1 2021年4月8日。 朝、大学の教室で遥香とさくらと聖来の3人は顔を近づけあってコソコソと内緒話をしていた。 聖来:かっきー、ちゃんと準備はしてきたん? 遥香:ばっちりだよ。 さくら:筒井くん、喜んでくれるといいね? 遥香:うん♪ pic.twitter.com/UulpvqQglB
2021-04-07 23:24:532 そこに、○○がやって来る。 ○○:おはよ。 3人:おはよ~。 遥香の隣の席に腰を降ろす○○。 そして、チラッと遥香の方を見る。 遥香:どうしたの? ○○:いや…別に。
2021-04-07 23:25:243 ○○:(あれ、今日って8日だよな…?) スマホを開いて日付を確認する○○。 ○○:(うん…8日だ。) 4月8日は、○○の誕生日。 付き合ってからは、毎年盛大に誕生日を祝ってくれた遥香だったが、今のところそんな素振りはない。
2021-04-07 23:26:324 ○○:(今年は何も無しってことなのかな…。) ○○:(二十歳なんだけどなー。) 普段と変わらない様子の遥香に、少ししょんぼりしてしまう○○。 その後も、遥香に特に変わった様子はない。 むしろ、いつもよりそっけないようにすら感じてしまう○○。
2021-04-07 23:27:045 ○○:ねぇねぇ。 遥香:ん? ○○:今日って何日だっけ? 遥香:8日だよ。 ○○:…そっか。ありがと。 ○○:(…忘れてんのかな。) ○○:(それとも、もう二十歳なのに誕生日を祝って貰えると思ってる俺がおかしいのか…?) 自問自答を繰り返す○○なのだった。 ーーー pic.twitter.com/JJvCQtNfXr
2021-04-07 23:27:426 特に何も無いまま、1日の講義も終わり。 ○○:ねぇ、この後何か用事ある? 遥香:どうして? ○○:どっか遊びに行きたいなーと思って。 遥香:ごめん…今日バイトなの。 ○○:えっ…!? 遥香:ごめんね…また明日! そそくさと帰って行ってしまう遥香。 pic.twitter.com/JMWbtz9ygW
2021-04-07 23:28:387 ○○:…なんだよ。 ○○:(おめでとうくらい言ってくれてもいいだろ!) 1人拗ねてしまう○○。 ○○:(あーあ、つまんないから帰ろ。) ○○:(期待しちゃったのがバカみたいだ。) ○○が帰りの支度をしていると、そこに聖来とさくらがやって来る。
2021-04-07 23:29:058 聖来:○○君、何してんの? ○○:何って…家に帰ろうとしてるだけだけど。 聖来:あー、それはアカンわ。 ○○:は? 聖来:せーらたちと遊びに行かへん? ○○:え? ーーー pic.twitter.com/ZyON9UdiIg
2021-04-07 23:29:439 近くの公園にやって来た3人。 ○○:なんで公園なんだよ。 聖来:いいやん別に! ○○:やっぱ帰らない? ○○:(遥香はいいとして、万が一あやめに見られたら面倒くさいことになりそうだし…。)
2021-04-07 23:30:1210 聖来:えっ、なんで? さくら:何か用事でもあるの? ○○:いや、無いけど…。 聖来:ならいいやん。たまにはせーらたちにも付き合ってーや。 さくら:そうだそうだ! ○○:…はぁ。 pic.twitter.com/94arZwCKOG
2021-04-07 23:31:3511 近くのベンチに腰を降ろす3人。 聖来:なあ、何か飲まへん? ○○:そうだね、買いに行こっか。 ○○が立とうとすると 聖来:あ、せーらが買ってくるから!何がええ? pic.twitter.com/trBrL8T1MQ
