バーヒュンの子がいるラーヒュン

コージ＠頭痛 @koji_hunter

ほら作中３ヶ月じゃないですか。最後にバン様の閨に呼ばれてお相手をしたヒュンの腹にバン様の子がいるのが分かるのが戦後じゃないですか。ヒュンはバン様の子を残すことはないと思って冷たい川に身を浸すわけですよ。そこに悩みに悩んだラーが駆けつけてこう言うわけですよ。「産んでくれ」と。

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こうね、ひとり冷たい川に身を浸したヒュンのところにざぶざぶラーがやってきてね、ヒュンを抱きしめて言うんですよ。「お前の子は俺の子だ。産んでくれ」って。それまでひとりだと思っていたけど、ひとりじゃなかったんだと分かったヒュンは、滂沱の涙を流しながらラーをきつく抱きしめ返すんですよ。

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当たり前だけど産むと決めても仲間は誰も祝福なんてしてくれなくて、マァムでさえ「なんで…バーンの子を…？」って言うし、アバン先生は今まで見たことない表情の消えた能面のような顔をしてた。一応カールの城下に家をくれてそこで暮らすことになったけど、産まれた子を見に来る人は誰もいなくて。

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ラーだけは産まれてすぐ顔を見て「しわくちゃだな。猿みたいだ」って言って産婆に怒られてた。ラーは仕事から帰ってくると真っ先に寝室にきて、「…まだ猿だな…」「ちょっと人間らしくなってきたな」ていちいちコメントする。赤ん坊に指をきゅっとされたときには顔がめちゃくちゃニヤついていた。

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しばらくして子供の手足がむちむちちぎりパンになったときにポプくんとヒムが来て。ヒムは島に来たポプくんから偶然ヒュンの話を聞いて、連れてけって駄々こねてルーラさせた。ヒムとラーは「ふわ〜これが人間の子かよスライムより弱そうじゃねぇか〜」「親に無断で触るな」とか楽しそうにしている。

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久々に会うポプくんとヒュンはなにを喋って良いか分からない。ポプくんの方から「あのよ」と重い口を開いて、「子どもが産まれるのがめでたいことだってのはみんな分かってんだ。…でも、複雑でさ…」弟弟子はそこで言葉を切った。

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「でも、おれはヒムがキッカケくれてなんか吹っ切れた！　これからもチョイチョイ様子見に来るわ！　まずは出産祝いだよな！　次んとき持ってくるわ。なにがいい？」そう尋ねる弟弟子にヒュンは微笑みながらこう答えた。 「来てくれるだけでいい」

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ポプくんがヒムちゃんを連れてヒュンに会いにきたのは、「ハドラー様から生まれた俺が今お前らとこうしてんだぜ？　親がどうので子どもがどうなるかなんて決まるかよ」って至極真っ当な説教をされたからです。（ヒムちゃんは説教の自覚はゼロ）

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バーヒュンの子のがいるラーヒュンの世界線で、まだ子が腹の中にいるとき、先生が嫌々（の体で）腹帯とか持ってきて欲しい。別に使者に持たせれば良いのに御自ら持ってきて、「そろそろ必要になった頃合いだと思いまして？　別に気になったわけではないですよ？　別に気になったわけではないですよ？」

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って言いながらヒュンの体調を細かく聞き出して、あれを食べなさいこれは滋養にいいです妊娠してるときはこれは絶対しちゃダメですと指示しまくる。さらに家の中を検分して「こんなところにこんな物を置いたらつまづくじゃないですかあのクソ半魔」って小声で舌打ちした。

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そんでヒュンが「俺とお腹の孫のことを気にかけてくれるのは嬉しいんですが、先生のところはまだなんですか？」って口にしたら、「あなたそういう…そういう…そういうとこですよ！　今のセリフに全部煮詰まってますよ！！　そういうとこですよ！！！！」ってキレて帰ってった。

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バーヒュンの子がいるラーヒュンの世界線。 悪阻が酷く少量の果物と水しか口にできないヒュン。起きているのも辛くて寝室で横になっていたが、どうにも酸っぱいものが口にしたくて居間まで出て行った。居間ではラーがテーブルに針と糸と自分の服を広げて珍しく繕いものをしていた。

