からかるのパチ狂いさん

えびしま @abcMaaaaa

からかるのパチ狂いさん 開店前からパチ屋に並び、通勤途中のあの人と時々話す 幼少期、「学i校行きたい」と言ったら内臓と背中の毛皮を売られ、それを自分の学費にあてられたという過去がある 「んやー、お姉チャン頭ええの〜。ぼく頭悪ぃくて勉強あかんかった。頭も内臓も足らへん猫チャンにぁ」 twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

きつねの大家さん たぬきの隣人さん やぎの郵便屋さん からすのごみ収集車さん おおわしの自治会長さん いぬの左遷おまわりさん ねこの住所不定無職さん からかるのパチ狂いさん よたかの奇声おじさん ひつじのゴミ漁りさん たのしいヤンデレ獣人絵本　発売中

2022-07-24 13:49:51

えびしま @abcMaaaaa

「頭悪ぃくて、ぼく学校行った意味無かったやんな。学校行かんやったら内臓売らんで済んだんにな〜。でもぎょうさんお金貰たしぃ、お母チャン喜んどった。やはー、お母チャンに会いたいにぁ」 そう言いながら、彼は「おててのトレーニングにぁ」と手に巻いた赤い紐で綾取りをしながら開店を待つ

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綾取りの最中、あの人は「私も！」とからかるさんの手から紐を外し、自分の手に別の型を作る 「！？お姉チャン、なんや今の〜！な、な、もっかい見してぇな！ぼく初めて見たにぁ」「二人でやるの初めて？」「うん！…はゃー…お姉チャンやっぱりすごいお人やんな〜」「そんなことないと思うけど…」

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からかるさんは日i雇iいの仕事で得た金をいつもパチにつぎ込んでしまう 「これな〜お母チャンが好きやってん！ぼくも好きや〜。あんなぁ、玉をぼーっと見とったら、なーんもむつかしい事考えんでええんよぉ。頭ん事も内臓ん事も、お母チャン帰って来ぉへん事も、ぼくには全部むつかしいにぁ」

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ある冬の日、あの人は「いたい…いたい…」と蹲っているからかるさんに遭遇する 毛皮を剥がされた背中には粗悪な人工皮膚が移植されているため、寒い日は酷く痛むらしい カイロを背中に貼ってあげると、からかるさんは「ごめんなさい…怒らんでにぁ、怒らんで下さい…ごめんなさい…」と謝り始める

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あの人が「怒るわけないよ、心配はするけど…」と言うと、からかるさんは両腕で自分の頭を庇い、小さな声で呟く 「痛い、言うとお母チャン蹴るにぁ…お母チャンはぼくんこと大好きやってん…そのお母チャンが怒るんなら、他の人は絶対もっと怒るにぁ…お、お姉チャンも本当は怒っとるんやぁ…」

えびしま @abcMaaaaa

庇った腕の隙間から、大きな耳がくるくると忙しなく動いていた 「怒ってないよ。早く治ってほしいよ」 そう言って、あの人はからかるさんの背中を撫でる 「お姉チャン、何でぼくに優しいん？何でお母チャンより優しいん？ぼく頭悪ぃくて、なんも分からんにぁ…むつかしい事、なんも分からんにぁ…」

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あの人はどうしたらいいか分からず、残りのカイロを渡して「今日はあったかくして休んでね」とだけ告げて立ち去った からかるさんは、あの人の姿が見えなくなっても暫くそこに蹲っていた 「ぼく、ぼく、なんも分からんにぁ。体も顔もなんや熱い、ぜんぶ熱ぅて変や。ぼく、どないしたら、お姉チャン、」

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんは自分の背中にコンプレックスを抱いており、夏でも厚ぼったいパーカーを着ている すらりとした体型で、身長は175cmくらい 常に耳をくるくる動かして、周囲の音を拾おうとする習性がある しかしあの人と2人きりの時は完全にリラックスしており、耳はほとんど動かない

