1 席替えをした。 僕の右隣には学校屈指のおっとり美人、与田さんが。 彼女は、いつも眠そう。 彼女は、食べることが好き。 彼女は、マイペース。 彼女は、ふわふわした雰囲気が魅力的。
2022-09-21 20:34:032 与:ふぁぁ…ぁ… とても眠そうな欠伸をする与田さん。 釣られて僕も欠伸をした。 与:ねぇ…宿題の範囲…どこだっけ? 僕…? 僕に話し掛けてきた? 与:ねーねー…●●君に聞いてるの! シャーペンの柄の方で、肩をつつかれた。 ○:あっ…えっと…どの科目?
2022-09-21 20:34:043 与:え… ○:ん? 与:そんないくつも宿題出てたっけ… ○:数学、英語…それから古文の予習… 与:ふぇぇ…聞いてないよぉ… 恐らく… 与田さん、寝てたからでは…?
2022-09-21 20:34:054 しょうがない… ○:今日だけは、見せてあげる。 与:ほんとっ?ありがと! 彼女の手が、僕の手に触れた。 その柔和な雰囲気に、ニヤニヤしてしまう。
2022-09-21 20:34:065
グ〜…
与:…
○:…
与:聞いた?
○:何を?
与:私のお腹の音。
○:ちょっとだけ、聞こえてきたかな…
6 与:恥ずかしい… ○:朝ご飯、食べてないの? 与:食べた。けど、お腹減ってきちゃった… まだ、1時間目も始まってないんだけどな… ○:おにぎり…食べる? 鞄からそれを取り出して、彼女に渡した。
2022-09-21 20:34:077 与:えぇ⁈良いの⁈ 目を輝かせる与田さん。 そんな顔されたら”やっぱりあーげない”とか言えないでしょ。 モグモグタイムに突入した彼女。 口元が小動物のようで、可愛らしい。 与:ケホッ…ケホッ… あーあ… 1度に沢山口に入れるから…
2022-09-21 20:34:088 小さい子じゃないんだし… 自分の喉の大きさぐらい理解してよ… ○:はい。これ、飲んで。 麦茶の入った水筒を渡した。 なぜか、一瞬動きを止めた彼女だったけど、受け取ると口を付けてグビッと流し込んだ。
2022-09-21 20:34:099 与:ぷはぁ…美味しい。ありがとう。 与田さんを見ていたら、僕まで喉が渇いてきたので、麦茶を口に含んだ。 与:… ジッーと、僕を見つめる彼女。 与:そう言うの…気にしない感じ? ○:…? 与:っ…鈍感…エッチ! 何がっ⁈
2022-09-21 20:34:1010 少し顔を赤くした彼女から、ノートが返却される。 “ありがとう♡” “字、綺麗なんだね!” 最新のページの1番端に、そう付け加えられていた。 与田さんから、ハートをいただいてしまったのですが⁈
2022-09-21 20:34:1011 与:あっ… 3時間目の授業直前。 お隣さんが、騒がしく机と鞄の中を探し始めた。 与:あの…●●様… これ、絶対何かお願いされる時のやつ… 与:教科書を忘れてしまったので、見せて下さい…
2022-09-21 20:34:1112 断る理由も無いので、机をくっ付けて見せてあげることに。 最初は、真剣に教科書を覗いていた与田さん。 次第に眠くなってきたのか、コクコクと船を漕ぎ始める。 この子…大丈夫かな… ノートとか全然取ってないけど…
2022-09-21 20:34:1113 ○:起きて… ツンツン… 肩や二の腕を辺りをつついてみても、起きる気配はない。 なんか…ナマケモノみたいだな… 少し攻めて、頬をつっつく。 が、これも効果ナシ。
2022-09-21 20:34:1214 ふぅぅ… そっと耳に息を吹きかけてみた。 与:んっ…ぁ… 予想だにしない嬌声を上げた。 “おーい。授業中だぞ?エッチなことをするんじゃない” ○与:してないです! 教師の注意の仕方もどうなのか…
2022-09-21 20:34:1315 与:もぉ…●●君のせいだよ! 小声で抗議してくる。 プクッと頬を膨らませた顔も可愛い。 与:私…耳弱いんだから… そうなの⁈ 思いもよらぬカミングアウト… 与:はぁ…あっつ…
2022-09-21 20:34:1316 パタパタと顔を仰ぐ与田さん。 与:もぉ…恥ずかし… そう言っていたのに、数分後には… 与:zzz… 僕の肩に頭を乗っけてきて、眠り始めてしまった。 えぇ… 授業に集中出来ないんですけど…
