3/1から3/31までに書いたサガフロとサガフロ2の140文字SSの置き場。それぞれ一日一個ずつ。 4/15サガフロリマスター発売お祝いと、4/1のサガフロ2発売22周年お祝い的なもの。  *3/3…まとめにタイトルと表紙追加。  *3/31…無事に書き終えられました。サガフロとサガフロ2に分けて本にする予定です。
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Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

29日目、サガフロ2 よりプルミエール。 グスタフの話と地味に繋がってるのは意識して書きました。彼女も貴族の一員として育てられた身。そう簡単に考え方や生き方は変えられないと思うのです。けれどその上で、彼女らしい生き方だってできるんじゃないのかなって思ってこうなりました。

2021-03-29 02:41:35
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

時術——この術は外の世界へ出すのはあまりにも危険すぎた。己の作り出した領域の時の流れを止め、最奥へと引き篭もった。もう二度と誰にも会わぬように、会えぬようにと。 時を止めてどれくらい経ったのかもうわからなくなった頃、跳ね橋が下がる音が聞こえた。 「なぜ、私の時を動かした……」 twitter.com/tokinagare/sta…

2021-03-30 03:15:57
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「貴方を倒し、資質を含めた時術のすべてを譲り受ける為です」 振り向けばそこには一人の人間がいた。魔術の流れる匂いが濃い者だった。 「そうか。好きにしろ——だが、そう簡単にこの術は渡さぬ」 目の前の術士が印を結ぶ。私はそれよりも早くタイムリープを使い動きを封じた。

2021-03-30 03:15:57
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

その間に接近し、ロッドを大きく振りかぶって殴る。何をされているのかわからない内にオーヴァードライヴを発動させ、相手が動けなくなるまで自分の持つあらゆる術と技を駆使して叩きのめした。 「呆気ない」 そうして動けなくなった術士の体を探り、砂の器を見つけてそれを破壊した。

2021-03-30 03:15:58
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

そしてそのまま、ヴァジュイールの元へと空間転移を行う。 「もっと骨のある奴を寄越せ。準備運動にもならん」 「其方、また力をあげたな? 互角に戦えると思ったのだが」 「命までは奪いはしない。だがもう二度と私のリージョンに入らせるな」 「目覚めたら伝えておこう。……辛くはないか?」

2021-03-30 03:15:59
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「時術を手にした時から覚悟はしていた。今までの継承者も同じだったのだろう? ならば私は戦いを挑まれ勝ち続ける。私以外の誰にもこの術は使わせない」 そうして私は再び己の作り出した領域へと戻っていった。 「……」 砂時計をロッドで叩き壊す。その瞬間、このリージョンの動きが全て止まった。

2021-03-30 03:16:00
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

——そう、この術を手にして理解してしまった。これは外へ出しては危険な代物だということを。 ゆえに、私以外の誰にも使わせない。使わせるものか。この命が消滅するその日まで、ずっと。

2021-03-30 03:16:01
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

30日目、サガフロより時の君。 ブルーたち以前のマジキンのモブ術士A、フルボッコにしてごめんな… 時の君は誰かから時術を継承したのではなく、自力で術の存在を探り当てて手に入れたのかな〜と夢見ています。

2021-03-30 03:16:02
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

グスタフと初めて出会った時、なんかワケがあるんだろうなとは思っていた。思っていたがまさかあのギュスターヴ公の子孫でヤーデ伯家の御子息とかマジで意味が分からなかった。 twitter.com/ghqkitakubu/st…

2021-03-31 01:50:28
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

ついでにノースゲート出会った女子二人。プルミエールは佇まいや立居振る舞いが上品だったので、良いところのお嬢様がワケありで家出したんかなって思ったら、こちらはオート侯カンタールの末の娘だという。ギュスターヴ公とヤーデ伯家の政敵じゃねえか。どういう確率だよおい。

2021-03-31 01:50:28
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

もう一人の女の子、ヴァージニアことジニーちゃん。こちらは普通に市井にどこでもいるような好奇心旺盛な女の子だった。祖父が冒険者をやってて憧れていたというなんとまあ可愛らしい理由で家出をしてきたという。だがそのお祖父様があの伝説のディガー、タイクーン・ウィルとかちょっと待ってくれ。

2021-03-31 01:50:29
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

一応、身分や出自で他人を判断しないでいるつもりだ。冒険者なんてみんなそんなものだし。だけど、このやんごとなき身分の面々には流石の俺も頭が痛くなってきた。 「ロベルト? 大丈夫?」 「ああ、ごめんジニーちゃん。ちょっと考え事してただけだからさ」

2021-03-31 01:50:29
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

そんなことを思いながら歩いていたらジニーちゃんに心配された。うう、年下の女の子に気遣われるとか年上の面目が…… 「きっと大丈夫! 私たちならエッグを倒せるって!」 ジニーちゃんが元気よく腕を上げながらいう。そのどこまでも前向きに考えられるのは、きっとそれが彼女の強さなのだろう。

