ep1 君と出会ったのは今からおよそ2年前、地元のとある砂浜だった。 1年目の大学で勝手も何もわかりもしないのに、とある事情ですべての講義が遠隔になり時間を持て余した僕が、平日の昼間から人のいない砂浜を初めて歩いていてときだった。そんな気がする。 #史
2020-08-26 22:22:57ep2 あの日以来僕はその砂浜に足を運ぶことが多くなった。そして行くたびに君はそこにいた。同年代のように見える君。そんな君の名前は史緒里。 #史 pic.twitter.com/zfeHwf5QIN
2020-08-26 22:23:03ep3 古くから多くの伝説が残るこの地域にあった澄んだ海と、同じような澄んだ肌を持った君が、なぜあの日あの場所にいたのかは知らない。 そしてなぜ僕に話しかけてきたのかも知らない。 君はこの地域に残る伝説を多く知っていた。 #史
2020-08-26 22:23:06ep4 水の色が変わることで災いを知らせるといわれた水釜、人魚伝説を信じ人魚の肉といわれた肉を食べ滅んだ資産家の一族、夫を自ら殺めたのちに愚かさに気づき一晩のうちに涙で湖を作った女 君はどれも詳細まで知っていた。 #史
2020-08-26 22:23:11ep5 どこか君には惹かれてはいけない。そんな気がしていた僕は気が付けば奥深くに追いやられ、君とともに生活する日が続いていった。 そんな日に変化を起こそうとしたのは僕だった。 君ともっと近づきたいと願ってしまった。口に出してしまった。 #史
2020-08-26 22:23:16ep6 いつも通りの夕食 君曰くこれまでで一番気合を入れたという、見た目はいつもと変わらない夕食 僕がそれを一口口にするのをじっくりと見守る君 なんだかうすうす気が付いてたよ…。なんて、君に言ったところで信じてくれるんだろうか。 #史
2020-08-26 22:23:20ep7 走馬灯のように駆け巡る記憶の中の君の姿はこれっぽちも変わってなくて、最後にうっすらとみえた君の顔はぐちゃぐちゃで、わずかな声と温かい水が僕に降りかかる 最後に聞こえた声だけはしっかりと聴きとれた。 #史
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