2022-09-21 20:34:1417 寝息を立てるのとか、反則級に可愛いし! あと、髪の毛! めっちゃ良い匂いする… ふと、教師と目が合う。 グッ! グッ!じゃねーよ! サムズアップするな! 教師なら、寝ている生徒を注意して下さい…
2022-09-21 20:34:1418 お昼休み。 いつもありがとう、お母さん。 お弁当箱の蓋を開けると… ジッー… ○:何かな…与田さん。 与:ううん、何でもない! ○:あっそう。いただきます。 ジッー…
2022-09-21 20:34:1519 ○:食べる…? 与:良いの⁈ めちゃくちゃ食べたいアピールしてたから… あげるしかないじゃん? 与:●●君が食べさせて? ○:え… 与:だって、●●君のお弁当だもん。
2022-09-21 20:34:1520 突如として発生したあーんイベント。 箸を持つ手が震える。 フワフワの唇を、プルプルの卵焼きに向かって運ぶ。 間違えた。 フワフワの卵焼きを、プルプルの唇に向かって運ぶ。
2022-09-21 20:34:1621 小さなお口を開けて待つ姿は、どこか色っぽい。 与:…むっ!んぅ!甘くて美味しい! ○:それは良かった。 お母さん、お隣さんが卵焼きの味を褒めてくれたわよ。
2022-09-21 20:34:1622 与:じゃあ、お返しに… タコさんウィンナーをくれるようだ。 与田さんのお口が、タコさんみたいにチュッーってなってる。 チュッーって。 ○:… 与:好き…じゃない? いや、見惚れてただけです。 タコさんの…いや、与田さんの唇を。
2022-09-21 20:34:1723 与:あっ。私がタコさんにチューしてからの方が、良い? どう言うこと⁈ タコさんの頭にチュッと口付けをしてから、僕の口元に運ばれてくる。 これって… 僕もタコさんの頭に触れれば、文字通り間接キスなのでは…? 与:あーん。 ○:あー…
2022-09-21 20:34:1724 チューすることなく、ひと口でタコさんを口に入れてしまった。 ○:おいひい。 与:ふふ…可愛い。 良く分からないけど、甘くて幸せ。
2022-09-21 20:34:1826 ○:ヤベ…忘れ物しちゃった… 5時間目は、体育。 男子は空き教室で着替えていたのだが、ジャージを教室の中に忘れた。 教室では女子が着替えていたはずだけど、中に人の気配は無さそう。 ○:失礼しまーす…
2022-09-21 20:34:1927 抜き足差し足で忍び込むと… 与:zzz… お腹いっぱいになって寝てるじゃん! もう予鈴が鳴ったと言うのに、制服のままだし… ○:ちょっ…起きて! 与:んっ…んぅ… また、耳に息を吹きかけてやろうか…
2022-09-21 20:34:2028 ○:起きないと!授業始まるぞ? 身体を揺する。 与:ん…●●君がお着替えさせて… ○:はぁ⁈ 与:ゆーき…眠くて…力が出ない… ○:…ったく… いや…待てよ… 着替えさせると言うことは…その… 裸の方を…見てしまうと言うか… 目に焼き付けなければならないのですが…
2022-09-21 20:34:2029 ○:起きて!僕に裸を見られても良いのか? 与:んぅ…●●君になら、良いよ… なぬっ⁈ ○:では失礼して… って、ダメダメダメ! 紳士たるもの、淑女の裸なんて…でへへ…
2022-09-21 20:34:2130 仕方なく…本当に仕方なく… 与田さんのシャツのボタンを外していく。 露わになる白いブラジャー。 豊満な… ○:僕は何をしているんだろうな… そう言いながら、シャツを脱がした。
2022-09-21 20:34:2131 ○:与田さん…万歳して下さい? 与:んー… 寝ぼけながらも、僕の指示を聞き入れる。 体操着を素早く…って… あれ? 中々入らない… 豊満な…2つの… とにかく、頑張って着させた。 詳細は聞くな。 野暮だぞ。
2022-09-21 20:34:2232 さらに、長袖のジャージを羽織らせる。 問題は、下だな… ○:与田さん?起きてくれないと… 与:ぅ… 仕方ない…こちらも本当に仕方ない… 本意ではないが… スカートのフックに手を掛けた時。
