手を伝うように滑らせて指の先を掴むとサカモトさんの肩口に顔を埋める おまんにされるなら、ええと余った腕を背中に回すんですね サカモトさんはぶち、と何かが切れるような音が聞こえた後自分が何か呟いた気がする事だけ覚えて視界が暗転する
2018-12-12 16:02:14目が覚めると部屋には朝日が差し込んでいた いつの間に家に帰って来たんだと考えていると酷く頭が痛む 例の場所に行って自分の気持ちを確かめるために…と順を追って思い出していると昨日の出来事をじわじわ思い出す そうだ、いぞうさんに会って…と行きついた所でごそりと隣で布が擦れる音がする
2018-12-12 16:40:25驚いて隣を見ると酷く悪い人相で起き上がるいぞうさんの姿が 体中に赤い痕や歯型が残る体をみてサカモトさんは全部思い出しちゃうんですよね 頭を抱えたくなる衝動を抑えてもう一度いぞうさんを見ると、今度は向こうが顔を青くしながら驚いたようにどういて…と呟いた後酷く顔をしかめて
2018-12-12 16:40:25トイレ貸せと言うので案内すると盛大に吐いてる音が聞こえて今度はホントに頭を抱える羽目になる 吐くくらいなら声を掛けないでくれとも思わなくなかった 死にそうな顔をして出てきたいぞうさんに水を渡し、少し話をしようかと お互い暗い顔でリビングに向かうのであった
2018-12-12 16:40:26どう話しかけて良いかもわからず二人の間に静寂が流れる どういて、と言い出したのはいぞうさんの方だった あがな場所におったがじゃ…と聞かれた言葉に、確かめたかったんだと返す 何を キミのことを はあ?と言ういぞうさんの顔は困惑まみれで ぽつぽつとサカモトさんは話し始める
2018-12-12 16:49:14卒業式の日、覚えているかい?と聞くといぞうさんは酷く顔を顰めたがそのまま続ける あれからずっと忘れられなかった、なにかを考える度にいぞうさんの事を思い出して 会って話がしたかった、気持ちを確かめたかったのにいぞうさんは全然会えなくて だから、男だけでも平気なのかどうか知りたくて
2018-12-12 17:04:25多少無理やりではあったけどね と苦笑いするサカモトさん まさかいぞうさんがいるだなんて思わなかった 結局最後まで気づいて貰えなかったけどね…と言うと、いぞうさんがそ、れは と歯切れ悪く返す いぞうさん、何か悪い薬でもやってるんでしょうと言うと声の出ないまま口を動かしてそのまま
2018-12-12 17:04:25俯いたのを見てやっぱり、と大きくため息をついた いぞうさんはどうして と聞くとあ、だのう、だの言葉に詰まる 辛抱強く待っていると決心したようにおまんの所為じゃ…と切り出した おまんが、あの日に突き放さんで優しゅうなんてしおるきに 腹の底に残ったまんま消えんくなってしもうた
2018-12-12 17:04:25相手してもろうちょる時が一番気が楽じゃ 薬もろうたんはあんまりにもぞうくそ悪い顔しちょったからかの 飛ばせば楽じゃろうて いぞうさんの告白を淡々と聞くサカモトさんは分かってはいたけれどもういぞうさんは何度も色んな人と相手をしていたんだと、自覚するたびに心の奥が引き攣る
2018-12-12 17:04:25もう、薬も、あんな場所に行くのもやめてくれと喉元まで出かけた言葉に自分にそんな事を言える資格が無いとはっとした それと同時に、もうどうしようもなくいぞうさんの事が好きなんだって気づいちゃうわけですね その間無言だったサカモトさんにいぞうさんははは、と乾いた笑いを見せて
2018-12-12 17:22:40もうえいじゃろ と立ち上がるいぞうさんに待って、と引き留める いぞうさんは苦しそうな あの日みたいな泣きそうな顔をして これ以上わしを惨めにさせんでくれと言ういぞうさんの手を絶対に離さないとばかりに強く握って、おねがいじゃ 今度は間違えん、傍にいさせとおせ
2018-12-12 17:22:40顔見上げるとふるふると首を振るいぞうさん あんときのわしとは違う もうおまんが知っとるいぞうやないって言うと 変わらんよ いぞうさんはいぞうさんじゃ、握った手を徐々に優しく包んでいく 好いちゅうよ、と言った後にはいぞうさんがぎゅ、と目をつぶり ポロリと零れる様に涙をこぼす
2018-12-12 17:22:40わしをいぞうさんの恋人にしてくれんがか、と聞くと肩口に頭をうづめて好きにせいと 震えるような小声で言うので サカモトさんはぎゅうと抱きしめたのであった おわり
2018-12-12 17:27:51さて、この話続きがあって晴れて恋人になった二人 そのままもうワンランウンド位行きそうだけど流石に無理 いぞうさんは腰重くて動けないしサカモトさんも副作用だかで身体が重い いぞうさんこの後予定は?って聞くとなんもと言われるのでベッドで二度寝をしてほしいじゃん
2018-12-13 01:36:52寝直してからは割とせこせこ世話を焼かれる訳ですけど、ひと段落着いた後ニコニコしたまま手を差し伸べられる なんじゃあ?と思っているといぞうさん、薬 もう要らないよねって言われる あ〜と間延びした声が出た後、財布の中、ズボンのポケット タバコの箱、ポロポロと色んな場所が出てきて