2021-03-31 01:50:29
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「ああ、そうだな。だってこんなに心強い仲間がいるんだ。負ける理由がないさ」 俺がそう言うと、ジニーちゃんはニカっと歯を見せて笑った。——もうすぐ北大陸奥地にあるというメガリスへと到着する。人知れず長きに渡り続いていたエッグと人間との最後の戦いが、今まさに始まろうとしていた。

2021-03-31 01:50:30
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

遅刻30日目、サガフロ2 よりロベルト。 最終パーティーの面々へのツッコミをしてもらいました。ほんとマジで改めて書くと濃すぎるよこのメンバー… まさしく、サガフロ2の最後を飾るのに相応しい人たちだなあと書いてて思いました。

2021-03-31 01:50:30
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「……あなたがゲンか?」 「ああ? 俺に用か、にいちゃん。まあ、飲めよ」 いつものようにスクラップの酒場で呑んでいたら、この場に似合わない、小綺麗な格好をした若い男が声をかけてきた。適当にあしらうかと酒を進めるが見向きもせずに口を開く。 「ワカツ城への案内を頼む」 twitter.com/ghqkitakubu/st…

2021-03-31 02:52:54
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「……ワカツ……どこだそりゃ?」 男の蒼い双眸と目が合う。だがすぐ視線を逸らしてしらばっくれながら注いだ酒に口を付けた。しかし男はそのまま引き下がることなく言葉を続ける。 「あなたがワカツ出身なのは知っている。剣のカードが欲しい」

2021-03-31 02:52:54
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

……どこから聞き出したのか知らないが、全くお喋りな輩がいたものだ。飲んでいた酒から口を離して静かにグラスを置く。そして静かに息を吐いて再度男と向き合った。先程目があった時と微動だにしていない。その表情は真剣そのものだった。ふざけているわけでもなさそうだ。

2021-03-31 02:52:54
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

アイツらをちゃんと弔いに行かねばなるまいと思いながら、向き合うことが出来ずにこうして酒を呑んで気を紛らそうとしていた。もうそろそろ逃げるのはやめろという事なのだろう。 「剣のカード……剣聖の間か……わかった。案内しよう。だが、お前にその資格があるかな?」

2021-03-31 02:52:55
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「俺は術の資質を手に入れなければならない使命がある。そのための資格が必要ならあるならもぎ取るまでだ」 「ははっ、なかなか言うじゃねえかにいちゃん!」 俺の思わせぶりな言葉にこの男は、資格をもぎ取るとはまた大それたことを言う。その言い草が面白く、背中をバンバン叩いていた。

2021-03-31 02:52:56
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「げほっ、加減をしないか加減を!」 「悪い悪い! じゃあ行こうぜ」 そして俺は、術の資質を集めて故郷に帰るというこの男の数奇な運命に付き合うこととなった。まさかあんなことになるとは思いも知らずに。

2021-03-31 02:52:56
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

31日目ラストは私の実プレイで主人公7人やってて仲間皆勤賞のゲンさんでした! だってゲンさん強いし。飲兵衛だけど実はめちゃくちゃ強いって何それ大好きだよ。 ブルーで剣のカード得た時に見るアイキャッチの刀持ってるゲンさんのイラストめっちゃ好きなんですよ…

2021-03-31 02:52:56
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

みんなと力を合わせて、あのエッグを倒すことが出来た。もうこれでエッグのせいで悲しむ人はいなくなる。そう思ってたのに。 「ウソ……」 メガリスからの帰り道で、エッグの気配がした。なんで、どうして! 「ジニー?」 「ジニーちゃん!」 twitter.com/firststarxxx/s…

2021-03-31 03:56:37
1番星にくちづけを(お題bot) @firststarxxx

めでたし、めでたし(ここから始まる、)

2021-03-28 20:40:27
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

みんなが私の名前を呼ぶが、そのまま全力疾走する。森の小道を抜けた先に広い草原があった。 私たちがここを通ると知っていたのだろう。そのど真ん中に堂々とアイツは鎮座していたのだ。私たちがもうこれ以上、どうにも出来ないと知っていて。どこまで人の思いを踏みにじれば気が済むの!

