お題「からす」「リサイクル」「七日午後七時」
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RAY/※※※ @growler_ray

七夕の日。短冊に願いを書いて笹に飾り、星に祈る日。色とりどりの短冊が風になびく中で、ポツリと浮かぶカラスのように真っ黒な私の短冊。それを見ながら、私はそばにいたカラスに尋ねる 「君に頼んだ方が叶ったりするのかい?」 さあね。そう言うかのように、カラスはひと鳴きして去っていった

2018-07-07 22:01:15
宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

空に広がる、プラチナの星の海。 僕は四肢を投げ出し、遠い運河を目前に感じる。 ゴミの様な人生だった。親の顔も覚えてないし、仲間には裏切られ、七夕の夜午後七時、僕は血を流している。 リサイクルさえ許されない人生。 それでもこの星空は、人生で最高の贈り物だ。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/lL9aTCLu9B

2018-07-07 22:03:14
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∫ MatoP @_Mato_P_

学校が終わって、帰り道にリサイクルショップに寄る。 今日の七月七日午後七時。 みんなで花火大会をする。 だから、少し場を賑やかにするものを買う。 空でカラスが鳴いている。 楽しみだった。 雨が降った。 それだけだったらよかった。 君が...

2018-07-07 22:04:44
日引 @hibiki_ost

七日午後七時現在の雨雲の様子です。日本列島全体に漫然とした諦観が広がり、所により血の涙が降るでしょう。電気屋のテレビが何か言ってる。カラスは山に七つの子があっていいなあ。こっちには帰る場所もないよ。リサイクルにも出せない邪魔っけな身体を抱えて、命をみすみす、枯らす。#140字小説

2018-07-07 22:04:45
雨井 逧聿 @ArainOFcandy

午後七時。街への電車は七時二分発。まだ君は僕を待っているだろうか。それとももう電車に乗っただろうか。君からの最後のLINEは未読のまま。行かないでとも、一緒に行くとも書けずに、スマホの電源を落とす。 七夕の夜、僕は君に掛かった橋を落とした。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-07-07 22:04:50
しろにった りん @rin_shironitta

七月七日、午後七時。生憎の曇天だが、鵲は橋を渡せただろうか。 鵲ではなく、烏の羽がただ一枚、街灯に照らされている。 手首で煌めく星の連なりは、昨夜まで隣にいた人からの贈り物。 さぁ、貴方が置いて行った、全てにさよならを。 リサイクルショップのLEDの鋭い白が目を刺して、視界が霞んだ。

2018-07-07 22:05:20
津森七@文学フリマ京都い-36 @tumori_nana

鴉と一緒に帰りましょう。歌は甲高い鳴き声に掻き消える。鴉の大群が狂ったように飛び回っていた。否、狂ったのは彼等ではなく、世界だ。だって時計が七月七日午後七時から動かない。通りすぎたリサイクルショップが、また現れる。僕は君の手を握る。ごめんね、僕が終わりたくないと思ったばっかりに。

2018-07-07 22:10:01
大橋電光 @79DEnko

「これは……」 女は死体から金属性のカードを1枚拾った。黒い烏に、数字の7が3つ書かれている。 「なんのカード? ……まぁいいわ。他に金目のものはないかしら」 リサイクル前に一通り漁った彼女は、死体をずた袋に放り込む。 7月7日午後7時。彼女の長い夜が始まった。

2018-07-07 22:10:02
はごろもとびこ@低浮上気味 @peeUsausa

「また散らかして」部屋に入った途端君はいつも同じ台詞を言う。遠距離だから会えるのは月一回。僕は部屋を片付けない。「ペットボトルはリサイクル!」燃えないんだからね、と付け加える。ムキになる顔も、もーと言いながらちょこまか動く君も愛しくて、可愛くて。毎月七日午後七時、今月も大好きだ。

2018-07-07 22:10:17
哉栄 @vincanae

カラスが泣いて曰く「織姫と彦星のためカササギたちが張り切って出掛けた。栄誉ある仕事なのだ。けれど同じカラス科の自分はその役目に就けない。それがつらい」気の毒で、せめて短冊でカラスの雇用を願った。だがカラスに任せない判断は正しいだろう。夕暮れの中を飛ぶ烏合の衆を見て難儀に思った。

2018-07-07 22:12:30
他人が見た夢の話 @from_earl

表向きは、そこは古紙のリサイクル工場。高い壁で四方を囲い、中の様子を外から伺い知ることはできない。7月7日、日没寸前。いま一台のトラックが敷地内に入っていく。積み荷の願い事が書かれた短冊が、迅速に宇宙船へと搬入されていく。「急げ、19時便もう締めるぞ」声を枯らすメトロン星人。

