ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 例えば君に今日贈られる言葉のいくつかが嘘だったとして どれが本当でどれが嘘なのか 君は判らないといけないのだ 君は醜く 君はおぞましく 君は恐ろしく 君は孤独で 君は傲慢で 君は独善的で 君は弱く 君が好きだと言う その黒髪の男は 昨日と変わらず笑っているのだ
2020-04-01 08:29:51
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 目前を横切った花びらの 突風に吹き上げられて舞い上がること 木々の葉の先から 飛び立つように明るい若葉が羽ばたいていること 排水溝の水溜まりに閉じ込められた陽光がさんざめいていること そんなことを春の証にして 僕らの季節は訪れるのだ 緑間くん 君の新しい朝なのだ
2020-04-02 08:27:55
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 形容しがたい美しさを形容できず 言葉に出来ない景色を言葉にできず 僕らの体内には 誰にも届かない美しいものが降り積もっていくのだ 緑間くん それを誰かにあげたくて それを誰にも届けられなくて そのもどかしさを熱にして 君は誰かを抱きしめるしかできないのだ 緑間くん
2020-04-03 08:19:10
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 自分の手ではどうしようもない時に人は神に祈るけれど 君はそれすら拒んで 運命すら手に入れようとしたのだ 緑間くん ボールが宙に浮かぶ間 君も神に祈ったことがあるのだろう 祈った者だけが その祈りの無力さを知っているのだ 君の終わりの無い努力は いつか星を掴むまで続くのだ
2020-04-06 08:15:40
ボイラー🐹
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緑間くん 何をすべきか判らない時は 誰かがハサミで切るように ぷつりと自分の人生が途切れた時のことを考えるのだ 予告も無く 予感も無く 前触れも無く 前兆も無く ただ誰かが手を打ち合わせた時に ぱちりと人生が終わったら その時に一番惜しいと思うものを 君は大切にすればいいのだ
2020-04-07 08:07:23
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@abc_boiler
緑間くん 生きるのだ 誰かのためでも何かのためでも 誰のためでもなく何のためでもなく 生きるのだ どうせ明日など一生来ないのだ
2020-04-07 08:08:28
ボイラー🐹
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緑間くん 完璧な人も完全な人も存在しないと知っているのに 何故か完璧な正しさや完全な優しさを理想に求めるのだ 不完全なものを嘘だと断ずるには 僕らあんまりに不揃いで不確かなのだ 緑間くん 不完全な正しさを信じ 不完全な優しさを与え 君の愛の不完全を捧げることを誰も裁けやしないのだ
2020-04-10 08:11:21
ボイラー🐹
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緑間くん 理由もなく 意味もなく 何にも由来せず ただ悲しいだけの時があり ただ虚しいだけの時があり ただ無気力なだけの時があり ただ喪失感に苛まされる時があり 立ち上がるのも嫌になるような朝が訪れたとして それでも窓の外では誰かが笑って走っていることを 救いと呼んだっていいのだ
2020-04-13 08:06:47
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@abc_boiler
緑間くん 己の悲しみとは無関係な他人があることを 僕らは喜んでいいのだ 緑間くん 誰かの喜びは決して君の喜びではないが 誰かが君を悲しまないことを 君は喜んで構わないのだ 緑間くん
2020-04-13 08:08:37
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん なにもかも投げ出して なにもかも放り投げて なにもかも捨てて 裸足で駆け出せたらどんなにか良いだろう まっ白な服で寝ころんで 髪は陽晒しに遊んで 誰もいない場所で風の音だけ聞きながら 一日を終えられたら そのまま世界が終わったって構わないと 夢想してなお現実に生きるのだ
2020-04-14 08:07:09
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 美しき日々 美しき日々 美しき日々 美しき日々 に触れずに生きる己 そんな現実を もがき苦しんで生きるのだ 緑間くん それでもなお 美しき日々を生きるのだ
2020-04-14 08:08:42
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緑間くん いつか君が乾いて死ぬる時に 誰かは嘆き 誰かは悲しみ 誰かは慈しみ 誰かは祈りを捧げ 多くの誰かは無関心であろうけれど そんな誰かの感情を 死んだ君が知る瞬間は来ないのだ 君という意識の全てが失われ 君という感情は二度と蘇らず 君の見た世界は全て消え去るのだ 緑間くん
2020-04-15 08:09:56
