2 ずっと…ずっと、胸に秘めていた想いを、ついに打ち明けたさくら。 尋常じゃないほど胸の鼓動が速く、大きく、全身に響き渡る。 本当は…返事を聞くのが怖くて、今すぐここから逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど、 さくらは、○○のことをじっと見つめた。
2022-01-10 21:22:483 それでも、目が合うことはない。 その時の○○は少し俯いたまま、さくらが初めて見る表情をしていた。 なんとも言えない…辛くて、苦しそうな顔。 その表情を見れば、答えはもう…容易に想像できる。
2022-01-10 21:23:524 それでも言葉が出せないのは…できるだけ、さくらを傷つけたくないからだろう。 さくら:(ごめんね………。) さくら:(そんなに考えないで…あっさり断ってくれれば、それでいいんだよ…?) さくら:(この時間が…逆に辛いよ…。) さくら:(筒井くん……。)
2022-01-10 21:24:325 それでもずっと、○○のことを見つめているさくら。 ○○:………遠藤。 ○○が、顔を上げる。 2人の視線がぶつかる。 でもそれは…一瞬のことだった。 なぜなら…○○が、深々と頭を下げたから。
2022-01-10 21:25:056 ○○:……ごめん。 さくら:……………。 少しの沈黙の後、○○が顔を上げる。 ○○:俺にはもう……大切な人がいるから。 ○○:だから……遠藤とは、付き合えない。 ○○:本当に……ごめん。 もう一度、頭を下げる○○。
2022-01-10 21:25:528 緊張で強張っていた身体からフッと力が抜けると、 思わず、その場にしゃがみ込んでしまうさくら。 ○○:遠藤!! 慌てて駆け寄る○○。
2022-01-10 21:27:229 さくら:大丈夫…ちょっとフラッとしただけだから。 さくら:少し…飲み過ぎちゃったのかな。 そう言って、少しだけ表情が和らぐさくら。 さくら:ねぇ……筒井くん。 さくら:少し……お話しない? ―――――
2022-01-10 21:27:4510 ひっそりと静まりかえった、夜の公園。 冷たい空気が、身に染みる。 ○○:……はい。 自販機で温かい飲み物を買い、さくらに渡す○○。 さくら:…ありがとう。 飲み物を受け取ったさくらは、蓋を開けることなく、両手できゅっと握りしめる。
2022-01-10 21:28:1212 さくら:……ごめんね。 ○○:えっ……? さくら:びっくり……させたでしょ? ○○:まぁ……うん。 さくら:……私ね、中学の時から…筒井くんのことが…好きだったの。 ○○:え……?
2022-01-10 21:29:4913 さくら:高校に入って、筒井くんとかっきーが恋に落ちていく横で…私は、筒井くんに恋をしてた。 さくら:だけど……何も出来なかった。 さくら:私……意気地なしだから。 ○○:………。
2022-01-10 21:30:1214 さくら:……本当はね…全部、わかってたの。 さくら:筒井くんが……どれだけ、かっきーのことが好きなのかも、 さくら:私じゃ……勝ち目なんて、無いことも。 ○○:………。
2022-01-10 21:30:5116 ○○:………ごめん。 さくら:…ふふ、なんで謝るの? ○○:それは……。 さくら:筒井くんは……悪いこと、何もしてないよ? ○○:………。
2022-01-10 21:34:4717 さくら:……ねぇ、筒井くん。 ○○:………? さくら:私は……最初から、筒井くんの幸せしか願ってないから… さくら:かっきーと2人で…誰よりも、幸せになってね? ○○:遠藤………。
2022-01-10 21:35:4618 さくら:……あはは、振られたやつが何言ってんだって感じだよね。 そう言って笑うさくらの目には、薄っすらと光るものが。 ○○はただ、首を横に振ることしかできなかった。 ―――――
2022-01-10 21:36:1619 さくら:寒くなってきたし…そろそろ帰ろっか。 そう言って、ベンチを立つさくら。 さくら:ごめんね。こんな時間まで…。 ○○:……ううん。 ○○も、立ち上がる。
2022-01-10 21:36:5321 さくら:これからも、友達で………居てください。 ○○の目をじっと見つめるさくらに、○○はゆっくりと頷く。 ○○:………うん。 さくら:……ありがとう。 そう言って、さくらは笑顔を見せる。
2022-01-10 21:38:4722 さくら:じゃあ、また…大学で会おうね。 ○○:…うん。 さくら:じゃあ……おやすみ。 ○○:…おやすみ。 くるっと振り向き、歩き出すさくら。 すると
2022-01-10 21:39:2223 ○○:遠藤………! さくら:……? ○○:……ありがとう。 一瞬、立ち止まるさくら。 さくら:……ばか。 しかし、振り向くことはなく、再び歩き出す。
2022-01-10 21:40:1225 家に着くと、鍵を閉め、明かりをつける。 そして、ドカッと荷物を床に降ろす。 その拍子に、鞄からあるものが飛び出す。 さくら:あっ………。
2022-01-10 21:43:4226 それは、先日買った恋愛成就のお守り。 それを見た途端、今まで堪えていたものが一気に溢れ出す。 さくら:うっ…、うぅ…。 溢れる涙を手で拭いながら、これでよかったんだと自らに言い聞かせる。 しかし、言い聞かせれば言い聞かせるほど、涙が溢れ出し、止めることは…できなかった。 ―――――
2022-01-10 21:44:3727 少し落ち着いた後、さくらは聖来に電話をかけた。 prrrrrr… 聖来:『もしもーし。』 さくら:もしもし、せーら…?ごめんね、こんな時間に……。 聖来:『ええよ、どうしたん?』
