意識を捨てた就活生森山

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

うわっ。何かダジャレお気に入りしてるし変なリスト作ってるし、ホームがオレのアレな話で埋まってるぞ… この度めでたく森山bot界一のクソ野郎になってしまったわけだがオレは強く生きていく！ ただいま、オレの彼女()達！ったく、今吉といい笠松といオレをサゲすぎ。もっと褒めてくれたって…

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オレが悪いね？

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@tos …スタバのドリンクくらい、いくらでも奢るけど。

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入部早々“期待の新人”なんて呼ばれて舞い上がったっけ。初めてのエースだった。以前、帝光にいたという監督は寛容な人で、(女子が見学するスペースを設けたいと言ったときはさすがに怒られたが)フォームに関してもとやかく言わず、「個性を磨いて一流になった選手もいる」とむしろ褒めてくれた。

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しかし、エースがオレなんかのようじゃ強豪校には全く歯が立たなかった。自分で奪って自分で切り込んでいける選手なら良かった。オレはSGだからボールが回ってこないことにはどうしようもない。ちょっとカットが上手いヤツがいればもうおしまい。今まで海常の皆が引っ張ってくれていたのを痛感した。

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とりあえずパスが回るようにせねば、と監督にPGのスカウトを提案した。「そうだな。本当ならお前と一緒に正邦の春日に入ってもらおうと…」という監督の話を最後まで聞かずに、その日は部活をサボって体育館を出た。

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ある程度の目星はつけていた。PGで1コ下でまだヨソに取られてなさそうな選手。 誠凛の伊月だ。 オレは持ち前の行動力を発揮し、誠凛高校へと向かった。

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黄瀬が…誰だっけ、まあいい、透明少年？をスカウトしに突撃したと聞いたときは引いたもんだが、今思えばオレも黄瀬とそう変わんねーな。苦笑

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いざ伊月を前にし、グッとくる勧誘の言葉を考えてなかったことを後悔した。女性を誘う手口…じゃない、台詞の引き出しはあれど、スポーツに誘う台詞は検索したことがなかった。残念ながら脳内にはサザエさんの中島しかソースがなかったので、オレは伊月に言った。 「伊月、一緒にバスケやろーぜ」

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「はい、オレなんかで良かったら」 3回目の誠凛訪問だったかな。結果的に、日本の伝統的なスポーツの誘い方は成功した、と言って良いだろう。そーいや、カツオが断るとこあんま見ねーもんな。 後日、監督から正式にスカウトしてもらい、次の年、ウチのバスケ部は格段に強くなった。

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それでもPG加入だけじゃDFがからっきしのままだ。いくらシュートを打っても、その分を取り返されれば負ける。得点力が高いチームには勝てなかった。翌年はCの先輩が引退ということで丞成の鳴海を獲得。緑間や五将(最近はこの呼称使わないが)がいるとか特別強いトコでなけば勝てるようになった。

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(身体が軽い…) (こんな幸せな気持ちで戦うのは久しぶりだ) (もう何も恐くない) (オレは一人じゃない！) 勝てる。それだけで海常のバスケが戻ってきたようだった。 ──何も解っていなかった。キセキを得ることの意味も、その代償も。

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年功序列と過去の実績からオレが主将になるのは必然だった。最初は主将をやればモテそうだし張り切っていた。でも、試合前にいいことを言おうとしても、増えた部員をまとめるのも、何もかも上手くできなくて… だんだん、自分に自信が持てなくなった。オレに出来ることは何もないんじゃないか、って。

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笠松がバスケ辞めたのを知ったのも確かこの頃で、就活も始まって…ずっと周りを見る余裕がなかった。かつてのイメージとのズレにイライラした。 人の気持ちを汲み取るのは、どっちかっつーと得意なはずだったんだけどな。泣きじゃくる伊月を見て気づいた。伊月を伊月として見たの、今日が初めてだ。