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@abc_boiler
緑間くん 誰もそれを止められぬのだ 全て最後は零にすらならぬのだ 零を知る君はいなくなるのだから 虚無を知る君はいなくなるのだから そこには静寂だけがあるのだ 緑間くん 故にこそ生きるのだ 心臓は今日も音を立てているのだ
2020-04-15 08:12:58
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 幼い頃 僕ら「自分」という存在なんて考えずに ただそこにあるから生きていたのだ 自分 自己 自我 自意識 そんなものを手に入れて いつの間にか立っていることすら難しくなってしまったのだ 緑間くん 自分という存在に気がついた時から いつか断罪されるような気がしているのだ
2020-04-16 07:56:00
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@abc_boiler
緑間くん まるで約束のように生きているのだ まだ自分を知らない時の自分が ドングリを宝物にして 杖みたいな枝を振り回して 世界を手に入れていたあの日の自分が 指切りをしたのだ いつか自分を知っても 生きていくのだ 緑間くん
2020-04-16 07:58:28
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緑間くん 曇天に沈む街の均一さ 色とりどりの屋根も 取り残された森の一部も 電線を張り巡らせる鉄塔も 全てが等しく灰色のヴェールを被って 行き場のない悲しみを訴えるのだ 緑間くん いつかの君や どこかの誰かが人知れず零した孤独が 溶け合って名前を失って今こうして街を覆っているのだ
2020-04-20 08:15:16
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緑間くん ありのまま あるがまま 等身大のそのまんま そんなの自分にだって分からないのだ 努力して無理をして意地をはって 前だけを見る君はありのままじゃないなんて誰が言うだろう 君の無茶が君を作り 君の痩せ我慢が君を強くして それを全部ひっくるめて君だと笑う男がいるのだ 緑間くん
2020-04-23 07:56:39
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@abc_boiler
緑間くん 本物をいつも探すのは 自分が不出来なガラクタのように思えてしまうからなのだ 空の青さに救われた気がするのは それが本物だと信ずるからだ 緑間くん 空の青は塵の反射で 本当は僕ら宇宙を覗き込んでいるのだと知っていても ポンコツな僕ら 今日もバケツで空の青を掬おうとするのだ
2020-04-24 08:04:05
ボイラー🐹
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緑間くん 教室にクラスメイトがいることを 君は当然だと思っているのだ 林檎が地面に落ちるように 地球が回るように 朝の教室に学友がたむろして 笑いあっていたりすること 数多の他人の人生が 当前のように集まっている事の途方も無さを知るのだ そこを出ればもう二度とすれ違わぬ人生なのだ
2020-04-28 08:07:11
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 人生の使い道で何が正しいかなんて 本当は他人が決めることじゃないのだ 結婚をして子を授かって 周囲に祝福されることが全ての正解ではないのだ ただ君の周囲は当然のようにそれを期待し 君に似た赤子を抱くことを夢に見るのだ その夢を叶えられないことに罪悪感を覚えるか 緑間くん
2020-05-01 07:56:44
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 君が罪悪感を覚えるのは 君の周囲が 善良で悪意無い 君の敬愛する人だからなのだ 緑間くん 選ぶのだ 君は君の人生で どうしたって 全員の夢を叶えることは出来ないのだ 自分の夢は叶えなくていいと笑う男を 君が手放せないのなら 緑間くん 君の愛を裏切って生きるのだ
2020-05-01 07:58:44
ボイラー🐹
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緑間くん そこら中に散らばる赤すぐりの実 うつ伏せに落ちるツツジ 道路に這うイエロージャスミンと 道の端に吹きだまるハナミズキの花弁 嵐の後は色鮮やかに君の道を彩るのだ 緑間くん 水溜まりに反射した太陽を飛び越え 吹きわたる風に抱かれ 駆けるのだ 君の命を今 春の嵐に見るのだ
2020-05-07 07:52:57
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@abc_boiler
緑間くん どうせ眠っていれば勝手に明日になるのだ 何にも頑張らなくても 一生懸命じゃなくても 君が引きずり出さなくたって 太陽はどうせ昇るのだ 俯いていても しゃがんでうずくまっていても 他人の人生は勝手に進むのだ 緑間くん その無関係とその無関心を 喜んだって構わないのだ
2020-05-08 08:06:57
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@abc_boiler