えびしま @abcMaaaaa

カイロの一件以来、からかるさんはパチ屋に並んでいる時はしきりに耳を動かし、あの人がやって来る足音を今か今かと待ちわびるようになる 「んやー、お姉チャンや〜。おはようさん。今日も別嬪サンやの〜。ほんで、そのぉ…ぼく、背中におてて届かんよってに、コレ…ぬくいの貼ってほしいにぁ…」

えびしま @abcMaaaaa

ヤンデレ化したからかるさん 「あの人は僕のことが好きなんだ！」と勘違いしてベタベタ甘えてくる 「んやー、人間は猫チャン好きやんな〜。んひひ、せやからぼくん事好きなんやろ。ぼくお姉チャン専用の猫チャンなったろかにぁ。ほら、にゃんにゃん♡な〜んて！…う、ひひ、…か、可愛がってにぁ…♡」 twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

可愛さとは無縁のからかるさんが、無理して「にゃんにゃん♡」ってぶりっ子してるのがいい 全部上手くいかなくなって、「か、かわええやろ〜♡な、な、お耳も尻尾もふわふわやんな〜♡…ほ、ほら！お姉チャン専用にゃんにゃん♡…に、にゃんにゃん…♡！…にぁ……」って半泣きになってほしい twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

「可愛がって♡」とか言い出すヤンデレ、自分のことを可愛いと思ってるというより、「ほら！僕あなたに可愛がられないと生きていけないんですよ！」っていう焦燥感の方が強くて最高 汗ダラダラ、お目々ぐるぐるでかわいいね

2022-09-16 14:51:40

えびしま @abcMaaaaa

ネコ科ってだけでかわいこぶってるけど、普通に獰猛な生き物だし、そもそも成人男性だし… そんなからかるさんが、「にゃんにゃん♡ごろごろ♡」って一生懸命あの人の気を引こうとしてるのが悲しい あの人に逃げられたら生きていけないだろうな 綾取りの紐で首i括るか、紐を口に詰め込んで窒i息i死だよ

えびしま @abcMaaaaa

からかるさん、純血じゃなくて他のネコ科の血も入ってるから柑橘類とチョコがダメ 味や匂いが嫌いというわけではなく、身体に少し悪影響（主に幻覚症状）が出る 以前、近所の悪ガキに「こいつバカなんだぜ」ってふざけて与えられて、何の疑いもなく口にして大変なことになった

えびしま @abcMaaaaa

幼少期の出来事が幻覚症状として現れて、「ぇ、へへ…お母チャン痛いにぁ…！背中の皮、まだ…っ！…ぎいぃ！！痛いﾞにﾞぁ！！！ぼく、ぼく、ええ子チャンになるにぁ！！っ嫌やﾞぁﾞ！！熱いﾞ熱いﾞぃﾞ！！！お腹やﾞべでぇ！！傷開ぐぅﾞ！！」と魘されながら公i園の遊i具の中で一晩過ごした

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早朝、ずるずると遊i具から這い出て「ぼく生きてて良かったにぁ、生きとったらええ事あるやんな、これからええ事ぎょうさんあるやんな、お母チャンに会うて、ほんで、お母チャンに会うてにぁ、ほんで、」と呟きながら綾取りをする 紐は泥と吐瀉物で汚れて、指は上手く動かない あの人に出会う1年前の冬

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からかるさん、ご飯食べるときに黄色くて持ちやすい柄のスプーンとフォーク使っててほしいな　お箸使えないから

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それを知らないあの人に、何気なくご飯に誘われたからかるさん 最初は「ぼくとメシ行こーて、お姉チャン変わっとるの〜。んやー、嬉しいにぁ」ってご機嫌だけど、いざ食べ始めると全然お箸使えなくて、焦ったらますます上手くできなくて、しまいには半泣きで料理をボロボロ零しながら食べてほしい