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自分の服を繕っているのかと思ったが、どうもそうではないようだ。 「あ」ヒュンと目が合ったラーはそう声を上げた。「何をしてるんだ？　繕いものか？」ヒュンが尋ねるとラーは目を泳がせて「あ〜…これは〜…その〜…」と、うまい言い訳を探しているようだった。

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一旦口を閉じると、ラーは腹を括ったように言った。「…産着とおしめ」ヒュンは瞠目した。「産着とおしめ？」「そうだ。俺は何もしてやれないからな。買うことにはなるだろうが、いくつあっても良いものだし、足しにしようと思って。近所の姐さん方に作り方を習って古い服を産着とおしめに…」

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ラーが言い終わる前にヒュンは椅子に座ったラーを後ろから抱きしめた。「おい、こら、針を持ってるんだぞ。危ないだろ」「…こうしたい気分なんだ」 ラーは針を針山に休めると、ヒュンの手を両手で力強く握りしめた。

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ラー、近所の姐さん方のところに、手土産を持って産着とおしめの作り方を習いに行くと、姐さん方は楽しそうに「うちの旦那はあたしの腹がでかいときにこんなことしちゃくれなかったよぉ」「あんたいい旦那だねぇ」「嫁さんは果報者だあ」と話している。ラーは黙々と針を動かす。

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バーヒュンの子は銀髪紫瞳のストレートヘアーで、耳は長く人間寄りの肌をした女の子。誤魔化し易くて助かった。ラーが長い髪を編み込みやお団子にしてやるととても喜んだ（ヒュンは不器用すぎてできない）。だが４歳のときに異変が起きた。耳の上の部分が突起のように膨らんできたのだ。

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触らないと分からない程度だし、触っても痛がらないし、本人も至って元気だ。そもそも半魔を診られる医者もいないし、ヒュンとラーで話し合って様子見をすることになった。しかし子どもが５歳を過ぎたとき、異変が加速した。髪をかき分けて覗かなければ分からないが、角が生えてきたのだ。

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このときばかりはバーンの血を呪わずにはいられなかった。なにが手立てはないか方々を探し回った。唯一のヒントになったのはバーンと最後まで対峙し、無事に帰還したダイの言葉だった。「バーンの額の目…あれを鬼眼って言うらしいんだけど、それが１番の力の源だって自分で言ってた」

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娘は額を触ると嫌がることがあった。偶然鬼眼に触れたのだろう。それをどうにかできれば。ヒュンがバーンの子を産んだことを知るのはごく少数だ。「また大魔王相手に戦うのかよ」と軽口を叩きながらもマトリフとポップは文献を当たった。出産に最も反対していた師も重い腰を上げて実家の書庫を漁った。

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解決策を持ってきたのは師だった。「輝聖石…あなたに渡した“しるし”ですね。これは聖なる力を高め、邪を退けます。これを聖なる五芒星の形にして、娘さんの鬼眼の上に埋め込めば、バーンから受け継いだ力を抑えられるかもしれません」一縷の望みにヒュンの胸は高鳴った。

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「ただし、バーンの子であることはさておき、娘さんに魔族の血が流れているのは事実です。それに無理な封印を施すことは、娘さんの体に異常をきたしてもおかしくはない。それをよく考えてください」ヒュンは頬を張られたようだった。そうだ、バーンの子と言う前に、この子はひとりの人間…魔族なのだ。

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「結論が出たらすぐに連絡を。輝聖石の準備にも時間がかかりますから」そう言って師は去って行った。 ヒュンは悩んだ。悩みに悩んで何度もラーと話し合いもした。「…それで結局、どうするんだ？」「…断ろうと、思う」「…それでいいのか？」ヒュンは押し黙った。

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「お前にも魔族の血が流れているな」「ああ」「もしお前がまだ意志のない子どものうちに、その魔族の血を封印されたら、どう思った？」今度はラーが黙り、静かな声で言った。「…感謝するかもしれんな。その時は」一転、ラーは鋭く言った。「だが今の俺はこう言う。俺は俺だ、余計なことをするな、と」

