名作「宇宙よりも遠い場所」の表現解説です。
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

まずopのこと。 キマリが世界をひっくり返して南極にタイトルが映るところから始まります。 南極というのは世界の裏側なわけです。 名前としてもAntarctic、これはanti-Arcticで「北極の反対」という意味です。 pic.twitter.com/GZQQhy12GB

2020-03-11 22:32:19
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

ここで太陽の動きが逆になっています。 日本では、太陽は東から南を通って西に行くので、左から右に動くはず。 一つめの絵のところでは、太陽が右から左へ動いています。 つまりこれ、逆行しているのですが、それは ・南半球 ・過去へとさかのぼる という2つの可能性を秘めています。 pic.twitter.com/Mk1coGfMWZ

2020-03-11 22:40:29
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

この場面の太陽は南半球なのに左から右へ動いていますが、これはミスだったそうですね、何話か後から修正されて右から左へ動くようになります。 さて、南半球へ行くことが過去へさかのぼることと重ね合わされているこのop。 実際物語の中で、キマリたちは自分の過去と向き合うことになる訳です。 pic.twitter.com/wLOHWg8tiO

2020-03-11 22:44:04
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この場面の意味は最後に明かされることになりますが、 この場面での四人の姿が四つ葉のクローバーになっているという指摘をしたうちの子供は本当に天才(うるさい pic.twitter.com/Y2PqKH2Esx

2020-03-11 22:45:58
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電車に乗れなかったキマリさん。 旅立つための道具である靴が雨の雫で濡れる、というのが秀逸な表現。 これが1話の中でちゃんと対比の伏線として回収されたのが、このアニメに信頼置いて見られた最初のきっかけでした。 pic.twitter.com/bu7EaEHyT8

2020-03-11 22:52:29
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よりもいはこういう小ネタが多いのですが、 なかでもここの、「拾った100万円を倫理の教科書に挟む」というのはなかなか。 もらっちゃいたいという気持ちを倫理観で押さえつけているわけですね。 pic.twitter.com/4QDTC1YaXi

2020-03-11 22:57:12
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このへんからちゃんと報瀬はおバカだなあ…… pic.twitter.com/0yQs5W3vHz

2020-03-11 23:01:05
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わかりにくいですが、アスファルトが割れている、 固く閉ざされていたものが割れて、そのうちに秘めたものがあふれ出しそう、という心情表現。 pic.twitter.com/LMqExcMmbO

2020-03-11 23:03:55
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報瀬に「一緒に行く?」と言われた瞬間、風が吹く。 この風はキマリの心情表現。心が動いたということ。 めぐっちゃんに学校サボるのを提案して一人で行けと言われたのとも対比になっている。 pic.twitter.com/MJW5dHOnOt

2020-03-11 23:08:31
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目的地まで示される。 呉港で行われる、砕氷艦しらせの一般公開。 「しらせ」の「公開」見に来るのに労力を払う気はありますか、と。 pic.twitter.com/N0GnMPrTO2

2020-03-11 23:10:29
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よりもいの主人公四人のうち、南極に明らかに関係のある名前を持つのは報瀬だけなんだけど(しらせは砕氷艦の名前であり、日本人の南極探検家白瀬矗の名前でもある)、 その名前を使ったダブルミーニング。 報瀬の「報」の字と「しらせ」という読みはまた別に活用される。

2020-03-11 23:12:09
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群馬県民には岐阜と長野の区別は難しい…… ついでに言うと淡路島が香川県になってる。 pic.twitter.com/fLGAa7rLPq

2020-03-11 23:14:35
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呉へ出かけるキマリの部屋。 あの乱雑な部屋が整理整頓されているのは、ぐちゃぐちゃになっていたキマリの心が整理され、決心がついたということ。 pic.twitter.com/jjP55gkGXX

2020-03-11 23:16:33
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雨と晴れの対比、 そして乗らないと乗るの対比。 真逆の結果になるのは、その間の出来事が原因で心情が大きく変わったから、成長したから。 pic.twitter.com/7cwxwV0WVg

2020-03-11 23:17:56
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たぶん東京から乗ったのだと思うけど、広島行き買ってるのはおかしいし多分損してる。 好意的に考えれば、そこに旅慣れていない感が出ている、ということなのかも。 pic.twitter.com/Dwj7fgUu9F

