一成くんとの物語

なこ⃟ @nakonaco7575

電話を切ってお金を払った。立つとたしかに酔っ払う手前だったことを実感する。さすが親友。 「ごめん先に抜けるね」 お金を渡してお店を抜けて、会いたいが募ってく。 「かずくんっ！」 外なのに抱きついてみた、もう酔っ払いじゃんね。受け止めてくれる優しい腕に今夜も身を任せる。 「おかえり！」

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「ごめん！友だちが送ってたみたいで、」 「え！じゃあオレのこと大好きってウソ？」 「ち、がうけど……」 しどろもどろしてればにゃはは、と笑う声が届く。さてはからかったな…！ 「もうそろ着くから、用意できたらおいで。一緒帰ろ？」 そんな優しい声で言われたら、余計に会いたくなっちゃうよ。

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「あ、お迎え来てくれるって？」 なんてことないように話しかけてきた親友は手元を覗き込んで「よかったね」と一言。いやいや！何代弁してくれちゃってんの！？ 送信は20分前、学校から向かえばそろそろ到着する頃かも。と、スマホが震えた。かずくんだ。 「も、もしもし」 「おつピコ！楽しんでる？」

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#A3プラス 一成 スマホの画面をタップすると『めずらしーね！りょ☆』のメッセージが届いていた。なんの話だろう？とLIMEを開くと、打った覚えのない甘ったるい言葉。 『酔っ払っちゃった🥂お迎え来てくれない？かずくんだーいすき💕』 え？え？？？丁寧にお店の場所までリンクを送ってる。→

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彼の真っ赤な顔を見逃したらしい。 翌日どれだけ注意してても怒ったような照れてるような複雑な顔した三好くんに捕まってしまうことも、その先に甘酸っぱい青春が待っていることも、わたしはまだ知らない。

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「いやわたしはほんと、ラッキー！みたいな気持ちだし、その、」 声になってからわたしは自分の気持ちを伝えたも同然であることに気づいた。ほら、目の前の彼のエメラルドは驚いてる。 「っ、ごちそうさまでした！！」 こういう時は逃げるが勝ち！！脱兎の如くその場を去ったわたしは、どうやら

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「あはは、わたしは大丈夫。むしろごめんね？」 「大丈夫って……もっと自分を大事にして！？」 さっきまで赤くなったり青くなったり忙しかった表情が一気に真剣になった。眉間に皺を寄せてもカッコいいな。 「聞いてる？」 覗き込まれてやっと自分の状況を理解すると、今度はこっちがテンパった。

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#A3プラス 一成 彼女がいないだけでやることやってるんだろうなって思ってたから、びっくりした。 「ちょ、今…え！？ごめん！！」 事故チューでこんなに慌てるなんて想定外すぎる。自分より焦ってる人がいると落ち着くっていうけど、まさにそれ。こっちは好きな人とキスできて内心お得感すらある。→

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なんか刺さったらしい。うん、やっぱこのワンピにしよう。 全身鏡にかずくんが映り込んだ、と思ったら後ろからハグされる。 「楽しんできてねん」 「ふふ、ありがと。早めに帰るし、いっぱい連絡するね」 ちゅ、とほっぺにキスを落としてベッドに戻る彼を追いかけて温もりを共有する夜。あぁ、幸せだ。

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かずくんは過保護だ。 「オレの知らないとこで口説かれないか心配！」 「ないよ、わたしがかずくんのこと好きなのもうみんな知ってるじゃん。それにかずくんに見合う女の子って思ってもらわなきゃだから頑張ってるの！」 一拍置いて、かずくんがベッドに倒れ込んだ。 「なに、かわいすぎない！？」

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「ねえもう寝ようよ〜」 「ん〜明日の服が決まらないの」 昼に友だちと会って夜は学科の飲み会。せっかくだしおしゃれしたいじゃん？ 「さっきのコーデも今あててるワンピも似合っちゃうんだから、むしろあんまかわいくなりすぎないで欲しーんですケド！」 飲み会に行けないらしい→ #かずくんと毎日

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疲れた心が途端に癒えていく。好きだ。かずくんに包まれた幸せの中、ふと片想いの頃を思い出した。いろんな女の子の香りが移ってて、わたしが付き合えるわけないって思ってたっけ。もう覚えちゃったいつもの彼の香水を思い切り吸い込んで、わたしも両腕を背中に回した。 かずくん、大好き。