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「そういうことだ」ヒュンは深く頷きながら応えた。 「何かをするにしても、あの子が自分の意志で決められるようになってから、やろうと思う」「だが相手はバーンだ」「角のある魔族は山ほどいる」「それでも３番目の眼が開いたら気付く者がいてもおかしくない」「そのときは…」

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「そのときは、逃げる」ヒュンは言い切って、柔らかく続けた。「３人で」。そして問うた。「付いてきてくれるんだろう？」「当たり前だ。あの子は俺の子だ」戦友で、親友で、恋人で、家族である男はきっぱりと言った。「…ありがとう」ヒュンは涙を堪えながら、テーブル越しにラーの手に指を絡めた。

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バーヒュンの子がいるラーヒュン、実はヒュンの子が産まれるまでラーヒュンの間に肉体関係がなかったりしたら純愛すぎて泣けるな。

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肉体関係もなく父親でもなく、赤ん坊を貰い乳に連れて回って、おしめが濡れたら嫌な顔ひとつせずに替えてくれる。あの男をなんと呼べば良いのか。まだ動くなと言われた床の上で、ヒュンは考えている。

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産んで３ヶ月くらいで「もうしても大丈夫そうだ」ってヒュンが言うけど、「ちゃんとするけどすぐ２人目できちゃったらまた大変だろう」ってラーが頑なに拒否して、産まれて１年くらいでちょっと子に手がかからなくなってから、ラーヒュンの初夜。…胸熱だぜ…。

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娘ちゃんが産まれてからご無沙汰ぎみだったふたりがこの夜久々にハッスルハッスルしちゃってできたのが２人目の男の子です。 twitter.com/koji_hunter/st…

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この間何もなかったわけでもないけど、ここしばらくは睦み合いの延長線上でちょっと１回…が半年に１度あるかないかくらいだったのが、久々に盛り上がって３ラウンドくらいこなしてしまい。

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ラーヒュンの子は男の子。ラーほどではないけど少し青みがかった肌で、金髪金目でラーによく似ていた。下の子が産まれて３ヶ月くらいの頃、ラーが仕事に出ている間、下の子はぷうぷうよく寝ていて、ヒュンは上の子（バーヒュンの子）を膝に乗せてラーが庭の木に作ったお手製のブランコで遊んでいた。

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上の子…娘は少しもじもじしながら口を開いた「なんでおとうととわたしは、はだのいろがちがうの？」ずっと聞きたかったようだった。ヒュンパパに似たのかな？　と誤魔化すこともできた。でも我が子には誠実でありたかった。「きみたちはお父さんが違うんだよ」ヒュンは真実を口にした。

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「…あのこのおとうさんはラーパパ？」ヒュンは頷いた。「じゃあ…わたしのおとうさんは？」「…死んでしまった。産まれる前に」「じゃあ…もうあえないの…？」ヒュンは静かに頷いた。娘は悲しそうな顔をした。 「…ラーパパはわたしのほんとうのおとうさんじゃなかったんだ…」「違う。それは違う」

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ヒュンはそれを強く否定した。「ラーパパは君たちの立派なお父さんだ。働きに出て、ごはんを食べさせてくれて、君たちのお世話をなんでもしてくれて。きみのおしめを替えたのだって洗ったのだってラーパパだ。ラーパパはきみの本当のお父さんだよ」

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「まだ難しいかもしれないけど、ヒュンパパはラーパパとは別の人から血を半分もらって、きみをお腹の中で育てて産んだんだ。それをここまで大切に育ててくれたのはラーパパなんだよ」 そもそも“産め”と言ってくれたのもラーだった。ラーがいなければこの子はこの世にいない。

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「ヒュンパパもラーパパも、血をもらったのとは違う人に育てられた。けど、その人たちは“本当のお父さん”だったよ」ヒュンは娘の頭を撫でた。「…むつかしくてよくわかんないけど、ちょっとだけわかった」娘はヒュンの顔を仰いで笑った。「ラーパパはわたしのほんとうのおとうさん、なんだよね？」

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ヒュンはギュッと娘を抱きしめた。バーンのことは憎い。今でも憎い。憎くて憎くてたまらない。でもこの大切な大切な宝物をくれたことにだけは、感謝している。

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バーヒュンの子がいるラーヒュン、たぶんこれでおしまい。