2018-12-13 01:51:54もうそれは大きな溜息がでた いぞうさんはバツの悪そうな顔をしているので起こした体ごとぎゅっとした後、これからは自分の事、大事にしてよ と言われて…おんとしか言えなくなる訳です 幸い強い薬では無かったのと、服用し始めてそんなに経って無かったので禁断症状とかは出てない
2018-12-13 01:51:54けれど快楽中毒者である事は違わないのでこれから改善が余儀なくされちゃうんだな 抱きしめられてた腕を離されて、じゃあ僕捨ててくるからねって言い残してサカモトさんが部屋を出た後 本当に恋人のつもりか?と大きく息を吐いたいぞうさん 顔が熱くて仕方ないのをどうにか冷まそうと必死なのであった
2018-12-13 01:51:55いぞうさんと恋人になれてから数日、サカモトさんが休みなのもあってそれはもう毎日会う訳じゃん はじめはどうしたもんかと思ってたけどそもそも幼馴染だし話す事は沢山あるし普通に友人としても付き合えるわけです で、普通に話してる途中でちゅ~とかされて笑われるとマジでいぞうさんの
2018-12-13 14:35:54心臓が持たないので泣いてたりする サカモトさんは好きだって自覚してからはグイグイくるし愛情表現が素直 で、段々慣れてくると相手の癖だとかも分かってくる いぞうさんは照れると必ず怒るか俯くし、どうにもできない時は顔が見えない様に肩口に顔を寄せたりするんですよね
2018-12-13 14:35:54浮かれポンチで恋人生活を満喫するんですけど、サカモトさんは割と1度目も2度目も成り行きでヤッちゃった事を後悔しているので次こそは大事にしたいと思ってる為中々手を出してこない そういう雰囲気になってもぎゅうと抱きしめられてごめんねって謝られる 別にいぞうさんはそんなに大事にするもの
2018-12-13 14:54:47でもないと思ってるし、どちらかと言うとそのまま進んでしまいたいとやきもきしてる 一度だけ別にもう大事にするもんでもないって言っちゃった時はすごく悲しそうな顔をされたので口を噤んでいる いぞうさんは卒業式以降何をしてもつまらないし、18で就職したはいいものの続くわけもなく
2018-12-13 14:54:4819でふらふらとし始め家にも居づらくなって上京しちゃう もう会うことも無い男を追ってるとは思いたくないけれどすれ違う位は許されるんじゃないかって思ってれば良い そのうちバイトも始めるけど上手くいかなくて、真夜中にたまたま通りがかった公園の近くで○円でどう?と聞かれお金も無ければ
2018-12-13 14:54:48持つ矜持もなかったいぞうさん、身売りの道に走るわけじゃん はじめは苦しくて仕方なかったけど、あの日幼馴染が抱いてくれた思い出だけが心に残って離れないし、いつしかそれだけが活きる意味になってたかもしれない そんな話を聞かされて大事にしないわけないんだよな、サカモトさんが
2018-12-13 14:54:48でもいぞうさんにも我慢の限界があるわけで(出来る量は少ない)丁度一ヶ月経ったくらいに、わしよう待ったほうじゃろうとサカモトさん押し倒して上に乗っかる サカモトさんが困惑してる間にどんどん服脱いで行くいぞうさん 力の限りで起き上がってを腕を抑えるとそんなに嫌かって聞かれる
2018-12-13 15:05:54わしにはこれしかないき、どうすればええか分からん…ってまた肩口に顔を寄せる それにサカモトさんが強烈な既視感を覚えて思い出すわけじゃん、学生の時も 二度目の時も、必ず不安なときは頼っていてくれていたのに 倒れ込んできたいぞうさんの背に腕まわしてごめんね、不安にさせたって言うと
2018-12-13 15:14:56別に…ってぶっきらぼうに返す彼を本当に甘え下手で不器用だなって苦しくなる もう何回目か分からないけれど、君を貰ってもいいかい?と聞くとあんときから、全部おまんのもんじゃったって笑うので ずるいなあと優しくキスをして押し倒すのであった 後付けおわり
2018-12-13 15:14:56そういえばサカモトさん、教科書から消えるかも知れない問題、どうなったか分かんないけどもしもサカモトリョウマが教科書から消えた世界では 日本の人口の殆どが彼らの名前を知る事なくサカモトリョウマも、オカダイゾーも大仰な名前だけどいなくはない普通の人に帰るのかと思うとちょっとエモいな
2018-12-18 00:58:59教科書から消された瞬間は爆笑モノだし、本人はまあ大それた事ではないからね、とも言ってるけど覚えてる奴が近くに居ればそれで良いんだよ エモだな
2018-12-18 01:01:31ところで普段スーツのスの字もないいぞうさんが他人の葬式でスーツ着せられて礼儀正しくしてるのしこたま興奮する 背筋とかピンと張ってて、髪の毛だけなんかだらしない感じ
2018-12-17 08:20:37