2020-03-11 23:19:42
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しらせに繋がる綱に止まる鳥が四羽なのは、四人の象徴だろう。 pic.twitter.com/5EYE6rDOQQ

2020-03-11 23:23:37
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キマリはしらせを見に来た(ダブルミーニング)。 pic.twitter.com/cv6z3n1iAL

2020-03-11 23:24:34
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めぐっちゃんのせいで(正規表現)、報瀬に本気か疑われるこのシーンは、信号を使った表現のお手本のような場面です。 pic.twitter.com/O8ryIuDlWe

2020-03-18 22:12:44
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実際に報瀬の計画は穴だらけだったので、疑問に思うのは正当性があるのですが、これまで裏切られてきた報瀬には、またか、というところがあるのでしょう。 「私のせいにしようとして」と言い捨てて、信号を渡っていく。一人だけで前へ進んでいく。 pic.twitter.com/4FxotXMFy5

2020-03-18 22:15:56
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夕陽は「明日への希望」も、「楽しい一日の終わり」も示唆できるので便利ですね。 必死に抗議するキマリを置いたまま、信号は赤になってしまう。そして報瀬の姿が消える。 pic.twitter.com/J7dnwEpsw3

2020-03-18 22:17:39
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俯いたキマリが顔を上げると、青になった信号のたもとで、報瀬が待っている。 pic.twitter.com/t876g00awJ

2020-03-18 22:19:16
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これもよくある表現なわけですけど、 こういう、人間関係が好転した瞬間に状況が良くなる、というパターンありますよね。 「独りでは上手くいかないけど、二人でなら上手くいく」という表現です。 pic.twitter.com/P0jMEDCxum

2020-03-18 22:24:34
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キマリと報瀬って似たもの同士なところあるけど、 日向と報瀬もそうで、 学校で上手くいかずにそれを見返してやろうと努力してるという共通点がある。 この共通点が、あとあと報瀬が日向に共感する下地になる。 pic.twitter.com/VWGw1M5L0m

2020-03-18 22:28:34
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古くさい誘惑ポーズと「マリリン」が絶妙にマッチしてる pic.twitter.com/Gqji0Ba6sG

2020-03-18 22:33:49
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改めて見るとよりもいってこういうちょっとした小ネタをよく画面に挟み込んでくるんだけど、 ここの「思い出の抜け道」も、「青春!」を表すナイスなアシストになっている。 pic.twitter.com/enjqU3DzV7

2020-03-18 22:36:24
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「青春する」というキマリの目標はこの時点である程度達成されているんだよなあ。 報瀬とぶつかって、その鼻の頭を抑えて笑顔になる。 「報瀬のせいで痛い目に遭って、それが楽しい」んですね。 pic.twitter.com/Zj1XsaOYlq

2020-03-18 22:38:41
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報瀬が立ち上がる時に、スマホを落とす。百万円を、自分の本気の証明を差し出して、「お母さんが待ってる」と言う。スマホの画面が明るくなって、そのお母さんに宛てた報瀬のメールが表示される。 その場にいない母親を含めた、決意の表明、というシーンなんだけど。 pic.twitter.com/dyexXClbuV

2020-03-18 22:44:28
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結末を知っていると、何とも言えぬもの悲しさがある。

2020-03-18 22:44:56
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あとで明かされるように、本当は資金に困っているのに、即座にこの表情をして断る、このアニメの大人の矜持が好き。 pic.twitter.com/EmkmjWVSAk

2020-03-18 22:46:09
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吹雪の中はためく旗と、報瀬の母貴子に呼びかけ続ける吟の声。 断られた報瀬たちの心情を表現したものであるけれども、それをお酒の氷につなげて、その時を思い出すかなえと弓子の場面へ展開する。 このアニメは、こういう場面転換が上手い。全く切れるようにはせずに、なにかで繋げてくる。 pic.twitter.com/6I7g3fHmhu

2020-03-18 22:50:31
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そのあとで白石さんが出てくるのも、次回に繋げるためだし(そのあと完全に切れて場面転換するけど)。 pic.twitter.com/YIJawtmV9p