緑間くん 君の葛藤も苦悩も余所に 空は薄い雲を敷いて青く 木々は無数の若葉を抱いて柔く 家々の壁は光を弾いて水底の石のように輝き 道路の白線は剥がれて微笑んで 道行く人々は自分ではないどこかを見つめて行き過ぎるのだ 緑間くん この中に正しいものなど無くていいのだ
2020-05-08 08:11:05
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん どれだけ忘れたくない思い出も 大切にしようと決めた記憶も 当たり前のように忘れていって 中身を失ったまま ただ忘れたくないと祈ったことや 決意の言葉だけを覚えているのだ 叫び出したくなる激情は 全て過去ばかりにあるのだ 緑間くん すがりついてばかりではいられないのだ
2020-05-13 08:06:06
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@abc_boiler
緑間くん 暴力的な衝動が時に君を突き動かすのだ 道の真ん中で叫び出したくて 階段の上から飛び降りたくて 電車の隣で走りたくて 手の届く何もかもを奪い取りたくて 手の届かぬ何もかもを飲み干したくて ただその場に立ち尽くすしかない情動を持て余す 春は獣だ 緑間くん 君は一匹の春なのだ
2020-05-14 07:56:12
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緑間くん 愛が薄れることに怯え 熱が冷えゆくことを恐れ 過去にすがる事を疎み 誰かに手を伸ばす事を躊躇うのだ 緑間くん 最高到達点で時を止めるなら 君のボールは永遠にゴールに届くことは無いのだ 落下してでも手に入れたいと望むものを 君の人生の導にせよ 朽ちて褪せても構わないのだ
2020-05-18 07:56:20
ボイラー🐹
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緑間くん 生きているだけで目眩がするのは 世界の途方もなさを恐れているのか ただ運ばれるように生きるだけの日々を嘆いているのか 自分にだって分からないのだ どこだって行ける癖に どこにも踏み出そうとしない己を恥じて うずくまる人の愚かさを 緑間くん 君は哀れまず踏み越えてゆくのだ
2020-05-21 08:13:08
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緑間くん 誰も君を救わぬ代わりに 誰も君を奪いやしないのだ 君はどこまで行っても君自身で 君でしかなく その全てが君のものだ 君に訪れる幸も不幸も君のもので 君に降り注ぐ愛も恨みも君のものだ 緑間くん 君が誰かに奪われたいと願うなら 君は君の全てを捧げたいと願うのと同じことなのだ
2020-05-22 07:50:50
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緑間くん 奪って欲しいと望むその相手だって 君に全てをあげたいと願っているかもしれないのだ お互いにそそぎあえば尽きること無い泉は 一方が離れた時に枯れるのだと 賢い君は気が付いているのだ
2020-05-22 07:54:46
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 例えば明日死ぬとして 世界は明日も続いていくとしたら 今日死んでも同じだと思うだろうか どんな美しい景色も 誰かに愛を伝えても どうせ己は消え 他人の記憶は薄れていくけれど 緑間くん 例えば明日死ぬとして 全てが無為になるとして 今日花に水をやらない理由にはならないのだ
2020-05-25 07:57:09
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 何にも残らなくていいのだ 何にも残さなくていいのだ 何にもならなくていいのだ 誰も知らなくていいのだ 誰も覚えていなくていいのだ 誰も泣かなくていいのだ 緑間くん 死ぬまではただ生きるのだ
2020-05-25 07:58:14
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 新しい朝日が昇り 新しい夜明けを迎えても その太陽は昨日と同じ物で その夜はずっと世界のどこかにいたのだ 太陽は裏側にあり この星から夜が消えることはない 緑間くん 新しくなるのは君だけだ 君だけがこの一日を新しいと感じられるのだ 昨日と同じ体で 真新しい君を生きるのだ
2020-05-28 08:04:19
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん みんな幸せになりたいだけなのだ みんな幸せになりたくて だけどそのために血反吐を吐いて努力するのは苦しいのだ 他人を押しのけて幸福になりたい人と争うのは辛いのだ 僕の幸福は誰かの不幸だったのだ みんなが幸せになりたい世界が今ここにあって 君は幸福だろうか 緑間くん
2020-06-01 08:00:28
ボイラー🐹
@abc_boiler
緑間くん 足を引きずるように歩み 重い体を前へ向け 力の入らぬ腕を伸ばして 砂漠を往くような人生なのだ いつか枯れると知っていて いつか倒れると知っていて それでもなお君は往くのだ 緑間くん オアシスなど求めるな 希望など無くとも 目的のためだけに歩む君は美しいのだ
2020-06-02 08:12:19