2018-07-07 22:13:09
哉栄 @vincanae

リサイクル業者が回収していったものの中に高価だったプランターが含まれていたのを見て驚いた。「家庭菜園やりたいからって駄々捏ねて買ったのは誰よ!」夫を問い詰めると「どうしても枯らしちゃうから諦めた」声を嗄らすほど怒鳴ってもどこ吹く風で、次の趣味を探す情熱だけは涸れないのだ。

2018-07-07 22:14:13
水城弥生 @mizukiyayoi8484

七月七日午後七時。ラッキーセブンだと思いながら外へ出る。紺碧の空に輝く幾つもの星。生憎天の川は見えないが、きっと織姫と彦星は出会えているだろう。暫く見上げていると、空に一筋の光が走る。お願いごとか。からすのように空を飛びたい。夕焼け空を自由に駆けて帰る時間を教えてあげるんだ。

2018-07-07 22:21:31
ポッキー(山野千鶴) @lilianne0523

君は烏の濡れ羽色の黒髪をぎゅっと縛り、一心不乱に色を塗っていた。それはリサイクルショップで発掘したありふれたテーブル。七月七日は僕の誕生日だ。「間に合った!」夜の七時に完成。夕食は僕が茹でたソーメンだけだったが、空色の上のビールを飲むと、君と一緒に雲になり、ふわふわと浮かぶ気分。 pic.twitter.com/yojFlO5CYq

2018-07-07 22:29:14
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はろ(葉露) @c_to__b

あの人との出会いは「からす」だった。「ガラス」の靴とかじゃない。からす。 私はカラスが苦手で、襲われそうになっていたところに彼は現れた。彼は私を馬鹿にしていたのに、その笑顔にやられた。一時、彼と同時にカラスも好きになった。 でも彼はいなくなった。 あぁ、やっぱりカラスは嫌いだ。

2018-07-07 22:34:32
ちひろ @naruhara04

また枯らしてしまった。注いで捧げて大事にして、遂に根腐れたその愛を、再び孵せるというのなら、私は夜空へ還そうと思う。マジックアワーの7日午後7時、そっと落とされた私の恋心は、周り廻って地へ降り注ぐ。その涙がどうか、知らぬ誰かの恋の糧となりますように。

2018-07-07 22:39:01
色糸 @IRO_Iroito_

午後七時、篠突く雨に傘を差し外を歩く。 電柱の上、カァッカァッと鋭いからすの声が響いた。 今夜、2人を逢わせる大事な架け橋になる筈の彼が何故此処に? 「暑くて川が干上がったのさ」 だから橋を作る必要もない、と。 きっと、この豪雨の向こうでは、天の川から星雨が降り注いでいるのだろう。

2018-07-07 22:40:50
秋月蓮華 @akirenge

烏の濡れ羽色の髪をした女が商店街の笹飾りを眺めている。 「明日のリサイクルに出すもの、まとめたのか」 青い髪の男が聞く。 「纏めたわ。短冊、かけないの?」 彼は彼女の手を引く。 「俺の願いは短冊にかけなくても叶ってる」 「馬鹿」 それは七日午後七時の、こと。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

2018-07-07 22:42:57
こやままやこ @coyamayaco

七月七日午後七時の空はからすの羽みたに真っ黒で月も星もみえない。「これじゃ織姫と彦星は会えないね。哀しいな」「あのさ、天の川って雲より高い位置にあるの知ってる?」「だから何?」「そんな他人のことで一喜一憂するより、自分のこと考えろって。ちなみに俺は一喜してます。なんでかわかる?」

2018-07-07 22:47:38
あおいあい @ao_i_ai

「私たちって、死んだらどうなるのかな?」七夕の夜、隣で星を見る彼女が言い出した。「生まれ変わるんじゃ?」輪廻転生派としてこう答えると、彼女は愉快そうに笑う。「あはは、魂のリサイクルだね」たとえ、ばらばらにされて、焼き固められて、ぴかぴかにされたって。きっと来世でも君を好きになる。

2018-07-07 22:47:45
ちひろ @naruhara04

スリーセブンじゃん、なんて君が笑う。だったら朝の7時の方が、なんて言っても聞く耳持たない。空っぽになった燕の巣、リサイクルに出した方が有用な大量の宿題、額に張り付く前髪。テスト後の開放感に誘われて、忍び込んで見たこの夏空を、私はきっと忘れない。

2018-07-07 22:54:18