449 〇:ということでTwitterも削除でいいかな。 速攻でTwitter消去。 ニュースアプリはなんとなく残しておいた。 〇:よーし。駅どこだ? とりあえずマップアプリを開いて駅を探す。 〇:あぁ…疲れた… 駅までやっぱり遠い…1時間はかかったぞ。
2020-04-01 06:33:24450 そこから電車に乗って目的地の最寄り駅につく。 〇:もう夕方かよ。 家を出てからそろそろ4日経つ。 〇:何してるかなぁ… そんなこと思いながら駅前でタクシーをつかまえようと待つ。 田舎の駅だからか周りに人はいない。 〇:来ねぇかな…結構遠いんだよなぁ。
2020-04-01 06:33:29451 待ち始めてから1時間経った。 〇:………電話しよ。 なるべく携帯を使いたくなかったが…致し方なし。 携帯を取り出すとそのタイミングでタクシーが来た。 〇:お、来た。 個人タクシーみたいだ。 ?:あれ?珍しいね。この駅に人が来るなんて。
2020-04-01 06:33:34452 運転手の人が窓から顔を出して俺に言う。 〇:………え? ?:乗りなよ。早く。 〇:あ、はい。 ?:どこまで行く? 〇:あ、△△寺までいいですか? ?:はーい。
2020-04-01 06:33:41453 初対面なのに妙になれなれしい運転手だ。 ただ嫌な気はしない。 ?:君はなんでそこに行くんだい? 〇:親の墓があるらしくて。 ?:らしい? 〇:もともと行ったことなかったし、そもそも親が死んだことすら知りませんでしたから。 ?:ふーん。 〇:なんでそんなことを?
2020-04-01 06:33:49454 ?:あ、いやあの駅利用者少ないんだ。だから客の顔はだいたい覚えているんだよ。しかも目的地がかぶることなんて滅多になくてね。 〇:何が言いたいんですか? ?:君より年上の女の人も昨日かな。△△寺に送ってくれって言ってきてね。大分焦ってたよ。 それが母なのではないかと思って少し焦る
2020-04-01 06:34:01455 〇:その人どんな人ですか? ?:うーん…その前に君の名前教えてくれないか。僕の名前も教えるから。 〇:……はい。筒井〇〇といいます。 ?:よし。よく言った!僕は幸村秀介。 名前を聞いた瞬間心臓が跳ね上がった。 〇:秀…介… 秀:ん?どうした?
2020-04-01 06:34:11456 〇:いえ、似たような名前の方が知り合いにいたので。 秀:そう… 会話を交わす。 とても気さくな人で話していて楽しい人だった。 秀:ほれ。着いたぞ。 〇:ありがとうございます。あ、お金… 秀:あとでいい。待っとくからさっさと伝えたいこと伝えてスッキリしてきな。
2020-04-01 06:34:17457 〇:はい。分かりました。 とりあえず親の墓前に立つ。 〇:初めまして…じゃないのか笑 なんだろう…こういう時に笑みが浮かんでしまう。 〇:どーも。お久しぶりです。 どうやっても他人行儀になっちゃうな笑
2020-04-01 06:34:23458 〇:こういうときってどういう話をしたらいいのかな…これまでの話?でもお母さんたちは見てくれてるんだよね。 だから俺はあえて何も話さない。 〇:今日はお願いがあってね。 …………これからも…いつまでも…見守ってて… 〇:ありがと。信じてるよ… おこがましいな、俺。
2020-04-01 06:34:28459 人殺しといて何が見守っていてくれだ。 〇:ふふっ 父、母の墓。 秀:話したいことは済んだか? 〇:まぁ。 秀:携帯。 〇:はい? 秀:気付いてないのか? 〇:え?
