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ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL ある日突然、ミリアルに呼び出された。 「ソフィアちゃん……君って警察に知り合いがいるんだってね……」 「え?うん……」 あまりにも神妙な趣だったのであたしも身構えてしまった。 「しかも名探偵とか言われてて、でも実は怪盗ミイラなんだってね……」 「……うん?」

2016-06-21 22:42:23
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL ミイラ? 「ハロウィン?」 「え?」 「違うの?」 「違うけど……まぁいいや。何しか警察の人と知り合いなんだよね。」 「そうだけど……誰から聞いたの?先輩?」 うん、まぁ。と、ミリアルは言葉を濁す。

2016-06-29 20:20:26
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「それがどうしたの?」 「ちょっとね。紹介してほしいなと思って。」 「紹介?お兄さんを?ミリアルに?」 「お兄さん?僕のことは名前で呼び捨てなのに、その人のことはお兄さんって呼んでるの!?」 それ今関係ないでしょ……

2016-06-29 20:22:13
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「お兄さんと仲良くなってどうすんの?ミリアルって警察嫌いじゃなかったっけ?」 「そんな設定初めて聞いたよ。別に仲良くしたいわけじゃあないんだけどね。僕と年齢が近いって聞いたし、顔は広いほうがいいよねって」

2016-06-29 20:29:36
ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「なんだ……欲望の為か……」 「嫌な言い方をするね、君は。」 「わかったよ……。お兄さんに話しておくね。」 「ありがとう。ソフィアちゃん。」 ホルン警部、ミリアルに遭遇するの巻。

2016-06-30 20:30:12
ナナシ @darkmoon_souji

1: 現場は騒然としていた。 優雅で楽しい一時に水を差すかのようなその事件は、人々の心から安らぎを奪っていた。 「全く……誰がこんなことをするのかしら」 「そうですね……」 女刑事と、新米風の刑事が布をかけられた遺体を見てつぶやく。

2016-07-17 00:42:01
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 2: 「不可解だけれど、このままだと自殺で片付けられそうね」 「今見つかってる証拠から考えるとそうなるんでしょうか、やはり……」 若い刑事は納得がいかないといったように、眉をへの字にする。 「これ以上何かが見つかるとも思えないわ」

2016-07-17 00:45:41
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 3: 女刑事は先輩として、冷静に振る舞い、一般的な回答をしているようだった。 本人も納得がいかない部分はきっとあるのだろう。 それを察してか、彼は反論もしなかった。 そんな事件現場が、突如ざわめきだす。

2016-07-17 00:51:30
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 4: ざわめきの根源を見て、若い刑事の表情がキラキラと輝き出す。 一方の女刑事は、顔をしかめた。 「はいはーい、みんなご苦労さーん。俺が来たからにはもう安心だぜー」 軽い調子で、その男は働く警官たちの肩を叩く。

2016-07-17 00:55:39
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 5: 「お疲れ様です、ウェイリス警部。さっかくご足労いただきましたが、警部の出番はないかと思われます」 女刑事は棒読みでやってきた男に向かってそう言った。 「何、その他人行儀。お前本当にひどいね」

2016-07-17 00:58:42
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 6: 「上司扱いしろといつもいつもうるさいから、その通りにしてやったというのにあんたって男は!文句ばっかり!!」 「ぎゃああぁぁぁぁっ!!!」 ヒールで足を踏まれ、男は悲鳴をあげる。 関係者はこの状況に慣れているのか、見て見ぬふりである。

2016-07-17 21:47:01
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 7: 「さぁ、新米君!やることやって、早いとこ撤退しましょう!他にも事件はあるわ!」 男に背を向け、彼女は後輩にそう言った。 しかし、 「おいおい!何言ってんだ。まさかお前、これが自殺だとか言い出すんじゃねぇだろうな?」 「……はぁ?」

2016-07-17 23:40:32
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 8: 男の言葉に、女刑事は顔をしかめた。 「だったら何?他殺だって言うの?ちゃんと現場見た?あんたこそ本気で言ってんの?」 「自殺にしたって不可解な点が多いだろうが。」 「ウェイリス警部もやはり他殺だと思いますか!」