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「ちょいちょーい！ちゃんと断って！！」 「もーかずくん！会いたかったんだけど！何ほんと好き！なんでここにいるの？」 「オレもビッグラブだよん！ぎゅ〜〜」 「なんでここにいるの？」 ちゃんとぎゅーして！と抱きしめてくれる彼氏は少し熱い。飲み会だったのかな。 「会いたかったからだよん」

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期待して即返信。 『今降りてるとこ！』 すぐにサングラスが光ってる亀吉スタンプが送られてくる。疲れ果ててるはずなのにくすりと笑みが溢れた。 「おねーさんめちゃきゃわたん！オレと熱い夜過ごさない？」 声だけで分かる、大好きな人だ。 「え〜どうしよっかな。彼氏いるけどおにーさん超好み！」

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『しごおわ！！！！！もうむりです』 『おつピコ☆珍しーね！忙しいのん？』 『どうやらそうらしい』 『自覚ナシ！笑』 よし、帰りますか！それでもまだ人がいるオフィスを後にしてエレベーターに乗ると、またピコンと通知が。 『ありゃもう駅？』 えっもしかして…？なんてちょっと→ #かずくんと毎日

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「えっかわいい！」 「でっしょ〜！オレとおそろだよん♪」 かずくんがさっき使ったばかりの鍵を掲げる。揺れるのは色違いのお花。キーホルダーにしたんだね。 「かずくんのそういうとこ、ほんとすき」 「マ？うれピコ！これぞクリエイター☆って感じ？」 そんな鈍感なとこも含めて全部すきなんだよ。

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「お内裏様のおなーり〜！」 玄関を開けると長い帽子を被ったかずくんがぴょこり！ 「え、いらっしゃいませ！どこで買ったの？」 「そこ気になる！？作っちゃった！ちゃんと　　ちゃんのもあるよん☆」 じゃーん！と差し出されたのは、和柄の布切れで作ってあるお花の髪飾り。→ #かずくんと毎日

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#A3プラス 一成 オレンジ 柑橘の香りは幸せの証。 pic.twitter.com/q01Tu2aZg6

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疲れてもう上がらない口角と重い瞼をそのままにして、にこにこ喋り続ける彼の胸に頭を預けた。 「……ありがと。すきです」 「うん。オレもすきだよん」 さっきまでのテンアゲとは打って変わって、トーンを合わせてくれたのはかずくんの優しさ。明日には元気になるから、今日はこのまま甘えさせて。

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「そんなんじゃ嫌いにならないっしょ〜！」 かずくんはオレのビッグラブなめないでってウインクしてくれた。あなたが思ってるほどいい子じゃないんだよ。ごめんね。 「もち笑顔も好きだけど、今は笑ってじゃないじゃん？それってむしろオレはトクベツってことじゃない！？彼氏でよかった〜って感じ！」

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「かずくん、わたしかずくんに嫌われるかも」 「えっ！？なになに、なんかやらかしちゃった？」 「んーん、そーゆーのじゃなくて……わたし、理想のわたしを貼っつけてるなって思って」 「理想の　　ちゃん？いつもにこにこなとことかってこと？」 「そう、あと声作ったりとか」→ #かずくんと毎日

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ひらひら手を振ってくれるかずくんにわたしも返してから玄関を飛び出した。駅まで急ぎ足の中、頬はつい緩む。よーし、今日も頑張んなきゃね！

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「ちょっと！」 「これだけだから〜！」 もう、自分がゆっくりだからってまた布団被っちゃって。その山が愛おしいんだからどうしようもないな。 バタバタ準備していってきます、と声をかけるとのそのそ起き上がる。寝たままでいいんだけど、やっぱりお見送りは嬉しいものだ。 「いってらっしゃい！」

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#A3プラス 一成 「わ、めずらし！スーツじゃん！」 「そーなの、今日はちゃんとしなきゃで」 「レアじゃん〜写真撮ってい？」 「時間ない！」 久しぶりに袖を通すとパリッとした気持ちになる。でもなんだか着せられてない？最終チェックをしてるとパシャリ、1回音がした。振り返ると悪戯に微笑む彼。→

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好きな人は、一成くんだから！……だから、こんな姿見られて恥ずかしい」 「オレは嬉しいよん。知らない一面が見れた〜って感じ！てかこれから絶対分かるじゃん？もっと、ぜんぶ見せて？」 パッと顔を見れば相変わらず真っ赤。でも目が合うと優しく笑ってくれて。ああ、この人を好きになってよかった。