2020-04-01 06:34:33460 秀:さっきからブーって言い続けてるぞ。 〇:うっそ。 携帯を取り出してみるとニュースの速報の通知がいっぱい。 〇:なんかあったのかな。 気になったからニュースアプリを開く。 …………俺は一気に青ざめた。 〇:………秀さん…
2020-04-01 06:34:39461 さっき話してるうちに秀さんと俺は呼ぶようになってた。 秀:どうした? 〇:病院まで連れてってくれませんか? 秀:どこのだ。 〇:東京の〜〜病院… 秀:遠いが…別に問題はない。まだ日も明るいし夕方の4時にはつくだろ。 〇:ありがとうございます。
2020-04-01 06:34:46462 秀:何があったのかは特に聞かないようにしておこう。 〇:………そうしてくださるとありがたいです。 その後は俺は一言も喋れなかった。 なぜ…こうなったのか… 秀:着いたぞ。また待っといてやるから早く行ってこい。 〇:え… 秀:え…じゃねえ!大切な人いるんだろ?だったら早くいけ!
2020-04-01 06:34:50463 〇:分かりました…ありがとうございます。 そう言って俺は後ろを振り向かずある部屋へと向かう。 〇:すいません! 受:なんでしょう… なんとかあの人の部屋番号を聞く。 カチ…カチ… 〇:まだか…まだか…
2020-04-01 06:35:04464 すべての時間が長く思える。 〇:こんなに待ってる暇はない… そう思って俺は階段をのぼる。 〇:はぁ…はぁ… 2階…3階…4階…ここだ! 部屋の前に着く。 「411号室、杉本亜美様」 ガラララッ
2020-04-01 06:35:10465 特に息を整えるということもせず中に入る。 それが…間違いだった。 中には慎二と翔吾、麻衣姉、未央姉、あやめがいた… 麻:………やっと来た。 静かに話すその口調は怒りだけのものではなかった。 麻:どこ行ってたの? 周りを見渡すが慎二以外誰も目を合わそうとしない。
2020-04-01 06:35:15466 〇:父さんと…母さんの墓…と家 麻:へぇ…ずいぶんと長い間いなくなって迷惑かけたじゃない。挙げ句の果てに芸能活動休止?ふざけんじゃないわよ。 〇:……… 麻:亜美ちゃんがなんでこうなったか教えてあげようか? ベッドの上でピクリとも動かない亜美を見て麻衣姉は言う。
2020-04-01 06:35:27468 〇:へ? 情けない声が出る… 酒:お前が急に休みだしてからこいつお前の仕事全部被ったんだよ。 "お前が戻ってきたときに居場所があるようにってな。" 言葉も出ない。 酒:しかも俺らにも隠し事とは…そこまで信用できねえかよ。 〇:………え? 酒:なんかあったら頼れっつったよな?俺。
2020-04-01 06:35:46469 いつもは落ち着いてる翔吾が熱くなる。 酒:ここにいる人は全員知ってるぞ。 〇:あぁ… 未央姉言ったんだ。 酒:お前は…反省してるのか? 〇:え? 酒:お前の…せいで!亜美は!倒れてるんだぞ! 〇:俺の…せい… "そうだよ…何してたの…"
2020-04-01 06:36:36470 〇:え…あやめ? あ:うるさい… "人を騙しといて…被害者ぶるのやめたら?" あ:あなたみたいな他人に…お父さんは殺されたんでしょ? 小:あやめちゃん! 〇:いいよ慎二…俺が全部悪いんだ… 一つ一つの言葉が俺に刺さる
2020-04-01 06:37:41471 小:だけど… 〇:もういいって…悪い、もう会いにこないから大丈夫。 小:〇〇! 〇:そっちのほうがいいだろ? 麻:ええ。そっちのほうがいい。 自分が好意を寄せている人からの言葉…辛い… 〇:………はは、そうだよね。 麻:じゃあ最後に聞くね。
2020-04-01 06:37:53473 〇:まぁな。 麻:あのね… やめてくれ… 麻:私も… 後悔しか残らなくなる。 〇:ま、いいでしょ!俺は…またどっかでフラフラしとく!みんな!今までありがとね!