2016-07-17 23:47:39
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 9: 若い刑事が目を輝かせながら、二人の間に割って入ってきた。 「ちょっと!新人!あんたまで何を言い出すの!」 「す、すみません。でも……」 鬼の形相でにらまれ、若い刑事は首を亀のように引っ込めた。 男は味方ができ、得意気な顔をしている。

2016-07-17 23:50:53
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 10: 「フハハハ!後輩の方がどうやら勘がいいらしい!まだまだだなぁ、警部補殿はぁ!」 「うっさい!!」 女刑事は再び男の足を踏みつけた。 声にならない悲鳴を上げて、男はうずくまる。

2016-07-17 23:52:19
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 11: 「こんなやつに構ってる暇なんてないわ!さっさと仕事するわよ!」 「おい!だから俺の話をっ……」 現場の指揮を取り出す彼女を止めようとしたときだった。 「━━━あら?ホルン・ウェイリス警部ではありませんこと?」 「……んっ?」

2016-07-17 23:55:13
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 12: 突如、誰かに腕を絡められ、男は首を傾げる。 見ると、黒髪の美女がイタズラっ子のような笑みを浮かべて自分を見上げていた。 「こんな所で奇遇ですわ。お仕事かしら?」 「うーん、そうなんだけど。あれ?俺にこんな美人な知り合いいたっけ?」

2016-07-17 23:59:09
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 13: 「ふふ。相変わらずお上手ですこと」 「そりゃあどうも」 ハハハ。と、笑うが、本当に誰なのかわからない。 「えっと……警部……そちらの方は……?」 若い刑事はどぎまぎしながら尋ねる。 女刑事の方は、顔を引きつらせていた。

2016-07-18 00:01:53
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 14: 「いやー……その……何ていうか……」 美女に声をかけられて悪い気はしないが、なんと答えたらよいのか、さすがの名探偵と呼ばれる、ホルン・ウェイリス警部にもわからなかった。 「ど、どこの誰だか知りませんけど、部外者は立ち入り禁止ですよ!」

2016-07-18 00:04:01
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 15: 女刑事が怒りやら何やらで顔を赤くしながら怒鳴る。 「刑事さん、残念ながら我々は部外者ではないのですよ。」 「!?」 さらに、スーツ姿の優男がニコニコしながら現れた。 どこかで見たことがあるような…… その場にいる誰もがそう思った。

2016-07-18 00:08:47
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 16: 「警部。紹介しますわ。私の婚約者のミリアルです」 「……はっ?婚約……?」 「お会いできて光栄です。ホルン・ウェイリス警部。ミリアル・スマイルです。いつも彼女がお世話になっています」 「え?ミリアル・スマイル?彼女?」

2016-07-18 00:13:29
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 17: わけがわからないまま、手を取られ握手を交わす。 ミリアル・スマイルと言えば大企業の若手社長だ。 なぜそんな人物が…… 女刑事も若い刑事も口をポカンと開け、自分たちの上司が大企業の社長と握手を交わす姿を見つめていた。

2016-07-18 00:15:44
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 18: 「待って待って、何これ。どういうこと。さすがの俺でも察することができないよ」 ホルン・ウェイリスは人目のつかない所へ二人を連れて行った。 「すっかり騙されるとこだった!何が婚約者だ!彼女だ!君、リン君だろう!?」 美女……リンはそっぽ向く。

2016-07-18 00:20:20
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 19: 「何とか言えよ!ったく!可愛くないガキだな!」 「メロディーさんに言いつける」 「嘘!ごめんなさい!それだけはやめてください!」 手のひらを返したように頭を何度も下げだす。 「……で、あんたは初めまして、だな?」

2016-07-18 00:23:07
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 20: 一通り謝ったところで、ホルンはミリアルの方を見た。 「噂は聞いてるよ、ウェイリス警部。ぜひともお近づきになりたいと思ってね。聞けば僕達同じ年齢だそうじゃないか」 終始笑顔の彼に、ホルンは疑いの目を向ける。

