第87回深夜の真剣140字60分一本勝負

RAY/※※※ @growler_ray

「綺麗…」 「今を暁って言うのかな…」 暁は、夜明けの時の別名。これから始まっていく世界の様子を表すのにぴったりな、厳かで綺麗な言葉 けれど、その感動を分かち合う人々はもう居ない。死者に囲まれて、全てが死に絶えてしまった だからきっと…これは私達だけになってしまったこの世界の、暁だ

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

「今夜、もし良ければメールして」そう言って彼女が手渡してくれたメアドを、なくしてしまった。テスト期間だからといって掃除に精を出したせいで、ゴミに紛れたのかもしれない。もはやテストなどどうでもいい。早く、早くメールしないと！「あった！」そう叫んで掲げたメアドを、暁光が照らしていた。

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

「テスト期間は寄り道せずに帰りましょう」先生の言葉に頷いた彼女は、校門から商業ビルへと吸い込まれていった。「いやいやいや！」慌てて後を追うが、彼女は見当たらない。仕方がないので、彼女のメアドにメールを送る。『今どこ？』すると、窓の外から着信音が一瞬聞こえ、直後に悲鳴が響き渡った。

空川実栄 @sorakawa_mie

画面上部の三桁を目にし、私は固まった。スマホの動画を停止させ、紐を引っ張りイヤホンを剥ぐ。ベッドにうつ伏せの上体を起こす。手を伸ばす。届かなくてぶんぶん振ると、指先がカーテンを掠める。ひらりと舞い上がる。差し込んできた穏やかな光に、私は呆れて笑った。「4:07」、暁の空である。

繭美 @140mayumi

『テスト期間は終了です。――その暁に貴殿には『選ばれし第二新卒』の称号と社保完備を与えよう。だが我が組織には『賞与は来年のカレンダー』という闇の歴史がある。今は違うが伝えておく。熟考の上で貴殿が仲間になってくれれば幸いだ。　by氷河期の旅人』 メアドを見るに採用通知のようだが、悩む。

KTQ @wholiveo

「物理ムカツク」 「わかるよ、うん」 そんなやり取りをしたテスト期間前。暁を迎えるまで机に向かった期間中。そして答案が返ってきた今。 「俺より点数いいじゃん」 「コツコツやったのよ」 「そのコツコツがうざいんさ」 「コツコツといいカンペ作ろうとしてたら、ちょっと覚えちゃったのよ」

花滝ちかる @chikaru_toka

午前５時の電話で起こされた。 「デートしよ」 「…彼女としなさいよ…」 「いねぇし」 眠いのに、マイペースな男友達のバイクで海へ。 「お前と見たかったんだ」 強い海風が冷たい。 でも、目が覚めるように、綺麗な朝焼け。何かの始まりを告げるように。 彼が、笑った。 「俺の彼女になってよ」

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

涙も枯れ落ちた早朝。 私はいつものように彼にメールを送る。私の名前の入ったメアド、内容は必要ない、必ず悪魔から返信があるから。 他国の言葉で書かれた宛先不明の文字 この優しい悪魔は彼が亡くなったとは言わない。私はまた階段を降りて行く。今日も飛べなかった。 私の最終試験はいつも補習。

秋月蓮華 @akirenge

二日休みだから今日は徹夜した。夜ふけ、スマホが音を立てる。このメアドは彼女からだ。 『外に居るよ』 一言だけ、窓の外を見れば君。部屋から出て向かう。 「テスト期間だけど」 「知ってる。私は寝てたけどね。朝日を見にいこうよ」 「全く。暁、か」 仕方が無いとなる。変わらぬ君は僕に笑った。

はみどり@木製３秒間 @tyaboka1

お題「テスト」「暁」「メアド」 お題見てイメージされたものをそのまま #深夜の真剣140字60分一本勝負 @140onewrite #ましかくSSメーカー pic.twitter.com/1JdrQToZuk

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