【人魚姫】竜宮星砂子
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これは、慈愛と自己犠牲を尽くした優しい少女のお話。 …その優しさが、彼女を絶望へと突き落としたのです。

2023-08-27 21:30:21
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…精神世界の舞台は姫によって変わる。 本日の精神世界の舞台は……。 「広大な海」

2023-08-27 21:31:57
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今回の試練の挑戦者は 「人魚姫」竜宮 星砂子 pic.twitter.com/RlUpcrozCa

2023-08-27 21:33:11
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星砂子「(ここが精神世界……。)」 砂浜の上から起き上がり、近くの海に足を踏み入れた。

2023-08-27 21:35:21
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海は彼女の好きな場所。海の生き物と心を通わせることが出来る。 その海の生き物は落ち着きがない様子だった。 pic.twitter.com/lo39ythpTO

2023-08-27 21:36:40
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人魚の姿では声を出すことが出来ない。 星砂子「(まあそうだよね、この世界には化け物がいるんだから。)」 彼女がそう呟くと、1隻の船が近づいてきた。

2023-08-27 21:38:20
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船に泳ぎながら近寄り、船の様子を伺った。 しかし、船には誰も乗っていなかった。 星砂子「(……人がいないのにどうして動いてるの?)」 不思議に思い、発言したその時、船がガタガタと動き始めた。

2023-08-27 21:39:30
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星砂子「(来る。)」 そう言って船から距離をとる。すると船の看板から奴が顔を覗かせた。 ???「蜉ゥ縺代※」 船は半壊し、オウジサマが海に向かって落ちてきた。 pic.twitter.com/cSIysPxlJ9

2023-08-27 21:40:33
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星砂子「(今、捕まる訳にはいかない、逃げなきゃ)」 彼女は素早く海に潜り、オウジサマから距離を取った。

2023-08-27 21:41:45
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すぐにオウジサマは星砂子を追いかけようとするが、追いつくことは出来なかった。 それは、水中でのスピードで彼女に勝てる者はいないからだ。 pic.twitter.com/AbOo8GVtSi

2023-08-27 21:42:34
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ーーーーー 私は、とある事務所のモデルをしていた。昔から人付き合いが嫌いだった訳では無い。

2023-08-27 21:43:38
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人魚姫の血統である私はモデルとして知名度はあったが、私一人の存在でモデル事務所の経営が安定することは無かった。 事務所を守るために枕営業をしていた。私が犠牲になれば事務所は存続する。

2023-08-27 21:44:43
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私だけが犠牲になれば周りは救われるだから。 ーーー オウジサマを撒き、水中を泳ぎながら海の底で不思議なものを見つけた。

2023-08-27 21:45:54
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星砂子「(……家?)」 海の底にポツンと佇むその家を初めは不思議そうに見ていたが、すぐに家の正体に気づきノックをした。

2023-08-27 21:46:49
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???「どうぞ!」 扉を開け、泳ぎながら中に入る。そこに居たのはメバだった。

2023-08-27 21:47:37
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メバ「はーい!星砂子さんこんにちは!お目当ての物は用意してあるよ!」 魔女の衣装を着ているメバが星砂子に謎の液体が入った瓶を渡す。 pic.twitter.com/BkY5cEbQrB

2023-08-27 21:48:31
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星砂子「(これを飲めば人間の手足が生えるのね?)」 星砂子はメバに目配せをする。 メバ「うん。そうだよ。それに今はオウジサマも大人しく半壊した船に戻っているから海岸に行くといいよ。」

2023-08-27 21:50:09
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星砂子はコクンと頷き、家を後にする。 メバはその後ろ姿を手を振りながら見送った。 メバ「……第8の試練が始まるよ。」 怪しくクスッと微笑んだ。 ーーーーー

2023-08-27 21:51:23
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海岸についた星砂子は、瓶の中身を飲み干した。 すると、人魚のヒレは消え、人間の手足が着く。メバの気遣いなのかドレスも身にまとっていた。

2023-08-27 21:52:17
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星砂子「ここからが私の復讐の始まり。」 彼女はグッと息を飲み、歩き出す。 pic.twitter.com/OBOB3LGyAF

2023-08-27 21:53:26
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星砂子「玲於を殺したアイツは絶対に私が殺してやる。」 怒りの表情を浮かべ、城へと足を進めた。 ーーーーーー

2023-08-27 21:54:52
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事務所の存続のため身を売っていた私は、どんどんと人間関係に疲れを感じていた。 事務所に見学に来て、輩に絡まれていた女の子を助けたこともあった。

2023-08-27 21:55:35
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自分が犠牲になれば周りが幸せになる。そう理解はしていても、それが永遠に続くとなるとやはり辛くなる。 心も身体もどんどん衰弱していった。 そんな時に、事務所に新しい後輩が入ってきたのだ。

2023-08-27 21:56:25
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事務所の存続安定が確定したその時に、肩の荷が降りたのだ。 「私はもう、我慢しなくていいんだ。」 ーーーーーー pic.twitter.com/iLToiHu4TK

2023-08-27 21:57:15
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大きなお城についた彼女は真っ先にお目当てのものを探した。 復讐ー。それは大好きな玲於を殺したオウジサマを殺すこと。