2016-07-18 00:26:07
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 21: 「……俺、金持ちって大ッ嫌いなんだよね」 「もちろん知っているさ。僕も金持ちが嫌いだ」 「嫌味かよ」 ますます嫌いになりそうだった。 「残念だが、こいつは冗談を言っているわけではないからな」 すかさずリンが口を挟む。

2016-07-18 00:28:51
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 22: そんなリンの方を、ホルンは見る。 「……君の仕業?」 「なぜ俺が。俺だってあんたのことはよく知らない。言葉を交わしたのもあのときだけだ。メロディーさんから聞いた話は、確かにミリアルにも話したが」 ホルンはガクッと肩を落とした。

2016-07-18 00:31:43
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 23: 「勘弁してよ……俺はいたいけな少年に女装させるような、金を持て余した金持ちに関わりたくないよ……」 「僕がさせてるわけじゃないから!この子の趣味じゃだからね!」 「誰が女装趣味だ!!」

2016-07-18 00:34:42
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 24: また足を踏まれるような気がして、ホルンは身構えた。 「……それで。社長さんが一介の刑事に何を求めていらっしゃるのでしょうか」 「そんなに警戒しないでほしいな。さっきも言ったように、仲良くなりたいだけなんだ」

2016-07-18 08:12:53
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 25: 「こいつ、同じ年の友達がいないからな」 リンが再び口を挟む。 「君は黙ってて。君にもきっと悪い話じゃないと思うんだ。だからそんなに怪しまないでほしいな」 怪しくないと言うが、言い回しが怪しさの塊だった。

2016-07-18 09:05:55
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji @darkmoon_souji 26: 「君はいささか目立ちすぎなんじゃあないかな。何かあったときに、僕のような存在がいれば、安全だとは思わない?」 「……何のことをおっしゃっているのやら。」 「僕が知らないとでも?君の正体を。」

2016-07-18 09:20:24
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 27: ニヤリと笑った顔を見て、少し背筋に寒気が走った。 だから金持ちは嫌いなんだ。と、心の中で悪態をつく。 「怪盗ってバレてしまったら、せっかく手に入れたその地位も全て水の泡になってしまうもんね」 「……用件はわかった。」

2016-07-18 13:07:32
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 28: とんだ弱味を握られてしまっている。 情報源は間違いなくこの女装男子だ。 にらみつけたが、すぐに顔を背けられてしまった。 「それで?その為だけにわざわざご足労いただいたってわけか」 「どうせなら一度君の仕事っぷりを拝見しようかと思ってね」

2016-07-18 13:13:03
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 29: 「……は?」 嫌な予感がする。 「仕事……ってまさか。今回のこの捜査についてまわるって言うのか」 「そのつもりだけど」 「ちょっと待った!そんなもの許可しな……」 「許可ならもらっているよ。君より偉い人から」 「……。」

2016-07-18 13:18:41
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 30: リンが「諦めろ」と、目で言っている。 この無邪気な笑顔が憎らしい。 「……邪魔したら殺す」 「そんなことしないよ。ただ見ているだけだから。」 ホルンは二人に背を向け、現場に戻ろうとする。

2016-07-18 13:21:47
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 31: 「ああ、でも今回の事件だけどさ」 そんなホルンの背中に向かって、ミリアルが言葉を投げかけてくる。 「どう見ても自殺だと思うんだけれど、君はどうしてそこまで他殺を主張するのかな?」 「……。」 何もかも見ぬかれているような気がする発言だった。

2016-07-18 13:26:35
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 32: 浮かない顔をして戻ってきた上司を見て、二人の刑事は駆け寄る。 「ちょっと、どういうことよ。大企業の社長と言えども民間人でしょ。現場に入れるなんて」 もう話は広まっているらしい。 「そう言われても……俺が許可したわけじゃないし」

2016-07-18 16:58:13
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 33: 「はぁ!?あんたが許可したからこうなってるんじゃないの!」 「痛い!叩くな!上司を叩くんじゃない!」 「全く!あんたって男は!いつもフラフラ勝手なことをして!仕事を舐めてるの!?」 なぜ自分が責められなければいけないのか。

