「風魔一族の陰謀」解説

石川 五右ェ門 @goemon_zan

[五右ェ門の今日は何の日] 1987年12月26日、この日、現在でも賛否が分かれている「風魔一族の陰謀」が公開された日だ。 この公開は、OVA販売の宣伝として先行公開されたものだ。 売り文句は「紫を救え！からくり城の秘宝をめぐるニュー・ルパンVS風魔の一大攻防戦！！」 半分程売り文句詐欺だがな← pic.twitter.com/eUjcV51aoQ

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

賛否両論となっている理由の前に、本作のあらすじから紹介しよう。 ただし、今回はいつもと違ってネタバレを含んでいる。 まあ、ネタバレとは言うが、ウィキペディア等で終盤まであらすじが書かれている故にネタバレにすらなっていないと思うがな← 起承転結で大まかに説明するぞ。 pic.twitter.com/NraZXkccv0

拡大

拡大

拡大

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

さて、この作品をご存知の者は知っていると思うが、この作品は今でも賛否両論であり、この作品に複雑な気持ちを抱いている者もいるだろう。 この作品が賛否両論である理由、それは、「ニュー・ルパン」と称して、全声優陣と全スタッフ総入れ替えを行ったからだ。 経歴等は、画像にてまとめてある。 pic.twitter.com/U6jrE45szL

拡大

拡大

拡大

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

「風魔一族の陰謀」に対する納谷悟朗殿、小林清志殿、増山江威子殿、井上真樹夫殿の意見は以下の通りだ。 スタッフ達は、本当に何を考えていたのだろうか…… 紛れもなく、モンキー・パンチ先生と、山田殿達5人、そして「ルパン三世」を心から愛するファンに対する冒涜に等しい。 誠に許し難い話だ。 pic.twitter.com/OO6ZBSMwOw

拡大

拡大

拡大

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

当然、演者陣変更は公開前から当時のファン達を困惑させ、観に行った人達の怒りを買い、評価はかなり低くなった。 さらに、制作した東京ムービー(現トムス・エンタテインメント)に「風魔一族の陰謀」に対する苦情が相次いだことにより、結局「ニュー・ルパン」は失敗という結果に終わった。

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作のルパンは、主人公でもあるにも関わらず、大した活躍はしていない。 それどころか、小物のコソ泥のような雰囲気が強く、仲間思いな場面もほとんど見られず、大方のアクシデントを予想できないポンコツな場面が多い← 声を担当したのは、諸星あたる、ピッコロ、エース等で知られる古川登志夫殿だ。 pic.twitter.com/fXxmSX2jVk

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の次元は、とにかく間抜けで無能な男に…… マグナムは一切撃たず、終盤はほぼルパン頼み。 「ルパンの相棒」と言うよりは、「ルパンの助手」のような扱いで、活躍を期待していたファン達を落胆させた。 声を担当したのは、「開運！なんでも鑑定団」のナレーションでお馴染みの銀河万丈殿だ。 pic.twitter.com/OCeqguUYNX

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

実質本作の主人公である五右ェ門は、とにかく活躍が多い。 しかし、墨縄紫などという小娘に惚れ、墨縄家に婿入りして石川家を廃し、盗賊から足を洗おうとしているという大変許し難い行動に出ておる……！ご先祖様への裏切り行為だ！！ 声を担当したのは、ぶりぶりざえもんで知られていた塩沢兼人殿だ。 pic.twitter.com/XRBNsO8FC9

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の不二子は、3人に比べれば他の作品とほとんど変わらない。 また、不二子にしては珍しく本作は裏切っていない。 ただし、服装や作中の行動も相まって、「凄腕の女盗賊」「魔性の女」という印象はほとんどない。 声を担当したのは、則巻アラレ、ベルモット(名探偵コナン)等で知られる小山茉美殿だ。 pic.twitter.com/dZxIXhHP7p

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の銭形は、ルパン達が死んだと思い込んで警察を辞め、出家して坊主になっている上に、所帯持ちという銭形らしくない設定まみれとなっている。 しかし、ルパンが生きている事を知り、警察に復職する。 それにしても、坊主頭が似合わんな← 声を担当したのは、星一徹で知られていた加藤精三殿だ。 pic.twitter.com/bUGl13MJvL

