【とあるローカル線を走る鈍行列車の中】(ガタンゴトン,ガタンゴトン…)スワローギルディ「………」愛「………」ス「あ,あの山…山頂に雪が残ってて綺麗ですよね。山…興味あります?」愛「別に…」ス「そうですか…」愛(…なんでエレメリアンと一緒に列車乗ってんの、私…)1
2020-12-11 20:10:22【1時間前】愛「妙なエレメリアン反応?」ト「そうなんです。時速60kmくらいで移動してて時々止まってはまた動き出したり…それで色々照合してみたら,どうやら“列車”に乗ってるみたいなんですよ」愛「…鉄道マニアのエレメリアン?」ト「とりあえず現地に行ってもらえませんかね,愛香さん?」2
2020-12-11 20:14:19【とあるローカル線の無人駅】愛「あの列車ねトゥアール?」ト『そうです』(キィィィィィ…《列車停止》)愛「さあ,いくわよ!!………,って何でドア開かないのよこの列車!?」運転手(車外スピーカー)「お客さま!ドア横のボタンを押してください!」愛「えっ!?ア,ハイ…////////」3
2020-12-11 20:16:56(プシュー《ドア開》)愛「コラア!!出てきなさいエレメリアン!!あんたのせいで恥かいたじゃないのよ!!」ト『それはエレメリアンのせいじゃないですよね?』?「!!,あっ…」愛「アンタね!!」ス「あ,ああ…あなたは…噂で聞いていたテイルブルーさん…」4
2020-12-11 20:19:36愛「何しれっとシートに座ってんのよ!?他の乗客にも迷惑かかってるでしょ!!」ス「…この列車,僕とあと地元の方が2,3人乗ってるだけなんですけど…」爺さん「…?」婆さん「何じゃの…?」愛「………,とにかく!さっさとこの列車から降りなさい!!さもないと…」5
2020-12-11 20:21:55ス「あの…この旅だけは最後までやらせてもらえませんか!終わったら倒してもらって構わないので…!」愛「はぁ!?」ス「僕…この旅を前々からプランしてて…なんとか暇を見つけてやっと今回来れたんです!」ト『まるで普段仕事で忙殺されてる旅行好きサラリーマンみたいなこと言ってますね…』6
2020-12-11 20:24:49ス「お願いします!この旅が終われば煮るなり焼くなりしてもらっていいですから…!」ト『う~ん,それほど戦闘力は高くなさそうなエレメリアンですし…,それじゃ愛香さん,一応監視役としてそのエレメリアンの旅に付き合ってあげてください。その後の対応も一任します』愛「ハア!?」7
2020-12-11 20:26:24愛(…とかいう訳の分からない経緯で付き合わされてるんですけど!)ス「あの…窓開けてもいいですか?」愛「好きにすれば」ス「それじゃ…」(ガシャ)ス「あ~やっぱり晴れた日には外の風浴びるに限りますね~!でもこうして窓開けられる車両も最近少なくなってきたんですよ」愛「あ,そう…」8
2020-12-11 20:28:19ス「あ,お弁当食べます?この駅弁,名物弁当なんですけど僕食べられないので…」愛「いらない。ってか何で買ったのよ…(呆れ)」ス「雰囲気だけでも味わえればなって…もちろん捨てるなんて勿体ないのでいつも同じ列車に乗ってる人にあげてるんです」愛「…よく受け取ってもらえるわね」9
2020-12-11 20:30:54【1時間後】(ガタンゴトン…ガタンゴトン…)愛「………(ウトウト)」ス「テイルブルーさん!」愛「(ハッ!!)な,なに…!?」ス「次の駅で降りるんで準備してください」愛「え?わ,分かったわよ…」(エレメリアンを目の前にしてうたた寝しちゃうなんて…車窓が長閑すぎるから…!)11
2020-12-11 20:34:49(キィィィィィ…《列車停止》)ス「この列車,ワンマン運転ですから一番前の扉から降りますね」愛「あっ!そういえば私きっぷ持ってない…!?」ス「大丈夫ですよ。僕の『青春22きっぷ』一回分上げますから…」愛「…」12
2020-12-11 20:40:27(プシュー《ドア開き》)ス「列車とホームの間に段差があるんで気を付けてくださいね」愛「分かってるわよ!」(プシュー《ドア閉め》ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…《線路の彼方に消えていく列車》)愛「…え?なにこの駅…周りに何もないんだけど…(唖然)」13