2023-08-27 21:58:02
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普通自分の精神世界に他のオウジサマを呼ぶことは禁止とされているが、今回はメバと交渉をしていた。 メバの言葉を思い出す。

2023-08-27 21:59:03
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メバ「……他のオウジサマを呼ぶことはできるけどその代償は 」 星砂子「アイツを殺せるなら……私は……」 そう言い、首についている首輪に触れた。

2023-08-27 21:59:46
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ジャラ……ジャラ…… 背後から鎖の音がする。思い出したくもない、彼が殺された時にうるさく響いていた音。 オウジサマ「縺雁燕縺ッ隱ー縺?」 星砂子「……殺す。」 pic.twitter.com/nm3OxxUVzB

2023-08-27 22:00:36
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オウジサマとまずは距離をとる。階段を駆け上がり2階の部屋へと避難した。 この城は3階まで部屋があり、3階にはバルコニーがある。

2023-08-27 22:01:45
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真っ向から戦っても勝ち目がないことは分かっていたので、オウジサマを落下させることを狙っていた。 星砂子「……上手く上まで誘導しないと。」

2023-08-27 22:02:33
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この作戦は自分が殺されたり、誤って落ちてしまったら上手くいかないリスキーな作戦である。 2階の調理場からナイフを持ち出し、あえてオウジサマから見えるように逃げ回った。

2023-08-27 22:03:13
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星砂子「ハア……ハア……」 しかし、薬でもらった手足は長時間動かせば身体に負担がかかる。それに時間が経てば元のヒレに戻ってしまう。

2023-08-27 22:04:43
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星砂子「……でも……こんなことで疲れているようじゃ私の恨みは果たせない……」 大好きだった彼のため、絶対に許せない相手。その復讐心が彼女の心と身体を動かしている。 ーーー

2023-08-27 22:05:23
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3階バルコニー。 星砂子「……ついた!」 後ろを振り返ると既にオウジサマは辿り着いていた。しかし、鎖が重たいのか動きが早い訳では無い。

2023-08-27 22:06:13
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星砂子「……私の事を捕まえるのは無理だったようね。」 そう言うとナイフをオウジサマに向かって突きつける。

2023-08-27 22:06:44
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星砂子「死ね!」 そう言うと思い切りオウジサマの目に向かってナイフを突き刺した。

2023-08-27 22:07:13
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オウジサマ「逞帙>!!!!!!」 オウジサマは痛みを感じるのかバタバタと動き回る。その反動で鎖はオウジサマの身体を縛り付けた。

2023-08-27 22:08:01
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動きが鈍い巨体に、何度も何度もナイフを突き刺す。 星砂子「玲於は、玲於はお前のせいで!」 涙を流しながら、返り血でドレスが黒く染まる。 pic.twitter.com/NEk3MrAhCh

2023-08-27 22:08:33
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オウジサマは目を潰され、フラフラとした足取りで星砂子を突き飛ばした。 星砂子「キャッ!」 星砂子は、突き飛ばされ壁にもたれかかった。

2023-08-27 22:10:12
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星砂子「……もう目は見えない、後は突き落とすだけ。」 星砂子は持っていたナイフをバルコニーの先に向かって投げつける。 カンカンッ……。 オウジサマはその場所に向かって猛スピードで動き始める。

2023-08-27 22:11:02
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グシャッ。 星砂子「……はは、ざまあみろ。」 オウジサマはそのままバルコニーから転落した。音に反応した巨体は、3回から落下し、動かなくなった。 ーーーーーーー

2023-08-27 22:11:40
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彼女は城を出て、海岸へと再び戻る。 そしてポツポツと呟き始めた。 星砂子「ゆゆかは知らないだろうけど、私は確かにきみに救われたよ。......君は私に救われたって言うけど、感謝をするのは私の方。ありがとう。」

2023-08-27 22:12:34
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「不謹慎だけど、ゆゆかが先に逝ってて良かった。.....こんな私を見たら、きっとあの子は悲しむから、あの子の最後に映る私が、綺麗で良かった。」

2023-08-27 22:13:05
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星砂子「朝廉くん、私は君の全ては知らないし、興味もなかったけど。ゆゆかを見る君は、とても、うん、悲しくて、でも綺麗にみえた、どんな王子様よりも。」

2023-08-27 22:13:49
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「だからゆゆかには、きみが、もっと輝いて見えたと思う。….ふふ、意外と保身的で意気地無し。背中押してあげればよかった。」 星砂子はナイフを取り出す。

2023-08-27 22:14:18
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星砂子「私、君の仇をとったの。やりたいこと全部やった。....だから、そっちに会いに行っても怒らないで。玲於がいない世界なんて、もう寂しい。」

2023-08-27 22:15:05
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そう言って、ナイフで自分の心臓を刺した。 そのまま、海に身を投げる。 pic.twitter.com/NfYI87BbjA

2023-08-27 22:15:41
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星砂子「.....ねぇ、お願いがあるの。地獄で会えたら、一番に私に、もう1回ちゃんと、好きだっていって。じゃないと、私、ちゃんと、玲於のお姫様になってあげない。____怒ってるんだから」

2023-08-27 22:17:29
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……泣きながら微笑んだ彼女は、そのまま海の泡となって消えた。 彼女の真っ直ぐで美しい復讐劇はこうして幕を閉じた。 ーーーーー

2023-08-27 22:19:02