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あの人は「すみません、スプーン2つ下さい」って店員さんに頼んで、「お箸練習中なんだ！がんばっててすごいね！」っていっぱい褒めてほしい 2人でスプーンを使って、がつがつお料理を平らげてほしい 食べ終わる頃には「お姉チャンはスプーンの使い方まだまだにぁ！」ってからかるさんも元気になるよ

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんの尻尾ってちゃんと動くのかな 母親のせいで大きい怪我して、尻尾の骨とか神経とかおかしくなってて全く動かせないとかありそうで嫌だ

えびしま @abcMaaaaa

他の同族には当たり前に出来ることが、からかるさんには出来ない そういうコンプレックスって「身近な人に愛される（≒肯定される）」、「人生において成功体験がある」という経験を積み重ねて解消するけど、からかるさんにはそのどれもがない だから強烈なコンプレックスのまま残る

えびしま @abcMaaaaa

それはそうとして、全く動かないからかるさんの尻尾を丁寧に手入れしてあげるあの人は見たい だらーんと垂れてて、感覚が鈍くて冷たい尻尾を、あの人がブラシかけてあげるの 「動かないから大事にする意味はない」って思ってるからかるさんに、「動かないからこそ大事にしなきゃ」って諭すあの人

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自分の身体においてのコンプレックスというか、「価値はない」と思っているパーツを大事にしてくれる人って、からかるさんにとっては今まで得たことがないほど鮮烈な“愛”なんだよな あの人は愛そのもの 愛を得たことのない男の前に、愛という概念そのものの人間を置いたらヤンデレ化するよね絶対

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そもそもからかるさんは戸i籍あるのか？ お母さんが保i険i金かけてて、蒸発するときに死i亡i届出して金を受け取ってそう 街の治安も終わってるし、役i所も腐敗してるし、難しいことたくさん言われて「む、むつかしいこと、なんも分からん…分かんないにぁ…」ってとぼとぼ歩きながら泣くからかるさん

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からかるさん、たとえハッピーエンドでも「痛いにぁ…背中、痛いにぁ…」って言ってあの人の気を引こうとするよな あの人が背中をさすると「んへへ…お姉チャンは優しいにぁ…♡やはー、今日はぼく、甘えてええやんな？ん、えへ…♡お姉チャン♡お姉チャン…♡♡」ってゴロゴロ喉を鳴らす

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からかるさん、近所の悪ガキに耳の房毛引っ張られて「やめてにぁ…ぃﾞっ！痛い、痛いにぁ…！」ってヘラヘラ笑ってそう あの人に出会ってヤンデレ化してからは絶対触らせないし、揶揄われたら「やはー、ちんまいお肉チャンが何か言うとるにぁ〜。可愛いにぁ」ってニコニコしてそう 強者オスの目覚め

えびしま @abcMaaaaa

からかるさん、あの人を誘ってもないのに「クリスマスにお姉チャンと食べるにぁ」ってケーキだのチキンだの予約して、その後「予定あるからごめんね！」って断られてごちそうに囲まれて一人で泣いてほしい 劣等感が強いくせに、「あの人が断るはずがない」という無意識の自信を持っている尊大さが好き

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんは種族としては強いから、獣の本能を持つがゆえに無意識の“自信”がある そのせいで「誘ってみてOKだったら予約する」という段階が踏めなかった しかし本人は劣等感が強くてそんなことに気付いてないから、「ぼくの頭が悪ぃせいにぁ。お姉チャンが断るなんて考えんかった…」って泣く

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幼少期のからかるさんは、グラタンを食べたかった クラスメイトが「お母さんにグラタン作ってもらったー！」と嬉しそうに喋ってるのを聞き、母親に「お母チャン！ぼくグラタン食べたい！作って、作って」とねだる あまりにしつこいから、母親はコンビニで買ってきて温めずに無理やり食わせる

