リクエストありがとうございます
0
ななし @m22461722

気配を感じるも立ち上がれない。蹲ったまま呻き、歯を食いしばったまま足の指を押さえつけて一時の痛みから逃げようとした。勿論逃げられるはずもないが。 「大丈夫かい?」 布ズレの音と伸びた腕の墨のあと、覗き込む黒い瞳に下がりきった眉尻。満将軍、と名を呼べば顔が明るく輝いた。

2020-01-07 21:44:28
ななし @m22461722

「よかった、気絶しているのかと思ったよ」 「いや、まぁ、した方が、ある意味楽だったかも分かりませんが、」 「こんな所で座り込んで、…具合が悪いのならば部屋まで送ろう」 「いや、まぁ、…ふー…大丈夫です。はい」 遠ざかる痛みに浮かんだ涙を拭う。大袈裟だと笑われるかもしれないが、今まさに

2020-01-07 21:47:00
ななし @m22461722

生命の危機を迎えていたのだ。足の指を、床に散らばったよく分からない部品にぶつけ、頭のてっぺんまで痺れていたから蹲るしかなかったのだ。 その部品が転がる場所は他でもない満寵の部屋なのだが、 「片付けるとお聞きしましたが」 「えっ?あ、あーうん、…頑張ってはいるんだけれど」

2020-01-07 21:49:58
ななし @m22461722

「頑張っては?え?始めたのは2日前ですよね?」 「あーうん、うん、いや、聞いてくれないか、つい閃いてしまって」 「その閃きに私の、足指が、犠牲になったんですよ!」 見てくれ、血豆が出来てしまった!滲む血と赤黒い指を忌々しげに指さしながら、狼狽える満寵の顔を見た。

2020-01-07 21:53:21
ななし @m22461722

「……すまない」 「謝罪は結構です。まずはこの部品を片付けましょう」 「はい…」 「それが終わったらここに布を引きましょう。その上になら、広げても問題ありませんから、」 キョトンと目をまん丸にして、数秒の沈黙の後に大きな手が頭に触れた。 「満将軍!」

2020-01-07 21:55:55
ななし @m22461722

抗議するまもなく優しい振動に目が回る。よしよし、そんな能天気な声すら聞こえてきそうで、思わず腕を掴んで睨みつけると 穏やかに微笑む顔が、 「…ありがとう、助かるよ、とても」 本心だよ?そう言って見せる白い歯の眩しさよ!この笑顔の前では、棚の角にぶつけた足の指も、部品を踏んづけた痛み

2020-01-07 21:58:44
ななし @m22461722

すらどうでも良くなってしまう。安い女だこと!

2020-01-07 21:59:28
0
まとめたひと
ななし @m22461722

\( Ö )/ (Copyright (C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.)