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伊月が“嬉しかったんですよ”って言ってくれて、オレも、その、 嬉しかったんですよ。 …と。 本人には言わねーけど。

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「起っきろー」 青いシーツの真ん中で毛布にくるまってる伊月に声をかける。 「んっ…」 「シャワー浴びてこい」 毛布を剥ぎ取ろうとしたら飛び起きた。 「家に連絡してない！ 親心配してるかも…」 「昨日お前メシ食いながら寝ちゃったから…大学生なんだし大丈夫だろ」 伊月って箱入り息子？

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カーテンを開けて部屋に光を入れると、昨晩の跡が痛々しく映って目を逸らした。

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「悪趣味なピンク以外の選択肢ないんですか？」 伊月がオレのセーターを着ると、ちょうど女の子ゆるふわニットみたいで笑えた。 「似合う似合う。ちょっとこわいくらい」 「…どういう意味ですか」 「ピンクの似合う男性に女の子はキュンとするらしいぜ？」 「詳しくはwebで？」 なぜバレた。

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「昨日は突然泊めてもらっちゃって…すみません」 玄関先で伊月が足を止める。律儀なヤツめ。 「気にするなよ。一人暮らしだし」 「その上、何から何まで用意してもらって」 いや、オレの方こそ何から何まですみません。正直、自分がクソヤローすぎて思い出したくもないです。ははは…

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「びえっ」 「悪い。オレの手冷たかった？」 「…びっくりしただけです」 外の光で見るとますますその真っ赤な跡が気になった。 「そんなに腫らして目見えてんのか？ 昨日ちゃんと冷やさないで寝たから」 「ビジネスライクな対応ですね」 「違う、」

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「お前の武器は視野の広さなんだから大切にしてくれ」 「…あ」 伊月が顔を上げる。どうやら伝わったらしい。何だか照れくさい。 「…今のところは、これでいいか？」 「森山先輩にもそうゆう感情あるんですね。らしくないぞっ」 オレを何だと思ってんだ。 伊月が楽しそうだから、まぁいいか。

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そうだ。駅まで伊月を送りがてら、フラペチーノ買ってやろう。

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「どうゆう風の吹き回し？ 急に奢るだなんて。森山ビンボーそうなのに」 「就活やめてる間、短期で稼いだから大丈夫！」 「なら今日は貯めた費用が消し飛ぶくらい食べようかな」 「んなこと言って小堀は身長の割に食わねーだろ。あ、レモンサワーお願いします」 居酒屋の店員は男だった。残念。

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「今度は飲み過ぎるなよ。前に就活休憩したときもヤケ酒したろ。連れて帰んの重かったんだからな」 「…伊月を連れ回したときか。http://t.co/3GY4QUfhHL いつも迷惑かけて悪い。苦笑」 そういえば、小堀と伊月のツーショットをオレは一度も見れない。これも運命ってヤツか？

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「それより小堀、また就活始めようと思うんだ」 「じゃあ、また掃除くらい手伝いに行くよ」 「それはもういい。オレ…今まで小堀に頼りすぎてたよな」 小堀が頼んだウイスキーは全然減ってなかった。 「それはオレの方。森山が弱ってるときに、甘えたんだ」 オレはもう酔いつぶれたりしないのに。

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「あの日、見送った黄瀬は全部がキラキラしてて、就活のシュの字もない世界にいて、笠松も就職決まったって聞いて、情けなくなったっつーか。だからって何もしないのは違うよな」 「森山のくせに意識高いこと言ってる。笑」 「茶化すな」 「この間のようなお前は見せてほしいけど見たくはないから」

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「いんじゃない、低空飛行で。大事なのは進むことだし」 レモンサワーには蜂蜜が入っていて、想像したよりずっと甘ったるかった。これはこれで美味いが、次に来るときはきっと頼まないだろう。 小堀、お前は優しいよ。

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ヨシタカの　いしきが　ぐーんと　あがった！ 意識を捨てた就活生森山 http://t.co/Ne2lTB5Ojs