ミクロマン：ニューオーダー／アキヤ
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ミクロマン：ニューオーダー 昭和編 《影の中の男》 pic.twitter.com/WYSxa7po8J
2021-11-07 01:52:59
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ミクロマン：ニューオーダー／アキヤ
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オレの名はボーンズ。M11X、ボーンズだ。 なに？ そのツラはなんだって？ この骸骨の仮面が、俺の顔さ。文句は受け付けねぇ。今の俺は、死神みてぇなもんだからな。 pic.twitter.com/Mn7aVc5V4P
2021-11-07 01:53:01
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オレには許せねぇもんがふたつある。 ひとつはアクロイヤーだ。あいつらは世界の敵だ。見つけ次第殺さなきゃなんねぇ。誰がなんと言おうとな。 もうひとつは、ある男だ。そいつは俺から顔を奪った。 そいつを見つけるために、俺は旅をしている。 pic.twitter.com/S6IPpYF7bk
2021-11-07 01:53:03
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見つけてどうするのかって？ 決まってるだろうが。殺すんだよ。 そいつはアクロイヤーじゃねぇが、世界の敵だ。 悪は許さん。オレはれっきとした正義のミクロマンだからな。 人を見た目で判断するな。 pic.twitter.com/DXlUUVmM5x
2021-11-07 01:53:05
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ある日、アクロイヤーに出会った。 そいつは倒れたミクロマンの横に、膝をついていた。 仲間にもう息はなさそうだった。このアクロイヤーに殺されたんだろう。 オレはアクロイヤーの首を落とした… pic.twitter.com/zCcOyy8Egp
2021-11-07 01:53:06
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…いや、落とそうとした。 そうしなかったのは、ヤツがこう叫んでいるのが聞こえたからだ。 「死なないでください！ 私は医者です！」 耳を疑ったね。人命を助けようとするアクロイヤーなんて聞いたこともねぇ。 pic.twitter.com/Q7sge9yx4p
2021-11-07 01:53:08
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オレはそいつを蹴り飛ばした。地面に転がったそいつは案の定、命乞いをした。 「殺さないでください」 俺は首を横に振った。するとヤツはこう言った。 「...無理もありません。私の見た目はアクロイヤーですから。しかし信じてください。心はミクロマンのままなのです。私はこの人を殺していない」 pic.twitter.com/ED88PDrLHy
2021-11-07 01:53:10
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聞いたことのねぇ命乞いだ。 アクロイヤーは、ミクロマンが公害によって汚染され、変化した姿だってことはオレも知ってる。その中には、自我が失われなかったヤツもいるのかもしれん。 かといって、アクロイヤーの言うことを信じる気にもなれねぇ。 考えあぐねていると、そいつはこう言った。 pic.twitter.com/pt7Da0OAtR
2021-11-07 01:53:12
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「私は医者です。いや、医者だった、と言うべきかもしれませんが。私を同行させれば、あなたが傷ついたときには、役に立つと思いますよ」 面倒なことを言いやがる。が、オレは結局、この提案を飲むことにした。 まあ殺そうと思えばいつでもできる。役に立ってもらうのも悪かねぇ。 pic.twitter.com/e2jqAqO8Zg
2021-11-07 01:53:14
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こうしてオレとコイツの、奇妙な旅がはじまった。 pic.twitter.com/gjU2xJcB13
2021-11-07 01:53:16
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ミクロマン：ニューオーダー 昭和編 《影の中の男》 第一話『人を見た目で判断するな』 THE END. pic.twitter.com/qYR6lg9VRU
2021-11-07 01:53:17
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コイツは確かに優秀だった。鉄球みたいな手でどうやってんのかと思うくらい、的確な処置をした。実際命拾いをしたことも、何度もあった。 いい加減不便だと思って、名前を聞いた。そうしたら、こう言われた。 pic.twitter.com/3PP3ih7GOA
2021-11-12 00:01:46
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「覚えていないんです。過去の記憶も、すべて。覚えているのは、ミクロマンだったことと、医者だったということだけ」 …まったく難儀なことだ。 「多分、レディコマンドだったのだとは思うのですが」 「なんだって？」 pic.twitter.com/zsoEcqLlvg
2021-11-12 00:01:49
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オレは聞き返した。どうやら女だったらしい。今更関係ないような気もするが、妙に気恥ずかしくなって目を逸らした。 しかし、名前がないのは不便だ。 なんでもよかったんだが、パッと思い浮かんだ名前を、俺は提案した。 「アニエス、ってのはどうだ？」 pic.twitter.com/Kss9fVRhDR
2021-11-12 00:01:52
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「アニエス...ですか。いい響きです。ありがとうございます」 笑ったように見えたのは、俺の気のせいだったろう。 アクロイヤーに表情はないからだ。 そのはずだ。 pic.twitter.com/wa3ZN6HUcZ
2021-11-12 00:01:56
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その日の夜、アニエスは俺にこう聞いた。 「ボーンズ。あなたはいったい、なんのために旅をしているのですか？」 俺は多分、人生で初めての、身の上話をした。 pic.twitter.com/xwl4dVngDl
2021-11-12 00:02:01
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20年前。オレは研究者だった。憧れだったボブソン教授のラボに配属され、オレは有頂天だった。 あらゆる種族・出身を超えて、新たな地平を目指す者が集う研究室。最高の環境だ。 pic.twitter.com/yXI0oqfqVr