えびしま @abcMaaaaa

「声がでかいんだよ！また通i報されたらあんたのせいだからね！」 使い捨てのスプーンで口に無理やりグラタンを突っ込まれ、からかるさんは泣きそうな顔でヘラヘラと笑う 「お、おいしい…！お母チャン、お、おいしい、ありがとうっ、…っうぶ、ありがとう、ございます！」 味なんて分からなかった

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からかるさんは、クリスマスのごちそうにもグラタンを用意した あの人と一緒なら、きっとグラタンはおいしいはずだ 温かくて、香ばしくて、とろけるようなホワイトソースの味がするはずだ 柔らかいマカロニを頬張る姿を見て、笑顔で「おいしい？」と尋ねてくれるはずだ twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんはパチやりすぎて視力が低い でも眼鏡を持ってなくて睨んでるように見えるから、怖いお兄さんに「何だテメェ文句あんのか」ってボコられる 「ご、ごめんなさいにぁ！ぼく睨んでへん、お金ももってへん、なんも、ぼく、持ってへん、にぁ…ぅぐっ！？い、いたい、いたいぃ…あぐぅ…っ！」

えびしま @abcMaaaaa

ハッピーエンドだと、近所の子供たちに「優しくて眼鏡をかけてる、猫のお兄さん」と懐かれる 「明日は、お姉チャンがグラタン作ってくれるにぁ！やはー、君も来てええよ。お母チャンと一緒においで」 あの人と一緒に住んでるからかるさん 最近仲良くなった、同じアパートの親子を招いて食事をする

えびしま @abcMaaaaa

あの人に「プレゼントは好きなもの選んでいいよ！」と言われ、一緒に買いに行くからかるさん 道中ずっと「はゃー、何でもええのん？ぼく、ぼく、お姉チャンと同じの欲しいにぁ〜」って喋り倒してるけど、いざ店に着くと迷って選べない 「…ど、どないしよ、いっぱいで、ぼく、なんも選べん…」

えびしま @abcMaaaaa

あの人は「ゆっくり選ぼう」と言うが、からかるさんの様子がどうにもおかしい 小さく震えながら、「は、早く選ぶにぁ…ごめんなさいにぁ、すぐ決めるにぁ、怒らんで…怒らんで下さい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、のろまでごめんなさい、お母チャンぶたないで」とブツブツ呟いている

えびしま @abcMaaaaa

その昔、からかるさんの内臓を売った母親は、大金が手に入ったため上機嫌で「あんたの好きなもの買ったげる」と言った からかるさんは欲しい物がいっぱいあって、何より母親とのお出かけが楽しくて、「このままずっと帰りたくない」と何も選べずにいた その姿を見て、母親は怒り出したのだ

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「優しくしたらつけ上がりやがって！もういい！何も買わない！」 そう言って、母親はからかるさんをデパートに置き去りにした だから、からかるさんは今も欲しい物を選べない 「は、早く、早く、選ぶ、選ぶにぁ…もう少し待ってぇな、ぼく、すぐ決めるにぁ…」

えびしま @abcMaaaaa

その姿を見たあの人が、「今日は帰ろっか」と言うと取り乱す 「帰らんで、ぼくを置いていかんで、嫌、嫌やぁ、ぼく嫌やぁ…！」「置いていかないよ。また来よう、ね？」 周囲の人たちは、そんな二人に不躾な視線を送る あの人はいたたまれなくなって、からかるさんの手を引いて店を出た

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帰り道、からかるさんは再び饒舌になる 「ぼく、おなかの中身、もういっこ売るにぁ！ほんでな、お金はお姉チャンにあげるにぁ。そんお金で何でも買うてええんよぉ。かわりに、ぼくにも好きな物いっこ買うて！ぼく、ラッピングはラメの包装紙がええなぁ！リボンは絶対赤にするにぁ！ええやんな？な？」

えびしま @abcMaaaaa

あの人がからかるさんに作るグラタンには、色んな具が入っている 野菜メインに数種類入れており、毎回中身が違う あの人は野菜を美味しく食べてもらうための工夫を凝らして、中身にワクワクしてもらいたかったのだ その甲斐あって、からかるさんは「今日の中身は何かにぁ〜」と楽しみにしている twitter.com/abcMaaaaa/stat…