2020-04-01 06:38:12474 小:え?ちょっ… 〇:慎二…ありがと。俺みたいな奴についてきてくれて… 小:お、おい… 〇:だけど…もう終わりだ。じゃあね!それと…翔吾! 酒:……… 〇:すまない…最後の最後まで迷惑かけて…でも楽しかったよ! 酒:……ああ。
2020-04-01 06:38:22475 〇:あと…あやめ…今までありがと。こんな俺を…お兄ちゃんって呼んでくれて…俺のことは忘れろよ? ああ…無理だ…耐えられない。 〇:えーっと…みんな!今までありがと!じゃあね! そう言って小走りで部屋の外に出る。 〇:みんな…ごめん…ごめん… 後悔しかない。
2020-04-01 06:38:38476 あのタクシーの中。 秀:大丈夫か? 〇:大丈夫ですよ。 秀:そうか? 〇:さぁ… 秀:相談しろよ。 〇:はい… 秀:言ったな?
2020-04-01 06:38:47477 〇:は? 秀:俺とは一言も言ってないだろ? 〇:は? 秀:入ってきていーぞ。 秀さんはスマホを取り出して誰かを呼んだ。 ?:やっほー。 〇:え…なんで?
2020-04-01 06:39:00478 ?:えーっと… 秀:仲いいからだろ笑 ?:そうそう! 〇:え……橋本さんと秀さんが? 奈:まぁねぇ〜 秀:んでどこ行きゃいい? 奈:とりあえずなぁちゃんの家〜
2020-04-01 06:39:24479 俺が言う前に橋本さんが行き先を言ってしまう。 秀:……どこにあるんだ? まぁそうなるわな。 橋:えーっとね〜〜ってとこ。 〇:で…なんでななさん? 橋:〇〇連れてこい!って言ってたから。 うわぁ…絶対怒ってるやつだ…
2020-04-01 06:39:34480 橋:ま、悪いのは〇〇だからね〜 〇:うっ… なんとも言えない… 秀:もうすぐ着くぞ。 橋:あ、ありがとー。 秀:今日はもういいのか? 橋:うん。ありがと。
2020-04-01 06:39:47481 秀:いやいや。〇〇くんも休むんだよ? 〇:………はい…ありがとうございました。 秀:いいや。なんてことはないさ。 "君が感じてる苦しみに比べたら何百倍もマシだよ笑" 〇:ありがとう…ございます… まただ。また… 橋:はいー行くよー〇〇。なぁちゃんが待ってるからねー。
2020-04-01 06:40:03482 この人は…知り合って全然経ってないのに人の心でも読めるのか笑 〇:はい。 秀:じゃあね。 〇:サヨナラ。 そう言って俺はタクシーから背を向ける。 〇:ありがとうございました。 そう告げながら。
2020-04-01 06:40:13483 橋:そんなビクビクしなくていいよ笑 〇:え? 橋:今から行くところには〇〇のことを待ってる人たちだけだからねー。 さっきみたいに罵声は浴びないけどビンタは食らうかも笑注意しといてね笑 ドSか…この人笑ってるぞ… 〇:覚悟しておきます笑 俺は何故か安心して笑ってしまった。
2020-04-01 06:40:29484 橋:はーいみなさん。問題の人連れてきましたよー! 〇:ちょっ… こっちの気持ちなんてお構いなし。 橋:ほら入りなさいよ。 〇:………はい。 嫌な予感…
2020-04-01 06:40:38485 玄関に入る。 ?1:きた… ?2:遅い… ?1.2:遅いー!! 〇:ちょっ… 少し年上の二人が我慢できなくなったのか抱きついてきた。 〇:そんなですか…
2020-04-01 06:40:46486 遥:この何日間かどこ行ってたの? さ:急にいなくなんないでよ… 〇:ご、ごめん… 遥:………ほんとに。 さ:だーけーどー…もっと怒ってる人いるからね? 〇:それは… 橋:さっさと行ってあげな笑 また笑ってるし…
2020-04-01 06:40:54487 〇:ななさん…? とりあえず奥にいる1番不機嫌な方に話しかける 七:なに? 〇:あの… バチン! 〇:痛ぁ… 七:アホ!どんだけ心配かけたおもってんねん。 橋:クックっクッ…
2020-04-01 06:41:02488 〇:ごめんなさい… 七:もう…ホンマに…勝手におらんくならんといて 遥:私達よりすごかったもんね。 さ:確かに… 橋:焦りようがね笑 笑ってる… 七:ハグしてええ? 〇:え?