2021-11-12 00:02:06
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ヤツはまさに天才だった。あらゆる難解な理論を一瞬で理解し、応用し、新たな技術を開発した。 ヤツはこう言った。 「私は戦いが嫌いでね。平和な世界を作りたいんだ」 オレは嫉妬したが、それ以上にヤツの語る理想に共感し、そして憧れた。 だからオレは、ヤツに協力したんだ。 pic.twitter.com/RZybb0hbjX
2021-11-12 00:02:15
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オレたちが研究していたのは、スペクトルNW。あらゆる存在をその場に〈復元〉できる技術だ。 研究は一定の成果を挙げ、ヤツはスペクトルNWを使った〈復元〉実験を開始した。 なにを〈復元〉したのかって？ オレだよ。 ヤツは、オレを〈復元〉したんだ。 pic.twitter.com/elJCO11Cl1
2021-11-12 00:02:19
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ミクロマン：ニューオーダー 昭和編 《影の中の男》 第二話『そこにヤツはいた』 THE END. pic.twitter.com/t2LSniu92A
2021-11-12 00:02:21
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すでに存在しているのとまったく同じ者を〈復元〉したらどうなるか。 それがヤツのやった実験だった。悪趣味すぎる実験だろう？ 目の前に〈オレ〉が現れたときのことは、今でもよく覚えている。 ...それからどうなったかって？ pic.twitter.com/vDsRqSMD0e
2021-11-17 21:54:59
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〈オレ〉は、消えた。 〈データベース〉上でコードが完全一致する同一存在は、ひとつの世界に同時に存在できない。 ゆえに〈復元〉した時点で片方は消滅する。そいつが実験の結果だった。 pic.twitter.com/kCh4v2t9UG
2021-11-17 21:55:02
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存在干渉で記憶はめちゃくちゃだった。 だから、オレにはわからなかった。 今ここにいる〈オレ〉が、元からいたオレなのか、それとも復元されたオレなのか。自分の記憶が、本当に正しいのか。混入した他の誰かの記憶じゃないのか。 オレはいったい、誰なのか。 pic.twitter.com/Iw7cOm1qiQ
2021-11-17 21:55:04
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残ったのは、ミクロマンとしてアクロイヤーを倒さなければならないという使命感と。 オレという存在を破壊した、ヤツへの殺意だけだった。 pic.twitter.com/6XnQOAUgpE
2021-11-17 21:55:06
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だからオレは仮面を被って、名前を変えた。 ボーンズ。 夜を彷徨える髑髏の死神。 存在を失った存在。 影の中の男。 それが、オレだ。 pic.twitter.com/gFTXIvfAs9
2021-11-17 21:55:08
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「...わかった気がします。あなたがどうして、私を殺さなかったのか」 「理由はねぇ。単なる気まぐれだ」 「そうですね。そういうことにしておきましょう。…私は医者です。患者を途中で放り出すわけにはいきませんから。あなたと行きます。これからも」 pic.twitter.com/tHx1hSqnms
2021-11-17 21:55:12
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アニエスは、表情のない顔をオレに向けた。 けれど今度は確かに、彼女は笑った。 pic.twitter.com/svVK3BzgPA
2021-11-17 21:55:15
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ミクロマン：ニューオーダー 昭和編 《影の中の男》 第三話『夜を彷徨える髑髏の死神』 THE END. pic.twitter.com/iok0nNbaQQ
2021-11-17 21:55:21
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次の日。奇妙なアクロイヤーがオレたちの前に現れた。 その赤いアクロイヤーは、こう言った。 「あなたがボーンズとやらですね。挨拶は省略して、単刀直入に言いましょう。わたくしは、あなたが探している人物についての情報を持っています」 pic.twitter.com/oKySwI48iz
2021-11-19 17:41:26
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「なんだと！？」 オレは叫んだ。ヤツの居場所がわかる。そう思うと、血がたぎった。 「ただし、条件があります」 「なんだ」 「必ずあのミクロマンを、殺してください」 オレは笑った。 「当然だ。そのためにオレは旅してきたんだからな。早く座標を寄越せ」 pic.twitter.com/kwiuTi6ykU
2021-11-19 17:41:27
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そのアクロイヤーはオレに座標を渡すと、他にやることがある、とか言ってどこかに行っちまった。 「とうとう、見つかったんですね」 アニエスは言った。だが、オレはこいつと行く気はなかった。 「ここで解散だ。お前を付き合わせる気はねぇ」 「どうしてです！」 「お前には関係ねぇからだ」 pic.twitter.com/hWuLCuGjnm
2021-11-19 17:41:29
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「関係あります。言ったでしょう。私は医者として、患者を見届ける義務があります」 「勝手にしろ」 オレは舌打ちをして、それ以上、なにも言わなかった。 pic.twitter.com/6skA2zMcUq
2021-11-19 17:41:31
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さあ、狩りがはじまる。 ヤツの首を獲ろう。 それだけが。オレでなくなったオレが、ここに存在している意味なのだから。 pic.twitter.com/D8Ffgh5HLO
2021-11-19 17:41:33
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ミクロマン：ニューオーダー 昭和編 《影の中の男》 第四話『さあ、狩りがはじまる』 THE END. pic.twitter.com/DXXyv2eRdk
2021-11-19 17:47:54
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