2020-12-11 20:40:59ス「いわゆる『秘境駅』ってやつですよ!いやーこれはゴーゴルストリートビューで見た以上の秘境っぷりだぁ!来て良かったァ!!」愛「え…何喜んでんのアンタ…(困惑)」ス「ここはマニアの間でも一位二位を争う人気の秘境駅なんですよ!僕も一度来てみたかったんです!いやー,凄いなぁ!!」14
2020-12-11 20:42:24愛「な、何でそんな興奮してるのか全然分からないんだけど…」(パシャ!パシャ!パシャ!)愛「何してんの…?」ス「駅の写真を撮ってるんです!多分もう一生来ないと思うので…」愛(そうね,この旅が終わればアタシが始末することになるし…)15
2020-12-11 20:46:26愛「………ハァ、もう付き合ってらんないわ…」(スマホ取り出す愛香さん)愛「え、ウソ!?通じてない…」ス「それはそうですよ,秘境駅ですから」愛「次の列車いつ来るのよ!?」ス「5時間後です」愛「ハアアアアアッッッッ!!??」ス「ほら,そこの時刻表にも3つしか便書いてないですよね?」16
2020-12-11 20:47:41愛「冗談じゃないわ!!トゥアール!トゥアール!!」ト『…何です愛香さん』愛「ちょっと!トンでもない秘境に来ちゃったんだけど!もうコイツ始末してもいい!?」ト『最後まで旅に付き合うって決めたじゃないですか…私忙しいので切りますね(ブチ)』愛「え,ちょっと…トゥアール!?」17
2020-12-11 20:49:40愛「………」ス「…あの」愛「なにっ!?」ス「(ビクッ)ちょ,ちょっと僕…この辺りを散策してこようと思うんですけど…一緒に行きます?」愛「…いい,アンタだけ行ってきなさいよ」ス「え?で,でも…」愛「私,ここにいるから!!」【不貞腐れたようにベンチに座り込む愛香さん】18
2020-12-11 20:53:14ス「わ,分かりました…それでは列車が来るまでには戻ってきますから…(確かこの人,僕の監視役だったような…)」【駅から伸びるアクセス道路(けもの道)を進んでいくスワローギルディ。そして一人駅に残った愛香さん】19
2020-12-11 20:55:26愛(何で山と川しかないこんな辺鄙な場所に駅があるのよ…意味わかんないんだけど!)グゥゥゥゥ~愛(あ~!今日まだお昼食べてなかったから…でもこんなところにお店なんてないし…)プ~ン!プ~ン!愛(ってか虫多ッ!!)愛「あーもう最悪!!何で私がこんな目に…!!」20
2020-12-11 20:58:12(その時ふとホームの雨避けの下に置かれたビニール袋に気づく愛香さん)愛「…何あれ?なんかヤバいものじゃないわよね?」(オソルオソルノゾキミ…)愛「!,これって…さっきアイツが持っていたお弁当!…何,このメモ?」21
2020-12-11 21:01:38『今日は僕の旅に付き合っていただきありがとうございます。さっき断られちゃいましたが,是非このお弁当食べてみてください。あと山間で虫も多いと思いますので虫よけスプレーと蚊取り線香も置いておきますね』22
2020-12-11 21:04:06愛「…いつの間にこんなもの書いていたのアイツ?ってか何でエレメリアンが虫よけとか持ち歩いてんのよ」グゥゥゥゥ~愛「………」23
2020-12-11 21:05:10【食後,駅のすぐ横を流れる陽光照り返す小川をボケーと眺めている愛香さん】愛(こんな…長時間何もせずただいるだけなんて最近あったけ…)サワサワ《心地よい風に揺すられる草木》愛(ある意味,私って…今,一番贅沢な時間を過ごしてるかもしれないわね…)愛「…(ウツラウツラ)」24
2020-12-11 21:08:05………………そ「お―い!あいかー!こっちにおさかなさんがいっぱいいるよー!」あ「あぶないってばぁそーじ!」そ「だいじょーぶだよ。またクマさんみたいにあのさかなとってよあいかー,!,あーッ!?」(バシャーン!!)あ「そーじ!?」25
2020-12-11 21:10:34そ「………」あ「だ,だいじょうぶそーじ?」そ「…う,うぇ~ん!!」あ「…もう,おとこのこでしょ!なかないの!ほら!」【手を差し伸べるあいかちゃん】そ「…う,うん…」26
2020-12-11 21:12:00【ひぐらしのなく頃,夕日に染まる駅】愛「…まったく…私がいないと…そーじは…」ス「あ,あの…」愛「(ビクッ!)おわあああああ!!!???な,なに,何なのッ!?」ス「え,えっと…気持ちよさそうにお休みだったところ申し訳ないんですが…列車がもうすぐ来るので…」愛「あ…,あ,そう…」27