2022-01-10 21:53:3028 さくら:筒井くんに……告白した。 聖来:『えっ……!?』 さくら:でもね………振られた。 聖来:『……そっか。辛かったな……。』
2022-01-10 21:53:5729 さくら:ねぇ、せーら……。 聖来:『…うん?』 さくら:せーらは、当たって砕けるって…言ったよね。 聖来:『ああ…うん。言うた。』
2022-01-10 21:54:3730 さくら:当たったけど……全然、砕けないよ……? 聖来:『えっ……?』 さくら:私……おかしいのかなぁ…? 聖来:『おかしいなんて…そんなこと、絶対あらへんよ!』 さくら:だったら……どうしたらいい……? 聖来:『それは……。』
2022-01-10 21:55:0631 聖来:『どうしようも……ないんやない?』 さくら:えっ……!? 聖来:『それだけ…さくちゃんが○○君のことが好きやった、ってことやろ?』 さくら:………うん。
2022-01-10 21:56:1932 聖来:『泣きたい時は泣いたらええし、せーらでよければいつだって話聞くから。』 さくら:せーら………。 聖来:『心の整理がつくまで時間かかるかもしれんけど、一緒に頑張ろう?なっ!』 さくら:うん………ありがとう。
2022-01-10 21:57:1733 聖来:『明日、ちゃんと大学来れる?大丈夫?』 さくら:うん…、頑張る。 聖来:『そっか。じゃあまた明日、会おうな?』 さくら:うん…!また明日。 冬の冷たい空気とは対照的な、聖来の暖かさを実感するさくらなのだった。 ―――――
2022-01-10 21:57:4834 翌日、さくらは遥香を呼び出し、2人切りになっていた。 遥香:どうしたの…?さく。 さくら:かっきー…これ。 遥香:? さくらが鞄から取り出したのは、あの恋愛成就のお守り。
2022-01-10 21:59:5135 遥香:あっ、これ…! さくら:よかったら、受け取って? 遥香:えっ、いいの…? さくら:うん。かっきー、欲しそうにしてたから。 遥香:え〜!やったぁ、ありがとう♡ 嬉しそうにお守りを見る遥香。
2022-01-10 22:02:4736 さくら:大切に…してあげてね。 さくら:(お守りのことも…筒井くんのことも。) 遥香:うん…大切にする。ありがとう、さく♡ さくら:ふふ♡ さくら:(かっきーなら…心配いらないね。) さくら:(だって私の…親友だから。) ―――――
2022-01-10 22:03:3637 その後 さくら:ごめんね、昨日は……急に電話して。 聖来:うん、ええよ。それより……大丈夫? さくら:…うん。あの後…お家で涙が枯れるほど泣いたら、少しだけ…楽になった。 聖来:…そっか。強いやん、さくちゃん。 さくら:ふふ、ありがとう。 さくら:それでね…決めたの。
2022-01-10 22:04:5538 さくら:私……諦める。 聖来:えっ…? さくら:泣きながら……思ったんだ。 さくら:かっきーと別れた筒井くんなんて…筒井くんじゃないって。 さくら:かっきーの横で幸せそうにしてるから、筒井くんは私の好きな筒井くんでいられるんだって。
2022-01-10 22:05:3039 さくら:でも……筒井くんを好きな気持ちは、やっぱり消せないから…、 さくら:私は…筒井くんの親友になりたい。 さくら:どうしたらなれるのかはわかんないけど……やっぱり、筒井くんのそばに…いたいから。
2022-01-10 22:06:0740 すると、思わず笑ってしまう聖来。 さくら:へ、変なこと言ったかな…!?💦 聖来:いや、変なことは言ってないけど…それ、諦めたって言うんかなって思って。 さくら:う〜ん、どうだろうね。 つられて笑うさくら。
2022-01-10 22:06:3841 聖来:まぁ…さくちゃんらしくて、いいと思う。 さくら:うん…ありがとう。 聖来:これからも…頑張ろうな? さくら:うん♪ ―――――
2022-01-10 22:08:1343 その日の、夜。 ○○:はい、これ。 預かっていたくまちを遥香に返す○○。 遥香:ふふ、ありがとう♡ すると ○○:はるちゃん…。 唐突に、遥香をぎゅっと抱きしめる○○。 遥香:もう…/// ○○の腕の中で、幸せそうな遥香。
2022-01-10 22:11:0746 ○○:これ…初詣の時にはるちゃんが買おうとしてたやつ? 遥香:そうだよ。さくがくれたの。 ○○:えっ…、遠藤が? 遥香:うん。やっぱり、可愛いよね♡このお守り。 ○○:…うん。
2022-01-10 22:14:5747 遥香:ちゃんと、願いも込めといたんだよ? ○○:何て? 遥香:○○と、もっともっと…幸せになれますようにって♡ ○○:はるちゃん…。
2022-01-10 22:32:5648 ○○:…なろうね、絶対。 遥香:うん♡ ○○は遥香をもう一度、そして、先程よりも強く…遥香を抱きしめた。 ―――――
2022-01-10 22:41:0749 その後、○○が遥香に昨夜の出来事を語ることはなかった。 遥香とさくらの仲を、ぎくしゃくさせるわけにはいかなかったからだ。 隠し事をすることに罪悪感はあったものの、 昨夜のことは墓場まで持っていくと、心に決めていた。
2022-01-10 22:43:0350 しかし、後日。 居た堪れなくなったさくらは、遥香に本当のことを打ち明けた。 自分が、○○に好意を抱いていたこと。 その好意を、本人に伝えたこと。 そして……振られたこと。
2022-01-10 22:45:53