さて、唐突に #本好きの下剋上 アニメ第十一章の読解です。なろう発の原作アニメ化という点ではちょっと異色なんじゃないかという気がするこのアニメ、小説版はライトノベルではありますが子供にも見せられるストーリーライン。 異世界転生した主人公が本を作ろうと悪戦苦闘する話なのですが、 pic.twitter.com/K9VFqOoTxy
2019-12-12 21:21:23今回はその主人公が死に至る熱病で倒れてしまうところからです。 この熱病はストーリー上重要な意味を持っており、貴族階級が持つ魔術具を使わないと治療できません。 貧民の家に転生した主人公マインには手の届かないもの、なのです。 pic.twitter.com/FnnNlM9ugQ
2019-12-12 21:23:29熱を魔術具に吸ってもらって目を覚ましたマインのところに、同じ病気を持つフリーダが現れて、病気について説明するシーン。こわれかけだった魔術具は壊れ、もう使えない、次のものが必要であることが明示される。フリーダは破片を手に取り、ベッドに座る。 pic.twitter.com/fUsYvjjlg7
2019-12-12 21:34:31フリーダが座ったことで、フリーダが右(上手)、マインが左(下手)という構図になる。フリーダが病気が不治であることを語るのにふさわしい構図。 pic.twitter.com/TWcVaWF2mY
2019-12-12 21:37:25決意の表情で余命を聞くマインに、フリーダの視線が右下へ動く。 pic.twitter.com/xitIT1hlMB
2019-12-12 21:39:23病気を抑えるための魔術具はもう手に入らないという話のところで映る、誰も座っていない椅子。 誰もいないことで、魔術具がないことが暗示されている。 pic.twitter.com/v1xVzy73WP
2019-12-12 21:40:22「助かる方法は一つだけ。貴族と契約することよ」 ここで契約というのは、あとでフリーダ自身が言い直すとおり、愛妾になるということ。カーテンの掛けられたベッドによる、「契約」の意味の暗示。 pic.twitter.com/ksrG7vxbjR
2019-12-12 21:42:21フリーダが既にその道を、「契約」を選んだことが明かされた瞬間に揺らぐ、ろうそくの炎。マインの動揺の暗示。 pic.twitter.com/ZHDqdaPvEa
2019-12-12 21:43:46ここでフリーダが久しぶりに右向きになる。右向きは下手側、つまり運命の流れに翻弄される側であることを意味している。 pic.twitter.com/MBVpqOvCdg
2019-12-12 21:46:47暖炉の炎が消えることで時間の経過を表すが、 それは同時に「マインの身体の中から熱が去った」ことを意味し、 また「時間の経過とともにマインの命の炎が消えつつある」ことをも示唆している。 pic.twitter.com/N1B562JJEa
2019-12-12 21:48:01家族、親友との再会。マインが治ったと思い帰る家族のいる外は明るく、治らないことを知っているマインのいる中は暗い、という対比。そしてマインが高いところから見下ろすのは、将来こうして高いところ=貴族街に家族から引き離される可能性があることも示唆している。 pic.twitter.com/R0MGcxv1TQ
2019-12-12 21:52:57フリーダとともに貴族の風習である入浴を楽しむ場面で、「溺愛されているなあ」と言うマインにフリーダは投資だと返す。ここで家族と離れて貴族街で店を持つ夢を語るフリーダの姿は、のちのちマインに影響を及ぼすことになる。夢を語るフリーダは左もしくは正面向き、迷うマインは右向き。 pic.twitter.com/j3TGIzZ5xf
2019-12-12 21:59:39フリーダの洗礼式。7歳を祝う祭りに、昨年の姉の洗礼式を思い出し、家族を思い涙するマイン。 洗礼式は家族から離れる第一歩を意味する。ここ来週の話への伏線。 pic.twitter.com/4m6T6HjnW4