2020-12-11 21:16:44【再び鈍行列車の中】(ガタンゴトン,ガタンゴトン…)ス「いやーホントに来て良かったです!聞きしに勝る秘境っぷりでした!あ,これ飲みます?」(缶コーヒー)愛「何,どこで買ってきたのコレ?」ス「駅の周辺を散策してたら小さな農道があって1時間くらい歩いてたんですけど…」28
2020-12-11 21:20:06ス「そこで畑仕事してたお婆さんに会って…しばらく話相手してたらお礼にくれたんです」愛「…寛容過ぎるにもほどがあるでしょ,ここの人たち(苦笑)」(缶プシュ)愛「………ねえ?」ス「はい,なんです?」愛「アンタなんで旅してるの?」29
2020-12-11 21:22:21ス「僕は…もともと一人旅する女性が好きな【旅属性】のエレメリアンだったんですけど…いつのまにか僕自身が旅好きになってしまって…特にこんな鈍行列車で旅することにハマってしまったんですよね。これが一番その地の生活感みたいなものを体感出来るような気がして…」30
2020-12-11 21:28:22※私の話に登場するエレメリアンって大概、自分がその道にハマってしまった連中ばかりですね。酒飲みのバッカスや寿司握りのツナとか…
2020-12-11 21:29:51愛「それほどアンタにとって魅力的なのね,旅って」ス「…よく旅行って『不要不急』だって言われたりもしますけど…確かに『不急』かもしれませんが『不要』ではないと思うんですよね。人にとってやっぱり『旅』は必要なんですよ!」愛「なに,人の属性力奪うエレメリアンが一端に語ってんのよ」31
2020-12-11 21:31:06【夜の帳が降りた終着駅到着】(キィィィィィィ…《列車停止》)ス「あ,テイルブルーさん!」愛「分かってるわよ,ドア横のボタン押せばいい…」(プシュー《ドア開》)愛「え?あれ…」ス「ここは駅員さんがいますから自動的に全部のドアが開くんですよ」愛「……/////」(バキッ)ス「痛い!」33
2020-12-11 21:35:30ス「(イテテ…)とにかく今日は同行いただきありがとうございました。それでは僕のこと始末…」愛「その前に…アンタまたどこか行きたい場所あるの?」ス「…え?」愛「正直に言いなさい」ス「それは…確かにまだ行ってみたい場所はたくさんありますけど…」34
2020-12-11 21:38:31愛「それじゃ旅続けなさい」ス「で,でも…!それじゃあ…」愛「特別に見逃してあげるって言ってるのよ!でももしアンタが属性力奪い始めるような真似しはじめたらその時はソッコーで倒しに行くから!肝に銘じておきなさい!」ス「…は,はい!ありがとうございます!」35
2020-12-11 21:41:34【それからしばらく経って…】ト「愛香さん!愛香さん!」愛「なに?」ト「ちょっとこれ見てください!」愛「…これってYou tuieの動画…」ス『あ,フォロワーの皆さん,いつもご覧になっていただきありがとうございます』愛「(ズコー!!)こ,この前のアイツじゃない!?」36
2020-12-11 21:44:22ス『今回のスワローギルディぶらり各駅停車の旅はF県とN県に跨って走るT線です。ここは豪雪地帯で有名な…』ト「どうやらまだ旅を続けているようですね。しかも配信まで初めて…」愛「まったく…」(アイツ,ちゃんと旅の楽しさを伝えること始めたってわけね…)37
2020-12-11 21:46:47愛「そうだトゥアール!」ト「なんです?」愛「今度私たち全員でどこか旅行に行ってみない?近場でも日帰りでもいいからさ!」fin
2020-12-11 21:49:30…というわけで、皆さん旅行に行きましょう!…という話でした。クソコロナが落ち着けば夢先生が在所されてる青森にでも行って楽しんで来ましょう!というわけで…
2020-12-11 21:51:35実は最初今回の話に登場するのはドラゴンフライギルディ(とんぼ)だったのですが、もっと旅っぽい動物はいないかと考えた末、渡り鳥でもあり"国鉄"スワローズで鉄道にも所縁のある燕にした次第です。とんぼもノスタルジー感溢れるいい動物だったんですがね…
2020-12-11 22:03:46