2020-04-01 06:41:15489 答えを聞く前にななさんはむりやり俺を抱きしめる。 〇:あの…汚いですよ?俺…。 七:嫌なんやったら突き放したらええやん。 〇:……… 久しぶりに感じた人のぬくもり… それを離したくなくて 俺はななさんを静かに抱き返した。
2020-04-01 06:41:24490 七:よう…生きとったな…死んでたらどうしようか思ったわ。 少し声がつまりながら耳元で囁かられる。 〇:死ぬ勇気なんかないから安心して笑 七:当たり前や。そんな勇気いらん。 〇:変われるかな…俺。 七:変わる必要なんてないやろ?〇〇は〇〇やもん。
2020-04-01 06:41:34491 久しぶりに生きててよかった…そう思えた。 橋:全く…あなた達は周りというものを見ないんですか? 〇:あ… 七:忘れてた… 怒り口調ではあるけど何故かニヤニヤしてる橋本さん。 〇:なんですか? 橋:周り見なよ? 〇:え?
2020-04-01 06:41:48492 遥:あの? さ:〇〇? 例の二人がこっち睨んでるし… 〇:ははは… 七:まぁまぁ… 橋:それで〇〇はこれからどうするの。 〇:さぁ…そこらへんで生活してますよ笑
2020-04-01 06:42:21493 七:そんなんななが許さへん。 〇:えぇ… 遥:でもどこ住むんです? さ:私達寮だし… 橋:私の家でも来る? 七:部屋の空きないんちゃうん。 橋:はぁ…そうだった。 〇:やっぱり…
2020-04-01 06:42:32494 七:ということで!うちの家事やっといて。 〇:………は? 七:給料はうちを癒やすのとこの家に住むこと。 癒やすことは給料なのか? 橋:クックックッ… 遥:七瀬さん〜? 七:悪いな、でもそれが1番得策やろ? さ:ま、まぁ… 橋:確かにね〜
2020-04-01 06:42:48495 遥:たまに来てもいいですか? さ:お願いします! 橋:私もたまに来るからその時一緒にきたらいいじゃん。 遥:いいんですか? 七:ええよ。 〇:あの…俺の意見… 橋:でもこれしかないしね。あんた一人にしたらまじで心配だし。 〇:はぁ…
2020-04-01 06:42:56496 橋:ということで頑張ってね〜かっきー、さくらちゃん、行くよー 遥:はいはい。 さ:はぁ…さよなら… 二人共寂しそうな表情を浮かべてこっち向いてきた。 〇:ま、またね笑 とりあえずまたねと言っておいた。 また会おうって希望を込めて。
2020-04-01 06:43:08497 七:さて!荷物移動させんとな! 3人がいなくなって静かになった部屋。 七:の前に "おかえり…〇〇" 〇:ななさん… 七:ただいまくらい言ってや。今日からこの家が〇〇の家なんやで? 〇:そうだね…ただいま。 七:ゆっくりな。急ぎすぎたらあかんで。 〇:分かってるよ。
2020-04-01 06:43:19497 そうだ…ゆっくりでいいんだ。 すべての答えを見つけるまで 俺はゆっくりと歩こう。 走るのはそれを見つけてから。 ありがとう。 頑張れ、俺。 第一章 end
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