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溜め息を吐くと振り返った。街灯に照らされたのは一成くんの赤い頬。 「見たことない　　ちゃんが男と二人って思ったらこう、もやっちゃって……」 それってその、所謂…… わたしの頬も赤くなったのを感じて目を逸らしたけどきっと手遅れ。それを隠すようにぎゅうっと抱きついた。 「わたしの彼氏は、

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他の奴らには俺から言っとくよとひらひら手を振られ、混乱したまま一成くんの後ろを歩く。なんだかいたたまれない。何か喋ってよ〜…、と念じたところで彼の足が止まった。 「連れ帰っちゃってごめん……」 「えっいや、それは嬉しいんだけど、その……」 「やっぱ不自然だったよね！？やっちった…」

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下を向いたままたわいもない話を交わしていればドアが開いて「おまたせ〜」と友人が一人先に出てきた。 「あれ、カズじゃん」 ふ、と隣りの雰囲気が変わった気がした。するり、手を繋がれる。えっえっ、 「あー、彼女のお迎え？」 「おつピコ！そそ、この子持って帰っていい〜？」 「おー、おつかれ」

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レッスン帰り、コンビニに寄った友だちを待っていたら出会ってしまった彼氏。数日前にやっと付き合えて嬉しくて、どんな時も彼に会えるなら最大のおしゃれを心がけていた。恋人繋ぎもお泊まりもしたことないし、顔を見るだけでドキドキしちゃうのに。レッスン着のまま帰宅を決めた数分前の自分を恨む。

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「あれっ　　ちゃん？」 ギクリ。聞こえるわけがない大好きな声がした。この超適当な服の時に会うなんて、神様は意地悪だ！！ 「あ、あ〜！一成くんじゃん、偶然！」 「今日はメガネなんだね？そんな　　ちゃんもきゃわたん☆写メ撮ろ？」 「わ、絶っっ対ダメです！」 「え〜残念」 #かずくんと毎日→

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「好きです」 ぽかん、と数回瞬きをすると「はぁ〜〜」と深いため息。あ、これは効いたんでしょ。温かい腕がわたしを包むとかずくんの声がすぐそこに。 「ズルい。オレも好きなんだけど」 近づいた首筋にキスをすると抱きしめる力が強くなる。今だけは、この二人きりの熱を大切にしたい。

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「かずくん」 ん？と優しく返事してスマホから顔を上げてくれる彼氏。もうすぐ今日もお別れというこの瞬間はいつだって寂しい。 「なぁに、…呼んだだけ？」 「んーん。あのね、かずくんに大事な話があります」 「わっ改まってなになに！？良い話悪い話！？ちょ、心の準備させて！」→ #かずくんと毎日

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#A3プラス 一成（椋、三角） ねこちゃんの導き この恋は、この一匹から繋がった。 pic.twitter.com/xrel6GWQBX

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かずくんとバレンタイン2023 privatter.net/p/9780477

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「オレも、本命なんだけど……」 ちょっと待って！ちゃんと言う！とかずくんは少し間を置いた。 「好きです。オレと付き合ってくれませんか？」 真剣な低音に驚いたままゆっくりと頷いた時、二人の思いは一つになった。 chocobox.me/c/MTE5NDMxMg== #チョコボックス🍫 #chocobox_nakonaco7575

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「やばたん！以心伝心じゃん？」 不安になって手を引っ込める直前、満開の笑顔と共にチョコはかずくんの右手に引き渡された。 「じゃーん！オレも逆チョコ用意しちゃった☆」 逆からは別のチョコが出てきて、こちらに差し出される。 「え、」 わたしに？どういうつもりで？受け取っていいんだよね…？

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「本日かずくんにあげたいものがあります！」 「あ！オレもオレも〜」 一世一代の言葉に予想外のノリが返ってきた。あれ、今日バレンタインって知らないわけないよね？ 「これかずくんに。その、…ほんめい、です」 「え！……ほんとに？」 受け取る前に確認される。あれ、これは迷惑だったやつ…？→

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頑張らないとな。 〜〜〜 「あ、ロンロン！聞いてよつづるんに春が来るかも！」 「オ〜！それは石盤叩かないとネ！」 「赤飯！炊かないでいいんで！」 chocobox.me/c/MTEzMjUzMQ== #チョコボックス🍫 #chocobox_nakonaco7575