2021-03-31 03:56:38
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「近づくな!触れれば、エッグにアニマを食われるぞ」 おじいちゃんがみんなに向かって叫ぶ。そうして、みんなでギリギリまで近づける距離で円陣を組んで囲む。だけど、いつさっきのように襲って来るかもわからない。 「しかし、こいつをこのまま放っておく訳にもいかんでしょう」

2021-03-31 03:56:38
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

ロベルトの言う通りだ。また、いつ人に悪さをするかもわからないモノを放ってはおけない。けれど、どうやって壊せばいいのだろう?「でも、どうしてこんなに巨大化したのかしら?」 「きっと、さっきのメガリスのパワーでしょう」  言われてみれば確かにエッグは巨大化している。

2021-03-31 03:56:39
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

手に乗るくらいの大きさだったのに、今や腰掛けられる大きな石くらいになっていた。あの戦いが終わった瞬間、メガリスの力を吸収してここまで逃げて巨大化したってことか。

2021-03-31 03:56:39
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「それでは、あいつの狙いは成功したというわけね……あの戦いは無意味だったという事?」 プルミエールが悔しさと怒りで肩を震わせながら言う。みんなも似たような表情だった。私も悔しくて悔しくてしょうがない。どうにもできないとわかってはいるけど、おじいちゃんに聞かずにはいられなかった。

2021-03-31 03:56:40
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「これ、壊せないの? ねえ、おじいちゃん、どうにもならないの?」 「ジニー、私にもどうしたらいいのか、分からんのだ」  おじいちゃんも困ったように首を振る。わかってはいたけれど、やっぱり悲しかった。もうこのまま見ているしか出来ないなんて。悔しくて涙が滲む。

2021-03-31 03:57:33
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

泣いたってしょうがないけれど、溢れる涙を手で乱暴に拭っても止まらなかった。 「グスタフ! 何する気だ! やめろ!!」  ロベルトの声にハッとなって顔を上げる。グスタフが鋼の大剣を、ギュスターヴという人の剣を、真っ直ぐ上に振りかぶってエッグに向かって叩きつけた。

2021-03-31 03:58:27
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

みんな思いは一緒だったのだろう。術を阻害する鋼の剣なら、と。——だけど現実は残酷だった。「ギュスターヴ公の剣が……やはり、駄目か……」  剣が、真っ二つに折れたのだ。折れた剣先がくるくると回って、地面に刺さる。もうこれ以上、どうすることもできない。

2021-03-31 03:59:03
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

私たちが諦めたその時、ピシッと何かが弾ける音が耳に届く。見ればエッグにヒビが入っていた。 「見て! エッグにヒビが!!」 私の声に、みんなが一斉にエッグの方をもう一度見る。そうして、みるみる内にヒビが広がっていく。やがて全てにヒビが入ると、そのままエッグは弾けて粉々になった。

2021-03-31 03:59:36
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

その時、私は色んな人のアニマが空気に溶けていくのが見えた。その中の一つが、私の頬をふわりと撫でていった。 「やったわ……」 私はその場でヘナヘナと座り込んだ。ロベルトがエッグと至近距離にいたグスタフを心配して駆け寄っていくのが見えた。

2021-03-31 04:00:34
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「大丈夫か、グスタフ?」 「何とも無い。剣は折れたが……」「悪夢の終わりね」 「うん。やっと終わったんだ」 プルミエールが近寄り手を貸してくれた。立ち上がったその時に、ミーティアさんの心配そうな声が響く。 「タイクーン・ウィル、どうしました? ガスで気分でも悪くなったのでは?」

2021-03-31 04:01:38
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

さっきの私のようにおじいちゃんが蹲っていた。ミーティアさんはそんなおじいちゃんの背を撫でている。私はプルミエールと一緒におじいちゃんの方へと駆け寄った。見れば、おじいちゃんの肩が小刻みに震えている。 「おじいちゃん、泣いてるの?」

2021-03-31 04:02:26
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「多くのアニマが開放された。長い間エッグに囚われていた人々のアニマが……父さんのアニマも……」 「ひいおじいちゃんね。うん、私も感じた。 やっと土や水や木に帰っていくんだね」 震える声でおじいちゃんが言う。そうか、さっき頬に触れたアニマは、ひいおじいちゃんだったんだ。

2021-03-31 04:03:09
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

「ああ、そうだ。誰もがそこに帰るんだ。やっと終わった。——帰ろう」 おじいちゃんのその声に、みんなが頷いて歩き出した。 きっと、これが始まりなんだ。エッグの脅威のない世界、新しい日の始まりなんだ。 【終】

2021-03-31 04:07:17
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

31日目。サガフロ2、最後は数日前からずっと決めていました。ウィル編の最後の主人公、ヴァージニア・ナイツ。 きっと彼女はエッグの脅威のない世界で、これから頼もしい仲間たちと一緒にディガー業を続けていくのでしょう。

2021-03-31 04:07:18
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

……やった。やったよ私。31日間やり遂げたよ……

2021-03-31 04:08:07
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まとめたひと
Suiha(水波)@色々ごった煮 @wasser_welle

すいはと申します。サガシリーズを拠点にしつつ刀剣乱舞とFGOを反復横飛びしながらオリジナル創作やTRPGの話もするごった煮闇鍋よろずアカウント。腐夢妄想その他諸々好きなものを好きなだけ。