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作のゲストヒロインである墨縄紫だ。 墨縄家の跡取り娘で、五右ェ門と結納を交わしていたが、壺の身代わりとして風魔に攫われる。 五右ェ門一途で明るい性格だが、五右ェ門に厚かましく口付けを強請るなど、我の強い場面も見られる…… 声を担当したのは、チチ(初代)等で知られていた荘真由美殿だ。 pic.twitter.com/lFbxmBdOHS

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

紫の祖父、墨縄じいさんだ。 本名を「墨縄馬場」といい、墨縄一族の長でもある。 財宝と壺を守る為だけに生きており、紫が壺の身代わりとして攫われた際には、あっさりと紫を生贄にした。 一族の長としては当然なのだろうが、薄情だな…… 声を担当したのは、亀仙人(初代)で知られていた宮内幸平殿だ。 pic.twitter.com/VcbMFqERw4

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の悪役の1人で、今回の黒幕である風魔一族の首領だ。 本名は「十四世・風魔小太郎」 普段は建設会社の社長を装っている。 残忍な性格で、部下達を平気で捨て駒にする。 戦闘力は高いが、終盤で詰めの甘い部分が露呈している。 声を担当したのは、PART2によくゲスト出演していた広瀬正志殿だ。 pic.twitter.com/SZDoRZSPY3

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の悪役の1人である風見だ。 警察を辞職して出家した銭形に、ルパンが生きている事を伝えた刑事だ。 しかし、その正体は風魔一族の幹部で、首領の側近なのだ。 ただ、ルパンと次元には冒頭で既に怪しまれていた。 なお、戦闘シーンはない。 声を担当したのは、道化のバギーで知られる千葉繁殿だ。 pic.twitter.com/Pj28a2vrmy

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

本作の悪役の1人であるガクシャだ。 その名の通り学者のようだが、正確な素性は不明。 一応幹部待遇でクナイも持っているが、非戦闘員らしく、戦闘能力は皆無。 ルパンの顔が変わる幻覚を見て怖気付くなど悪役らしくない一面があり、影も薄い。 声を担当したのは、人造人間17号で知られる中原茂殿だ。 pic.twitter.com/eLC9pBdtep

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

さて、本作を最後まで見た事がある人は、音楽に終始違和感を感じた人も多いと思う。 実は、本作ではシリーズお馴染みの「ルパン三世のテーマ」や銭形が登場した時に流れる音楽「銭形マーチ」が1度も流れてこないのだ。 これは、本作の音楽担当が大野雄二先生ではないのが最大の理由だと思われる。 pic.twitter.com/g9BXaldI4S

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

主題歌は、麻倉未稀殿が歌う「セラヴィと言わないで」だ。 「セラヴィ」とは、フランス語で「人生ってこんなものさ」という意味である(日本の田舎が舞台なのに……) ルパンの主題歌では珍しく、デジタルサウンドの音楽となっている。 また、大野雄二先生が作曲に関わっていない数少ない曲だ。 pic.twitter.com/9Y6KAXrBcE

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

ちなみに、「風魔一族の陰謀」に関連するグッズはあるにはあるのだが、DVDは売り切れが多く、アニメーターの田中敦子殿による描き下ろしが表紙のアニメージュはかなり数が少ない。 サウンドトラックも数が少なく、高いもので10000円以上で売られていたりする(情報元 Amazon、メルカリなど) pic.twitter.com/bJ0FXGhAGA

拡大

拡大

石川 五右ェ門 @goemon_zan

ところで、題名に入っている「陰謀」は、「密かに悪いことを企むこと」という意味だ。 しかし、風魔一族の「墨縄家の財宝を奪う」という企みは最初から墨縄じいさんにバレている為、全く「陰謀」ではないのだ。 つまり、タイトル詐欺ということだ。

石川 五右ェ門 @goemon_zan

時が経って「風魔」が高く評価されることが増えた。 特に「カリオストロの城」にも引けを取らない作画は、熱狂的ファンの間では語りぐさとなっている。 また、古川殿達の演技の評価も上がってきた。 しかし、風魔の元スタッフ達は約30年近く経った現在でも謝罪等はしておらず、沈黙を貫いておる。

石川 五右ェ門 @goemon_zan

前述の通り、「風魔一族の陰謀」での声優陣変更は大変不評であった為、最終的に声優陣は山田殿達に戻された。 ただ、裏を返せば、「ルパン三世」のオリジナルキャストがどれだけ愛されていたか、山田殿を含めた5人の演者陣がどれだけ自分の持ちキャラに愛着を持っていたかが分かる話と言えるだろう。