2021-04-07 23:33:1412 ○○:何でもいいよ。 聖来:じゃあ○○君はMONSTERな。さくちゃんは? ○○:待て待て!コーヒー!コーヒーにして! 聖来:何でもいいんやないん? ○○:考えたらわかるだろ! 聖来:わがままやなぁ。さくちゃんは? さくら:じゃあ私も…コーヒー。 聖来:わかった。じゃ、待っててな。 pic.twitter.com/25VrD4MpIU
2021-04-07 23:35:0314 公園のベンチに取り残された○○とさくら。 ○○:寒くない? さくら:ううん…、大丈夫。 ○○:…そっか。 会話が途絶えてしまう2人。 ○○:(遅いなー、早川。どこまで買いに行ってんだよ。) 溜息をつき、スマホを弄る○○。 pic.twitter.com/bZJWBxE0EP
2021-04-07 23:37:5915 すると、おもむろにさくらが口を開く。 さくら:…筒井くん。 ○○:ん? さくら:お誕生日…おめでとう。 ○○:えっ…! 思わずびっくりする○○。 ○○:覚えててくれたんだ。 コクンと頷くさくら。 pic.twitter.com/HJPP8WfcX3
2021-04-07 23:38:3616 ○○:…ありがとう。 ○○:遠藤だけだよ、覚えててくれたの。 そう言って笑う○○。 さくら:え…? ○○:誰も何も言ってくれないから、実はちょっと寂しかったんだよね。 そう言って笑う○○。 pic.twitter.com/DCUunwznzU
2021-04-07 23:39:1117 さくら:(ごめんねかっきー…。) さくら:(私だけ、フライングしちゃった…。) ちょっぴり、複雑な気持ちになるさくらなのだった。 ーーー
2021-04-07 23:39:2518 しばらくして、聖来が戻ってくる。 ○○:遅いな、どこまで行ってたんだよ。 聖来:ごめんごめん自販機見つからんくて…。 おとぼけ顔の聖来。 聖来:はい、さくちゃんコーヒー。 さくら:ありがとう。
2021-04-07 23:39:4919 聖来:はい、○○君はMONSTERな。 ○○:お前ふざけんなよ。 ぶつぶつ言いながら缶を開けて飲む○○。 ○○:ああ〜、漲る…! 聖来:ふふ、良かったやん! ○○:今漲ってもしょうがないけどな。 聖来:それは…どうやろか。 不敵な笑みを浮かべる聖来だった。 ーーー pic.twitter.com/2bjOXdFBfu
2021-04-07 23:40:3020 その後、しばらく会話に花を咲かせた3人。 聖来:もうこんな時間やん…そろそろ帰らんと。 さくら:そうだね。 そそくさと立ち上がる2人。 聖来:ほら、○○君も。早く帰るよ。 さくら:寄り道せずに真っ直ぐ帰んなきゃだめだからね? ○○:子供か。言われなくても帰るよ。 苦笑いの○○。
2021-04-07 23:40:5721 聖来:じゃあ、また明日な。 さくら:ばいばい。 手を振る2人。 聖来:真っ直ぐ帰るんやで! さくら:寄り道しちゃだめだからね! ○○:…?…また明日。 ○○:(何なんだあいつら。) 帰路につく○○を見送る2人。
2021-04-07 23:41:4422 さくら:…せーら。 聖来:ん? さくら:…ありがとう。 聖来:ふふ、おめでとうって、言えたん? 嬉しそうに頷くさくら。 聖来:ふふ、ニヤけてんで?さくちゃん♡ さくら:そ、そんなことないよ〜!/// 聖来に茶化され余計に照れてしまうさくらなのだった。 ーーー pic.twitter.com/X1un9LlHYj
2021-04-07 23:42:2323 一方、その頃○○は… ○○:(あー、夕飯何にしよっかな…。) ○○:(面倒くさいなぁ、準備するの。) そんなことを考えながら歩いている内に、家に着く。 扉を開け数歩中へ入ると、○○は目を丸くした。 ○○:えっ…!?
