もちべは激怒していました。 あるじが外出に連れて行ってくれなかったのです。 スケへし「仕方がないだろう。今回の外出は荷物が多くなることが分かっていたから、お前を途中で鞄から落としてはいけないという主のご配慮なのだから。」 もちべ「それはそうだけど…でも…でも!」 pic.twitter.com/PowFOmyLLZ
2020-08-10 21:39:52顕現したての若いもちべは、やりきれない思いを抱えて部屋の中を高速でローリングしていました。 そこへスワへしが部屋に戻ってきました。 「あっ、危ない!!」 スケへしが叫んだときには時既に遅く、部屋に入ろうとしたスワへしともちべは激突してしまいました。 「スワーーーーーッ!!」 pic.twitter.com/7n19rAqhuR
2020-08-10 21:52:14スワへしは撥ね飛ばされ、本丸の庭に落下しようとしていました。 その時、スワへしを白い布が覆ったかと思うと優しく包まれ、静かに地面に下ろされました。 pic.twitter.com/FyXEOgKrTl
2020-08-10 22:05:02白い布は1ヶ所へ戻っていきます。 その先には白い布を纏った小さいものが立っていました。 「あれは…監査官…?」 スケへしは呟きました。 「いや、焼き討ち検査官だ。」 謎のものは答えます。 スワへし「検査官?」 謎のもの「焼き討ち菓子を食べる専門ってことだ。」 pic.twitter.com/B5wC61R97h
2020-08-10 22:21:28「ほうきで掃かれた床やお庭。へしの森はねんこえ邸への経路を一時的に開く。」 その時ふわりと風が吹き、謎のものの顔が見えました。 スワへし「夏へし!」 その正体は、へしの森に住まう四季の精霊のひとりである夏へしだったのです。 pic.twitter.com/sZuihnTgu9
2020-08-10 22:33:01夏へしは警戒心を露にするもちべに話しかけました。 「そこのもち、怒っているな。あまり怒っていると焼き餅になってしまうぞ。気分転換にお出かけしてはどうだ?ねんこえ邸の庭で年に一度の祝祭『ミッドヘシー』を開くんだ。スウェーデンで極修行した冬へしプロデュースのお祭りだぞ。」 pic.twitter.com/25e3iuYdKQ
2020-08-10 22:54:32スウェーデン、ミッド、祝祭…。 もちべは不吉な予感がしました。 それは昔の恐怖映画の内容とよく似ているように思えたのです。 もちべは怒りをすっかり忘れ、恐ろしさに震えました。 pic.twitter.com/bE6XFHbAkW
2020-08-10 23:05:30「い、いやだ!そんな恐ろしげな祭には行かないぞ!」 もちべは怯えながら抗議しました。 夏へしとスワへしは不思議そうな表情でもちべを見ています。 「行って来たらどうだ。夏へしのいう通り、出かければ良い気分転換になる。祭りなら尚更だろう。」 スケへしが助言しました。 pic.twitter.com/0J9U8AFSY3
2020-08-10 23:37:19スケへしが余計な一言をリリースしたおかげでもちべはミッドヘシーに参加することになってしまいました。 怯えるもちべにスワへしが話しかけます。 「もち、お前何か勘違いしてないか?ミッドヘシーは」 「では行くぞ!」 スワへしの言葉は途中で夏へしの掛け声に遮られてしまいました。 pic.twitter.com/Q3BoJqKjsL
2020-08-11 00:08:47夏へしの掛け声と共に夏の風が巻き起こり、3にんを包み込んだかと思うと次の瞬間には森の中へ着地していました。どうやらへしの森へ移動したようです。 pic.twitter.com/tZptsD8ndE
2020-08-11 00:46:09着地した場所はねんこえ邸の前のようでした。 冬へしが3にんを出迎えます。 「おかえり夏へし。ようこそスワへしともちべ。今秋へしが祝祭の食事を用意しているから、できるまで待っていてくれ。案内しよう。」 pic.twitter.com/QInql3GcBt
2020-08-11 00:56:35冬へしは長テーブルのある庭へもちべとスワへしを案内しました。 冬へし「ここで待っていてくれ」 スワへし「はーい」 もちべ「…ハーイ…」 夏へし「はーい!」 冬へし「……」 pic.twitter.com/N8GV0mqfPC