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しまったからです。とはなんだかかっこ悪くて言いたくなかった。 「…ホワイトデーに返事しようと思って」 「なる！そんじゃ3/14は赤飯だねん☆」 「それはやめてください……」 でもなんだかんだ嬉しそうな先輩が応援してくれているのが伝わってきた。よし。自分の思いをきちんと彼女に伝えられるよう

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さすが目敏い。本当よく見てるよなあ。 「まあ、そうっすね」 「分かった！気になってるあの子からチョコ貰えたんだ〜！」 「断定っすか！……まあ」 「フゥ〜！つづるんにもついに春が来たか〜」 「いやまだ付き合ってないんで」 「なんで！？」 なんでって。チョコ渡すだけ渡して彼女が走って行って

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「つーづるん♪」 元気よく後ろからのしかかってきたのは三好さん。機嫌がいい。 「彼女さんからチョコ貰えたんですか？」 「うん！もう超愛感じちゃってさ〜」 にっこにこで何より。でも今日は俺だっていい日なんだ。 「ちょい聞いてる〜？あ、さては……つづるんもイイコトあったっしょ！？」→

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かずは隣りに座るとこちらを覗き込んできた。 「好きな人はいないの？」 「……気になる人ならできた。さっき」 「えっオレ出遅れた！？」 本気で焦ってるようにも慰めてくれてるだけにも見える。ねえ、かずが分からなくなっちゃったよ。 とりあえず明日あげるためのチョコを急いで買いに行こうかな。

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でもすごくドキドキして勘違いしそうになった。こんなの、かずは慣れてるに決まってるのに。 「も、もう仲良いじゃん」 「ん〜まあそうなんだけど！もーっと仲良くなりたいなって」 いつも通りの明るいかずに戻ってホッとするのと同時にやっぱりなんでもなかったんだと残念な気持ちになる。……残念？

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明らかにバレンタインのせいだろう。二人で楽しむイベントはちょっと心がぽっかり空く。未練があるわけじゃないんだけど。 「……じゃあさ、」 そこで言葉が途切れて顔を上げると、真剣な緑と視線が交わった。 「オレと仲良くしよ？」 好きと言われたわけでも、チョコについて言及されたわけでもない。

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#A3プラス 一成 はぁ〜〜。朝から大きなため息が出る。 「どしたん？元気ない？」 おはピコ、と現れた一限のかず。 「や〜久々にインステ覗いたら元カレは彼女と仲良くやってんのにわたしは彼氏もできないし？寂しいなぁって」 再度ため息をついて机に突っ伏す。別にいつもは気にしないんだけど、→

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家に帰る前に一瞬でもいいからって会いたくなっちゃったの、気づかれてるんだろうな。 「んじゃ決定☆オススメのカフェあるからそこでいっぱ…ちょい話そ！」 一日の最後の思い出をかずくんと締められる。当たり前じゃない幸せを改めて噛み締めて、軽くなった足取りで待ち合わせ場所に急いだ。

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困らせちゃうかなって思ったら、言葉が詰まった。 「……もしかして駅の近くいる感じ？」 「あ、うーん……うん」 「おお！それならせっかくだしちょい会わない？声聞いたら　　ちゃんの顔見たくなっちゃった」 「……会いたい」 ズルい。わたしが言いたかったことを言葉にしてくれる優しさがズルい。

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数コールで音が切れる。 「もし〜？カズナリミヨシだよん！」 「やっほ〜今ひま？」 「今？ちょうど天鵞絨駅着いたとこ〜」 「えっじゃあさ、」 今からちょっと会えない？と言いかけてやめた。かずくんと会う時はいつもちゃんと予定を立ててたから。こんな突発的になんて→ #かずくんと毎日

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言うだけ言って逃げ出した。 それはわたしだけが知ってればいい。可愛い笑顔も、好きだよって言葉も、優しい指先の感覚も。わたしだけの愛おしい記憶。 あーあ、次会ったらどうしよ。これも人気者のかずくんのせいだ！ ──でも実は、現場を押さえたかずくんにぎゅうと抱きしめられるのが先だったり。

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#A3プラス 一成 「ねえカズって二人の時どんなカンジなの〜？」「あっそれワタシも気になる！」「やっぱグイグイ来る！？」 キャアキャアと彼女本人を差し置いて盛り上がる子達。いつもかずくんの周りにいる可愛い子達に劣等感を抱くことも無いわけじゃない。けど。 「……秘密、です！」 →