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からかるさんの父親はカラカル族だが、母親は雑種のネコ科 母親は今、そこそこ金持ちと結婚して、そこそこ幸せな主婦になってる 掲示板の『墓場まで持っていく秘密』みたいなスレッドにからかるさんへの仕打ちを書き込んだことがあるが、虚実入り混じった内容にしているため特定は不可能

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんの内臓は、悪趣味な富豪の手に渡った 移植待ちの子供の目の前で、ステーキにして食ったという そんな奴だから星の数ほど恨みを買い、今はもう墓場の住人である からかるさんの背中の毛皮は、普通にバッグの材料にされた 流行品に使われたそれは、とっくに捨てられて今は塵一つ残っていない

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんの戸籍は、母親に売られて背i乗iりに使われた 悲惨な生活を送っていたその子は、まっさらな戸籍のおかげで大学進学を経て就職し、今は一児のパパである パチ屋に開店前から並ぶ人たちを見て「俺のもう一つの未来の姿だ」と思っている 彼は知らないが、その行列の中にはからかるさんもいる

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんには母親も、内臓も、毛皮も、戸籍もない 大事なものは、母親から貰った綾取りの紐だけ 日i雇iいの仕事ではいつも怒鳴られ馬鹿にされ、綾取りをしながらパチ屋の開店を待つのが人生だった なのに、あの人は教えてしまった 綾取りは二人の方がずっと楽しいのだと twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

近所の悪ガキに耳の房毛をハサミで切られて、「なんだ弱そうな猫じゃん」って小突き回されるからかるさん 「あ、あは、や、やめてにぁ…あはは…」ってへらへらしながら泣きそうな顔してるし、毛皮ないのを知られてるから「ハゲ猫だ〜」って追い打ちかけられて「あう、あぅぅ、…」って泣き出す

えびしま @abcMaaaaa

翌日あの人に会うルート パチ屋に並んでると、いつものように通勤途中のあの人がやってくる 「耳、どうしたの」「おみみ、ぼく、あぅ…」「誰にやられたの」「……」 耳を伏せて何も言わなくなったからかるさんに、あの人は自分が被っていたニット帽を差し出す 「新しいの欲しいから、これあげる！」 twitter.com/abcMaaaaa/stat…

えびしま @abcMaaaaa

「もらえへん、ぼく…」「新しいの買ったら捨てちゃうだけだし、せっかくなら使ってよ！」「…お姉チャンは嘘つきにぁ。ぼ、ぼくは嘘、嫌いにぁ」「嘘じゃないよ」 あの人は無理やりニット帽を被せて、「じゃあね！」と走り去る からかるさんは暫し呆然とした後、パチ屋の列から抜けた

えびしま @abcMaaaaa

そして、そのまま郊外のショッピングモールへと向かった からかるさんがそんな場所へ行くのは珍しいし、バスに乗るのも数年ぶりだ 挙動不審になりながらも様々な店を見て歩き、そして、ある一店でパッと目を輝かせた 「これがええ！これ、きっと似合うにぁ…！」

えびしま @abcMaaaaa

からかるさんが手にしたのは、ニット帽だった あの人は新しいものを買うと言っていたが、それでもからかるさんは帽子をあげたかった 財布からクシャクシャのお札を出し、プレゼント用に包んでもらう その日使うはずだったパチのお金は、あの人にあげる帽子へと変身した

えびしま @abcMaaaaa

「どないしたん、ボク？…そっか。迷子なってもうたんや。んやー、せやけどここ、お子が来るとこちゃうねんな？お母チャンと来たんか〜？…ほんなら、少し待とか。大丈夫、お兄チャンもなぁ、昔ここで迷子になったことあんねんで〜。お母チャンがな、パチ好きやってん」