2020-08-11 15:22:42「お前は!手伝う側だろ!何客のふりしてるんだ!」 「はっはっは」 冬へしはぷりぷり怒って夏へしを引っ張って行きました。 ねんへしたちと入れ違いにほっきょくぐまのぬいぐるみが庭にやって来ました。 pic.twitter.com/RhxrLG4rbb
2020-08-11 15:27:55「あれ?政府のくまさん?」 スワへしはくまに話しかけました。 「それはぼくの兄だね。ぼくはパン屋通りに住むほっきょくぐまだよ。ミッドヘシーのために、美味しいパンを持ってきたんだ。」 「へー………はっ!」 何となくその会話を聞いていたもちべは、あることを思い出しました。 pic.twitter.com/0Mg9K2isPa
2020-08-11 15:40:25「逃げようううう~~~~!!!」 もちべは泣きながらスワへしとほっきょくぐまに飛び付きました。 「何だどうした!?」 スワへしとほっきょくぐまは困惑しました。 「おれたちの命が危ないいい~~!!!」 pic.twitter.com/BypWpXOvks
2020-08-11 16:00:30狼狽して帰ろうとするもちべを、スワへしとほっきょくぐまは捕まえようとしますが、もちべの機動の高さについていけず、ほっきょくぐまはひっくり返ってしまいました。 スワへしが何とかもちべを押さえ込みます。 「はーなーせーよーー!!」 そこへ食事の準備を終えた秋へしがやって来ました。 pic.twitter.com/AlDxsjipZF
2020-08-11 16:08:26「こらっ。お食事の場で手合わせするんじゃない。お行儀が悪いぞ。」 嗜める秋へしにもちべは食って掛かります。 「おれたちを生け贄にするつもりだろう!あの映画みたいに!あの映画みたいに!!」 pic.twitter.com/ygTfokCEQu
2020-08-11 16:13:16暴れるのをやめて泣きじゃくるもちべをスワへしとほっきょくぐまが宥めています。 秋へし「夏へし、ミッドヘシーの説明をもちべにしていないのか?」 冬へし「この名前のせいで熱い風評被害が続出してるんだから、事前説明をしておけと言っていただろう。」 夏へし「へへ。うっかり。」 pic.twitter.com/klQsh9dGZC
2020-08-11 16:25:16冬へし「いいかもちべ。ミッドヘシーとはな、ねんへし初販の発売月が9月。」 夏へし「ねんへし再販の発売月が6月。」 秋へし「こえへしの発売月が7月。」 冬へし「つまり8月はねんへしとこえへしの真ん中バースデイ月ってことだ。略してまんバだ。」 pic.twitter.com/SRFAam1aa4
2020-08-11 16:48:05ミッドヘシーとはねんへしとこえへしの真ん中バースデイ月を祝う祭だったのです。 もちべは気が抜けてしまいました。 秋へし「さあ、くまさんが持ってきてくれたミルクティー味の猫型食パンを食べよう。チョコレートで顔も描いたぞ。」 pic.twitter.com/JUOmZfmw7f
2020-08-11 17:30:02一通りお食事を終えた後、スワへしがポツリと疑問を口にしました。 「そういえば春へしはどうしたんだ?」 その時春風がふわりと巻き起こり、旅装束を身に付けた春へしがみんなの前に姿を現しました。 春へしは極修行に行っていたのです。 pic.twitter.com/29F7KORyoh
2020-08-11 19:29:27春へし「過去を清算してきた春へしです」 冬へし「えっ過去に何かあったっけ」 秋へし「骨肉の遺産相続争いに巻き込まれたんじゃないか」 夏へし「心酔する上司に横領の片棒を担がされたんじゃないのか」 pic.twitter.com/M8fFKkdPYS
2020-08-11 19:37:42春へし「お前たち好き勝手言って!ちょっと言ってみたかっただけだ。それより夏へし。ミッドヘシーの連絡をゲストに対して怠ったな。そんなことで良いビジネスへしになれると思ってるのか。」 夏へし「何いー!?ちょっと修行に行ったからって偉そうに。ミスを憎んでへしを憎まずだろ!」 pic.twitter.com/8Sl66xeHet
2020-08-11 19:42:45春へしと夏へしが言い争いを始めたので、秋へしと冬へしはふたりを放って招待客たちに今日のお礼を言いました。 もちべは色々情緒は乱れたけど来年のミッドヘシーにまた来たいと思いましたし、もち誕生祭も開いてみたいなと思いました。 〈終〉 pic.twitter.com/Vo8ljPDGGB
2020-08-11 19:53:28