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@mezzot
覇王別姫は音響と音楽でめちゃめちゃ鳥肌立つ 楽器の知識がなくても「これは耳鳴りだ……運命の分岐点だ……」「これは不協和音だ……もう何か取り返しがつかないんだ……」ってわかる そしてずっと舞台の音が鳴っている
2020-06-14 09:24:36
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@mezzot
覇王別姫が主にdisってるのは戦時中の政権そのものと翻弄される自覚がないままの人間の熱狂で「国」や「特定の国に属す人間」ではないので「青木(銃殺された日本人将校)が生きていれば京劇は日本に伝わっていたでしょう」って法廷で証言する一幕がある。陳凱歌監督のこうしたシーンを撮る誠実さがすき
2020-06-14 11:16:12
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@mezzot
はじめに見たとき菊仙がきらいとか小四がきらいとか思うかもしれないんだけど、菊仙がどうして一芝居打ち蝶衣を騙してまでそうせざるを得なかったのか、小四という歳若く時代の流れに敏感な子がどうやって旧体制を理解しようというのか彼が「人民解放軍」というのにどうやって魅了されたのか
2020-06-14 11:24:05
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@mezzot
幼年時代少年時代はほんとうに「人権がない」「尊厳がない」世界なんだけど、その時代の大人たちもずっとそんなものなくて、あの虐待にしかみえなかつた一座はあの時代子どもたちに慈善じゃなくご飯をあげる最後の受け皿だったってことがわかる。感情がめちゃくちゃになる。
2020-06-14 11:29:32
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@mezzot
映画の伏線や小道具の意味理解がほんとうにすごいんだよな「剣」もそうだけど例えば菊仙が小楼に傘を投げるシーンなんてまさに、「小楼が悪意の雨に濡れないよう身を守れるように」気づかせるためだからほんとうにすごい 全編ずーっとそうなってる
2020-06-14 11:52:27
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@mezzot
結局、蝶衣と菊仙は一人の愛をめぐってバトったものの蝶衣の想いや大事にしているものその琴線に触れるものを最後まで理解していたのは菊仙だった
2020-06-14 11:56:53
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@mezzot
菊仙はあの日遊郭の三階から飛び降り自分を受け止めた小楼に一生分の決心を預けた。あの頃遊郭の女性が最も自分を損なわずに生きていく方法はそれしかなかった。小楼は「頼りになる」「かっこいい」と彼女は思った。我々視聴者もたぶん、一度はそう思った。たとえ話の展開に少しずつ違和感があっても
2020-06-14 12:21:38
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@mezzot
やがて時代の変遷のなか彼女は悪夢を見る。「高いところから飛び降りようとして……」「俺が受け止めるから大丈夫」けれどその後、妓女であることを暴露され「高いところ(普通の市民)から落ちようとする時」小楼はもはや受け止めてはくれなかった。悪夢は彼女の予感を意味していた。
2020-06-14 12:21:39
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@mezzot
これは小楼が「じつは頼りがいがない人間だった」という意味ではない。「ごく普通の血肉の通うの人間であった」にすぎない。小楼はあの中でもっとも感情の機微に疎かったが、もともと弱いものを庇う優しい人間だったのはかれの生育を見てきた視聴者にはわかるはず。でも、「打たれ慣れ」すぎていた。
2020-06-14 12:21:40
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@mezzot
蝶衣の母もまた菊仙と同じ妓女だった。蝶衣がアヘン中毒の離脱症状に苦しみ譫言で母に寒いと訴えたのを聞いて衣をかけて腕に抱いたのは菊仙だった。菊仙は流産している。蝶衣に抱く気持ちは「母」的なものに近づいていった。
2020-06-14 12:27:15
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@mezzot
「我本是男儿郎(元は男の身)」と間違え続けた蝶衣の尊厳とアイデンティティに関わるセリフ、覚醒シーンで「我本是女娇娥(元は女の身)」となり、そしてラストに小楼の口を借りて(過去の再現のために誘導して)「我本是男儿郎」に戻った もう舞台には立てない暗示にしか見えないよね
2020-06-14 12:30:56
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@mezzot
一事が万事こんな伏線まみれでとんでもない映画なので見終わって一週間ぐらい虚脱状態に陥りたい時とかにおすすめです(…………)
2020-06-14 12:32:28
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@mezzot
小楼は血肉の通った普通の人間にすぎない。彼は時代の変遷で袁世卿が弾劾にかけられたときに動揺した。袁世卿は永遠に袁四爷(貴い身分)だと思っていたのにそうではなくなった。あの日彼らの覇王別姫を持ち上げた宦官がほとんど物乞いのように街角でタバコ売りをしているのを見つけ呆然とした。
2020-06-14 12:42:37
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@mezzot
あと作中ずーっと「冰糖葫芦串」って聞こえてくるんだよ、小癩子が自殺の前に食べたあの「冰糖葫芦串」を売り歩いている音を聞くたびに蝶衣が遠い表情をする。小癩子は蝶衣にとって人生の分岐点なんだよね。二人で逃げ出して見たあの舞台で「どんなに折檻されてもあんな役者になりたい」とこぼした声。
2020-06-14 12:46:04
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@mezzot
だれより折檻が怖かった小癩子「どんなに折檻されたらこんな役者になれるだろう」「どんなに折檻されてもいいからこんな役者になりたい」そう言って泣いて戻ってきた小癩子は折檻されている仲間をみて自殺した 「自分はどんなに折檻されてもあんな役者にはなれないかもしれない」そして
2020-06-14 12:52:28
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@mezzot
外へ出てもじつは決して満足には食っていけないことを理解していた。そしてすでに彼は「あんな役者になりたい」と強烈に願ってしまった。心の中に抱いた渇望が永遠に満たされないと気づいたとき彼は「すごい役者にやったら毎日食べる」と言った冰糖葫芦串を口の中に放り込み、自らの人生を終えた。
2020-06-14 12:52:29
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@mezzot
蝶衣はずっと「人戏不分」という評価を得ていた。蝶衣は自分に嘘がつけない。「元は男の身」と詞を間違え続けた。「元は女の身」と自らの意志で口にした瞬間から蝶衣は現実でも「女」としてのアイデンティティを獲得した。これを「最後」にもう一度間違うよう誘導したことが決定打になったと思う。
2020-06-14 13:00:30
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@mezzot
それから袁世卿が蝶衣と豪奢な食事を囲むシーンで優雅なスッポン鍋が出てくるやつ。スッポンは中国語で「王八(王霸)」ひっくり返せば霸王。スッポンに噛ませたのは鶏デザインの器具。鶏は中国語で「鸡(発音が姫に同じ)」鶏型を噛ませてスッポンの首を切り落とす(別つ)から「これが霸王别姬」
2020-06-14 13:07:59
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@mezzot
また語り足りないんだけどわたしは覇王別姫一生どころか三生は語れるのでこのままだと人生が終わって転生して終わって転生して終わってしまう……………
2020-06-14 13:14:57
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@mezzot
覇王別姫見たら @mezzot で教えてほしい 親戚が見たとかの情報も寄せてください わたしが「ありがとう」という気持ちで満たされます
2020-06-14 13:22:31