2021-04-07 23:43:2824 そこには、一面カラフルに飾り付けられた部屋が広がっていた。 カーテンには、“HAPPY BIRTHDAY”の形の風船がくっついている。 越してきたばかりでまだまだ慣れない部屋が余計に見慣れない姿になっており、驚きを隠せない○○。 あっけに取られていると、唐突に背後から手で視界を塞がれる。
2021-04-07 23:44:4625 ○○:うわっ…!! 遥香:…………だーれだ? ○○:えっ…!…遥香? 遥香:…正解♡ 手が離され、後ろを振り返ると、そこには笑顔の遥香がいた。 pic.twitter.com/ViCe03cEJY
2021-04-07 23:45:2327 ○○:これ…もしかして全部、遥香が? 遥香:ふふ…びっくりした? 頷く○○。 遥香:○○が帰って来ないようにさくとせーらに時間稼ぎしてもらって、その間にやったの。 pic.twitter.com/8sXkw5ztoY
2021-04-07 23:48:1028 ○○:そういうことか…。おかしいと思ったんだよ、急に公園に連れて行かれてMONSTER飲まされて…。 遥香:MONSTER? ○○:いや…何でもない。 ○○:てか、バイトは? 遥香:ごめんね…それ、嘘。 遥香:○○をびっくりさせたかったから…嘘ついた。
2021-04-07 23:48:3529 ○○:いいけど…ていうかどうやって入ってたの? 遥香:あはは、それ、聞く? ポケットから合鍵を取り出す遥香。 ○○:ああ…! 遥香:“いつでも来ていい”って、言ったよね。 ○○:…うん。 遥香:こんなに早く役立つとは、思わなかったな。 pic.twitter.com/HGuJNTcHm8
2021-04-07 23:49:5330 そう言って○○に歩み寄り、きゅっと抱きつく遥香。 遥香:…忘れてると思ったでしょ。 ○○:うん…正直、思った。 遥香:忘れるわけ…ないでしょ。 遥香:私にとっても…大切な日なんだから。 ○○:遥香…。 pic.twitter.com/jokCkDW50V
2021-04-07 23:50:5132 その後、さくらと聖来も合流して○○の誕生日パーティーが開かれた。 そこには、遥香の提案であやめも呼ばれていた。 聖来:あやめちゃんほんま可愛いなぁ〜♡ あやめを可愛がる聖来。 あやめ:そ、そんなことないですよ…!/// 聖来:○○君の妹とは思えんくらい可愛い! ○○:おい! pic.twitter.com/W8Yp9RnbU0
2021-04-07 23:52:1133 聖来:大変やろ?こんなお兄ちゃんが居ったら。 あやめ:大変です!いつでもどこでも遥香さんとイチャイチャイチャイチャ… 聖来:わかるわぁ〜! ○○:おい、余計なこと言うなって…! ○○の隣で恥ずかしそうに顔を赤くする遥香。
2021-04-07 23:52:3434 さくら:あやめちゃんは、今いくつなの? あやめ:16です! さくら:え!じゃあ私の弟と一緒だね。 ○○:え!?遠藤って弟居るの? さくら:知らなかったの? ○○:全然知らなかった。 さくら:ひどい!中学から一緒なのに…! ○○:ごめんって…! さくら:もう…! ーーー pic.twitter.com/2PB2dcdIYq
2021-04-07 23:53:5435 その後も、料理やケーキを食べたりゲームをしたりしている内に時は流れていく。 ふと、部屋の中を眺めるさくら。 さくら:(よくよく考えたら…今筒井くんの家に来てるんだよね…。) そう考えると、ドキドキとしてしまう。 pic.twitter.com/VscUR9cAMu
2021-04-07 23:54:2536 不意に、近くにあったクッションを手に取る。 さくら:(筒井くんのにおい…///) うとうとするフリをして、クッションを抱きしめるさくら。 ○○:…遠藤? さくら:へっ…!? 慌ててクッションを置くさくら。 pic.twitter.com/bztMbSn8mE
