お題「ドーナツホール」「クロネコ」「ショットグラス」
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花滝ちかる @chikaru_toka

彼が恋をしたのは、夜の魔女。昼間現れる黒猫の私を、想い人の使い魔だと思って可愛がってくれる。 違うのよ。彼女が夜しか生きられないのは、呪いなのよ。 「伝えたいことがあるんだ」 ある日、彼は黒猫に手を差し伸べた。 「どんな姿の君でも好きだよ」 呪いが解けた私は、黒髪の少女。 #140字小説

2018-10-27 22:02:05
ちひろ @naruhara04

「クロネコ」を「箱」に閉じ込めてはや五十年。今日も科学者は彼女を見張る。「うんときついウヰスキーが飲みたいわ」いじけたように要望する彼女に、科学者はこれ見よがしにショットグラスを空けて笑う。「馬鹿言うな。このラボ以外を焦土にした、酒癖の悪いお前になんぞ誰がやるか」

2018-10-27 22:02:08
RAY/※※※ @growler_ray

無意識にどこかへ行って、ふとした時に現れて、言葉で私を変な気分にさせたかと思ったら、すぐにその言葉を撤回する。どこまでも自由なあなたは、まさに猫そのもの けど、やっとあなたを捕まえた。ぎゅっと深く抱きしめたこの手、絶対に離したりはしないわ。観念しなさいな、私の愛しいクロネコちゃん

2018-10-27 22:02:16
にゃん @nyan_kotonoha

「ねー、こっち向いて」バーボンのショットグラスを傾けてると、彼女がドーナツの穴から覗き込んで笑うから、その指にキスしながら一口齧る。「…ちょっと、私のだよ?」抗議に構わず肩に回す手。床に落ちるドーナツ。ハロウィンの夜。最初に誘ったのはそっちだ。いたずらには甘さでお返ししないとな。 pic.twitter.com/XnpXBYwtA0

2018-10-27 22:03:32
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津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

「ドーナツホールが好きなんだ」云ってみても、君は昔の曲ばかり、飽きずに今日も流してる。ショットグラスに溜まった埃は何センチ、クロネコはとうにしゃべらなくなった。ねえ、いつまで僕らこのままでいよう。聞いてみたって、返る答えはない。今日も明日も明後日も、君は過去にしかいないんだ。

2018-10-27 22:06:00
∫ MatoP @_Mato_P_

家に着く。 もう深夜。 ショットグラス一杯分の酒を飲んで、寝る。 いつから、こんな趣もない人生になったんだろう? 君がいた頃は、定時に帰って、君とずっと話してた。 その時間が楽しかった。 今じゃ、ドーナッツの穴みたいに心にぽっかり穴が空いてる。 もう、君がいないとうまくやってけないよ。

2018-10-27 22:06:24
日引 @hibiki_ost

黒猫は言った。「愛されたいと願うのはさ、例えるなら、ドーナツを平らげるだけじゃ満足しないで、その穴まで食べたいと欲することだ。目に見えないものまで求めるなんて、欲張りが過ぎるだろ。だからそんな奴には忠告してやるんだ、おれが目の前横切ってさ。それ以上欲しがると、危ないぞってな」

2018-10-27 22:08:39
宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

ドーナツクッションの穴に首を突っ込み、もがく黒猫。 苦笑し、飲み差しのショットグラスを置きクッションを取ってやると、猫は言う。 「痛かったじゃないですか」 「僕の所為じゃない」 呆れて言うと、それもそうだ、という風に毛繕いを始める。 そんな日曜の朝の話。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/dTh4tKye6t

2018-10-27 22:10:20
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水城弥生 @mizukiyayoi8484

クロネコが目の前を横切ると不吉な事が起こる、とはよく言ったもので「好きな人が他に出来た」と彼女からのメールが来た。愛していたからこそ絶望に打ちひしがれる。クロネコが目の前を塞いでるみたいに真っ暗。ショットグラスに酒を入れて紛らわそうとしても、無駄だ。新しい恋もきっとみつからない。

