最早ただのストーカー
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ナナシ @darkmoon_souji

【忘れそうだからメモる】 #ホタテ創作_ホムワト バイトが急遽休みになり、授業もないので暇になってしまった。 かと言って、どこかで遊ぶ気力もないし、課題もやらなければいけないので大人しく家に戻った。 珍しく、同居人は不在。 依頼が入ったのかもしれない。

2019-10-16 20:54:14
ナナシ @darkmoon_souji

いつもなら自室にこもるが今日は一人なのでダイニングテーブルを占領することにした。 ノートPCを広げやら参考書やら広げた瞬間だった。 インターホンが鳴る。 きっと、ホームズさんへの依頼人に違いない… そうでなければここに訪れてくる客なんていない。 申し訳ないが日を改めてもらうしかない…

2019-10-16 21:02:23
ナナシ @darkmoon_souji

そう思いながら、ドアを開けた。 「……?」 何か言おうとしたのかその人は口をポカンと開けていた。 そして、何かがおかしいといったように、俺の顔をしげしげと見る。 ブロンドの髪が美しい、綺麗な女性だった。 何だかモデルさんのようなスタイルの良さだけど…何なんだろうか…この人…

2019-10-16 21:34:46
ナナシ @darkmoon_souji

「…あの…」 「この私が来てやったというのに何の言葉もないのね!」 「…はい?」 いきなり何だ。 「まぁいいわ…。それにしてもずいぶんと若返ったじゃない、シャーロック!髪の色も変えたわね?そんなことしたって、私からは逃げられないわよ!」 「…」 この人…………やばい。

2019-10-16 21:45:03
ナナシ @darkmoon_souji

「何とか言いなさいよ。ついに言い訳をする度胸もなくなったのかしら?つまらない人間になったわね!」 「お取り込み中すみません。ホームズさんにご用ですか?生憎外出しておりますので、日を改めていただけませんでしょうか。今日はいつ戻るかわかりませんので」 「…えっ?」

2019-10-16 22:10:01
ナナシ @darkmoon_souji

早口で言ったが、十分聞き取れる範囲内だったはずだ。 聞こえてないわけがない。 「ホームズさんにはお伝えしておきます。お名前だけ教えていただけますか」 「…あなたはお弟子さんか何かかしら?」 誰が弟子だ。ふざけんな。 「違います。同居人です。ジョンと言います」

2019-10-16 22:25:28
ナナシ @darkmoon_souji

いつもならルームシェアしてると言うのに、このときはなぜか同居人と言ってしまった。 間違ってはいないから別にいいのだけれど、後に後悔することになるとは思いもしなかった。 「…いいわ。待たせてもらうわ。あの男はいつ帰ってくるの?」 この女… 「わかりません」 さっきもそう言っただろ!

2019-10-16 22:25:28
ナナシ @darkmoon_souji

「本当にいつ帰ってくるのかわかりませんよ」 「構わないわ。明日は忙しいのよ、私」 人ん家だってぇのに、我が物顔で入ってきてすぐ傍のソファーに偉そうに座った。 いくら美人でも腹が立つ。 「何か飲みますか。紅茶しかありませんけど」 「お構いなく」 「…」

2019-10-16 22:29:40
ナナシ @darkmoon_souji

この手の人は飲み物を出さなかったら出さなかったで「気遣いの一つもできないのね」とか言い出すんだ、知ってるぞ。 非常に不本意だが、俺は紅茶を淹れてやることにした。 ホームズさんにはケチをつけられるが、これでも上達したほうだ。 人に出しても文句ないだろう。 「どーぞ」

2019-10-16 22:32:18
ナナシ @darkmoon_souji

「あら、気が利くわね」 上から目線… 何様だ。 早く帰ってくれないかな。 「すみません。俺、学校の課題やらなきゃいけないので、部屋にいてもいいですか。何かあれば呼んでください」 「学校?あなた、学生さんなの」 「はい」 彼女は目を細めた。

2019-10-16 22:36:50
ナナシ @darkmoon_souji

「…何ですか?」 「学生のあなたが、どうやって彼と出会って一緒に住むことになるの?」 は?そんなこと知るかよ。こっちが聞きたいわ。 「知人の紹介ですけどそれが何か」 「ふーん」 彼女は疑惑の目を向けてくる。 「他人と住むなんて意外ね。しかも年下の子と。…私に黙って」

2019-10-16 22:42:25
ナナシ @darkmoon_souji

俺はこのとき察した。 これ、絶対元カノ何かだ。 そんな話一切したことないけど、きっとそうに違いない。 でも、俺は聞かないぞ。ホームズさんとどういったお知り合いですかなんて聞いてやらないからな! 「もういいですか?俺、忙しいんで」 ムカつくのでわざと忙しいを強調してやった。

2019-10-16 22:44:42
ナナシ @darkmoon_souji

で、結局ホームズさんは夜になっても帰ってこなかった。 さすがに待っていられなくなったのか、彼女は退散。 やっと帰ってくれた…と、安心していたところに本人が帰宅。 「遅い!」 「え…えぇ…?」 いきなりキレられて、戸惑うホームズさん。 「どこで何をやってたんですか!こんな時間まで!」

2019-10-16 22:47:38
ナナシ @darkmoon_souji

「し、仕事ですけど…なぜ君はそんなに怒っているんだ」 「怒るに決まってるだろ!俺にあんな!苦痛な時間を過ごさせといて!」 「何を言ってるのか…」 まぁまぁ落ち着けと、ソファーに座らされた。 落ち着いていられるか! 「あたなを訪ねて女性がやって来ました」

