意識の低い就活生森山の謝罪

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

大学の就職課に進路を報告したら、今まで幾度となくお世話になった担当のおばさんは、卒業生の内定なのに自分のことのように喜んでくれた。全く、またストライクゾーンが一回り上がりそうだぜ。 他に入社直前の第一志望内定だなんてドラマチックだから、ぜひ後輩に話をしてほしいとまで言われた。が、

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

今、オレの頭の中はオレ史上最高レベルでリアルだ。数時間前の喜びはどこかに飛んでいってしまった。黄瀬が言ってた「夢は手にすれば現実」ってこういうことか。 “入社直前 内定 辞退”で真っ青な顔で検索してるなう。なんか請求されたら？ 殴られることもある!? どうしよう、こわいよおぉ…泣

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

ただいま……

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

前に内定をもらった会社に行ってきた。 https://t.co/4MVftL1Env 意識の低い就活生森山の内定 http://t.co/pqi2yDeqjf

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

入社を辞退する意思を伝えたら「きょう何日だと思ってんだ！」ってコーヒーかけられた。ホントだよな… 一年間一緒にガンバってきたスーツはダメになった。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

君を受け入れる準備もしてたのに、重大なマナー違反だって怒鳴られた。内定式では笑顔で会社のバスケサークルに誘ってくれた人が担当だったからショックだった。こんなんだから…人と人との約束もロクに守れないから、オレはモテないんだろうな…

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

次は小堀に謝んなきゃ… https://t.co/qHAt2InWE2

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「遅れてゴメン、小堀。こんな時間に迷惑だよな。スグ帰るから」 「遅かったから心配したぞ。何かあったの？」 「けっこう長いこと説教されちゃって…家でぼーっとしてたのもある。…こんなの理由にならないよな」 オレを玄関に通しながら小堀は怪訝な表情を見せた。 「オレ、内定辞退したんだ」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「他のところに決まって、そっちの方にいきたい、って思い直して… ちょっと前、武内監督に相田スポーツジムで働いてみないか、って誘ってもらって、きのう選考受けたら採用になって…それで…」 我ながら歯切れが悪い。小堀の顔をちらりと見上げた。 「大丈夫だよ」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「内定承諾書に法的拘束力はない。森山が辞退した会社は、オレが個人的に就活サイトで探してきたし、大学のキャリアセンターや後輩に迷惑をかけることもない。あー…二週間の予告期間無しの辞退だから、一応、労働基準法に違反したことになるのか？ でも、まだ働いてもない学生が辞退したからと言っ→

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

→て会社に大きな損害が出たとは考え難い。実際、学生に対して損害賠償が命じられることは稀だ。期待権の侵害で民事裁判を起こされた場合に備えて、そのコーヒーのシミのついたスーツは取っておくといい」 小堀は一気に捲し立てた。意識に差がありすぎて言葉が通じない。 「そ、そうじゃなくて…！」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「そうゆう難しい話じゃなくて…っ、前のところに内定もらうまで、小堀に力になってもらったから…その、お前に申し訳ないな、って…ごめん、小堀」 「森山はズルいなあ」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「そんなボロボロな姿で来られたら、嫌みの一つも言えないじゃないか」 いつもの優しい小堀でもない、熱い小堀でもない、淡々とした調子だった。 「ごめん…」 「できれば、“ありがとう”って言われたかったな」

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

「ごめん」 例えば、内定式が結婚式で、内定承諾書が婚姻届だとしたら、それを一緒に暮らす前日に反故にしたオレはとんでもないクソ野郎だ。 やっぱり“ごめん”しか言葉が出てこなかった。

意識の低い就活生だった森山bot @Entry2Heart

小堀と別れて一時間経ってようやく気付いた。 『でも、そんな気はしてたよ。森山はあの後も何だかんだ言って就活続けてたし。内定おめでとう。お前が本当にいきたいところにいけて良かった』 アイツは本当に嘘が上手い。 オレは小堀の嘘が好きなので、今日も気づかないふりをするのであった まる