2018-10-27 22:15:24
椎葉@引越先はbioに @Liar_Akira

これはクロネコが齧って出来たんだよ、と君はドーナツホールから世界を覗く。「夢でも見えるのか」強引に其れを奪い、覗いた世界は暗色。窓の外、電柱の下には頭部を潰したクロネコ。血液の撒かれ方はショットグラスにカンパリが注がれるさまに似ていたが、屍の側で間抜けにドーナツが転がっていた。

2018-10-27 22:16:17
ちひろ @naruhara04

私の愛したその人は、世界を変える力を持った巫女だった。彼女が泣けば雨が降り、彼女が笑えば花が咲いた。私は彼女を愛したし、彼女も私を愛してくれた。「幸せって、ドーナツの穴の様なものね」首をかしげる私に、ウヰスキーが好きな黒い愛猫を抱えながら彼女が告げる「明日になったら教えてあげる」

2018-10-27 22:23:00
camel @kaerutorakuda

ドーナツの穴が入ったショットグラスです。クロネコはグラスを転がして、僕に言う。ドーナツを食べさせてと僕が言うと、クロネコは答える。ドーナツの穴を食べたことはありますか。今が食べ頃です。力説するものだから、僕はグラスを手に取った。おずおずとグラスを傾ける。すると、味のない味がした。

2018-10-27 22:24:25
色糸 @IRO_Iroito_

ショットグラスに注がれたウィスキー。 そこから覗く世界は、クロネコの目と同じ色。 私が見たいのはこんな世界じゃないのに。 あの低い目線から街を俯瞰して。 忌み嫌われようとも意に介せず。 大切な今を自由に生きたかった。 未来に希望も絶望もないだろう、あのクロネコのように唄いたかった。

2018-10-27 22:30:36
春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

ドンと目の前に置かれたショットグラス、相棒のクロネコが見届け人か。 中身はキツイ酒、鼻に付く爆弾の脈動にゴクリと唾を飲み込む。 一気に呷る。 がっ! 焼け付く痛みが喉を鷲掴みにした。 彼女の亡骸を前に咽ぶ。 甘い香りに隠された虚無の穴。 心に空いたドーナツホール。 「すぐにそっちに…」

2018-10-27 22:32:13
ちひろ @naruhara04

私に明日など来ない。少なくとも、彼女から「ドーナツの穴の様な幸せ」の意味を聞ける、私の誕生日など、永遠に。 あの日、彼女は、彼女の特異な力を妬んだ奴らに辱められた。世を嘆き、我が身を悲しみ、私を含む人を恨んだだろう。遺されたのは彼女の力と無念を継いだ、ウヰスキー好きの黒猫だけだ。

2018-10-27 22:33:53
真生 冬瑚 @__Mao_oaM__

ドーナッツの穴はしあわせの空間だ。とクロネコは考えた。飼い主である黒田氏はうまいものを作る。魚のすり身を揚げたものなど、絶品である。黒田氏はショットグラスを傾け、今夜の自慢の逸品に舌鼓をうっている。善き宵に乾杯。#深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-10-27 22:36:58
秋月蓮華 @akirenge

ショットグラスにお気に入りの桃のジュースを注いで買ってきたチュロスを食べてから、お気に入りのドーナツを食べようと持ち上げて口に含もうとした。クロネコが飛ぶ。ドーナツホールに飛び込んでいく。飛び込んだら小さくなって私の口の中へ、想わず飲み込んだ。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-10-27 22:38:32
春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

フワリと風を撫でる私のクロネコさん。 アニメに感化されたわけじゃないけれど、この毛並みに何度も救われ…あ、また撫でてた。 元彼の置いていったショットグラス。 お酒を飲まない私はキャンドルを立てる事しか出来ないの。 グイグイと頭を擦り寄せてくる相棒。 ふふ、笑ってもどこか寂しい夜ね。

2018-10-27 22:43:23
しろにった りん @rin_shironitta

「ドーナツの穴は、ドーナツの一部だと思う?」 「私は、彼にとってのドーナツの穴になっていたつもりだったの。」 「ねぇ、彼は、穴のないあんドーナツだったのかしらね。」 「にゃあ」 曖昧な返事をしたクロネコがテーブルの脚に擦り寄り、 ショットグラスの中の琥珀色が月明かりに揺らめいた。

2018-10-27 22:48:32