2022-09-21 20:34:2333 キーンコーン… 本鈴が鳴った。 与:んぁ?はっ…寝過ぎたっ⁈ 与田さんが起きた。 ○:… 与:何してるの…? スカートに手を掛け、中を覗き込むような形になっている僕と目が合う。 ○:これは…あの…
2022-09-21 20:34:2334 特大のビンタ音が響き渡った。 何とか落ち着いてもらい、かくかくしかじか説明をする。 与:私が…寝ぼけてて… ○:はい… 与:私の…その…見たんだ…? ○:見てないと言えば、嘘になるかな… 与:絶対見られたくなかったのにぃ…
2022-09-21 20:34:2435 ○:… 与:特にお昼ご飯の後は、お腹が出るから…もぉ、やだぁ… ○:そんなに肉付きが良かったとは…ぐふっ… 与:もう、何も言わないで… 鳩尾が…痛い… 与:はぁぁ…お嫁に行けない…
2022-09-21 20:34:2436 ○:引き取りたい方は、沢山いると思われますが… ジロッ… ○:すいません… 忘れ物を取り、教室を出た。
2022-09-21 20:34:2537 ○:遅れてすみません… あれ… 何だか、ジャージが小さいな… ふと、名前を確認する。 “与田” ○:え… じゃあ、僕が彼女に羽織らせたのは…
2022-09-21 20:34:2639 “何?お前ら付き合ってるの?” ○:付き合ってない。 体育の授業後、男女問わずクラスメートからイジられていた。 “体育の授業、遅れて来たけど…” 与:っ… ダメダメ…そこには触れないで… 真っ赤な顔を俯かせる与田さん。
2022-09-21 20:34:2740 ○:付き合ってる訳ではなくて… “じゃあ、何だよ” ○:僕が…その…与田さんの…お世話係…と言うか… 苦し紛れに出てきた言い訳。 自分でも何を言ってるのか、分からない。 “あぁ…なるほどね”
2022-09-21 20:34:2741 ○:納得してくれるの? “だって…宿題見せたり、お弁当食べさせたり、移動教室の時は教科書を運んであげたり。与田さんの身の回りのこと、確かにお世話してるな…って”
2022-09-21 20:34:2842 ○:良く分からないけど…納得してくれたね… 与:ん…そうだ!私のお世話係なら、モニコしてよ! ○:もに子?誰、それ… 与:モニコ!モーニングコールの略! ○:あぁ…そう言う…え… 与:私…朝弱いから…お願い!
2022-09-21 20:34:2844 朝6時半。 与田さんにモーニングコール。 それから身支度を整え、与田さん家にお迎えに上がる。 忘れ物チェックをしてから、一緒に登校。 授業と授業の合間の休み時間は、お腹が減っていないか確認する。
2022-09-21 20:34:3045 お腹が減っていれば、鞄からおにぎりを取り出して彼女に渡す。 そしてお昼ご飯は、僕が食べさせてあげたり…食べさせてあげたり…食べさせてあげたり… 移動教室の際の荷物や、何か重たい物を持っていれば、代わりに僕が持つ。
2022-09-21 20:34:3046 放課後は、明日の宿題や予定を確認。 何の問題も無ければ、速やかに下校。 こんなルーティーンを1ヶ月も続けていたら、僕のあだ名は”お世話係”になった。 与田さんの専属の。
2022-09-21 20:34:3147 与:あのさ…●●君って…どんな子が好き? ○:は? 夕陽照らす帰り道。 ふと、尋ねられた。 与:好きな人…いないの? ○:あー…そうだな…自立してる人…かな。 与:自立?
2022-09-21 20:34:3148 ○:しっかりしてる人。忘れ物とかもすることなく、自分で自分を管理出来るような…その人のことを頼りたくなるような… 与:私と正反対だ… ○:常に甘えん坊を相手にしてるからさ。
2022-09-21 20:34:3249 与:誰のことだ! ○:さぁ…? ○:たまには、甘えてみたくなるんだよね… 与:… ○:あっ。与田さん家に着いたよ? 与:うん…じゃあ…また明日。 ○:うん。バイバイ。
2022-09-21 20:34:32