2016-07-18 19:15:36
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 34: 後輩に助けを目で訴えるが、彼は黙って首を横に振るだけだった。 「だいたい自殺だっつってんのに、他殺とかほざきやがって本当、もう……!」 怒りが爆発しそうだったので、吹き飛ばされる前にホルンは彼女の前から逃げ出した。

2016-07-18 19:25:02
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 35: 「冗談じゃない!何でこの俺様が振り回されてんだ!」 逃げ込んだのは誰もいない男子トイレ。 鏡に写った自分をにらみつける。 なぜこのタイミングで現れるのか。 まさか、何かあるのか? 「何か問題でも発生しました?」 すると、鏡に黒い人影が写った

2016-07-18 19:37:08
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 36: その人物自体が真っ黒というわけではなく、ただ着ている服やらが黒いだけである。 そのせいか、青い瞳がやけに目立ち、またシルクハットからチラリとのぞく金髪も際立って見える。

2016-07-18 20:21:53
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 37: その被っているシルクハットだが、逆さまだというのになぜか落ちてこない。 というのもその人物は、天井の排気口からコウモリのように逆さまになってぶら下がっているからだ。 「問題発生どころじゃねぇよ……大問題勃発だよ!」 「はぁ」

2016-07-18 20:29:27
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 38: シルクハットの人物は、気の抜けた返事をする。 「まさか、俺が何をしようとしているのか、わかっているとでも言うのか?計画を邪魔しようとしているのか……?」 「それはないと思いますよ」 ブツクサ言う彼に、シルクハットの人物は言った。

2016-07-18 22:58:05
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 39: 「彼に邪魔をするメリットなんてないですからね」 「なるほど。じゃあ俺の思い過ごしか……え?」 ホルンは後ろを振り返った。 シルクハットの人物は、青い目をパチクリさせる。 「俺、誰の話をしてるとか言った?」

2016-07-18 22:59:46
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 40: 「うん?ミリアル・スマイルでしょう?」 「そうだけど……あれ?言った?言ってないよね?」 「そうですか?言いませんでしたっけ?」 「ううん、言ってない!絶対言ってない!」 まぁどちらでも構いませんが。と、彼は興味なさげだ。

2016-07-18 23:01:40
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 41: 「ちょっと待て。お前、この場にやつが来ることを知っていたのか!?」 「え?むしろ逆に知らなかったんですか?」 「いつ知る機会があったんだよ!言えよ!何でお前知ってんだよ!」 逆さまになったまま、彼は首を傾げる。

2016-07-18 23:04:03
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 42: 「何でって……僕が教えたからでしょう?」 「知らねぇよ!疑問形にするな!つか、言えよ!」 なぜホルンが怒っているのかわからないという顔をしている。 「あれを呼び寄せたのはお前か!お前の仕業だったのか!リン君を疑ったじゃあないか!」

2016-07-18 23:06:22
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 43: 「反対にリン君は僕がいることを知らないでしょうね。」 「だから何で色々言わねぇんだよ」 「僕はどうやら彼から嫌われているようなので、黙っておいた方がいいかと」 「……何したんだ、お前……じゃなくて!話戻すけど、なぜあれを呼び寄せたんだ!」

2016-07-18 23:09:37
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 44: 「あなたを紹介して欲しいと言われたんですよ。ソフィアちゃんから」 「だからってどうしてこうなる」 「あなたが、名探偵と言われているもんだから、その名探偵ぶりを見てみたいと。丁度この場に警察として現れることを教えました」

2016-07-18 23:11:48
ナナシ @darkmoon_souji

@darkmoon_souji 45: 「何でこれなんだよぉ〜もっと他にあっただろうがぁ〜」 ホルンはガックリ肩を落としてと、壁にもたれる。 「あなたの警察の仕事は邪魔してくるかも知れませんが、あちらの方には関与してこないでしょう。もしそんなことになろうなら、リン君を脅して

2016-07-18 23:15:01
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