2019-10-16 22:50:26
ナナシ @darkmoon_souji

「おーまた依頼人かな?最近多いなぁ」 「ブロンドのモデルみたいに綺麗な女の人でした」 「君好みの美形?」 「どこが」 吐き捨てるように言った。 「アイリーン」 「…アドラー…?」 「名前しか言ってなかったのでわかりません。心当たりあるんですね」 やっぱり元カノだな。

2019-10-16 22:53:01
ナナシ @darkmoon_souji

「うわー…めんどくさ…また来たのか、あの女…忘れた頃にやって来るな…災害かよ…」 「俺をホームズさんと間違えていましたよ」 「目悪いのかな?」 そう言ってやれ、本人に。 似ても似つかないだろ。 なぜ間違える。 「何か言われたからそんなに怒ってるのかい」

2019-10-16 22:56:32
ナナシ @darkmoon_souji

「べっつにぃ…ちょっと気にくわなかっただけです。なんて言うか、すごく上から目線な人ですね。元カノですか」 「何でわかったの!?」 「わかりますよ…何となく…。ああいう人が好きなんですか。ビックリしました」 「ああいう人だからさよならしたんだよ。いや、ああいう人だとは思わなかった」

2019-10-16 22:59:40
ナナシ @darkmoon_souji

ホームズさんは大きなため息をついた。 「時々おかしいなと思うことはあったけど、ふった途端ストーカーになった」 「ストーカーされてるんですか…」 「みたいなもんだろ」 「ストーカーのくせに俺とホームズさんを間違えるんですか…」 「ほんとそれ」 目、節穴かよ…

2019-10-16 23:04:09
ナナシ @darkmoon_souji

「とにかくあれは無視するに限る。相手にするだけ時間の無駄だ。心が疲れる」 心が疲れる…今まさにそんな状態だ。 「しかしよく耐えたな。褒めてあげよう」 「わ!やめろ!」 髪をぐしゃぐしゃにかき乱される。 「ははは、変な頭」 「何すんだ!」 怒ると、やつは笑いながら二階へと消えていった。

2019-10-16 23:10:55
ナナシ @darkmoon_souji

この話はこれで終わり…ではなかった。 翌日からが地獄だった。 夕方授業を終えて帰宅すると、家の前に例の女性が待ち構えているではないか。 おい、昨日は忙しいと言ってなかったか? という言葉は飲み込み、仕方なく家に入れた。 ──またホームズさんは帰ってこなかった。

2019-10-16 23:15:25
ナナシ @darkmoon_souji

そのさらに翌日。 今度は昼から授業だったので朝は家でまったりしていると、また彼女が訪ねてくる。 しかし、このときすでにホームズさんの姿はなかった。 さらにさらに翌日。 さすがに諦めただろうと夜に帰宅すると、ハドソンさんに家の前で待っていたよと言われる。 ホームズさんは不在だった。

2019-10-16 23:17:18
ナナシ @darkmoon_souji

──一週間後。 「テメェ、この野郎逃げてんじゃねぇぞ!!!!」 「ぎゃああああぁぁぁ!!」 俺は、ホームズのやつを捕獲することに成功した。 やつは、アイリーンが来ると踏んで、公園に身を隠していた。 今日もあの女は家にあがりこんで待っている。

2019-10-16 23:20:24
ナナシ @darkmoon_souji

「いい加減にしろよ…俺だって暇じゃないんだ…今日こそ会ってけりをつけろ…さもなくば…」 「わかったわかった!わかったから落ち着いて!その手に持ってる辞書みたいなのは下ろしてくれ!それで私を殴るつもりか!?」 必要とあらばそのつもりだ。

2019-10-16 23:22:14
ナナシ @darkmoon_souji

「いい加減にしてほしいのはこっちだよ…また来てるのか、あの女は。もう一週間たつぞ」 「早くしろ。そろそろ発狂する」 「何とかします何とかします。旦那呼ぶから待って」 「…旦那?」 旦那って…誰の? 「あ、お久しぶりです。お仕事中すみません…また彼女が家に来てるみたいで…はい…

2019-10-16 23:28:09
ナナシ @darkmoon_souji

私はまだ直接会ってないんです。迎えに来てもらっていいですか…」 そんなことを喋った後、ホームズさんは電話を置いた。 「これで解決」 「まさか…あの人結婚してるんですか…」 「そう、既婚者」 「…」 何だろう…もう… 言葉も出ないな。

2019-10-16 23:28:09
ナナシ @darkmoon_souji

「多分旦那が迎えに来るだろうから、家に戻ってみてくれないか。彼女が帰ったら教えて。私も帰るから」 そう言われて、大人しく指示に従った。 戻ると本当に彼女のご主人が迎えに来た。 そして、彼女を連れて帰った… 嵐のような出来事だった。

2019-10-16 23:30:54
ナナシ @darkmoon_souji

「ちゃんと帰った?」 「帰りました…旦那さん、めちゃくちゃいい人でした…」 「だろ。あの女と話しても埒があかないから、旦那を召喚するんだよ」 「あんないい人がいてるのに、なぜあなたに固執するんですか」 「君も似たようなものだろ」 「どこが!!」 何てことを言うんだ!一緒にしてくれるな!

2019-10-16 23:34:17
ナナシ @darkmoon_souji

なんかこう、もっと高らかに笑ってる感じでいきたかったが難しいな。 本当に彼女を出すときに頑張るか… とんだストーカー女になってしまったよ…

2019-10-16 23:37:57