第59回深夜の真剣140字60分一本

王子@第一種怠惰無責任者 @ojitw

57を素数と言った数学者の逸話を彼は嬉々として語り、私は「へぇ」とこぼす。この数学オタクめ、他の科目でペケになっても凝りやしない。きっと無限に続く素数を辿ることに、有限の生涯を費やすのだろう。そのエンドロールの最後カンマ一秒まで見届けられたら、私も素数の一つに数えてもらえるかしら。

きぃ @key_habataki

「私」という作品のエンドロールにあなたの名前は幾つ載るだろうか。世界が私につけたペケの烙印をマルに変えてくれた大切な人。「私」を素因数分解したら「あなた」という素数がどれだけ重なるだろう、なんて意味の無いことを考えている。あなたの色と音と思想を掛け合わせて、更に私を彩って下さい。

RAY/※※※ @growler_ray

「やった…クリア出来た！」 流れるエンドロール画面、彼女がゲームにかけた100以上の時間はようやく実を結び、彼女は達成感に酔いしれていた よかった。これで、私達はやっとゲームキャラとしての役目を終えられる さあ、エンドロールの先に行こう。ここからは正真正銘、私たちの物語になる

にゃん @nyan_kotonoha

「あんたが数学得意でよかったよ」 「…全くしょうがねえなあ」 私の答えに○やペケをつける彼。 二人のこの時間ももう終わる。受験が終われば進路は別々だから。 でも、本当は素数の羅列のように続いてほしい。エンドロールなんて要らない。 好きだったという三年間の答えをまだ言えそうにないから。 pic.twitter.com/6fBjkoQ9kQ

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宇津木健太郎@受賞したヨ @KChickenShop

無尽蔵の素数で溢れる海を泳いでいた。幾ら×××を探しても見付からないので、ずっと探し続ける。 人生という用意された上映時間は終わろうとしている。もう何十年も泳ぎ続けて、やはり見付からなくて。 エンドロールが訪れる。 それでも楽しくて、まだ探し続けていた。 #深夜の真剣140字60分一本勝負 pic.twitter.com/j4kwOOV0Xn

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つぶあんぱん @2222anpan

#深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite ) お題 ①ペケ ②エンドロール ③素数 pic.twitter.com/xK8XcLHe4g

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神埼れいฅ白銀色 @Rei_K_nana

「君に僕をあげる」 ふわりと優しく抱き締められて涙が頬を流れた。想いは言葉にできず、縋るように首に腕を回した。 「君はこの世でただ一人、僕が愛した人間だ」 全て分かったように、ただ笑う貴方は。何もかも奪い去り、己の存在を刻み付けるかのように、私の心を掻き乱して行った。

安津 るり @Ruri__anzu

仕事帰りに気まぐれに映画館に寄った 内容は片想いから結婚するまでベッタベタなラブストーリー エンドロールが流れ始めると、その後ろではあまーい結婚生活の映像 ただ、エンドロールの流れがゆっくりで、とにかく長くて疲れた エンドロールだけで別の作品に出来たのでは無いだろうか

かんのあかね @kanno_akane

朦朧とした意識の中で流れる文字を眺めていた。人の名前が並んでいてゆっくりと流れていく。ふと、その一つに君の名前をみつけた。その文字だけが他と違う事に気が付いたのが最後の意識だった。気がつけば君が僕の手を握って泣いている。それを見下ろして大して長くもない僕のエンドロールを見終えた。

夢夜 @ruya_reve

#深夜の真剣140字60分一本勝負(@140onewrite ) #140字小説 自分で書いといてなんですが、作中の『君』が何を言いたかったのか全くわかりません…… pic.twitter.com/Jfg4ETZOHB

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荻野千影 @ChikageOgino

エウクレイデスが無限と語った素数を 私は503迄しか覚えていない 1.2億の日本人のうち 私がすぐに思い出せるのはせいぜい300人 試写会のエンドロールは ３行目の私の名前はすぐ上に追いやられ あとは殆ど知らない名前 カーテン開けて 眼下に広がる夜景を見ると 私の小ささを 粉雪がせせら笑っていた

藍 @aI_mOOn_fumi

平凡なエンドロールは耳を塞いだって見えたよ、僕だって見えていたんだよ。お気楽な未来予想図、色とりどり埋めた予定に一つずつつけたペケ。箱の中の甘いチョコは残りみっつ、素数じゃ喧嘩になっちゃうからさぴったり分けっこする誰かがいなくて良かったの。割り切れないまま一人で平らげてしまおう。

松岡 9JIRA @aoarup

○撮影所 　　台の上、小道具がチョコレートでロールケーキに名前を書いている。側に大道具と助手。 大道具「ケーキにクレジット書くってマジ？」 助手「監督が、ロールケーキだけにって」 監督の声「リテイク用のケーキ焼けたぞ」 助手「終わらないエンドロールね」 　　助手と大道具、互いに苦笑。

KTQ @wholiveo

どんな数字も、素数×素数×…の形に直せる。すると、いわゆる最大公約数や最小公倍数とかがわかる。人間も、これ以上割り切れない何かに素因数分解できるだろうか。要素×要素×…いくつ並ぶ事だろう。エンドロールの人名並みに続きそう…ああ、“×”が「ペケ」に見えてきた。 #深夜の真剣140字60分一本勝負

秋月蓮華 @akirenge

私はアイツに映画に誘われて鑑賞した。 エンドロールが終わる。 「どうだった？」 「素数数えてた」 「つまり」 「つまらなかったわ。ペケよペケ」 「前評判通りだった」 「……つまらないってことよね。巻き込むな」 彼は言う。 「君と居たくてさ、」 #深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite )

花滝ちかる @chikaru_toka

今日は、友達６人でパーティーだ。 俺は、一番乗りの彼女と、手作りのパウンドケーキを見比べた。 「何で13切れ？」 「縁起が悪いかしら」 「いや…何で素数だよ」 12なら６人で割り切れるのに。 彼女は、ひとつ俺の口にむぐっと入れた。残り12。 「トクベツ、だよ？」 …全く、俺もだよ。 #140字小説

春日聖奈@二代目 夜 @haruhino37

人生ドラマの最終回。 優しい鼓動の音をBGMにして、登場してくれたキャストの名前が浮上する。 名前の隣にペケ印、あたし自身が割り切れない思いのまま別れることになった人達だ。 優しい静かな部屋… 最後に浮上するのは、総監督のあたしの名前ね… あたしはゆっくりと瞳を閉じてペケを付けるの…

繭美 @140mayumi

どしたの？ 『×』印が頭の上で、ふわふわ浮かんでるよ？ ねー、そういう人って、2～3時間後に友人家族、あと恩人の名前なんかが網膜にエンドロールされてー、で、人生THE ENDって噂あるけど本当？ 大変、スマホ構えなきゃ！ #深夜の真剣140字60分一本勝負 (@140onewrite) お題ペケ・エンドロール

掃き溜めに鶴 @hakidamenoturu

エンドロールが終わる頃、僕は彼女の手を握った。少し跳ねた手が彼女の驚きを伝えてきて、僕の心臓も跳ね上がる。重ねられた手の温もりに泣きそうになった。最後まで情けない僕は、旅立つ彼女に別れを告げることも、行くなと言うことも出来ず、ただエンドロールが終わらないことだけを祈っていた。