2021-04-07 23:55:0137 ○○:いや、寝てんのかと思って。 さくら:えっ、と…、おはよう…! ○○:あはは、ほんとに寝てたのかよ。 ○○に笑われて赤くなるさくら。
2021-04-07 23:55:2038 聖来:せーらも眠くなってきた…。 あくびをする聖来。 聖来:今日はみんなでお泊り? さくら:(えっ…!?) ○○:いやいや、さすがにそれは…。 聖来:あはは、冗談やって。 さくら:(…なーんだ。) ちょっぴりがっかりするさくらなのだった。 ーーー pic.twitter.com/fvQVmYeZhJ
2021-04-07 23:56:0239 あやめ:あ!お兄ちゃん私のケーキの苺食べたでしょ! ○○:妹の物は兄の物だからな。 聖来:ひどいお兄さんやな○○君は。 あやめ:そうなんですよ…!なんとかしてください! 聖来:よーし、今度せーらが締めといたるわ! あやめ:お願いします! だんだんと仲良くなる2人。 pic.twitter.com/MnU6WRC2II
2021-04-07 23:57:1040 ○○:えー、勘弁してよ…。 苦笑いをする○○を見て、クスクスと笑うさくら。 そんな4人を、遥香は黙って見つめていた。 すると、不意に机の下で、周りから見えないように○○の手を握る遥香。
2021-04-07 23:57:3141 ○○:ん? ○○が遥香の方を向いても、遥香はただ笑って他の人の話を聞いていた。 ○○:……。 ○○が遥香の手を握り返すと、遥香はふっと○○の方を向き、にこっと微笑んだ。 ーーー pic.twitter.com/WA3MCLEagQ
2021-04-07 23:58:1042 やがて、パーティーもお開きになると、さくらと聖来とあやめはそれぞれの家に帰ることに。 聖来:じゃあ、あやめちゃんは責任持って送り届けとくから。 ○○:うん、ありがとう。 あやめ:もっと居たかったなー…。 聖来:ふふ、これ以上居たらまたイチャイチャを見せつけられることになるで? pic.twitter.com/wqwm1aafVF
2021-04-07 23:59:1343 ○○:おい、余計なこと言うな。 あやめ:…むぅ。 聖来:ほらほら、帰るよあやめちゃん。 不満そうなあやめを引っ張っていく聖来と、それを見て笑うさくら。 pic.twitter.com/bWqqa9DYIz
2021-04-07 23:59:5144 玄関先にて。 ○○:今日はありがとね。 さくら:う、うん…! 聖来:ちょっと!なんでさくちゃんにだけ言うてん! ○○:えっ!?全員に言ったつもりなんだけど。 聖来:いーや、さくちゃんにだけ言ってた! あやめ:そうだそうだ! いつの間にか意気投合している2人。 pic.twitter.com/lIFuYTW69K
2021-04-08 00:01:1445 ○○:はいはい、早川もあやめも今日はありがとね。 すると、○○の袖をちょいちょいと引っ張るさくら。 さくら:…私だけ名指しされてないよ? ○○:ええ…遠藤まで? 苦笑いの○○。 pic.twitter.com/9p8Kkvv0Xk
2021-04-08 00:02:3546 ○○:今日はありがとう、遠藤。 すると、手を差し出すさくら。 流れで、無意識の内に握手すると あやめ:あーー! 聖来:今握手した!握手! ○○:いや待て!今のは遠藤が…!! さくら:ふふ♡ 見逃さない2人と、それを見て笑うさくら。 しばらく玄関先で騒ぐはめになるのだった。 ーーー
2021-04-08 00:03:0447 ○○:(はぁ…あの2人とあやめが仲良くなるといろいろとにぎやかになりそうだな…。) ようやく帰って行った3人を見送り、そう思いながら振り返ると ○○:あっ…! ぷくっとほっぺたを膨らませた遥香が、腕組みをして立っていた。 pic.twitter.com/SqTB6NuXKI
2021-04-08 00:04:46