第120回深夜の真剣140字60分一本勝負

松岡 9JIRA @aoarup

○雨の公園 　　ＯとＪが傘を差し、アジサイを見つめる。 Ｊ「アジサイの花言葉は『貴方は冷たい人』」 Ｏ「君は博識だね」 Ｊ「花びらに見えるのは、昆虫を誘引するための”がく”。嘘つきの花。私は嫌い」 Ｏ「僕は好きかな。この花に惹かれてる。虫たちのように」 Ｊ「私にとって、貴方は冷たい人ね」

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

君はベッドで囁く愛を、優しい嘘だと思っている。そして、そんな自分に酔っている。「好きだ」君は私の湿った目元を指輪のついた指でなぞると、今夜も綺麗に笑う。そうして事が終われば隣で熟睡するのだろう。ねぇ、相手に信じ込ませる気がない嘘は、言わない方がいいわ。それじゃ、ただのお笑い種よ。

RAY/※※※ @growler_ray

朝焼けに思う。 いつもいつも、大切な事を、自分にとって大事なことを。これは誰にも何にも邪魔されない、自分だけの時間。 でも、いつの日かその時間にあなたが割り込むようになってきた。姿が残り、声を聞かせるように。 けれど、それを消したりはしない。 これからは、あなただけを 朝焼けに想う。

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

「好きな人ができた」君は湿った目元を隠し、ぶっきらぼうに言った。嘘だと分かった。私を案じる君らしい、優しい嘘だと思った。優しくて、独りよがりで、無責任な嘘だと思った。だから私は君の手を取り、言葉の真意を問う。私の愛を伝える為に。共に生き、共に苦しむ為に。 死んでも離れてやらない。

ゆきやまイマ＠鶏林書笈 @keirin_syokyu

#深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite お題：やさしい嘘、朝焼けに思う、湿った目元 #木槿国の物語 pic.twitter.com/UHtcktypYd

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うたこ💉 @utako_st

就職戦線を勝ち抜き憧れの業種に潜り込んだものの、連日の失敗で心がすり減った。梅雨空が街も心も濡らしていく。だが今朝は晴れた。梅雨の晴れ間の朝焼けに思う。今日こそノーミスで仕事を終えるぞ、と。朝の容赦ない銅色があの思いを連れてきた。学生の時このビルを見上げて戦いを挑んだ日の思いを。

紅月シオン @lunser5

とある暗殺者の苦悩の話 #深夜の真剣140字60分一本勝負 ( @140onewrite pic.twitter.com/olkr4FC1iU

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秋月蓮華 @akirenge

「恨まないよ」 なんて、君についた嘘。優しい嘘かどうかは知らない。 復讐しないでとは言っていたけれどそうはいかない。 朝が来る。朝焼けに想う。 僕は湿った目元をぬぐう。君の墓の前を去る。 気味を失った世界で、君を失わせた世界で、 僕は僕の気持ちに決着をつけるために 世界に、復讐する。

ケンタシノリ＠童話＆小説書き屋さん @kentasinori

鏡を見ながらメイクを行うのは、楓にとって出勤前の日課である。目周りにパウダーを使うのは、湿った目元だとメイクが滲むからである。マンションを出て会社へ向かうと、今夜デートの約束をしている彼と出会った。彼はその場で告白したいと花束を持ってきた。いきなりの告白に、楓は戸惑いを隠せない。

缶詰みかん @Zhs686CSzE02Dl1

俺は根っから嘘つきの詐欺師だ。 でも彼女の前ではせめて正直でいたかった。 ある朝、家に警察が来た。 「ちょっと買い物に行ってくるわ」 初めて彼女に嘘をついた。 服役から帰ると彼女が待っていた。 「買い物ありがとう。あれ？財布忘れたの？」 彼女の優しい嘘が俺を嘘つきから守ってくれた。