2019-12-12 22:03:06夕焼けの中帰宅する一家。夕焼けは通常「翌日も晴れ=将来の希望」を表すが、ここでは、「楽しかった日々の終わり」を示唆している。 pic.twitter.com/o7wdus9bHz
2019-12-12 22:04:43転生の記憶があることを家族の誰にも明かさないまま、この家族が自分の家族になっていたことに気付いた、という独白。そして雪が降り始める。 pic.twitter.com/HLzk4zXJ6q
2019-12-12 22:06:59余命一年を選ぶか、貴族と契約するか、という二択を言い出す決心がつくのは、洗礼式の衣装を着た時。洗礼式は大人への第一歩。すなわち、成長を意味する。時間の経過を表すために一瞬映る外の景色が吹雪なのが、心情を表現していて素晴らしい。 pic.twitter.com/MLHm5vEDXj
2019-12-12 22:13:06家族会議。マインが右上に座っているのは、そうすると誰に対しても右側になるから。ショッキングな事実を説明する側であると同時に、もう「家族といっしょに一年の余命」を選んでいて動揺がない立場だから。 pic.twitter.com/EsQn5N0ZsO
2019-12-12 22:16:30しかしマインは余命を聞かれて動揺する。 「今まで話さなかったのはそれを聞かれたくなかったからだろ」と言い当てられ、 「なんでわかっちゃうの」と返して、「俺が父親だからだ」と言われる。 肉体はともかく、精神は転生者で実の娘ではない。だからこそ重い父の台詞。 pic.twitter.com/YorymZUQfd
2019-12-12 22:19:14貴族街に行く道を選ぶと家族と会えなくなる、と言った瞬間のこのアングル。 pic.twitter.com/jXq6F4XrRs
2019-12-12 22:19:51抱きしめ合う母娘、 そして独り酒を飲む父。 暖炉の前に、父がマインのために作った簪が置かれている。 暖炉、簪は暖かな過去を表す。 それと、父の背中の闇、父の背負う未来が対比になっている。 pic.twitter.com/0FRthmh21K
2019-12-12 22:23:11本当にみごとな描写でした。 このクオリティのアニメは久しぶり、 というかリアルで追いかけていてこのクオリティはユーフォ以来です。 pic.twitter.com/brjsEQ0ImU
2019-12-12 22:27:43今回の #本好きの下剋上 の素敵な表現。 ベンノが未婚の理由を語って、マインに頭を撫でられた時に、そのつま先だけが明るい外に出ている、という表現。 これは街の城門を出て行く時の描写で、長く暗いトンネルからマインと出会って抜け出したことを暗喩しているから水の女神とか言われるんですよ。 pic.twitter.com/pfvHeJADhK
2019-12-19 23:27:57飲み物によるフリーダの心情表現。 生き延びるためにはフリーダを頼った方がいいと言われた、というマインの台詞に、 それを分かっていたのに自分を頼らなかった、ということを理解した瞬間。 揺れる水面がフリーダの動揺を表現している。 pic.twitter.com/dMWu2IoZyq
2019-12-19 23:31:24マインの飲み物にマインの顔が映る。 「ユーフォ」でさんざん出てきた、「反射するものに顔を映すのは自分の心を見つめ直すこと」という表現です。 飲み物、という、これから飲み干してなくなっていくものに映す行為になっているのがなかなか示唆的ですがこれは意図したものかどうか。 pic.twitter.com/VtkcCP7zFn
2019-12-19 23:34:59夏だから当たり前なんだけど、暖炉に薪がないのが前回の表現と重なり合ってこれまた示唆的。 pic.twitter.com/OHtEL2S7Gx
2019-12-19 23:36:54カトルカールの独占販売権を1年間に区切って、「わたくしに独占されたくなかったら、かならず自分で公表して下さいな」と言った瞬間、ほんの一瞬だけみえるのフリーダの涙を見逃すな pic.twitter.com/VYAQpelhzT
2019-12-19 23:39:30