2020-03-18 22:51:53
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素晴らしいコンビプレイw このあと結月が入ってくることで、「友情」とは、という話になっていく訳だけど、 その前にこうやって息ぴったりの場面を作っているのはストーリー展開上重要だと思う。 pic.twitter.com/ybX7uOP49s

2020-03-18 22:54:17
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よりもいの解釈をしていると、切り取るかどうか迷うことが多い。 この絵のように、画面の背景や端にちょっと意味のあるものを入れてくるのが、このアニメはとても上手いのだ。 ここでは、「南極に行きたいんですよね」と言われた報瀬の背後に、南極観測船宗谷の模型が見える。 pic.twitter.com/A8US60tVkC

2020-03-25 21:15:35
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

宗谷は初代観測船であり、昭和基地を作るのに活躍した船だ。

2020-03-25 21:18:26
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ほかにもここの、結月の「受験なんてどうでもいい」という台詞に合わせて、遊ぶために放置されているランドセルを映したり。 pic.twitter.com/vS1SuxLD4O

2020-03-25 21:19:53
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結月は今回がほぼ初登場なのだが、このファミレスのシーンで強烈に性格が描写されている。 頭の回転が速くて、人間関係には疎くて、 疎いけれども聡いものだから自分が浮いていることにばっちり気付いてしまう、という。 pic.twitter.com/Wp756GNwlW

2020-03-25 21:25:24
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一発でキマリと報瀬ノックダウン。 この構図は物語中何度も見た気がします。 pic.twitter.com/2Unqw1LVHi

2020-03-25 21:26:22
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友達がいたことがない結月。 4人は4人とも「友達」というところに問題を抱えているのだけど、それが最初に全面から問題になるのが結月なんだよな。 他の3人が、存在する/した人間関係に悩まされるのに対し、結月はそれがゼロであることに悩んでいる。 pic.twitter.com/D4gfnJTLr4

2020-03-25 21:28:53
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むむ、北海道の建物にしては窓が二重ではないような pic.twitter.com/luIBFnfiyC

2020-03-25 21:30:00
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二人の友達(正確には友達未満ということになるが)との関係についての悩みを打ち明ける時、ノートは三角比。 pic.twitter.com/KPr25S78ab

2020-03-25 21:33:02
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その三角比の「相互関係」の上で、拳を握りしめる。 pic.twitter.com/Iw4riLXfVA

2020-03-25 21:34:15
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キマリが結月を抱きしめるシーンは南極でもう一度ある訳ですが、 キマリもきっとそういう友達関係で悩んだことがあるんだろう、ということを、何のエピソードも語られていないのにこの2話ちょっとで受け入れてしまっている私。 pic.twitter.com/3QgjHH9hQU

2020-03-25 21:35:54
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ここの結月の凸凹っぷりが興味深い。 この3人を「親友同士」と看破して、実際その通りだと思うけど、自分が3人と親友になったことは気づけないという、ね。 pic.twitter.com/6TILVxieFR

2020-03-25 21:38:24
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出会ったばかりで遊びに行ったこともない、同じ目標に向かっているだけ、というキマリたちだが、 結月が看破したように、この時点で充分「親友」だったのだと思う。 親友かどうかに、年月とか関係ない。 「ねー」という終助詞を投げかけ合っていることが、物語上もそうであることを示している。 pic.twitter.com/OhP957zOD9

2020-03-25 21:41:22
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ここの結月の表情は、「この人たち親友じゃないんだ」と取るとやっぱりおかしくなると思うので。 pic.twitter.com/9kuo99he6q

2020-03-25 21:42:23
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

結月が断ったら自分たちも行けないのに、それでも結月の望む未来に進むようにしてあげること自体、「友情」、ですよね。 出会ってからの時間なんて関係ないんだから、昨日であったばかりの人と感じる友情だってあっていい。 pic.twitter.com/0OGwTWEDIc

2020-03-25 21:45:14
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Stefan Nemanjić Prvovenčani @Stefan_N_P

その友情は結月にもちゃんと伝わっていて、 だから結月は「友達って、あんな感じなのかな」と独白する訳ですね。 pic.twitter.com/0M4WuWoJPw

2020-03-25 21:47:31
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